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Answer.23「ラグナロク」
「偽界樹……」
《この世を統べる者として、この大樹は象徴!そして、全人類に宣言しよう》
「なに…!?」
《ラグナロクは始まった、とな》
「待てヴェリタス!っ!」
「ヒカル…!」
「くっ…!」
こんなことが、なんたる不覚……!!
「急ごう托都!!」
「あぁ」
~~~
「なんだ……あの樹は……」
「あんなものどうやって…!!」
「気味が悪いわ……」
《世界各国の上空に出現していた巨大な城が突如姿を消しましたが、なんとご覧ください!世界中に謎の白い木が大量に発生しています!》
《これは一体なんなのでしょうか!?うわ、なん!?うわぁぁぁ!!》
~~~
「ハートランドには巨大な樹、世界中には普通のサイズのコレが大量発生か…」
「ヴェリタス……ルクシア……」
ルクシアは、まだ無事だよな…。お前がいないんじゃヴェリタスは…。
「遊矢!」
「…!ヒカル!托都!ホントに…無事で良かった…!!」
「悪かったな、色々と」
「でも、どうやって帰ってきて…」
「エースと言ったか、アイツにな」
「…!エースが…?」
「あぁ」
―――――、
―――――――、
「―――――あれ…?」
「生きているのか、俺達は」
「おう、生きてるぜ」
「…!エース、お前…」
「オレの得意技は次元と次元を渡ること。オレだけじゃない、センパイやバカ兄貴だって連れていくのなんて難しくもない」
「じゃあ俺たちを助けたのか…」
「直前にな、貸し借りは大ッ嫌いなんだよ」
「エース……」
「じゃあな、さっさと行きやがれ」
―――――――、
―――――、
「そんなことが…」
「エースのおかげで助かった、だが…」
「フリューゲルアーツとカードを奪われた」
「マジかよ!?」
「じゃあ三人とも……」
エースモンスターもフリューゲルアーツもない状態、か。
「…………」
「…!そうだ!これ…!」
「わぁぁ…キレイ…!」
「すっげー!」
「プロムの心臓部!これを使えば多分!」
「そっか!プロムを復活させられるんだな!!」
プロムからまだまだ聞きたいこといっぱいあるんだ、それにあのままなんてそんなの俺絶対に嫌だったからな。
「……………?」
「…!」
「…起動を、確認…?どういうことだ…」
「やったぁ!」
「うん!!」
「…風雅、遊矢?」
ちゃんと動いてるし、記憶もあるんだな!
すごいな、プロム……。
「……そういうことだったか。計画が、最終段階に…」
「教えてくれよ!あの白くてでっかい樹!あれはなんなんだ!」
「あれは偽界樹だ。ニヴルヘイムが堕とされることを前提に創造された大樹。未完の聖杯を保管し、世界を掌握したヴェリタス卿が神の住み処にすべく造り出したものだ」
未完の聖杯を保管……話じゃ未完の聖杯は普通の人間から取り出したら消滅する、だから…。
「元々はラグナロクから生き残った人間が、…救世神を信仰するよう仕向けるためのもの。つまり、」
「…………」
「ヒカルを、閉じ込めるために…か」
「そうなる」
「でも、ルクシアが未完の聖杯だとしても、消滅するんじゃ…」
「ホムンクルスを代用に利かせることは可能、だが、城が失われ、ホムンクルスが焼失した今では再び彼を狙ってくるはず」
……やっぱり、そうなるんだな。
「…あの時、殺そうとしてたのはそういうのを全部踏まえた意味で……」
「えっ!?」
「殺すって…」
「…言い訳のしようもない。最終手段だった。恐らく、現在では君以上に優れた力を持つ聖杯は現れない。私は分かっていた、君を手にかければヴェリタス卿は諦めるのではないか、と」
ヒカルを殺せばヴェリタスは諦めて終わり、でもそうもいかないってことなんだな。
「ヴェリタス卿はあろうことか、娘の記憶を継いだホムンクルスを選んだ。私には到底理解ができない、あの優しかったヴェリタス卿は、何故ここまで歪んだ精神を持ってしまったのかと…」
「……ルクシアの死後から、か」
「…あの日、傷だらけの体を引き摺って帰ってきたヴェリタス卿は、人が変わったかのように異世界の研究を始め、年月を重ねたある時、時の概念がない世界を発見した」
「そこに作り上げたのがニヴルヘイム、か」
「少し違うな。三つの世界を発見したのだ。一つはこの時間の流れの世界、そして一つは時の止まった世界。最後に、時間の流れが早まった世界」
時間の流れが早まった世界にニヴルヘイムを造ったとしたら……。
「時間の止まった世界で生きていたってことか!」
「そう、未完の聖杯を見つけるためにその世界で悠久とも言える時間をヴェリタス卿は過ごした」
「それで現代か…」
「じゃあ偽界樹は?」
「偽界樹はこの世界にずっとあった」
「あった…!?」
「誰も気づかないよう、大地の中でな」
地中ってことかよ……それが突き出してきてあれか…一体どんだけの時間過ごしたらそうなるってんだよ…。
「ヴェリタス卿は最早目的を見失ってしまった。最初は、ルクシア様の復活だった。だがそれはいつの日か、人類への復讐へ変わり、この結末を生んでしまった」
「プロム……」
「最早私の声はヴェリタス卿に届くことはない、風雅遊矢…」
「…!」
「彼のお方を、救ってくれ。復讐と救済の妄執から、ヴェリタス卿を解き放ってほしい」
「………」
ヴェリタスを、救う、か。
「私は……」
《全人類よ、殺戮は始まっているようで何よりだ》
「!!」
「ヴェリタス!!」
~~~
「あれ、さっきの男じゃ…!」
「じゃあやっぱりあの木も……」
《私の城は見事崩落した、感謝する。だが、これが始まりだ。ラグナロク…世界は崩壊し、人々は生き残るために争う。なんと醜きことか》
《だが、それを苦痛と感じることはない。何故ならば人類は救済される。生き残り、強さを持つ者には永久の救済が待っている》
《ならばそれを恐れる必要がどこにある?私は世界を掌握し―――ぐっ!?》
「なんだ!?」
「女の子、か……?」
《ダメ!争うなんて、世界を壊すなんてダメです!!人には必ず優しさがある、どんな辛いことも乗り越える絆や愛があります。だからダメ、争いをやめてください!》
「…………」
《争わないでください…!支えあってください……!…お父さんを、止めてください…!》
「……」
「……」
~~~
「ルクシア……」
「ルクシア様…」
《お父さんを、救っ…きゃっ!》
《おのれ…!!廃棄物が無駄を語るなと言わせるな!ふん…!勇猛なる者よ、止めたくば来るがいい。死が貴様達を待っているぞ》
「ヴェリタス……!」
ルクシアが、止めてほしいって言ってるのに……。
「言葉では届かないのか……」
「そんなことはない」
「……?」
「必ず届けてみせる、救ってみせる」
「だって、二人からも頼まれてるんだぜ?やるしかないじゃん!」
ヴェリタスを止めて、救ってやって、この争いを止める。
なんだ、やってることは鏡の時と変わらないな。
「でも、遊矢たちの切り札は…」
「そうだぜ!?そんなんじゃあのオッサンには…!」
「大丈夫!!」
「強いことだけが本当の強さじゃない、この弱さも強さだ」
「遊矢…ヒカルさん…」
「…ならば私は、偽界樹の内部にあるフリューゲルアーツやカードを取り戻す」
「…!プロム…」
「救われただけでは、面目が立たないのでな」
これで決まった。なら、これが最終決戦ってわけだな!
