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Answer.10「守るべきもの」



「…これは……」

『新たな輝きを纏う、翼の力』

「………」

『あの少女より授けられた輝きだ。忘れることなく、胸に刻め』

「……あぁ、感謝する」

『行くのか』

「遊矢が待っているからな」

『…そうか』

この光があれば、闇から抜け出せる…?

輝く翼、か。


~~~


「―――行くしか、ないよな」
「…聞くまでもなかったな」

《ならば扉を開け、ミドガルドの扉はすぐそばにある》

ミドガルドの扉…?なんだそれ。

「遊矢!」
「えっ?うわぁっ!?」

「ミドガルドの扉が、開いて……」

「これを越えてこいと言うことか」

《私は待っているぞ。彼も、な》

「…!」

ヒカル……、待ってろよ…!

「行こう!でも、アミ達は残ってほしいんだ!」 

「どうして!?」
「遊矢、もしかして…」

みんなを危険に晒すわけにはいかない、あの狩也が負けるくらいなんだ。俺たちだって綱渡りなのに、危なすぎる。

「いざって時は、みんながこの世界を守ってほしいんだ!」

「遊矢……」

「あと…ルクシア、」

「は、はい!」

「お前の父さんの話、後で聞かせてくれよ。だから今は、みんなと待っててくれ!」

「……分かりました!」

よし、これで大丈夫…だよな?

「托都!」

「行くぞ遊矢」

「おう!!」

必ずここでヒカルを連れ戻してみせる…!!


~~~


「彼らのミドガルドの扉への侵入を確認しました。いよいよ、ですねマスター」

「この場で邪魔な存在は叩き潰してしまう…私の手を煩わせるまでもない。彼がいれば十分だ」

「フフッ…楽しみですねえマスター?」


~~~


「………うわ…」

でっけえ…ここが城の中ってことか…!?

「…ご丁寧に道案内まで」
「こっちに来いってことだよな」
「余計なお世話だ」

…なんだろう、体が……すげえ重い…。

重力…とかじゃなくて……なんかもっと、別の……。

「どうした、遊矢」

「わかんねえけど……体が重くてさ…」

「やはりまだ…」

「そうじゃなくて!なんか……」

なんか似てるような……アーマード……?

「…とにかく、無理はするな」

「分かってるって!」

大丈夫~……だと思いたいけど…。


~~~


「ここか」
「…罠じゃないといいけどな」
「罠だった時はその場で考える他ないだろ」

遊矢もだが、俺も大概頭は弱いから仕方がない。
罠だとするなら、奴らの強さを考えてもわざわざここまで泳がせる必要もない気がするが。

「じゃあ――――!!」


「待ちかねたぞ」


「!」
「あれは…!」

どうやら、大それた罠を張られたわけではないようだが――敵は5人、5対2か……。

「よくぞ来た!恐れずして向かってきたことは褒めてやろう」

「敵に褒められても嬉しくねえよ!!そんなことよりヒカルは!!」

「フッ…減らず口はあれだけしても治りませんでしたか」
「案ずることはない、眠っているだけだ。それに、私は君達と戦う気はない」

「なんだと?」

「交渉といこうではないか」

交渉……まさかな。

「救世の装甲がほしかった私にとって彼は用済み、だが君達の持つ力にはまだ興味がある」

「つまりなんだよ…」
「ヒカルの代わりにバリアン世界の力やアーマードを差し出せ、と」
「なっ!!」

「そう。だが、アーマードが発現できないのはテラから聞いている」

バリアン世界の力……ドン・サウザンドのカオスに手を出すのがどれほど危険なことか理解できていないのか。
向こうにはすでに一本取られているわけだ、これ以上は…。

「托都……」
「問題ない、いいだろう!」
「えっ!?」

「存外簡単に言ってくれるものだ」
「構わん、感謝しよう」

このまま終わればいいが…そうはいかないはず。

「まずはこちらの要求だ。ヒカルを返せ」

「マスター!話が違うんじゃねえですか!?」
「よい、交渉の結果だ。プロム、」
「分かっています」

「托都!お前良いのかよ!」
「遊矢……」
「……分かったよ」

理解されたようで安心した。これで心置きなく――――。

「…ヒカル」
「よかった…!」

「………これで、良かったのか…」

「!」

今あの男、なんと言った…?

