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Answer.24
「…………」
アタシにこの悲劇の未来は止められなかった。アタシのやり方じゃ、なにも変えられなかったってことだ。
「…センパイ」
貸し借りとかでセンパイを助けたけど、アタシにはあれしかできなかった。
「…未来を」
アイツに任せたら、この先は、変わるのか…?
あの諦めない心で、未来を。
「託してみるか…アタシの、未来」
~~~
「………ぅ、…」
「…まだ立ち上がるか」
「……諦めるものか…」
「まだ、なにも成し遂げてはいない…」
「だから………っ…倒れるわけには……いかない……!」
立ち上がる力を……!!まだ、俺たちは…!
「無駄なことよ…すでに最終戦争は始まった。そして―――!!」
「なにをするつもりだ…!?」
「世界中に張り巡らされた偽界樹の根は、世界を分解し、破壊する」
「まさか…!」
~~~
「殺せー!!!生き残れ!!」
「死にたくなくば殺せー!!」
「な、なんだあれは!」
「木から…光が―――!?」
~~~
「どうやら始まったようだぞ、そら、止めてみせるのなら立ち上がってみせろ」
偽界樹を通して、世界を壊すなんて…。
「人々の邪心につけ込み、疑心暗鬼の中殺し合わせ、最後には世界ごと葬る……」
「なんてことを…」
「私が、娘が受けた仕打ちは、こんなもので済むものではない!!」
ヴェリタスやルクシアが受けた仕打ち…炎で焼かれたことが…。
確かに、大切な人がそんなことに巻き込まれたら俺も嫌だ。だけど、こんなこと間違ってる…!!
だから止めなきゃ、俺たちの手で…!
~~~
「ここが…中枢……」
「エネルギーが充満してるみたい」
「…ルクシア様……?」
『………誰……か………』
「!!ルクシア様!?」
「えっ!?」
「じゃあ、ここに…」
『誰か……お父さんを……』
「ルクシア様…今!!」
「やるぞ!」
「うん!」
遊矢、待ってて!!
~~~
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド。這いずってでも立ち向かってみるがいい、その悉くを打ち破ってやろう」
《Hand:2》
「遊矢…まだやれるか?」
「やれるやれないじゃねーだろ。…やるしかないじゃん」
でもどうやって突破する…?
カオス・パラディウスも星屑竜もホープ・オブ・ソードも、俺と一緒に戦ってきたカードがない…。エフェクトライダーを召喚するためには素材が足りない。
ましてや、特殊召喚からの攻撃が超得意な俺のデッキじゃ、どうあがいてもダメージを通すこともできない。
あの壁をぶち破らないと、ヴェリタスには届かない…チクショウ…どうすんだよ…!
「俺のターン、ドロー!……ッ」
「その様子では、逆転の手は引けなかったようだな」
「たとえ良いカード引けなかったとしても、絶対諦めない。世界が壊れても、絶対に!」
「足掻きもがく姿を無様に見せつけたいと言うか…」
そうだ、諦めたら全部終わり。でも諦めなきゃ何度だって戦える!!
ヒカルのおかげでモンスターはみんな生き残ったんだ、だったらそこからまた立て直すことだって出来る!
「装備魔法《風戦士の牙》をエア・ストリームソードに装備!これでエア・ストリームソードの攻撃力を500ポイントアップさせて、ホープ・オブ・ソードの攻撃力を1000ポイントダウンさせる!」
《ATK:2600》
《ATK:1500》
これで……!!
「エア・ストリームソード!ホープ・オブ・ソードを攻撃!」
「馬鹿なことを、攻撃は無効化されることを知っていて攻撃を…」
「分かってるさ、でも!手札から《Zs-アルティメット・ドレイン》を墓地に送って効果発動!バトルが無効にされた時、コイツを墓地に送ることで、相手の表側表示で存在する魔法・罠の効果を次の托都のターンのエンドフェイズまで無効にする!」
「なんだと…?」
これでヘルメス・トリスメギストスも偽界樹も無効!!
ゼアル化したアルティメット・ドレインが望みを繋いでくれた、ありがとう。
「俺はこれでターンエンド!!托都!」
《Hand:2》
「あぁ、任せろ」
「おのれ…ッ!」
「俺のターン、ドロー!!ネクロ・ブラッディの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、その効果をエンドフェイズまで無効にする。選択するのはその伏せカード!」
《ORU:0》
これで封殺!!ダメージが通せる!
「更に俺は、罠カード《シャドウ・ミラージュ》を発動!自分の闇属性モンスターが相手モンスターとバトルする時、攻撃力を二倍にし、破壊したモンスターをゲームから除外する」
《ATK:5000》
「攻撃力…5000」
「行け!ネクロ・ブラッディ、シャドウ・ハルシオンを攻撃!!」
「ぐッ!!」
《Veritas Life:10000》
やった!!ついに!!
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
《Hand:1》
「だが、今再び偽界樹と結界は動き出す。所詮はその程度では私を止められぬ!」
「止めてみせる!!」
明日の未来のために、みんなのために、
「まだまだ諦めない!!」
《その通りだ遊矢!!》
「えっ!?」
「今のは……!」
~~~
《みんな!!》
「その諦めない、止まらない気持ちはみんな同じなんだぜ!絶対なくしちゃいけないモン、そうだろ!」
「その気持ちが遊矢にあったから私たちも頑張れる!」
「だから俺たちは俺たちにできることをするんだ!」
~~~
《遊矢が辛い時も笑顔の時も一緒にいたから分かる、遊矢の気持ちは貫く限り必ず届くって!》
「アミ……!」
《アンタみたいな大人がいないと、遊矢が抑えられるモンじゃないのは分かってる。だから支えてやってほしい》
「…狩也……」
《諦めないって思いがセンパイから伝わってくる!だから俺たちが協力しないと!センパイたちばっかり頑張ってちゃわりに合わねーッス!》
「慶太…」
~~~
「そうだ!!みんなの思いは一つに繋がってる!!」
「…!エース!!」
アタシを助けてくれたセンパイとバカ兄貴、こっちの世界のアタシ。
あの悲劇を繰り返さないために復讐なんてことが間違ってた、諦めて折れて手段を見失ってたんじゃアタシもヴェリタスも変わったモンじゃねえ!
「アタシも協力してやる!ソイツを止めて世界を救え!遊矢!センパイ!」
《エース……!!》
「だから、こんなモン――ブッ飛ばせ、アルテミスーッ!!」
「今だ!!未完の聖杯を―――!」
悲劇のない世界を!!