「ヒカル、托都。必ず!!」
「あぁ、ヴェリタスを救う」
「ルクシアもな」
「私たちもプロムさんに!」
「ついていこう」
行こう、偽界樹に―――!!
「よしっ!二人とも!」
「……?」
「ほら、飛べるの俺しかいないじゃん!」
「なるほど、遊矢らしい」
「……なんか恥ずかしくないか?」
「今更だな。ほら」
「うわっ!?」
「ほいっ!」
「托都…遊矢……」
「行こう、全部終わらせるんだ!」
「……うん!」
~~~
「おとうさ…っ!!」
「最早人の形にしておく必要などない、フリューゲルアーツのエネルギー圏内ならば肉体など必要なかろう」
「お、と、う、さ…ん……」
「私は……」
「ま…だ、まに、あ……う、か、ら……」
「戻れんのだ…過去には…!」
……そう、過去には戻れん。
「は…最早どうでもよくなってきたぞ」
ならば偽界樹に預けるしかあるまい。
「私は、この大樹と共にある」
~~~
《先程の少女は、一体……》
「なんだったんだ……」
「争いをやめろだなんて…」
「生き残るには争うしかねえんだろ!?」
「そうだ!!俺は死にたくねえ!」
「アタシも死にたくない!!」
「生き残れ!!生き残ればいいんだ!!」
~~~
「よっと!」
「偽界樹の内部か…」
「真っ白なんだな、全部」
ニヴルヘイムは真っ黒だったのにコイツは真っ白って、ちょっとなんつーか怖いな。
「…!」
「……ヒカル、やっぱり…」
「間違いないな」
「…?なにかあったか」
「アーマードが…」
なんでだろう。あるんだけど、力を感じないというか……あるだけの状態?
「もしかして、樹の養分にされてるとか…」
「まさか…」
「…どちらにせよやることは1つだ。行くぞ」
…ニヴルヘイムで体が重いなって感じてたのが、似てる気がする。
~~~
あとは頂上だけ………なんか風が冷たいな…。
「ヴェリタス!!」
「…いない…?」
「…どこにいる……」
「私はここだ」
「!!」
上!?
「なんの冗談だよ…!?」
「同化してる…のか?」
「ようこそ勇敢な人よ。私は偽界樹と共にあり、そして世界を新たな形に導く存在」
なんか、妙に機械みたいな話し方するようになってねえかな…。
「偽界樹に赴いた勇気は受け止めよう。だが、切り札を封じられた状態で私に挑むか?」
「あぁ!やってやるさ!」
「切り札があるかないかなんて関係ない」
「ルクシアに貴様を救えと言われて、二人が黙っているわけもないだろう」
「ッ…小娘の頼みで私を救えると…?」
「もちろん!!」
ルクシアはホムンクルスかもしれないけど、本気でヴェリタスを止めようとしてる。なら、それが嘘でも些細なことでもない。
必ず想いは届く!!
「ならば、救ってみせるがいい!この世界を、私をも!!」
「救ってみせる!!ルクシアの、プロムの想いで!」
「やるぞ!」
「おう!」
「「アーマードコアディスク、展開!!」」
「デュエルディスク、セット!」
「私を止められると自惚れるなよ!!ラグナロク、最終戦争の幕開けだ!!」
これで終わらせてみせる、絶対に!
「「「「デュエル!!」」」」
~~~
「うわー……目の前で見るとでっけえな、この樹」
「空まで届いてる……」
「この中枢にフリューゲルアーツもカードもある。もしかすると、ルクシア様もそこに…」
「遊矢………狩也くん?」
「俺たちが遊矢たちを信じてやろう。必ず止めてくれるって、そうだろ?」
「……そうね」
「ついてこい、中枢までは長いぞ」
「はい!」
私たちが信じなくちゃ、絶対に遊矢なら、やってくれるって。
~~~
「貴様達のライフの合計分のライフポイント、そして私が先攻をいただこう。私は手札より、フィールド魔法《永久機関-偽界樹》を発動」
「フィールド魔法……」
「このフィールドは私の世界そのもの、誰一人として汚すことはできん。私はカードを2枚伏せ、ターンを終了」
《Hand:2》
フィールド魔法とカードを伏せただけ…一体なにするつもりだよ、ヴェリタス。
「遊矢、」
「ヒカル?」
「思いっきり、ぶつけてやれ!」
「…分かった!よしっ!」
強いカードも確かに必要かもしれない、でも、それでも本当に必要なのはそんな強さじゃない。
ルクシアやプロムが願ってるんだ、だから必ず救ってみせる。負けたりはしない!
「俺のターン、ドロー!!」
力を貸してくれ!ゼアルソニッカー!!
「俺は《Zs-疾風のカーツ》を召喚!」
《ATK:1200/Level:4》
「ゼアルソニッカー!」
「ここで呼んだか、遅すぎる…」
「カーツの効果発動!デッキからレベル4以下のソニッカーと名のつくモンスターを特殊召喚できる!俺は《Zs-竜巻のドラグーン》を特殊召喚!」
《ATK:1600/Level:4》
レベル4が二体!一気に決める!
「レベル4のカーツ、ドラグーンでオーバーレイ!エクシーズ召喚、現れろ!《Ss-エア・ストリームソード》!!」
《ATK:2100/Rank:4/ORU:2》
「ほう……」
まずは牽制、とにかく攻撃してみるしかない…よな。
確かにフィールドは怪しさしかねえけど、それをヒカルや托都に伝えるのも先陣切った俺の役目だな!!
