土曜日夜の『お願い!ランキングGOLD』は2時間スペシャルで「特別企画!人気芸人が推薦 今一番面白いネタランキング」。
オリジナルのランキングをつけるのがおもしろい番組ですが、今回は2時間スペシャルで、もしも、M-1グランプリやR-1グランプリのファイナリスト、各番組で活躍する若手芸人が自慢のネタを披露しあったらだれが一番おもしろいかをランキング。
売れっ子芸人たちが、芸歴10年以内の若手芸人の中で、今一番おもしろいと思うネタを推薦し、漫才、コント、モノマネなど各ジャンルの大会や番組で活躍する20組の最新ネタを審査。
この番組がおもしろいと思うのは審査員の偏ったランキング。決して、公平ではないと思う「好みの問題」で選ばれてしまう点。というわけで、今回は映画監督の井筒和幸さんの審査が最も好みが激しく、彼の点数のさじ加減で決まったようなものでした。
ほかの審査員は日経エンタテイメント編集委員・品田英雄さん、人気番組のコント作家・内村宏幸さん、ベストセラー「もしドラ」の作者で放送作家・岩崎夏海さん、辛口小説家・室井佑月さん。
というわけで決まった5位までの結果はこちら。
1ヒカリゴケ
2エハラマサヒロ
2フルーツポンチ
4ダブルネーム
5勝又
5モンスターエンジン
5我が家
5渡辺直美
大体、売れている芸人さんが多い中で、「ヒカリゴケ」はほとんど無名で、彼らが選ばれたのは、納得。井筒監督は「ベタなものが好きなんですね」と笑われていたけれど、「安定感がある芸が安心して笑える」ということを基準にしていて、それは私も個人的に同意。
「ヒカリゴケ」がおもしろいのは、31歳のおじさんと、27歳の甥っ子という親戚どうしの組み合わせであること。甥がイケメンで、おじさんは残念顔。31歳なのに顔はおじさんで、さらにきれいな髪のおかっぱという、かなり強烈なキャラが印象に残ります。
ネタも親戚どうしということで生まれるネタで、血はつながっているのに、顔が全く違うということから、そこをきっかけに、どつき漫才のような内容で、甥っ子がおじさんをひっぱたくのがおかしくて、「おじさんをたたくのはやめなさい」と怒り、そのたびに、親戚どうしの墓参りの車に乗せてやらないと言ったり、甥っ子の母親、つまりおじさんの年の離れた姉が若いころに遊んでいた写真を持っていることで、甥っ子を負かそうとするのだけれど、甥っ子は全くひるむことなく、どつき続けて、最後は「おじさんとか親戚とか関係なく、人の顔をたたくのはやめなさい」というオチをつけているのですが、その表情がとてもうまくおさまっていて、全体の構成とテンポといい、しゃべりのうまさといい、難点が見つからないくらい、本当におもしろく見ました。
新しさはないけれど、古さやマンネリというのではない、やはり、井筒監督の言うとおり、正統派のしゃべりができる漫才コンビのおもしろさは不滅だなあという印象です。これがやはり、本物の芸の力ということなのかもしれませんね。
新しさという点では、「エハラマサヒロ」の瞬間モノマネは新鮮で光っていました。特に最後のふたつ。会社内で4度も社長に会ってしまった社員がもうどうあいさつしていいのかわからないみたいな感じのものまねは秀逸だったし、その後の、これまた局で4度も会ってしまったクリス松村さんの「あはっ」というだけのものまねはかなりのおもしろさですね。
エハラさんの全体の構成としては、レコードジャケットのまねとか、わからなくてもいいけれどやりたいネタみたいなものを入れていたり、新しさを追求していましたが、少しネタとしては全体的に弱いところもあるので、ハラハラしたところもありでしたから、安定感がもう少しあれば、かなり売れるんじゃないでしょうか。
フルーツポンチは勘違いしている男のコントという、このコンビの得意のもちネタ。これは安定感があって、いつもおもしろいのですが、新しさという点では少し手垢がついている気配は否めないかなと。
ダブルネームは抜群の歌唱力で売れた人たちで、実力派のものまねだけどお笑いネタを入れるという、ほかの人たちがまねできないジャンルができる人たちですが、今回は新しいネタとして、東方神起のまねをしながら、平泉成さんのまねでハモるというのが、新しくて、しかも完成度もやはり高くておもしろかったんですが、平泉成さんばかりというのは、ちょっと飽きるかなと。もっとほかの人たちが入れられたら、独自路線としてやっていけそうですね。
そうそう、コント作家の内村さんは、うっちゃんなんちゃんの内村光良さんの従兄弟とか言ってましたね。知りませんでした。彼は自分が作家さんのせいか、点数が甘かったのがおかしかった。やはり、自分でおもしろいものを書くことの大変さをご存じだからなんでしょう。その点では井筒監督はやはり、わかるおもしろさ追及する監督としてのスタンスを感じさせるから、審査員の選択もこのランキング番組のおもしろさにつながるんだなあと、感じました。