「奇跡をォォオオッ!!」
「っ!!」
「きゃあ!!」
~~~
「中枢が―――!!」
「この、光は……」
「未完の…聖杯………」
暖かい光、これが未完の聖杯……?
『遊矢さん、ヒカルさん、托都さん…』
「ルクシア…?」
『ありがとう。私の代わりにお父さんを、止めて』
「…もしかして、本物?」
『そう。私は未完の聖杯、そしてヴェリタスの娘・ルクシア、ホムンクルスに宿った魂そのもの』
じゃあ、やっぱりホムンクルスのルクシアは、ルクシア本人だったってことなのか!!
『最早お父さんに私の声は届かない。あの灼熱で閉ざされた心を解放し、もう一度、もう一度だけお父さんと…』
「ルクシア…」
『そのための力を…翼の力、希望、銀河、幻影……そして、貴方たちに未来を―――!』
「!これは、フリューゲルアーツ…!」
「ギャラクシー・カオスたちが!」
「戻ってきたのか」
未来を、ルクシアが託してくれたんだな。
「ヒカル、托都」
なら、
「やるしか、ないじゃん…!!」
ルクシアの想いで、あの壁をぶち破ってみせる!!
「フリューゲルアーツ―――、」
「「「全解放(フルリリース)!!」」」
《Arts Release Mode Rubedo》
「あれは…!!」
「俺は救世の光でオーバークロス!」
ヒカルならやってくれる、あの壁をぶち破ってくれる!!
「いっけえ!!」
「クロスメサイア、アーマード!」
「救世の、装甲…!!」
「俺のターン!進化しろ!ギャラクティック・カオス!!来い!《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!」
《ATK:4000/Rank:8/ORU:2》
よしっ!ギャラクシー・カオスが来た!!
「そして、ギャラクシー・カオスをアルテミスギャラクシーエクシーズチェンジ!!」
「これは…!!」
「渦巻く銀河よ、光輝くその翼翻し、絶望を殲滅せよ!現れろ!《ギャラクティック・ヒグス・ドラゴン》!!」
《ATK:4500/Rank:9/ORU:3》
ギャラクティック・ヒグス……そうかコイツなら!!
「ギャラクティック・ヒグスの効果発動!召喚に成功した時、相手フィールドのカード効果を全て無効にする」
「ヘルメス・トリスメギストスの三層結界が!!」
この効果じゃ俺たちのカードの効果も失われちまうけど、それ以上にあの結界を破れるなら問題じゃない!!
「ギャラクティック・ヒグス!ギャラクシー・カオスに攻撃!!サンシャイニング・ブラスター・ストリーム!!」
「ぐぉおッ!!」
《Veritas Life:9500》
「更に、速攻魔法《スターダストストリーム》発動!ギャラクティック・ヒグスを除外し、墓地のモンスター同士でエクシーズ召喚を行う!」
「ヒカルの墓地…除外されたギャラクティック・ヒグスのオーバーレイユニットか!」
「ギャラクシー・カオス、ギャラクティック・カオスでレギオンオーバーレイ!!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築、レギオンエクシーズチェンジ!来い!《ギャラクシールーツ・ブラックノヴァ・ドラゴン》!」
《ATK:0/Rank:8/ORU:2》
ギャラクティック・ヒグスが、ギャラクシー・カオスとギャラクティック・カオスの力で、ギャラクシールーツに…すげえ……!
「ギャラクシールーツが攻撃する時、その攻撃力は…」
「そう、素材となったモンスターの攻撃力となり、ギャラクシールーツの更なる効果!ギャラクシー・カオスをオーバーレイユニットから取り除き、相手モンスター全ての攻撃力を0にする!」
《ATK:7000》
「攻撃力が!!」
《ATK:0》
《ATK:0》
《ATK:0》
もう少し!!あともう少し攻撃力があれば!
「罠発動!《ツヴァイ・ダークネス》!ネクロ・ブラッディを素材に、シャドウ・ハルシオンを特殊召喚!更に俺がこのターン受けるダメージを0にする代わり、相手モンスターの攻撃力を二倍にする!現れろ!《機械堕天使 シャドウ・ハルシオン》!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:1》
《ATK:14000》
「バトル!!ギャラクシールーツで、ホープ・オブ・ソードに攻撃!クラスターノヴァストリームッ!!」
「―――――!!」
――――ズゥゥゥン!!
~~~
――――ズゥゥゥン!!
「…爆発……?」
「木のてっぺんが爆発したぞ!!」
「…誰か戦っているのか…?」
「まさか……」
「……遊矢、ヒカル…」
~~~
「……?」
『ルクシア、』
「その、声は……」
『私だよ、ルクシア』
「……ルクシア…」
『お願いがあるの。とっても大事なお願いが』
「…なぁに?」
『私の代わりに、世界を希望で包んであげて。…お父さんを、助けてあげて』
「私が…?」
『ルクシアは私、私の魂を宿したホムンクルス。だから、私なの』
「私が、ルクシア……?」
『そう。あの炎に焼かれ、肉体を失った私は、魂だけの存在として、ずっとお父さんを、見守ってきた』
「………」
『私の声は、届けられないから、だから貴方が届けてほしい。お父さんには、私がついている、と』
「……でも…私には…」
『小さな声では届かなくても、きっと、希望に包まれた世界なら、きっと――――』
――――――、―――、
「……ん…」
「ルクシア様!」
「ルクシア!」
「…ここは………」
「破壊した偽界樹の中枢です、大事ありませんか?」
「大丈夫…でも、まだ」
果たさなくちゃ、ルクシアとの、約束。
~~~
「やっ、たか…?」
「いや……」
「見事なり、その力はまさしく人類の叡知と異端の象徴…。しかと目に焼き付けたぞ、だが――!!」
《Veritas Life:2500》
倒しきれてない…!!
でも、ホープ・オブ・ソードは破壊されてる。じゃあ、なにが…。
「覚悟が足りなかったようだな、私を殺す勢いで挑んでいたならば、届いていたものを…」
「どういうことだ!」
「罠カード《不死鳥の赤石》。受けるダメージを半分にし、偽界樹を破壊、新たな《永久機関-偽界樹》を発動した!」
じゃあ、ダメージは確かに与えたけど、偽界樹は新しい偽界樹になった上に効果がまた使えるようになったってことか…。
これじゃあ蜥蜴の尻尾切りとなんら変わらないじゃんか!!