「エア・ストリームソードで、ヴェリタスにダイレクトアタック!!いっけえ!」
「僅かな戦力を以て挑むとは、実に勇敢である。だが―――永続罠《三層結界-ヘルメス・トリスメギストス》発動!このカードが発動している限り、特殊召喚された相手モンスターのバトルは無効化される」
「なにっ!?」
「つまり、通常召喚されたモンスター以外では攻撃ができない。これは…」
「特殊召喚による攻撃力の高いモンスターに対する盾、あれがある限り俺達にとって不利な状況が更に出来上がっているわけか」
ヘルメス・トリスメギストス、あれを破壊できるようなカードが手札にない…。
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
《Hand:3》
「まずはあの壁を破ることから始めなければならないな」
「できるのかよ?」
「やってみる価値はある、後始末がしたいならここは俺がやらせてもらうが?」
「じゃあ任せた、後始末というか、早いところ決めてくれないと困るんだけど」
なんか、やっぱり仲良いよな。この二人。
「俺のターン!俺は手札の《ネクロスフィア エレメントコア》を墓地に送り、《ネクロスフィア タイタン》を特殊召喚。このモンスターは自身の効果で特殊召喚された場合、1体で2体分のエクシーズ素材となる!」
《ATK:2000/Level:8》
「よしっ!…でも、シャドウ・ハルシオンは…」
「忘れてやるな、シャドウ・ハルシオンだけじゃないだろ」
………そうだ!!あのモンスター!!効果見たことないけど!
「タイタン二体分でオーバーレイ!エクシーズ召喚!死者の魂呼び戻す鮮血の天使よ、再び舞い戻れ!《機械堕天使 ネクロ・ブラッディ》!」
《ATK:2500/Rank:8/ORU:2》
「おぉぉ!!」
ひっさびさに素材以外でちゃんと見た!!すげえ!
「ネクロ・ブラッディ…なるほど、シャドウ・ハルシオンが影ならばそれが本体。奪うべき力はそちらだったか」
「ふっ…幻想もまた本来の姿、光があるところに闇がある。ぬかったなヴェリタス、どちらに属するかと聞かれれば、俺は闇の方だ」
「……なるほど、確かに侮っていたのは認めよう」
なに話してるのか全然わかんねえ…。
托都は、…ダークヒーロー系ってコトなのか?
「ネクロ・ブラッディの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手の魔法・罠カードを1枚選択。その効果をエンドフェイズまで無効にする、選択するのは無論、ヘルメス・トリスメギストスだ!」
《ORU:1》
「これで突破できる!」
「行け!ネクロ・ブラッディ、ダイレクトアタック!!ダークネストライストリーム!」
よしっ!一気に2500のダメージだ!
「だが、罠発動《三層結界-ヘルメス・トリスメギストス》!」
「二枚目だと!?」
「攻撃は無効だ、残念だったな」
二枚目のヘルメス・トリスメギストス、こんなんじゃ、どうやって突破するんだよ…!?
「まだだ!速攻魔法《シュヴァルツ・ブラスト》発動!自分フィールドに存在するモンスター1体の攻撃力を500ポイント下げる毎に、相手の魔法・罠を破壊する」
「なるほど!ネクロ・ブラッディの攻撃力を下げれば、」
「二枚とも破壊できる!」
《ATK:1500》
「消えろ!三層結界!!」
「千切っては投げ、か。実に可愛らしい戦術だ、しかし、私の世界でそれは許されていない。偽界樹の効果、発動!」
偽界樹の効果!?
「偽界樹は偽界樹以外の私のフィールドのカードを破壊する効果を、全て無効にする」
それじゃあ、ヘルメス・トリスメギストスを効果で破壊できない!?
「なんという守り…」
「あぁ、忘れていた。ヘルメス・トリスメギストスには3つの効果がある。1つは攻撃を無効にする効果、1つはモンスターの効果破壊を無効にする効果、1つはカード効果による偽界樹の破壊を無効にする効果だ」
「どんな手段を用いてもあれを突破できないのか…!?」
完全防御……穴が見つからない破壊耐性、あんなモンどうすりゃいいんだよ…!!
「ッ…カードを2枚伏せ、ターンエンド」
《Hand:1》
「……俺のターン、ドロー!魔法カード《銀河の抱擁》を発動!このカードは、フィールドに二体以上のモンスターエクシーズが存在する時、このカードを素材にランク8モンスターエクシーズを、エクシーズ召喚する!」
これでヒカルもランク8が呼び出せる、でも…!!
「《銀河の抱擁》でオーバーレイ!エクシーズ召喚、現れろ!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:1》
「だが、特殊召喚されたモンスターは攻撃ができない。無駄だったな」
「分かってる、それに無駄ではない。カードを2枚伏せ、魔法カード《星屑の瞬き(スターダストブランク)》を発動!自分フィールドにギャラクシー、またはギャラクティックと名のつくモンスターが存在する場合、次の俺のターンのエンドフェイズまで、今フィールドに存在している全てのモンスターは、破壊されなくなる」
ギャラクティック・カオスを並べて守りを…。それにエア・ストリームソードはダメージを半減する効果もある、これでなんとか耐えしのぐしかないな。
「ターンエンドだ」
《Hand:2》
「未完の聖杯…完全なる未完を持った君が、よもや私の前に立つとは…。どうだ、もう一度手を取り我が力となるのなら、彼らをここから逃がしてやろうではないか」
「ヒカル……」
ヴェリタスがヒカルを狙ってるのは分かってる、でも。
「この守り、まるでお前の心ようだ」
「…なにを言っている」
「誰も寄せ付けずに自分だけの世界、自分だけの思想で、他人を傷付けることも厭わない守られているだけの己の中にある心…まるで、俺と同じだ」
今のヒカルなら、きっと大丈夫。
「同情しているというのか、私に」
「……まだやり直せる」
「…!」
「ルクシアもプロムもそれを望んでいる。最初の願いだったルクシアの復活は、もう叶っていたんだ。あんなにもお前を慕っている娘が、そうじゃないわけがない」
「…………」
「自分だけで守られた世界なんていつか壊れるものだ。誰かといる喜び、それを遊矢に教えてもらった!自分が守るんじゃなくて、支え合うことも、托都が…だからできる!あの二人がアンタの傍にいる限り!やり直すことはきっと――――!!」
「残念だ」
「……!」
ヒカルがこれだけ言っても届かないのか…ホントに、届くのかよ。
「私は君を、少し出来すぎた人間だと思い込んでいた。だが、それは間違いだったか」
「違う!この想いは間違いなんかじゃない!」
「黙れ!!所詮は人間、戯れ言に用はない!」
「…ッ………」
~~~
「きゃっ!」
「大丈夫かアミ!」
「ありがとう、慶太くん」
「……始まっているようだな」
「こっちまで響いてくるなんて、なんつーデュエルしてんだアイツら」
「…行くぞ、急がねば勝機はない」
「おう…!」
~~~
「私のターン!そうだ、愚かな貴様達に面白いものを見せてあげよう」
「なんだと…」
「偽界樹の効果発動!デッキから必要な数のモンスターを選択し、エクストラデッキよりモンスターを呼び出すことができる」
「そんな効果まで隠していたのか!?」
じゃあカードがフィールドに並ぶ限り、ヴェリタスはモンスター出し放題ってことかよ……!!