「さぁ、次は君達だ」

「ほう…俺達の答えはこれだが?」

「デュエルか…」

「安直だったな」
「今度は絶対に負けねえぜ!!」

そうだ、そう考え直すと腹が立ってくる。まずはあのテラという男から――――。

「尤も、君と戦うのは我々ではないが」

「なにっ…!…!」

しまった…!そういうことか…!!

「っ!」
「托都!?ヒカルも…!」

「………!?」

「どうなってんだよ…」
「仕込まれていたか……!」
「仕込まれ…そんな!」

奴ら、一体なにを…!?
……あれは…いつもと違う…なるほどあれが原因と見て間違いないか。

「仕込んだ毒に気付けるとは、甘く見ていたぞ」

「…あぁ」
「お前っ…!ヒカルになにしやがった!!」

「なにを?私は彼に約束と記憶を授け、彼の力を奪っただけだ」

「約束…だと?」

「私に協力するならば、君達の命に手は出さないという約束だ。だが、彼が破ってしまうなら、致し方あるまい」

下衆な真似を……。

「貴様……!」

「さぁ、殺し合うでもなんでもするがいい。君達の力は彼から回収してもらうとしよう」

「ヒカル…!おい!聞こえてんのかよ!!返事しろっての!!」

「…聞こえてる」

「良かった!大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思えるか?」
「えっ?」

元々おかしいようだがどこか様子がおかしい…一体なにをされた…。

「ちがっ……俺は……」
「なにをしている」
「…マス、ター……?」
「私のために彼らを倒してはくれないのか?」

「ヒカル!!」

「ぁ…!そう、だ……!」

やるしかないか…!!

「っ…!」

「ヒカル……」
「遊矢、ここは任せろ」
「…分かってる、でも…!」
「お前はこの後、来るべき戦いに集中しろ」
「托都…」
「問題はない。必ず奴はなんとかする。お前は後ろで見ていればいい」

いざという時は…ま、少なくともアイツだけは首根っこひっ捕まえてでも連れ帰らせてやるさ。

「托都、お前……」

「全く…どこぞの馬の骨どもに何をされたかは聞かないが、早く帰りたいんでな。さっさと事を済まさせてもらうぞ」

「…いやだ」

「は…?」

「早く帰ってくれ…お前とデュエルする理由はない」

理由…か、なんてめんどくさい奴に変えられているんだコイツ。

「求めていない。むしろなにもしなくていい。俺がここにいることで、誰も傷付けずに済むならいいんだ。だから、今なら帰してやるから、早く帰れ」

「そうか。だが断る」

「えっ」

「理由が聞きたいか、ならば言ってやろう。俺はお前のためとは思っていない、あくまで後ろで呆けているエセ優男を倒すための副産物だ」

尤も、実際のところは…な。

「でも…!!」
「『我が子』よ、どうしてしまったのだ」
「!マスター、これは…こんなことは…!」
「早く、その二人を始末してしまえ。もし君にできないのなら――――」
「――!やめっ…!」

「…なにを…」
「ヴェリタスてめえ!!」

「勘違いしないでいただきたい、彼はあくまで私の支配下だ。こうしてしまえば…!」

意識を保っていたとしても、主導権はあくまでヒカルではなくヴェリタスにある。
つまり、いつでもコントロールは切り替えられるという訳か…!

「あぁぁああああぁぁっ!!」

「ヒカル!!」

「ぁ……早く…にげ……っ…」

「…ッ……そういう趣向なら悪くない。全力で奪りに行くぞ」

「―――……そうか…ならば、ここで果ててもらうまでのこと!」

話し合いは、通用しそうにないな。

「行くぞ――デュエルディスク、セット!」

「デュエルディスクセット!!」

「「デュエル!!」」


~~~


「遊矢……」
「大丈夫だろ!あの二人だぜ?問題ない問題ない!今までもそうだっただろ?」
「……そうだよね、信じよう。二人を」

「うん……?ルクシア、ちゃん?」
「…どうやら、始まったようです」

「始まった?」

翼の力、貴方なら……きっと。