「私を殺す覚悟もない貴様達にはお似合いだ、救うと能書垂れるなど…猿の戯れ言よ」
「くっ…それでも俺たちは…。…ターンエンド」
《Hand:3》
《ATK:0》
「ごめん遊矢、崩しきれなかった…」
「大丈夫、気にすんなって!」
「遊矢……」
「立ち上がる力がある限り、みんなが信じてくれてる限り、諦めない。そうだろ」
「…あぁ!」
一人でも、いや、自分自身だけだとしても、気持ちが折れないのなら、まだまだ戦える。立ち上がる力をくれる。
「愚かな…だが、その悪足掻きは実に美しい。だからこそ、私が全力を以てその魂を砕く!!」
「来るぞ…!!」
「どんなのが来たって…諦めるもんかよ!」
「私のターン!偽界樹の最後の効果を発動!ヘルメス・トリスメギストスを破壊し、私のライフポイントを0にすることで…」
《Veritas Life:0》
自分のライフを0にした!?どういうことだよ!?
「私のフィールドのモンスターゾーンを4つ使用不能にし、《碧色の獅子》を特殊召喚する…!!」
「碧色の……獅子……」
「大地を割り、太陽を食らう獅子、これが錬金術の…私の叡知!現れよ!《碧色の獅子》!!」
《ATK:?/Level:12》
攻撃力、不明……?
「攻撃力不明のモンスター…」
「モンスターゾーンもライフも投げ捨てこれを…」
「《碧色の獅子》は私そのもの、これがフィールドを離れた時、私も敗北する。だが、私の敗北はない、ありえない」
「だが、モンスターであるのなら必ず穴があるはずだ」
そう、あくまでモンスターなんだ。絶対に倒せないモンスターなんていない。
「ならば、この力をその身に刻め!《碧色の獅子》の効果、このモンスターがバトルする際、全てのモンスターに攻撃することができる!」
「全てのモンスターに!?」
「でも、そのための攻撃力は…!」
「《碧色の獅子》がバトルを行う場合、その攻撃力は相手のモンスターと同じ数値となり、このモンスターの破壊と私へのダメージを無効に、バトルしたモンスターを破壊し元々の攻撃力分、ダメージを与える」
つまり、バトルしたらモンスターは破壊されて、あっちは無傷で俺たちがダメージを受けることになるってことか!!
「偽界樹により召喚された《碧色の獅子》の攻撃の際、無論相手はカード効果を発動することはできない」
「偽界樹のデメリットすら越えた力か…!」
「蹂躙の始まりだ。さぁ!全てを消し去れ!《碧色の獅子》よ!」
《ATK:3000》
《ATK:7000》
《ATK:7000》
《ATK:2100》
「このままじゃ!!」
「托都……」
俺はギリギリライフが残る、ヒカルもダメージは受けない。でも、托都は…!
「…………」
「あぁ、ライフは残り1000だったか。これでまずは一人―――焼き尽くせ、《碧色の獅子》!!」
「托都!!」
「罠発動《シャドウ・トランス》!シャドウ・ハルシオンを除外、相手モンスターの攻撃を無効にし、このターン受ける効果ダメージを半分にする。バトルが無効になったことで、効果ダメージは発生しない」
「よしっ…!」
托都への攻撃が終わったなら後は俺たちだけ、負けない分安いモンだ!!
「食らえ!第二撃!!」
「ギャラクシールーツ!!…っ!」
「そして最後だ!風を止めろ!灼熱の咆哮よ!」
「ッ!!うわぁぁああああああ!!」
《Yuya Life:250》
「遊矢!!」
クソッ…!!この攻撃は……!!
~~~
――――ズゥゥゥン
「また上から…」
「遊矢…」
「行かなきゃ……」
「ルクシア様、まだ…」
「まだ約束が、残っているから」
「ですが、その体では…」
「遊矢さんたちが、私たちのために、お父さんのために、世界のために戦ってくれている…私は、託されたから」
ルクシアから、託されたものを今こそ…。
「ルクシアちゃん、ダメだよ、動いたら…!」
「世界中に、中継を繋ぎます…、もう一度世界中に、言います」
争いをやめてほしい、みんなが信じ合えば悲劇はうまれないと、この心をもう一度伝えれば、世界中の人々の、希望を……!
「私が、遊矢さんに繋ぎます…!」
「ルクシア様……」
~~~
「さぁ、立ち上がれ風雅遊矢。まだ終わってはいまい」
「そうだ…まだ、まだ終わってねえ…!!」
ライフが残ってる、だからまだ…!!
「まだ……」
「遊矢!遊矢!!」
「無様な…ターン終了時、攻撃力は不明の数値に戻り、このターンダメージを受けていない相手のライフポイントを、全て100にする!」
「なんだと!?」
「灼熱の業火に灰と散れ!!」
「っあぁぁぁ!!」
《Hikaru Life:100》
「うぁぁぁぁ!」
《Takuto Life:100》
「ヒカル!托都!」
ダメージ受けてもこのザマで、ダメージ受けなかったらこんなことに…。
「希望は尽きた。見よ、世界は崩壊で枯れ果て、疑心暗鬼に包まれている。これこそがラグナロク、最終戦争である!!」
「……世界が…」
~~~
「邪魔だ退け!!」
「生き残るのは俺だ!!」
「いや俺だ!!」
《みんなやめて!!》
「!?」
―――――――、
《争いをやめるんだ!こんなことじゃ、誰も生き残れはしない!!》
「なに言ってるのよ!」
「自分が生き残るために殺し合うんだろ!?」
《信じあっていく世界じゃない世界に生きたって、そんなの楽しくもなんともない!》
―――――――、
《今、こんな凶行に出てしまったお父さんを止めるために、救いを差し伸べるために戦っている人がいます!》
「戦っている……?」
「…!なぁあれ!プロデュエリストの!ほら!」
「あぁ!ニホンの…!」
《殺し合うためじゃない、誰かを疑うわけでもない、こんな世界にしないために、こんな世界を造り出してしまうほど、人々を憎んだ人を救うために戦っている!!》
「でもやられちまってるじゃねえか!!」
「あんなガキに任せられっか!!」
「奴らは這いずってでも立ち上がる!そういう奴らだ!」
「…!?」
「王女様が言うんだ、間違いねえ」
「諦めない心を持っている、どんな絶望だろうと、立ち上がる力を!!」
―――――――、
「そうだ!彼らは決して諦めない!世界を、人々の希望を守るためにあの男を救おうとしている!」
「世界が救われたとして、疑心暗鬼となった世界は誰も望んではいない!」
「こんな状況だからこそ、信頼し合ってみろよな!みんなノリが悪いぜ!!」
―――――――、
「世界を、あの人を救おうとする彼らを信じて!」
「アイツらならやってくれる!希望を託せ!」
「きっと、世界は輝きに包まれる」
―――――――、
「…………」
「あの子たちを信じてみよう。」