「私はデッキより、《原始錬金 ケルベロス》を2体、《原始錬金 ラタトスク》3体、《原始錬金 リンドヴルム》3体をそれぞれオーバーレイ!!」
「合計8体を、一気にエクシーズ素材に…」
「これこそ幻想にして虚偽の力、刃を裏切りで研ぎ澄まし、親愛なる者へ向けよ!《機械堕天使 シャドウ・ハルシオン》!《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!そして《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》!!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:2》
《ATK:4000/Rank:8/ORU:3》
《ATK:2500/Rank:4/ORU:2》
「そんな……」
「俺たちの、モンスターを…!?」
三体を、召喚するなんて…!!
「さぁ、這いつくばり、絶望するがいい。偽界樹により召喚されたモンスターは効果こそ無効化されるが、それによってバトルする際、相手はカードの効果を発動できなくなる」
「俺たちは、為す術なく攻撃を受けるしかないというのか…」
どんなにカードを伏せても、使えなきゃ意味がない…効果が使えなくても十分ってことかよ…!?
「まずは貴様だ、堰櫂托都。バリアンの犬風情が、私の大いなる計画をよくも邪魔してくれたものだ」
「ッ……!」
「さぁ行けシャドウ・ハルシオン!愚かなる異世界の使者に裁きを!トワイライトレイン!!」
「くっ…うぁぁあっ!!」
《Takuto Life:2500》
「托都!!」
「次は君だ、朽祈ヒカル。だが安心せよ、君達が敗北し、膝をついた時には私が存分にその力を使ってやろう」
「誰が……!」
「《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》、私に楯突く道具に立場を教えてやれ、ヴァーミリオンストリーム!!」
「!あぁあぁぁぁっ!!」
《Hikaru Life:3000》
「ヒカル、托都…!」
二人とも……そんな…!
「そして最後に貴様だ、風雅遊矢。私を救うと?救えると?人類が私を救えると言うのなら、あの日燃え尽きた娘の命は何故救われなかったのか!!」
「それは…!」
「ホープ・オブ・ソードよ、救うなどと幻想希望を語る愚者に剣を落とせ!シューティングスターブレード!」
救えるって、信じてるんだ。俺たちが、諦めなきゃ絶対できるって。
でも、こんなの……!!
「うわぁぁあっ!」
《Yuya Life:3600》
「そして、偽界樹の効果によりバトル終了時、戦闘を行った3体の攻撃力の半分のダメージを戦闘を行ったモンスターのプレイヤーに与える」
こんなんじゃ、勝てるわけ…!!
「吹き飛べ!その幻想ごと!!」
「っうぁああああっ!!」
勝てるわけがない……!
~~~
――ズゥゥン…
「また…!」
「……今度はなにが…」
「…急ぐぞ」
~~~
《Yuya Life:2350》
《Takuto Life:1000》
《Hikaru Life:1500》
「ハハッ…他愛ない……」
「………ぅ、…」
「…まだ立ち上がるか」
「……諦めるものか…」
「まだ、なにも成し遂げてはいない…」
「だから………っ…倒れるわけには……いか、な……」
~~~
「ここが――――」
「あぁ、中枢だ。ここを、―――破壊する」
「…はい!」
遊矢、待ってて!
絶対に諦めないで!!
Next Answer→
==================
【あとがき】
今回の一言、「どうあがいても絶望」
カード使われた挙げ句にこの始末とかどうすりゃいいんだよ…(困惑)
もうヴェリタスが八つ当たりしてるようにしか見えない状態だしメンタルボロクソのヒカルがド正論投げつけたにも拘らずこれである。
臍の下は疼いてないから多分大丈夫。
プロム復活!!プロムだけ復活!!!物凄くいい人になってるというか本来の姿というか敵陣のど真ん中なのにいいの?ってなるけどヴェリタスはもうプロムなんて見てないからわりと自由にできてる状態。
素晴らしいくらい和解して味方サイドにつくという役得ぶり、最初の頃は爆散させる気満々だったのにね。
エースのアーマードがとんでもないチート能力持ちだった、そもそも時間止めてるだろそれ。これのおかげでヒカルたちは無事?帰還できたわけですな。
ヴェリタスの全世界生中継にルクシアちゃん、生き残るために争うのは間違いだと言ってくれてるわけだけど直後に首ゴキである、ヴェリタスマジキチすぎんのよ。
出来すぎた人間っつーか単に能力的な部分が優れてるだけであくまでも人間的には超らしくないヒカルに出来を求めちゃいけない。
ヘルメス・トリスメギストスがウザすぎる、維持コストないんだぜ?アレ。とりあえずチートが過ぎるからヴェリタスは一回殴られるべき。こんなんデュエルじゃねえ!!
次回はこの状況から脱するところから始めるわけなんだけど、大丈夫…?そして衝撃のラストへ…!!
【予告】
Answer.24「解放」
~~~
しかし、このデュエル…本格的にマズいな。
あぁ、なんだあの罠…あぁいう超防御デッキをラスボスが使うか?普通。
聞いたこともない。
つーか!!あれなに!?俺たちになにさせようとしてるの!?
遊矢、アーマード、ファイトだ。
ヒカル手伝わないのな!?
~~~
【偽界樹突入のちょっと前…】
「…………」
さて、突入するのはあの偽界樹。一筋縄ではいかないだろうが……。
「プロム、」
「!」
「話というか、質問なんだが…」
「あぁ、なんでも聞くが…」
「失礼かもしれないけど…プロムって、もしかして結構おじいちゃん?」
「うっ…」
「ヴェリタスとずっと一緒にいるって知ってたから、なんというか…扱いが…」
「申し訳ないが…私の設定は20代と……」
「見た目じゃなくて中身が…」
「頼むから私をじいさん扱いするな!!」
というより、なんでどいつもこいつも私をじいさん扱いする……!?