~~~


「先攻はもらう!俺は魔法カード《トライアングル・リピート》を発動!デッキからカードを2枚除外し、4ターン後俺の手札に加える。ただし、手札に加わったカードを使いきれなかった場合、俺のライフは半分になる」

アイツのデッキはランク8のエクシーズに特化した強力モンスターの祭りのようなデッキ、加えてなにがどうなっているかも全く分からないままだ。
尚且つ、アレを使ってくるとしたらこれは必ず必要になるはず。
いざとなればこれを使う手も考えなければならないからな。

「俺は《ネクロスフィア モードレット》を通常召喚。カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」
《ATK:1000/Level:4》
《Hand:1》

さぁなんでもいい、これで準備は整った。
来い、なにが来ようが迎え撃つ――!

「俺のターン、ドロー!…俺は魔法カード《ギャラクシー・ドライブ》を発動!手札のレベル4以下のモンスターを二体墓地に送り、デッキからレベル8のモンスター二体でエクシーズ召喚を行う!」

「デッキからエクシーズ召喚!?」
「周到な…!」

「手札の《カオス・パージ シーカー》とシールドライダーを墓地に送り、デッキから《カオス・パージ スターゲイザー》とフラムセイバーをオーバーレイ!!」

予想通りというよりも予想以上だこれは。
相変わらずやりたい放題のエクシーズ特化だな。

「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来い!!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:2》

「…ギャラクティック……カオス……」

「開始からこの布陣とは…」
「さすがは救世神に見据えられた人間ではあるわね」

…このようなことにギャラクティック・カオスを使うか…!

「見損なったぞ、全く」

「どうぞ勝手に言ってろ。ギャラクティック・カオスもギャラクシー・カオスも、俺が信じる唯一無二の存在。なら、二体の竜が俺と共にあることもまた然りだ」

「それらしい説明だが、カードが本当にそれを望むものか!」

「望むさ!!俺が信じられるのはこいつらしかいない!俺が信じているこいつらが裏切るはずがない!」

「ッ!」

どうなっている…!!
ヴェリタスが支配に置いているなら、それらしい台詞を吐いてくるかと思えばこの状態だ。

「御託を並べる暇があるならデュエルに集中しろ…!」

「ヒカル…お前は……」

「俺は装備魔法《ギャラクティオンブレイザー》をギャラクティック・カオスに装備!更にギャラクティック・カオスの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、このモンスター以外のモンスターの表示形式を変更する!」
《ORU:1》

《DEF:0》

モンスターをわざわざ守備表示に変えてきたか…。
つまり、あの装備魔法は貫通効果を持っているカード…ダメージは3000。

「行け!ギャラクティック・カオスで、モードレットに攻撃!!装備魔法《ギャラクティオン・ブレイザー》を装備したモンスターが守備モンスターとバトルする時、貫通ダメージを与え、バトルするモンスターの攻撃力を装備モンスターに加える!」
《ATK:4000》

「ワンターンキルを狙った攻撃!!」

「ヒカルが、あんなことをしてくるなんて…!」

だが、狙っていたのはこの攻撃!

「食らえ!!ブレイザーストリーム!」

「――――!」

アイツの目を覚まさせるために必要なモンスターは―――!

「やったか!?」
「……まだだ」

「………!」

「あれは……」

「《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》……だと!?」

このモンスターが、俺の切り札だ。

《ATK:4000/Rank:8/ORU:1》

「そんな…ギャラクシー…カオスが……?」

「俺は罠カード《スカーレット・カオス》を発動していた!このカードは、戦闘で受けるダメージを0にし、そのダメージと同じ攻撃力を持つモンスターを相手のエクストラデッキから特殊召喚し、このカードをオーバーレイユニットとして扱える」

「高ランクモンスターでの攻撃を見越した罠カード……」

ギャラクシー・カオスの攻撃力は4000、なんの因果か…まさかヒカルがワンターンキルを狙ってくれるとは、想定外に次ぐ想定外。
意識や自我がなくとも以前やられたことをやり返すのはなんとも負けず嫌いなヒカルらしいな。