「私たちも、信じるんだ。大切な人を…」
「きっと世界を救ってくれる!」
―――――――、
「クチキがやりあってんだ。俺ら以外に負けるなんてなんかシャクだしな」
「おう、信じてみようぜ」
「プロデュエリスト…なるほど、あれが素顔の彼だったか」
―――――――、
「お兄ちゃん…遊矢…ヒカルくん、私、信じてるわよ…!」
「托都……貴方たちを、信じています…」
~~~
「なんだ…!?この光は……まさか、中枢に入り込んだネズミが!?」
暖かい、光……。
そうか、これが希望。世界中から、希望が溢れてきてる。
俺たちに世界を救ってほしいって、願ってる。
「なら、…救う力はあるんだ、やるしか、ないじゃん」
「…ッくだらん妄言に騙された人間の希望など所詮紛い物!!その贋作の希望で貴様に私を救えるものか!!」
「偽物なんかじゃない…!!」
「ルクシアやアミたちが、世界中に広めた救いは、確かに本物。ましてや貴様の言う世界の崩壊に基づく疑心暗鬼の世界など、誰も望んではいない…!」
「キッサマらァッ!!」
~~~
「すごい……」
「世界を救えるって、信じる気持ちが希望になって……」
「これが、ルクシアの望んだ……ごほっ…!」
「ルクシア様!!」
~~~
「希望などという幻想に何故すがる?世界はもうじき全てが崩れ去る、ならば自分が生き残るために殺し合うのが人間だろう?何故確証のない望みに希望を寄せる?貴様達が勝てる見込みはないに等しいはず、何故立ち上がる…!?何故救うと断言できる…!?何故だ…!?人間は脆いはず、なのに、どうしてそこまで愚かなのだ…!?」
確かに、人間って脆いし、心も、信頼もすぐに壊れちまう。
でも、壊れた信頼は、互いの思いがあればやり直せる、どんなに砕けた心も、立ち上がる力を持てばまた何度だって蘇る…!
「希望は、必ず俺たちに力をくれる。友情も、勇気も、信頼もなにもかも!!」
「そういう道で出逢ったのが、俺達だ」
「愚かかもしれない。一時の過ちは誰だろうと犯してしまう、でもきっとやり直せる!そう望む人がいる限りは!」
「ッ!!」
ルクシアもプロムも望んでる、ヴェリタスと、もう一度やり直すことを!!こんなことをやめさせることを!
「希望は幻想に過ぎないかもしれないが、その幻想は、必ず自身に正しく降り注ぐ」
「だからこそ、諦めない!!絶対に!!」
「黙れェッ!!幻想で私を……娘を、ルクシアを救えるものかァァアアッ!!」
「それでも救ってみせる、この希望で」
みんながくれた力で!!
「フリューゲルアーツ――――、」
「解放!!」
Answer.「解放」
Last Answer→
==================
【あとがき】
今回の一言、「大天使ルクシアちゃん」
ルクシアちゃんかわいいよルクシアちゃん!!!
中枢破壊組が全世界生中継、しかもプロデュエリストのわりと素顔を晒してしまった辺りちゃっかりしてる。噂の新人が世界を救う英雄になるかもとかビックリだよ。
遊矢、まさかの四段解放である。
フリューゲルアーツは三段解放までしかないんですね、つまり遊矢がやってることは限界突破。なんだいつもの遊矢じゃないか。わりといつも通りのことしててちょっとビックリ。
ヒカルのクロスメサイアアーマード(赤)!!カラーチェンジに恵まれてるというか単にヒカルがこんなかじゃあんま強くなry
しかしヒカルの遊矢に対するデレっぷりが半端じゃない、ビッチに見せかけたヤンデレだから仕方ない。「遊矢…」の言い方絶対惚れてるだろ。
ルクシアちゃん本人が登場したわけだけど、そういうことです。ホムンクルスのルクシアちゃんには未完の聖杯は宿っていない、しかし魂だけのルクシアちゃんには宿っていた。だからホムンクルスに未完の聖杯が宿っているように見えたという状態です。皮肉にも娘に未完の聖杯があったとかヴェリタス…。
モブが相変わらず殺伐としてましたが、世界の人口が崩壊によってグングン減っていって、逃れるために自分だけ自分だけといった状態が続いてます。
それをルクシアちゃんやアミたちをはじめとした遊矢や遊馬の仲間が希望に導いていくという。リンが登場とかそれこそ世界規模でアレな人が…味方でよかった。
そして次回、希望と翼が交差して遊矢がついに――――!!
次回A.Vision最終回!そして重大発表です!
【予告】
Last Answer.「A.Vision」
~~~
ねえ狩也くん、ずっと気になっていたことがあるの。
ん?なんだよ雪那、別に怒らねえから言ってみろよ。
狩也くんの服のバッテン模様って、なんなの?なんだかバツばっかりで縁起が悪そう…。
雪那……これはエックスだ!!エックス!エーックス!
必死になってると逆に怪しいよ狩也くん…。
~~~
【海特訓、遊矢おつかい中…その3】
「ところで遊矢さん、私、いくつか気になることがあるので教えてほしいです」
「おっ!なんだなんだ?ドンドン聞いてくれよ!」
「ヒカルさんは、どうしてあんなに髪が長いんですか?ヒカルさんは名実ともに男性です。それに!托都さんはどうしてあんなに真っ黒なんですか?もっとおしゃれをすべきです!」
「ヒカルはさ、実はああ見えてブラコンでマザコンなんだぜ?」
「ブラコン、マザコン…ブラザーとマザーの略称ですね!つまり、ヒカルさんの髪は…」
「お母さんと同じ、長くしてたらいつも一緒な気がするとか」
「なるほど…」
「托都に関しちゃ…あれがデフォルトというか、むしろあれがカラフルになったらもう不気味な気しかしねーよ…」
「…確かに」
「でも実はさ、アイツ言われたらすっげー気にするタイプだからさ、前に黒ばっかりじゃなくて他もなんとかしろよって言ったんだよ」
「うんうん!」
「寝巻きの上がちょっと色んな色入ってた、あと下が黒じゃなくて白になってた」
「本当に、気にしてるんですね……」
~~~
「「くしゅん!!」」
「夏風邪ですか?やめてくださいよー」
「そうではなく……」
「誰かに噂されてる気がする…」
「アイツ、だな」
「遊矢…あとで絞める…!」
END
※深夜0時~5時までのコメントや読者登録はマナー違反です。おやめください。
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Answer.24
「…………」
アタシにこの悲劇の未来は止められなかった。アタシのやり方じゃ、なにも変えられなかったってことだ。
「…センパイ」
貸し借りとかでセンパイを助けたけど、アタシにはあれしかできなかった。
「…未来を」
アイツに任せたら、この先は、変わるのか…?