END
※深夜0時~5時までのコメントや読者登録はマナー違反です。おやめください。
===
Answer.23「ラグナロク」
「偽界樹……」
《この世を統べる者として、この大樹は象徴!そして、全人類に宣言しよう》
「なに…!?」
《ラグナロクは始まった、とな》
「待てヴェリタス!っ!」
「ヒカル…!」
「くっ…!」
こんなことが、なんたる不覚……!!
「急ごう托都!!」
「あぁ」
~~~
「なんだ……あの樹は……」
「あんなものどうやって…!!」
「気味が悪いわ……」
《世界各国の上空に出現していた巨大な城が突如姿を消しましたが、なんとご覧ください!世界中に謎の白い木が大量に発生しています!》
《これは一体なんなのでしょうか!?うわ、なん!?うわぁぁぁ!!》
~~~
「ハートランドには巨大な樹、世界中には普通のサイズのコレが大量発生か…」
「ヴェリタス……ルクシア……」
ルクシアは、まだ無事だよな…。お前がいないんじゃヴェリタスは…。
「遊矢!」
「…!ヒカル!托都!ホントに…無事で良かった…!!」
「悪かったな、色々と」
「でも、どうやって帰ってきて…」
「エースと言ったか、アイツにな」
「…!エースが…?」
「あぁ」
―――――、
―――――――、
「―――――あれ…?」
「生きているのか、俺達は」
「おう、生きてるぜ」
「…!エース、お前…」
「オレの得意技は次元と次元を渡ること。オレだけじゃない、センパイやバカ兄貴だって連れていくのなんて難しくもない」
「じゃあ俺たちを助けたのか…」
「直前にな、貸し借りは大ッ嫌いなんだよ」
「エース……」
「じゃあな、さっさと行きやがれ」
―――――――、
―――――、
「そんなことが…」
「エースのおかげで助かった、だが…」
「フリューゲルアーツとカードを奪われた」
「マジかよ!?」
「じゃあ三人とも……」
エースモンスターもフリューゲルアーツもない状態、か。
「…………」
「…!そうだ!これ…!」
「わぁぁ…キレイ…!」
「すっげー!」
「プロムの心臓部!これを使えば多分!」
「そっか!プロムを復活させられるんだな!!」
プロムからまだまだ聞きたいこといっぱいあるんだ、それにあのままなんてそんなの俺絶対に嫌だったからな。
「……………?」
「…!」
「…起動を、確認…?どういうことだ…」
「やったぁ!」
「うん!!」
「…風雅、遊矢?」
ちゃんと動いてるし、記憶もあるんだな!
すごいな、プロム……。
「……そういうことだったか。計画が、最終段階に…」
「教えてくれよ!あの白くてでっかい樹!あれはなんなんだ!」
「あれは偽界樹だ。ニヴルヘイムが堕とされることを前提に創造された大樹。未完の聖杯を保管し、世界を掌握したヴェリタス卿が神の住み処にすべく造り出したものだ」
未完の聖杯を保管……話じゃ未完の聖杯は普通の人間から取り出したら消滅する、だから…。
「元々はラグナロクから生き残った人間が、…救世神を信仰するよう仕向けるためのもの。つまり、」
「…………」
「ヒカルを、閉じ込めるために…か」
「そうなる」
「でも、ルクシアが未完の聖杯だとしても、消滅するんじゃ…」
「ホムンクルスを代用に利かせることは可能、だが、城が失われ、ホムンクルスが焼失した今では再び彼を狙ってくるはず」
……やっぱり、そうなるんだな。
「…あの時、殺そうとしてたのはそういうのを全部踏まえた意味で……」
「えっ!?」
「殺すって…」
「…言い訳のしようもない。最終手段だった。恐らく、現在では君以上に優れた力を持つ聖杯は現れない。私は分かっていた、君を手にかければヴェリタス卿は諦めるのではないか、と」
ヒカルを殺せばヴェリタスは諦めて終わり、でもそうもいかないってことなんだな。
「ヴェリタス卿はあろうことか、娘の記憶を継いだホムンクルスを選んだ。私には到底理解ができない、あの優しかったヴェリタス卿は、何故ここまで歪んだ精神を持ってしまったのかと…」
「……ルクシアの死後から、か」
「…あの日、傷だらけの体を引き摺って帰ってきたヴェリタス卿は、人が変わったかのように異世界の研究を始め、年月を重ねたある時、時の概念がない世界を発見した」
「そこに作り上げたのがニヴルヘイム、か」
「少し違うな。三つの世界を発見したのだ。一つはこの時間の流れの世界、そして一つは時の止まった世界。最後に、時間の流れが早まった世界」
時間の流れが早まった世界にニヴルヘイムを造ったとしたら……。
「時間の止まった世界で生きていたってことか!」
「そう、未完の聖杯を見つけるためにその世界で悠久とも言える時間をヴェリタス卿は過ごした」
「それで現代か…」
「じゃあ偽界樹は?」
「偽界樹はこの世界にずっとあった」
「あった…!?」
「誰も気づかないよう、大地の中でな」
地中ってことかよ……それが突き出してきてあれか…一体どんだけの時間過ごしたらそうなるってんだよ…。
「ヴェリタス卿は最早目的を見失ってしまった。最初は、ルクシア様の復活だった。だがそれはいつの日か、人類への復讐へ変わり、この結末を生んでしまった」
「プロム……」
「最早私の声はヴェリタス卿に届くことはない、風雅遊矢…」
「…!」
「彼のお方を、救ってくれ。復讐と救済の妄執から、ヴェリタス卿を解き放ってほしい」
「………」
ヴェリタスを、救う、か。
「私は……」
《全人類よ、殺戮は始まっているようで何よりだ》
「!!」
「ヴェリタス!!」
~~~
「あれ、さっきの男じゃ…!」
「じゃあやっぱりあの木も……」
《私の城は見事崩落した、感謝する。だが、これが始まりだ。ラグナロク…世界は崩壊し、人々は生き残るために争う。なんと醜きことか》
《だが、それを苦痛と感じることはない。何故ならば人類は救済される。生き残り、強さを持つ者には永久の救済が待っている》
《ならばそれを恐れる必要がどこにある?私は世界を掌握し―――ぐっ!?》
「なんだ!?」
「女の子、か……?」
《ダメ!争うなんて、世界を壊すなんてダメです!!人には必ず優しさがある、どんな辛いことも乗り越える絆や愛があります。だからダメ、争いをやめてください!》
「…………」
《争わないでください…!支えあってください……!…お父さんを、止めてください…!》
「……」
「……」
~~~
「ルクシア……」
「ルクシア様…」
《お父さんを、救っ…きゃっ!》
《おのれ…!!廃棄物が無駄を語るなと言わせるな!ふん…!勇猛なる者よ、止めたくば来るがいい。死が貴様達を待っているぞ》
「ヴェリタス……!」
ルクシアが、止めてほしいって言ってるのに……。
「言葉では届かないのか……」
「そんなことはない」
「……?」
「必ず届けてみせる、救ってみせる」
「だって、二人からも頼まれてるんだぜ?やるしかないじゃん!」
ヴェリタスを止めて、救ってやって、この争いを止める。
なんだ、やってることは鏡の時と変わらないな。
「でも、遊矢たちの切り札は…」
「そうだぜ!?そんなんじゃあのオッサンには…!」
「大丈夫!!」
「強いことだけが本当の強さじゃない、この弱さも強さだ」
「遊矢…ヒカルさん…」
「…ならば私は、偽界樹の内部にあるフリューゲルアーツやカードを取り戻す」
「…!プロム…」
「救われただけでは、面目が立たないのでな」
これで決まった。なら、これが最終決戦ってわけだな!