「くっ…!ギャラクシー・カオスを……!」

「胸に刻み込め!お前が求める信頼の形は、そんなものではないと覚えろ!」

「托都!!やっぱすげえ……」

俺にもこんなことが言えるようになるとは想像もつかなかったがな……。

「認めるものか…!ギャラクシー・カオスは俺の力だ!お前に―――奪われてたまるか!!」

「ならば証明してやる。お前が無くした全てがここにあるということを、今度は俺が!」

俺に、誰かを変える力も変革を求める奇跡なんてものも持ち合わせてはいない。
それでも、お前が遊矢にしたように、あぁして絆がお前を連れ戻すことができると言うのなら、きっと…!

「マスター、」
「そうだな。だが心配はない、彼のデッキには……私の託したカードがある」










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【あとがき】

今回の一言、「托都△」
でも托都が決意表明すると8割以上の確率で死ぬんだけど、死ぬか離脱するかなんだけど大丈夫?
なんだろう、ギャラクシー・カオスがまるで托都のカードのようだ。

ルクシアちゃんの掘り下げはもうちょいあとなのよー(・ω・`*)
おいてけぼり食らった幼馴染sだけどまだ活躍残ってるからまだまだ好きな人大丈夫よッ!!
心の中だけはお喋りかと思われた托都さん、心の中も静かだった。イメCVは顔もうるさいのに。ただしデュエル中はうるさい、今回はいつもより多めに喋っております。
情緒不安定というか意識不定すぎてブレブレに見えるけどヴェリタスはむしろ実際意識があるままデュエルさせたかった、記憶の不全云々というのを後に説明するんですが、頭の中でヒカルが抵抗してるから不全が起きるわけなんで……あとは分かるな?
一応2年ぶりくらいに托都とヒカルのデュエルを書いたわけなんですが、前回のデュエルは片や燃え尽き症候群で片や死に急ぎ野郎だったせいでロクなデュエルじゃない。今回も片方がおかしいけど真面目に書けて嬉しい。

次回は結構最初の方からカッコ悪い托都が見れるよ!カッコ悪いけど例の過去話読んだ後だと色々変わってくる。
そして第一の翼が……!?


【予告】
Answer.11「望む者、望まれた者」


~~~


くっ…!おのれヴェリタス!ヒカルになんという仕打ちを…!!

ずっと思ってたんだけどさ?托都ってヒカルのこと好きなのか?

はぁ!?遊矢、アイツは男だぞ!?まさか貴様そっちの気でもあるのか!?

ねえよ!!ち、ちなみに初対面の時は?

女だとは思っていた。しかし、あの生意気な奴が随分美人になったな…。

あー、こりゃあ存外ヒカルに惚れ込んでますわ……。


~~~

【遊矢とヒカル、ハートランド帰還後…】


「たぁーくとー!!」
「ふぎゃっ!?」
「久しぶりだなー!飯食ってる?掃除してる?とにかく元気か?」
「ゆ、遊矢…まずは退け……」
「あ!ごめんごめん!つい嬉しくてさ」
「自重しろ…」
「仲良し兄弟め…ちょっと悔しい…」
「…ヒカル、俺はお前も含めて弟がいると思っているぞ」
「はぁ!?」
「マジで!?ヒカルお兄ちゃん!?」
「黙れ喋るな!!話がややこしくなる!!」
「事実なんだが……」
「やめろ!お、お、俺は一応長男で…弟とか、分からないし…」
「……」
「だから…!俺は―――」
「大丈夫だって!」
「へ?」
「そういうヒカルの他人には見せられないようなものを見てしまうとな…遊矢は特別だと思ってるんだ」
「遊矢……」
「えへへ……」
「そっか……」
「フッ…」
「だがな、」
「!?」
「お前はなんなんだこのド天然野郎!!」
「ちょっ勢い任せに踏むのはやめろ!あ、そこは痛い!すまん悪かった!さすがに悪ふざけが過ぎた!」

「二人とも仲良しさんですなぁ!!」

「誰が仲良しだッ!!」
「(20代間近にして17歳に踏まれるこの状況…すまない母さん、俺はまたロクでもない大人になったらしい……)ぐすん……」


END