あの諦めない心で、未来を。
「託してみるか…アタシの、未来」
~~~
「………ぅ、…」
「…まだ立ち上がるか」
「……諦めるものか…」
「まだ、なにも成し遂げてはいない…」
「だから………っ…倒れるわけには……いかない……!」
立ち上がる力を……!!まだ、俺たちは…!
「無駄なことよ…すでに最終戦争は始まった。そして―――!!」
「なにをするつもりだ…!?」
「世界中に張り巡らされた偽界樹の根は、世界を分解し、破壊する」
「まさか…!」
~~~
「殺せー!!!生き残れ!!」
「死にたくなくば殺せー!!」
「な、なんだあれは!」
「木から…光が―――!?」
~~~
「どうやら始まったようだぞ、そら、止めてみせるのなら立ち上がってみせろ」
偽界樹を通して、世界を壊すなんて…。
「人々の邪心につけ込み、疑心暗鬼の中殺し合わせ、最後には世界ごと葬る……」
「なんてことを…」
「私が、娘が受けた仕打ちは、こんなもので済むものではない!!」
ヴェリタスやルクシアが受けた仕打ち…炎で焼かれたことが…。
確かに、大切な人がそんなことに巻き込まれたら俺も嫌だ。だけど、こんなこと間違ってる…!!
だから止めなきゃ、俺たちの手で…!
~~~
「ここが…中枢……」
「エネルギーが充満してるみたい」
「…ルクシア様……?」
『………誰……か………』
「!!ルクシア様!?」
「えっ!?」
「じゃあ、ここに…」
『誰か……お父さんを……』
「ルクシア様…今!!」
「やるぞ!」
「うん!」
遊矢、待ってて!!
~~~
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド。這いずってでも立ち向かってみるがいい、その悉くを打ち破ってやろう」
《Hand:2》
「遊矢…まだやれるか?」
「やれるやれないじゃねーだろ。…やるしかないじゃん」
でもどうやって突破する…?
カオス・パラディウスも星屑竜もホープ・オブ・ソードも、俺と一緒に戦ってきたカードがない…。エフェクトライダーを召喚するためには素材が足りない。
ましてや、特殊召喚からの攻撃が超得意な俺のデッキじゃ、どうあがいてもダメージを通すこともできない。
あの壁をぶち破らないと、ヴェリタスには届かない…チクショウ…どうすんだよ…!
「俺のターン、ドロー!……ッ」
「その様子では、逆転の手は引けなかったようだな」
「たとえ良いカード引けなかったとしても、絶対諦めない。世界が壊れても、絶対に!」
「足掻きもがく姿を無様に見せつけたいと言うか…」
そうだ、諦めたら全部終わり。でも諦めなきゃ何度だって戦える!!
ヒカルのおかげでモンスターはみんな生き残ったんだ、だったらそこからまた立て直すことだって出来る!
「装備魔法《風戦士の牙》をエア・ストリームソードに装備!これでエア・ストリームソードの攻撃力を500ポイントアップさせて、ホープ・オブ・ソードの攻撃力を1000ポイントダウンさせる!」
《ATK:2600》
《ATK:1500》
これで……!!
「エア・ストリームソード!ホープ・オブ・ソードを攻撃!」
「馬鹿なことを、攻撃は無効化されることを知っていて攻撃を…」
「分かってるさ、でも!手札から《Zs-アルティメット・ドレイン》を墓地に送って効果発動!バトルが無効にされた時、コイツを墓地に送ることで、相手の表側表示で存在する魔法・罠の効果を次の托都のターンのエンドフェイズまで無効にする!」
「なんだと…?」
これでヘルメス・トリスメギストスも偽界樹も無効!!
ゼアル化したアルティメット・ドレインが望みを繋いでくれた、ありがとう。
「俺はこれでターンエンド!!托都!」
《Hand:2》
「あぁ、任せろ」
「おのれ…ッ!」
「俺のターン、ドロー!!ネクロ・ブラッディの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、その効果をエンドフェイズまで無効にする。選択するのはその伏せカード!」
《ORU:0》
これで封殺!!ダメージが通せる!
「更に俺は、罠カード《シャドウ・ミラージュ》を発動!自分の闇属性モンスターが相手モンスターとバトルする時、攻撃力を二倍にし、破壊したモンスターをゲームから除外する」
《ATK:5000》
「攻撃力…5000」
「行け!ネクロ・ブラッディ、シャドウ・ハルシオンを攻撃!!」
「ぐッ!!」
《Veritas Life:10000》
やった!!ついに!!
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
《Hand:1》
「だが、今再び偽界樹と結界は動き出す。所詮はその程度では私を止められぬ!」
「止めてみせる!!」
明日の未来のために、みんなのために、
「まだまだ諦めない!!」
《その通りだ遊矢!!》
「えっ!?」
「今のは……!」
~~~
《みんな!!》
「その諦めない、止まらない気持ちはみんな同じなんだぜ!絶対なくしちゃいけないモン、そうだろ!」
「その気持ちが遊矢にあったから私たちも頑張れる!」
「だから俺たちは俺たちにできることをするんだ!」
~~~
《遊矢が辛い時も笑顔の時も一緒にいたから分かる、遊矢の気持ちは貫く限り必ず届くって!》
「アミ……!」
《アンタみたいな大人がいないと、遊矢が抑えられるモンじゃないのは分かってる。だから支えてやってほしい》
「…狩也……」
《諦めないって思いがセンパイから伝わってくる!だから俺たちが協力しないと!センパイたちばっかり頑張ってちゃわりに合わねーッス!》
「慶太…」
~~~
「そうだ!!みんなの思いは一つに繋がってる!!」
「…!エース!!」
アタシを助けてくれたセンパイとバカ兄貴、こっちの世界のアタシ。
あの悲劇を繰り返さないために復讐なんてことが間違ってた、諦めて折れて手段を見失ってたんじゃアタシもヴェリタスも変わったモンじゃねえ!
「アタシも協力してやる!ソイツを止めて世界を救え!遊矢!センパイ!」
《エース……!!》
「だから、こんなモン――ブッ飛ばせ、アルテミスーッ!!」
「今だ!!未完の聖杯を―――!」
悲劇のない世界を!!