「ヒカル、托都。必ず!!」
「あぁ、ヴェリタスを救う」
「ルクシアもな」
「私たちもプロムさんに!」
「ついていこう」
行こう、偽界樹に―――!!
「よしっ!二人とも!」
「……?」
「ほら、飛べるの俺しかいないじゃん!」
「なるほど、遊矢らしい」
「……なんか恥ずかしくないか?」
「今更だな。ほら」
「うわっ!?」
「ほいっ!」
「托都…遊矢……」
「行こう、全部終わらせるんだ!」
「……うん!」
~~~
「おとうさ…っ!!」
「最早人の形にしておく必要などない、フリューゲルアーツのエネルギー圏内ならば肉体など必要なかろう」
「お、と、う、さ…ん……」
「私は……」
「ま…だ、まに、あ……う、か、ら……」
「戻れんのだ…過去には…!」
……そう、過去には戻れん。
「は…最早どうでもよくなってきたぞ」
ならば偽界樹に預けるしかあるまい。
「私は、この大樹と共にある」
~~~
《先程の少女は、一体……》
「なんだったんだ……」
「争いをやめろだなんて…」
「生き残るには争うしかねえんだろ!?」
「そうだ!!俺は死にたくねえ!」
「アタシも死にたくない!!」
「生き残れ!!生き残ればいいんだ!!」
~~~
「よっと!」
「偽界樹の内部か…」
「真っ白なんだな、全部」
ニヴルヘイムは真っ黒だったのにコイツは真っ白って、ちょっとなんつーか怖いな。
「…!」
「……ヒカル、やっぱり…」
「間違いないな」
「…?なにかあったか」
「アーマードが…」
なんでだろう。あるんだけど、力を感じないというか……あるだけの状態?
「もしかして、樹の養分にされてるとか…」
「まさか…」
「…どちらにせよやることは1つだ。行くぞ」
…ニヴルヘイムで体が重いなって感じてたのが、似てる気がする。
~~~
あとは頂上だけ………なんか風が冷たいな…。
「ヴェリタス!!」
「…いない…?」
「…どこにいる……」
「私はここだ」
「!!」
上!?
「なんの冗談だよ…!?」
「同化してる…のか?」
「ようこそ勇敢な人よ。私は偽界樹と共にあり、そして世界を新たな形に導く存在」
なんか、妙に機械みたいな話し方するようになってねえかな…。
「偽界樹に赴いた勇気は受け止めよう。だが、切り札を封じられた状態で私に挑むか?」
「あぁ!やってやるさ!」
「切り札があるかないかなんて関係ない」
「ルクシアに貴様を救えと言われて、二人が黙っているわけもないだろう」
「ッ…小娘の頼みで私を救えると…?」
「もちろん!!」
ルクシアはホムンクルスかもしれないけど、本気でヴェリタスを止めようとしてる。なら、それが嘘でも些細なことでもない。
必ず想いは届く!!
「ならば、救ってみせるがいい!この世界を、私をも!!」
「救ってみせる!!ルクシアの、プロムの想いで!」
「やるぞ!」
「おう!」
「「アーマードコアディスク、展開!!」」
「デュエルディスク、セット!」
「私を止められると自惚れるなよ!!ラグナロク、最終戦争の幕開けだ!!」
これで終わらせてみせる、絶対に!
「「「「デュエル!!」」」」
~~~
「うわー……目の前で見るとでっけえな、この樹」
「空まで届いてる……」
「この中枢にフリューゲルアーツもカードもある。もしかすると、ルクシア様もそこに…」
「遊矢………狩也くん?」
「俺たちが遊矢たちを信じてやろう。必ず止めてくれるって、そうだろ?」
「……そうね」
「ついてこい、中枢までは長いぞ」
「はい!」
私たちが信じなくちゃ、絶対に遊矢なら、やってくれるって。
~~~
「貴様達のライフの合計分のライフポイント、そして私が先攻をいただこう。私は手札より、フィールド魔法《永久機関-偽界樹》を発動」
「フィールド魔法……」
「このフィールドは私の世界そのもの、誰一人として汚すことはできん。私はカードを2枚伏せ、ターンを終了」
《Hand:2》
フィールド魔法とカードを伏せただけ…一体なにするつもりだよ、ヴェリタス。
「遊矢、」
「ヒカル?」
「思いっきり、ぶつけてやれ!」
「…分かった!よしっ!」
強いカードも確かに必要かもしれない、でも、それでも本当に必要なのはそんな強さじゃない。
ルクシアやプロムが願ってるんだ、だから必ず救ってみせる。負けたりはしない!
「俺のターン、ドロー!!」
力を貸してくれ!ゼアルソニッカー!!
「俺は《Zs-疾風のカーツ》を召喚!」
《ATK:1200/Level:4》
「ゼアルソニッカー!」
「ここで呼んだか、遅すぎる…」
「カーツの効果発動!デッキからレベル4以下のソニッカーと名のつくモンスターを特殊召喚できる!俺は《Zs-竜巻のドラグーン》を特殊召喚!」
《ATK:1600/Level:4》
レベル4が二体!一気に決める!
「レベル4のカーツ、ドラグーンでオーバーレイ!エクシーズ召喚、現れろ!《Ss-エア・ストリームソード》!!」
《ATK:2100/Rank:4/ORU:2》
「ほう……」
まずは牽制、とにかく攻撃してみるしかない…よな。
確かにフィールドは怪しさしかねえけど、それをヒカルや托都に伝えるのも先陣切った俺の役目だな!!
