「1泊250万円のホテルで大豪遊」日本をしゃぶり尽くしたバッハ会長が次に狙うもの
バッハの、バッハによる、バッハのための東京五輪
開催国の国民の多くが開催を望んでいない五輪は史上初であろう。
朝日新聞の「朝日川柳」に載った一句が、今回の東京五輪の本質を的確に表している。
「バッハ言う国破れても五輪あり」
世界205カ国と地域から1万人の選手・関係者が集まり、五輪後に「五輪株」とでもいうような感染力の強い変異株が生まれ、日本人が苦しんでも、トーマス・バッハIOC会長(67)らIOCの幹部たちは、「知ったことではない」というのであろう。
フランスのル・モンド紙東京特派員は「日本はIOCの囚人になっている」(朝日新聞7月24日付)と報じた。
アメリカのワシントン・ポストで、これまで多くの五輪を取材してきたマイク・ワイズが、「現代スポーツ史上、最も厚顔で、人類より傲慢さを重視した、お金目当ての大会」と批判し、「金銭欲の金メダルはIOC、銀メダルはNBCユニバーサル、銅メダルは日本の大会組織関係者」だと揶揄していると朝日新聞(同)が伝えている。
お抱え料理人を帯同させ、「1泊250万円」に宿泊
金儲け五輪で銅メダルを授与された組織関係者だが、実態は「IOC貴族」たちにしゃぶり尽くされているようだ。週刊現代(7/24日号)でノンフィクション・ライターの森功がこうリポートしている。
バッハが宿泊しているのは虎ノ門にある「The Okura Tokyo」の1泊250万円のインペリアルスイートルームだそうだ。
だが、バッハが払うのはIOCの規定で、最大で1泊4万4000円までだから、その差額を日本側が払わなければならない。
泊まるだけではなくバッハは、室内の調度品もすべてIOC御用達に替え、料理人も外国から連れてきているというのである。オークラ側は、客のプライバシーに関わるとして答えてはいないが。
組織委によれば、今年の3月時点の東京五輪の経費は1兆6440億円になり、その中でIOC幹部たちの「おもてなし」代を含めた大会運営費が7310億円にもなるという。このままいけば経費は3兆円を超えるのではないかといわれるが、そのツケは必ず国民に回ってくる。
サンデー毎日(8月1日号)で元長野県知事の田中康夫がこう話している。
「長野県知事に当選の2000年は、1998年の冬季長野五輪の宴の後。五輪招致の帳簿は焼いたと居直っていた長野県は財政再建団体転落寸前だった」
公文書管理に消極的な安倍晋三や菅義偉は、東京五輪の過剰接待や使途不明金を知られるのが嫌で、同じことをするかもしれない。
まさに“呪われた”としかいいようがない惨状
そんな国民の不安を象徴するように開会当日は雲の多い日だった。そのため航空自衛隊のブルーインパルスが空に描こうとした五輪マークは雲と重なってはっきり見えなかった。
1964年の東京五輪開会日は快晴で、空にくっきり五輪のマークが浮かんでいたことを思い出した。
夜8時から始まった開会式も、前回とは比べものにならない薄っぺらなものに見えたのも、直前まで不祥事が続出したためであろう。
開会式の演出を指揮する元電通マン・佐々木宏が、タレントの渡辺直美を侮辱する演出プランを出していたことが発覚して辞任。
開会式直前に、式の作曲を担当していた小山田圭吾の「障害者イジメ」が明るみに出て辞任に追い込まれた。さらにショーディレクターを務める元お笑い芸人・小林賢太郎の「ユダヤ人差別発言」が報じられ解任と、まさに“呪われた”としかいいようがない惨状で、組織委の中からも「開会式は中止すべきだ」という声が上がったのである。
開会式中継に抜擢されたNHKの和久田麻由子の声も心なしか沈んで聞こえた。
経済団体トップもスポンサー陣も出席しなかった
唯一といってもいいのではないか。オールド野球ファンを歓喜させたのは、長嶋茂雄(85)が王貞治、松井秀喜と聖火ランナーとして現れたときだった。
長嶋もこの日を楽しみに、昨年秋から過酷なリハビリに取り組んでいたそうだ。足取りはおぼつかないが、左手でトーチを掲げる立姿は現役時代を彷彿とさせるほどカッコよかった。
亡くなった長嶋の妻は、前回の東京五輪のコンパニオンで美しい人だった。巨人軍の9連覇は翌年から始まった。
開会式の前日、天皇はバッハらIOC関係者19人と面会した。だが事前に報じられていた通り、開会宣言に「祝う」という言葉はなく、「記念する」に変更された。
各国首脳の数はリオ五輪の半分。経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体のトップ全員も出席を見合わせた。
最高位のスポンサーも、トヨタ自動車、パナソニック、味の素、P&G、NTT、NEC、富士通、TOTO、日本郵政、JR東日本が、社長ら経営幹部たちは出席せず、トヨタは国内のテレビCMまで放送しないことにした。
全米に放映権を持つNBCが7月24日に明らかにしたところ、開会式のアメリカの視聴者は約1670万人だったという。これは1988年のソウル五輪を下回り、過去33年で最低だったそうである。