「奇跡をォォオオッ!!」
「っ!!」
「きゃあ!!」
~~~
「中枢が―――!!」
「この、光は……」
「未完の…聖杯………」
暖かい光、これが未完の聖杯……?
『遊矢さん、ヒカルさん、托都さん…』
「ルクシア…?」
『ありがとう。私の代わりにお父さんを、止めて』
「…もしかして、本物?」
『そう。私は未完の聖杯、そしてヴェリタスの娘・ルクシア、ホムンクルスに宿った魂そのもの』
じゃあ、やっぱりホムンクルスのルクシアは、ルクシア本人だったってことなのか!!
『最早お父さんに私の声は届かない。あの灼熱で閉ざされた心を解放し、もう一度、もう一度だけお父さんと…』
「ルクシア…」
『そのための力を…翼の力、希望、銀河、幻影……そして、貴方たちに未来を―――!』
「!これは、フリューゲルアーツ…!」
「ギャラクシー・カオスたちが!」
「戻ってきたのか」
未来を、ルクシアが託してくれたんだな。
「ヒカル、托都」
なら、
「やるしか、ないじゃん…!!」
ルクシアの想いで、あの壁をぶち破ってみせる!!
「フリューゲルアーツ―――、」
「「「全解放(フルリリース)!!」」」
《Arts Release Mode Rubedo》
「あれは…!!」
「俺は救世の光でオーバークロス!」
ヒカルならやってくれる、あの壁をぶち破ってくれる!!
「いっけえ!!」
「クロスメサイア、アーマード!」
「救世の、装甲…!!」
「俺のターン!進化しろ!ギャラクティック・カオス!!来い!《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!」
《ATK:4000/Rank:8/ORU:2》
よしっ!ギャラクシー・カオスが来た!!
「そして、ギャラクシー・カオスをアルテミスギャラクシーエクシーズチェンジ!!」
「これは…!!」
「渦巻く銀河よ、光輝くその翼翻し、絶望を殲滅せよ!現れろ!《ギャラクティック・ヒグス・ドラゴン》!!」
《ATK:4500/Rank:9/ORU:3》
ギャラクティック・ヒグス……そうかコイツなら!!
「ギャラクティック・ヒグスの効果発動!召喚に成功した時、相手フィールドのカード効果を全て無効にする」
「ヘルメス・トリスメギストスの三層結界が!!」
この効果じゃ俺たちのカードの効果も失われちまうけど、それ以上にあの結界を破れるなら問題じゃない!!
「ギャラクティック・ヒグス!ギャラクシー・カオスに攻撃!!サンシャイニング・ブラスター・ストリーム!!」
「ぐぉおッ!!」
《Veritas Life:9500》
「更に、速攻魔法《スターダストストリーム》発動!ギャラクティック・ヒグスを除外し、墓地のモンスター同士でエクシーズ召喚を行う!」
「ヒカルの墓地…除外されたギャラクティック・ヒグスのオーバーレイユニットか!」
「ギャラクシー・カオス、ギャラクティック・カオスでレギオンオーバーレイ!!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築、レギオンエクシーズチェンジ!来い!《ギャラクシールーツ・ブラックノヴァ・ドラゴン》!」
《ATK:0/Rank:8/ORU:2》
ギャラクティック・ヒグスが、ギャラクシー・カオスとギャラクティック・カオスの力で、ギャラクシールーツに…すげえ……!
「ギャラクシールーツが攻撃する時、その攻撃力は…」
「そう、素材となったモンスターの攻撃力となり、ギャラクシールーツの更なる効果!ギャラクシー・カオスをオーバーレイユニットから取り除き、相手モンスター全ての攻撃力を0にする!」
《ATK:7000》
「攻撃力が!!」
《ATK:0》
《ATK:0》
《ATK:0》
もう少し!!あともう少し攻撃力があれば!
「罠発動!《ツヴァイ・ダークネス》!ネクロ・ブラッディを素材に、シャドウ・ハルシオンを特殊召喚!更に俺がこのターン受けるダメージを0にする代わり、相手モンスターの攻撃力を二倍にする!現れろ!《機械堕天使 シャドウ・ハルシオン》!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:1》
《ATK:14000》
「バトル!!ギャラクシールーツで、ホープ・オブ・ソードに攻撃!クラスターノヴァストリームッ!!」
「―――――!!」
――――ズゥゥゥン!!
~~~
――――ズゥゥゥン!!
「…爆発……?」
「木のてっぺんが爆発したぞ!!」
「…誰か戦っているのか…?」
「まさか……」
「……遊矢、ヒカル…」
~~~
「……?」
『ルクシア、』
「その、声は……」
『私だよ、ルクシア』
「……ルクシア…」
『お願いがあるの。とっても大事なお願いが』
「…なぁに?」
『私の代わりに、世界を希望で包んであげて。…お父さんを、助けてあげて』
「私が…?」
『ルクシアは私、私の魂を宿したホムンクルス。だから、私なの』
「私が、ルクシア……?」
『そう。あの炎に焼かれ、肉体を失った私は、魂だけの存在として、ずっとお父さんを、見守ってきた』
「………」
『私の声は、届けられないから、だから貴方が届けてほしい。お父さんには、私がついている、と』
「……でも…私には…」
『小さな声では届かなくても、きっと、希望に包まれた世界なら、きっと――――』
――――――、―――、
「……ん…」
「ルクシア様!」
「ルクシア!」
「…ここは………」
「破壊した偽界樹の中枢です、大事ありませんか?」
「大丈夫…でも、まだ」
果たさなくちゃ、ルクシアとの、約束。
~~~
「やっ、たか…?」
「いや……」
「見事なり、その力はまさしく人類の叡知と異端の象徴…。しかと目に焼き付けたぞ、だが――!!」
《Veritas Life:2500》
倒しきれてない…!!
でも、ホープ・オブ・ソードは破壊されてる。じゃあ、なにが…。
「覚悟が足りなかったようだな、私を殺す勢いで挑んでいたならば、届いていたものを…」
「どういうことだ!」
「罠カード《不死鳥の赤石》。受けるダメージを半分にし、偽界樹を破壊、新たな《永久機関-偽界樹》を発動した!」
じゃあ、ダメージは確かに与えたけど、偽界樹は新しい偽界樹になった上に効果がまた使えるようになったってことか…。
これじゃあ蜥蜴の尻尾切りとなんら変わらないじゃんか!!