「エア・ストリームソードで、ヴェリタスにダイレクトアタック!!いっけえ!」
「僅かな戦力を以て挑むとは、実に勇敢である。だが―――永続罠《三層結界-ヘルメス・トリスメギストス》発動!このカードが発動している限り、特殊召喚された相手モンスターのバトルは無効化される」
「なにっ!?」
「つまり、通常召喚されたモンスター以外では攻撃ができない。これは…」
「特殊召喚による攻撃力の高いモンスターに対する盾、あれがある限り俺達にとって不利な状況が更に出来上がっているわけか」
ヘルメス・トリスメギストス、あれを破壊できるようなカードが手札にない…。
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
《Hand:3》
「まずはあの壁を破ることから始めなければならないな」
「できるのかよ?」
「やってみる価値はある、後始末がしたいならここは俺がやらせてもらうが?」
「じゃあ任せた、後始末というか、早いところ決めてくれないと困るんだけど」
なんか、やっぱり仲良いよな。この二人。
「俺のターン!俺は手札の《ネクロスフィア エレメントコア》を墓地に送り、《ネクロスフィア タイタン》を特殊召喚。このモンスターは自身の効果で特殊召喚された場合、1体で2体分のエクシーズ素材となる!」
《ATK:2000/Level:8》
「よしっ!…でも、シャドウ・ハルシオンは…」
「忘れてやるな、シャドウ・ハルシオンだけじゃないだろ」
………そうだ!!あのモンスター!!効果見たことないけど!
「タイタン二体分でオーバーレイ!エクシーズ召喚!死者の魂呼び戻す鮮血の天使よ、再び舞い戻れ!《機械堕天使 ネクロ・ブラッディ》!」
《ATK:2500/Rank:8/ORU:2》
「おぉぉ!!」
ひっさびさに素材以外でちゃんと見た!!すげえ!
「ネクロ・ブラッディ…なるほど、シャドウ・ハルシオンが影ならばそれが本体。奪うべき力はそちらだったか」
「ふっ…幻想もまた本来の姿、光があるところに闇がある。ぬかったなヴェリタス、どちらに属するかと聞かれれば、俺は闇の方だ」
「……なるほど、確かに侮っていたのは認めよう」
なに話してるのか全然わかんねえ…。
托都は、…ダークヒーロー系ってコトなのか?
「ネクロ・ブラッディの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手の魔法・罠カードを1枚選択。その効果をエンドフェイズまで無効にする、選択するのは無論、ヘルメス・トリスメギストスだ!」
《ORU:1》
「これで突破できる!」
「行け!ネクロ・ブラッディ、ダイレクトアタック!!ダークネストライストリーム!」
よしっ!一気に2500のダメージだ!
「だが、罠発動《三層結界-ヘルメス・トリスメギストス》!」
「二枚目だと!?」
「攻撃は無効だ、残念だったな」
二枚目のヘルメス・トリスメギストス、こんなんじゃ、どうやって突破するんだよ…!?
「まだだ!速攻魔法《シュヴァルツ・ブラスト》発動!自分フィールドに存在するモンスター1体の攻撃力を500ポイント下げる毎に、相手の魔法・罠を破壊する」
「なるほど!ネクロ・ブラッディの攻撃力を下げれば、」
「二枚とも破壊できる!」
《ATK:1500》
「消えろ!三層結界!!」
「千切っては投げ、か。実に可愛らしい戦術だ、しかし、私の世界でそれは許されていない。偽界樹の効果、発動!」
偽界樹の効果!?
「偽界樹は偽界樹以外の私のフィールドのカードを破壊する効果を、全て無効にする」
それじゃあ、ヘルメス・トリスメギストスを効果で破壊できない!?
「なんという守り…」
「あぁ、忘れていた。ヘルメス・トリスメギストスには3つの効果がある。1つは攻撃を無効にする効果、1つはモンスターの効果破壊を無効にする効果、1つはカード効果による偽界樹の破壊を無効にする効果だ」
「どんな手段を用いてもあれを突破できないのか…!?」
完全防御……穴が見つからない破壊耐性、あんなモンどうすりゃいいんだよ…!!
「ッ…カードを2枚伏せ、ターンエンド」
《Hand:1》
「……俺のターン、ドロー!魔法カード《銀河の抱擁》を発動!このカードは、フィールドに二体以上のモンスターエクシーズが存在する時、このカードを素材にランク8モンスターエクシーズを、エクシーズ召喚する!」
これでヒカルもランク8が呼び出せる、でも…!!
「《銀河の抱擁》でオーバーレイ!エクシーズ召喚、現れろ!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:1》
「だが、特殊召喚されたモンスターは攻撃ができない。無駄だったな」
「分かってる、それに無駄ではない。カードを2枚伏せ、魔法カード《星屑の瞬き(スターダストブランク)》を発動!自分フィールドにギャラクシー、またはギャラクティックと名のつくモンスターが存在する場合、次の俺のターンのエンドフェイズまで、今フィールドに存在している全てのモンスターは、破壊されなくなる」
ギャラクティック・カオスを並べて守りを…。それにエア・ストリームソードはダメージを半減する効果もある、これでなんとか耐えしのぐしかないな。
「ターンエンドだ」
《Hand:2》
「未完の聖杯…完全なる未完を持った君が、よもや私の前に立つとは…。どうだ、もう一度手を取り我が力となるのなら、彼らをここから逃がしてやろうではないか」
「ヒカル……」
ヴェリタスがヒカルを狙ってるのは分かってる、でも。
「この守り、まるでお前の心ようだ」
「…なにを言っている」
「誰も寄せ付けずに自分だけの世界、自分だけの思想で、他人を傷付けることも厭わない守られているだけの己の中にある心…まるで、俺と同じだ」
今のヒカルなら、きっと大丈夫。
「同情しているというのか、私に」
「……まだやり直せる」
「…!」
「ルクシアもプロムもそれを望んでいる。最初の願いだったルクシアの復活は、もう叶っていたんだ。あんなにもお前を慕っている娘が、そうじゃないわけがない」
「…………」
「自分だけで守られた世界なんていつか壊れるものだ。誰かといる喜び、それを遊矢に教えてもらった!自分が守るんじゃなくて、支え合うことも、托都が…だからできる!あの二人がアンタの傍にいる限り!やり直すことはきっと――――!!」
「残念だ」
「……!」
ヒカルがこれだけ言っても届かないのか…ホントに、届くのかよ。
「私は君を、少し出来すぎた人間だと思い込んでいた。だが、それは間違いだったか」
「違う!この想いは間違いなんかじゃない!」
「黙れ!!所詮は人間、戯れ言に用はない!」
「…ッ………」
~~~
「きゃっ!」
「大丈夫かアミ!」
「ありがとう、慶太くん」
「……始まっているようだな」
「こっちまで響いてくるなんて、なんつーデュエルしてんだアイツら」
「…行くぞ、急がねば勝機はない」
「おう…!」
~~~
「私のターン!そうだ、愚かな貴様達に面白いものを見せてあげよう」
「なんだと…」
「偽界樹の効果発動!デッキから必要な数のモンスターを選択し、エクストラデッキよりモンスターを呼び出すことができる」
「そんな効果まで隠していたのか!?」
じゃあカードがフィールドに並ぶ限り、ヴェリタスはモンスター出し放題ってことかよ……!!