「私を殺す覚悟もない貴様達にはお似合いだ、救うと能書垂れるなど…猿の戯れ言よ」
「くっ…それでも俺たちは…。…ターンエンド」
《Hand:3》
《ATK:0》
「ごめん遊矢、崩しきれなかった…」
「大丈夫、気にすんなって!」
「遊矢……」
「立ち上がる力がある限り、みんなが信じてくれてる限り、諦めない。そうだろ」
「…あぁ!」
一人でも、いや、自分自身だけだとしても、気持ちが折れないのなら、まだまだ戦える。立ち上がる力をくれる。
「愚かな…だが、その悪足掻きは実に美しい。だからこそ、私が全力を以てその魂を砕く!!」
「来るぞ…!!」
「どんなのが来たって…諦めるもんかよ!」
「私のターン!偽界樹の最後の効果を発動!ヘルメス・トリスメギストスを破壊し、私のライフポイントを0にすることで…」
《Veritas Life:0》
自分のライフを0にした!?どういうことだよ!?
「私のフィールドのモンスターゾーンを4つ使用不能にし、《碧色の獅子》を特殊召喚する…!!」
「碧色の……獅子……」
「大地を割り、太陽を食らう獅子、これが錬金術の…私の叡知!現れよ!《碧色の獅子》!!」
《ATK:?/Level:12》
攻撃力、不明……?
「攻撃力不明のモンスター…」
「モンスターゾーンもライフも投げ捨てこれを…」
「《碧色の獅子》は私そのもの、これがフィールドを離れた時、私も敗北する。だが、私の敗北はない、ありえない」
「だが、モンスターであるのなら必ず穴があるはずだ」
そう、あくまでモンスターなんだ。絶対に倒せないモンスターなんていない。
「ならば、この力をその身に刻め!《碧色の獅子》の効果、このモンスターがバトルする際、全てのモンスターに攻撃することができる!」
「全てのモンスターに!?」
「でも、そのための攻撃力は…!」
「《碧色の獅子》がバトルを行う場合、その攻撃力は相手のモンスターと同じ数値となり、このモンスターの破壊と私へのダメージを無効に、バトルしたモンスターを破壊し元々の攻撃力分、ダメージを与える」
つまり、バトルしたらモンスターは破壊されて、あっちは無傷で俺たちがダメージを受けることになるってことか!!
「偽界樹により召喚された《碧色の獅子》の攻撃の際、無論相手はカード効果を発動することはできない」
「偽界樹のデメリットすら越えた力か…!」
「蹂躙の始まりだ。さぁ!全てを消し去れ!《碧色の獅子》よ!」
《ATK:3000》
《ATK:7000》
《ATK:7000》
《ATK:2100》
「このままじゃ!!」
「托都……」
俺はギリギリライフが残る、ヒカルもダメージは受けない。でも、托都は…!
「…………」
「あぁ、ライフは残り1000だったか。これでまずは一人―――焼き尽くせ、《碧色の獅子》!!」
「托都!!」
「罠発動《シャドウ・トランス》!シャドウ・ハルシオンを除外、相手モンスターの攻撃を無効にし、このターン受ける効果ダメージを半分にする。バトルが無効になったことで、効果ダメージは発生しない」
「よしっ…!」
托都への攻撃が終わったなら後は俺たちだけ、負けない分安いモンだ!!
「食らえ!第二撃!!」
「ギャラクシールーツ!!…っ!」
「そして最後だ!風を止めろ!灼熱の咆哮よ!」
「ッ!!うわぁぁああああああ!!」
《Yuya Life:250》
「遊矢!!」
クソッ…!!この攻撃は……!!
~~~
――――ズゥゥゥン
「また上から…」
「遊矢…」
「行かなきゃ……」
「ルクシア様、まだ…」
「まだ約束が、残っているから」
「ですが、その体では…」
「遊矢さんたちが、私たちのために、お父さんのために、世界のために戦ってくれている…私は、託されたから」
ルクシアから、託されたものを今こそ…。
「ルクシアちゃん、ダメだよ、動いたら…!」
「世界中に、中継を繋ぎます…、もう一度世界中に、言います」
争いをやめてほしい、みんなが信じ合えば悲劇はうまれないと、この心をもう一度伝えれば、世界中の人々の、希望を……!
「私が、遊矢さんに繋ぎます…!」
「ルクシア様……」
~~~
「さぁ、立ち上がれ風雅遊矢。まだ終わってはいまい」
「そうだ…まだ、まだ終わってねえ…!!」
ライフが残ってる、だからまだ…!!
「まだ……」
「遊矢!遊矢!!」
「無様な…ターン終了時、攻撃力は不明の数値に戻り、このターンダメージを受けていない相手のライフポイントを、全て100にする!」
「なんだと!?」
「灼熱の業火に灰と散れ!!」
「っあぁぁぁ!!」
《Hikaru Life:100》
「うぁぁぁぁ!」
《Takuto Life:100》
「ヒカル!托都!」
ダメージ受けてもこのザマで、ダメージ受けなかったらこんなことに…。
「希望は尽きた。見よ、世界は崩壊で枯れ果て、疑心暗鬼に包まれている。これこそがラグナロク、最終戦争である!!」
「……世界が…」
~~~
「邪魔だ退け!!」
「生き残るのは俺だ!!」
「いや俺だ!!」
《みんなやめて!!》
「!?」
―――――――、
《争いをやめるんだ!こんなことじゃ、誰も生き残れはしない!!》
「なに言ってるのよ!」
「自分が生き残るために殺し合うんだろ!?」
《信じあっていく世界じゃない世界に生きたって、そんなの楽しくもなんともない!》
―――――――、
《今、こんな凶行に出てしまったお父さんを止めるために、救いを差し伸べるために戦っている人がいます!》
「戦っている……?」
「…!なぁあれ!プロデュエリストの!ほら!」
「あぁ!ニホンの…!」
《殺し合うためじゃない、誰かを疑うわけでもない、こんな世界にしないために、こんな世界を造り出してしまうほど、人々を憎んだ人を救うために戦っている!!》
「でもやられちまってるじゃねえか!!」
「あんなガキに任せられっか!!」
「奴らは這いずってでも立ち上がる!そういう奴らだ!」
「…!?」
「王女様が言うんだ、間違いねえ」
「諦めない心を持っている、どんな絶望だろうと、立ち上がる力を!!」
―――――――、
「そうだ!彼らは決して諦めない!世界を、人々の希望を守るためにあの男を救おうとしている!」
「世界が救われたとして、疑心暗鬼となった世界は誰も望んではいない!」
「こんな状況だからこそ、信頼し合ってみろよな!みんなノリが悪いぜ!!」
―――――――、
「世界を、あの人を救おうとする彼らを信じて!」
「アイツらならやってくれる!希望を託せ!」
「きっと、世界は輝きに包まれる」
―――――――、
「…………」
「あの子たちを信じてみよう。」
「私たちも、信じるんだ。大切な人を…」
「きっと世界を救ってくれる!」
―――――――、
「クチキがやりあってんだ。俺ら以外に負けるなんてなんかシャクだしな」
「おう、信じてみようぜ」
「プロデュエリスト…なるほど、あれが素顔の彼だったか」
―――――――、
「お兄ちゃん…遊矢…ヒカルくん、私、信じてるわよ…!」
「托都……貴方たちを、信じています…」
~~~
「なんだ…!?この光は……まさか、中枢に入り込んだネズミが!?」
暖かい、光……。
そうか、これが希望。世界中から、希望が溢れてきてる。
俺たちに世界を救ってほしいって、願ってる。
「なら、…救う力はあるんだ、やるしか、ないじゃん」
「…ッくだらん妄言に騙された人間の希望など所詮紛い物!!その贋作の希望で貴様に私を救えるものか!!」
「偽物なんかじゃない…!!」
「ルクシアやアミたちが、世界中に広めた救いは、確かに本物。ましてや貴様の言う世界の崩壊に基づく疑心暗鬼の世界など、誰も望んではいない…!」
「キッサマらァッ!!」
~~~
「すごい……」
「世界を救えるって、信じる気持ちが希望になって……」
「これが、ルクシアの望んだ……ごほっ…!」
「ルクシア様!!」
~~~
「希望などという幻想に何故すがる?世界はもうじき全てが崩れ去る、ならば自分が生き残るために殺し合うのが人間だろう?何故確証のない望みに希望を寄せる?貴様達が勝てる見込みはないに等しいはず、何故立ち上がる…!?何故救うと断言できる…!?何故だ…!?人間は脆いはず、なのに、どうしてそこまで愚かなのだ…!?」
確かに、人間って脆いし、心も、信頼もすぐに壊れちまう。
でも、壊れた信頼は、互いの思いがあればやり直せる、どんなに砕けた心も、立ち上がる力を持てばまた何度だって蘇る…!
「希望は、必ず俺たちに力をくれる。友情も、勇気も、信頼もなにもかも!!」
「そういう道で出逢ったのが、俺達だ」
「愚かかもしれない。一時の過ちは誰だろうと犯してしまう、でもきっとやり直せる!そう望む人がいる限りは!」
「ッ!!」
ルクシアもプロムも望んでる、ヴェリタスと、もう一度やり直すことを!!こんなことをやめさせることを!
「希望は幻想に過ぎないかもしれないが、その幻想は、必ず自身に正しく降り注ぐ」
「だからこそ、諦めない!!絶対に!!」
「黙れェッ!!幻想で私を……娘を、ルクシアを救えるものかァァアアッ!!」
「それでも救ってみせる、この希望で」
みんながくれた力で!!
「フリューゲルアーツ――――、」
「解放!!」
Answer.「解放」
Last Answer→
==================
【あとがき】
今回の一言、「大天使ルクシアちゃん」
ルクシアちゃんかわいいよルクシアちゃん!!!
中枢破壊組が全世界生中継、しかもプロデュエリストのわりと素顔を晒してしまった辺りちゃっかりしてる。噂の新人が世界を救う英雄になるかもとかビックリだよ。
遊矢、まさかの四段解放である。
フリューゲルアーツは三段解放までしかないんですね、つまり遊矢がやってることは限界突破。なんだいつもの遊矢じゃないか。わりといつも通りのことしててちょっとビックリ。
ヒカルのクロスメサイアアーマード(赤)!!カラーチェンジに恵まれてるというか単にヒカルがこんなかじゃあんま強くなry
しかしヒカルの遊矢に対するデレっぷりが半端じゃない、ビッチに見せかけたヤンデレだから仕方ない。「遊矢…」の言い方絶対惚れてるだろ。
ルクシアちゃん本人が登場したわけだけど、そういうことです。ホムンクルスのルクシアちゃんには未完の聖杯は宿っていない、しかし魂だけのルクシアちゃんには宿っていた。だからホムンクルスに未完の聖杯が宿っているように見えたという状態です。皮肉にも娘に未完の聖杯があったとかヴェリタス…。
モブが相変わらず殺伐としてましたが、世界の人口が崩壊によってグングン減っていって、逃れるために自分だけ自分だけといった状態が続いてます。
それをルクシアちゃんやアミたちをはじめとした遊矢や遊馬の仲間が希望に導いていくという。リンが登場とかそれこそ世界規模でアレな人が…味方でよかった。
そして次回、希望と翼が交差して遊矢がついに――――!!
次回A.Vision最終回!そして重大発表です!
【予告】
Last Answer.「A.Vision」
~~~
ねえ狩也くん、ずっと気になっていたことがあるの。
ん?なんだよ雪那、別に怒らねえから言ってみろよ。
狩也くんの服のバッテン模様って、なんなの?なんだかバツばっかりで縁起が悪そう…。
雪那……これはエックスだ!!エックス!エーックス!
必死になってると逆に怪しいよ狩也くん…。
~~~
【海特訓、遊矢おつかい中…その3】
「ところで遊矢さん、私、いくつか気になることがあるので教えてほしいです」
「おっ!なんだなんだ?ドンドン聞いてくれよ!」
「ヒカルさんは、どうしてあんなに髪が長いんですか?ヒカルさんは名実ともに男性です。それに!托都さんはどうしてあんなに真っ黒なんですか?もっとおしゃれをすべきです!」
「ヒカルはさ、実はああ見えてブラコンでマザコンなんだぜ?」
「ブラコン、マザコン…ブラザーとマザーの略称ですね!つまり、ヒカルさんの髪は…」
「お母さんと同じ、長くしてたらいつも一緒な気がするとか」
「なるほど…」
「托都に関しちゃ…あれがデフォルトというか、むしろあれがカラフルになったらもう不気味な気しかしねーよ…」
「…確かに」
「でも実はさ、アイツ言われたらすっげー気にするタイプだからさ、前に黒ばっかりじゃなくて他もなんとかしろよって言ったんだよ」
「うんうん!」
「寝巻きの上がちょっと色んな色入ってた、あと下が黒じゃなくて白になってた」
「本当に、気にしてるんですね……」
~~~
「「くしゅん!!」」
「夏風邪ですか?やめてくださいよー」
「そうではなく……」
「誰かに噂されてる気がする…」
「アイツ、だな」
「遊矢…あとで絞める…!」
END