「私はデッキより、《原始錬金 ケルベロス》を2体、《原始錬金 ラタトスク》3体、《原始錬金 リンドヴルム》3体をそれぞれオーバーレイ!!」
「合計8体を、一気にエクシーズ素材に…」
「これこそ幻想にして虚偽の力、刃を裏切りで研ぎ澄まし、親愛なる者へ向けよ!《機械堕天使 シャドウ・ハルシオン》!《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!そして《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》!!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:2》
《ATK:4000/Rank:8/ORU:3》
《ATK:2500/Rank:4/ORU:2》
「そんな……」
「俺たちの、モンスターを…!?」
三体を、召喚するなんて…!!
「さぁ、這いつくばり、絶望するがいい。偽界樹により召喚されたモンスターは効果こそ無効化されるが、それによってバトルする際、相手はカードの効果を発動できなくなる」
「俺たちは、為す術なく攻撃を受けるしかないというのか…」
どんなにカードを伏せても、使えなきゃ意味がない…効果が使えなくても十分ってことかよ…!?
「まずは貴様だ、堰櫂托都。バリアンの犬風情が、私の大いなる計画をよくも邪魔してくれたものだ」
「ッ……!」
「さぁ行けシャドウ・ハルシオン!愚かなる異世界の使者に裁きを!トワイライトレイン!!」
「くっ…うぁぁあっ!!」
《Takuto Life:2500》
「托都!!」
「次は君だ、朽祈ヒカル。だが安心せよ、君達が敗北し、膝をついた時には私が存分にその力を使ってやろう」
「誰が……!」
「《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》、私に楯突く道具に立場を教えてやれ、ヴァーミリオンストリーム!!」
「!あぁあぁぁぁっ!!」
《Hikaru Life:3000》
「ヒカル、托都…!」
二人とも……そんな…!
「そして最後に貴様だ、風雅遊矢。私を救うと?救えると?人類が私を救えると言うのなら、あの日燃え尽きた娘の命は何故救われなかったのか!!」
「それは…!」
「ホープ・オブ・ソードよ、救うなどと幻想希望を語る愚者に剣を落とせ!シューティングスターブレード!」
救えるって、信じてるんだ。俺たちが、諦めなきゃ絶対できるって。
でも、こんなの……!!
「うわぁぁあっ!」
《Yuya Life:3600》
「そして、偽界樹の効果によりバトル終了時、戦闘を行った3体の攻撃力の半分のダメージを戦闘を行ったモンスターのプレイヤーに与える」
こんなんじゃ、勝てるわけ…!!
「吹き飛べ!その幻想ごと!!」
「っうぁああああっ!!」
勝てるわけがない……!
~~~
――ズゥゥン…
「また…!」
「……今度はなにが…」
「…急ぐぞ」
~~~
《Yuya Life:2350》
《Takuto Life:1000》
《Hikaru Life:1500》
「ハハッ…他愛ない……」
「………ぅ、…」
「…まだ立ち上がるか」
「……諦めるものか…」
「まだ、なにも成し遂げてはいない…」
「だから………っ…倒れるわけには……いか、な……」
~~~
「ここが――――」
「あぁ、中枢だ。ここを、―――破壊する」
「…はい!」
遊矢、待ってて!
絶対に諦めないで!!
Next Answer→
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【あとがき】
今回の一言、「どうあがいても絶望」
カード使われた挙げ句にこの始末とかどうすりゃいいんだよ…(困惑)
もうヴェリタスが八つ当たりしてるようにしか見えない状態だしメンタルボロクソのヒカルがド正論投げつけたにも拘らずこれである。
臍の下は疼いてないから多分大丈夫。
プロム復活!!プロムだけ復活!!!物凄くいい人になってるというか本来の姿というか敵陣のど真ん中なのにいいの?ってなるけどヴェリタスはもうプロムなんて見てないからわりと自由にできてる状態。
素晴らしいくらい和解して味方サイドにつくという役得ぶり、最初の頃は爆散させる気満々だったのにね。
エースのアーマードがとんでもないチート能力持ちだった、そもそも時間止めてるだろそれ。これのおかげでヒカルたちは無事?帰還できたわけですな。
ヴェリタスの全世界生中継にルクシアちゃん、生き残るために争うのは間違いだと言ってくれてるわけだけど直後に首ゴキである、ヴェリタスマジキチすぎんのよ。
出来すぎた人間っつーか単に能力的な部分が優れてるだけであくまでも人間的には超らしくないヒカルに出来を求めちゃいけない。
ヘルメス・トリスメギストスがウザすぎる、維持コストないんだぜ?アレ。とりあえずチートが過ぎるからヴェリタスは一回殴られるべき。こんなんデュエルじゃねえ!!
次回はこの状況から脱するところから始めるわけなんだけど、大丈夫…?そして衝撃のラストへ…!!
【予告】
Answer.24「解放」
~~~
しかし、このデュエル…本格的にマズいな。
あぁ、なんだあの罠…あぁいう超防御デッキをラスボスが使うか?普通。
聞いたこともない。
つーか!!あれなに!?俺たちになにさせようとしてるの!?
遊矢、アーマード、ファイトだ。
ヒカル手伝わないのな!?
~~~
【偽界樹突入のちょっと前…】
「…………」
さて、突入するのはあの偽界樹。一筋縄ではいかないだろうが……。
「プロム、」
「!」
「話というか、質問なんだが…」
「あぁ、なんでも聞くが…」
「失礼かもしれないけど…プロムって、もしかして結構おじいちゃん?」
「うっ…」
「ヴェリタスとずっと一緒にいるって知ってたから、なんというか…扱いが…」
「申し訳ないが…私の設定は20代と……」
「見た目じゃなくて中身が…」
「頼むから私をじいさん扱いするな!!」
というより、なんでどいつもこいつも私をじいさん扱いする……!?
END