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Answer.9「絆の光」
「…慶太……」
「あのさ、俺とデュエルしねーか?」
「デュエル……って、分かってるだろ。俺のデュエルディスクは…」
もう壊れてるし……。
「それに……」
「細けえこたぁいいんだよ!俺がデュエルしてえんだから!」
「………お前…」
デュエルしたいって…そんな無茶な……俺以外とデュエルすればいいのに。
今やったって、きっと……!
「なにビビってんだよ、らしくねえな」
「ッ…!ビビってねえよ!!」
「じゃあ面と向かって話しやがれ!いつまでもウジウジが許されると思ったら大間違いなんだよ!!」
「………」
「目が逸らしてえなら全部失敗してからにしろよ…まだ、なにも終わってねえ」
まだ、なにも…。
「…10分後に東棟の屋上で待ってる」
「慶太………」
まだ終わってない。…でも、俺にそんな手段は残されてない。
アーマードにも拒まれて、デュエルディスクも……。
こんなんじゃダメだって分かってても…俺は…!俺じゃ誰も救えないんだ……。
「遊矢、」
「…!カイト、さん……?」
「悩むお前に、プレゼントだ」
~~~
『人の身に余る奇跡など!!』
『アレは魔女だ!』
『ヴェリタスを殺せ!!』
『みんなどうして!?お父さんはみんなのために錬金術を―――!もう一度考え直して!』
『黙れ小娘!』
『邪悪なる者から産まれし悪魔に死を!』
『死を!』
『聖なる炎を!』
――これは誰の記憶なのだろう……。
――誰の……そうだ、これは与えられた『他者の記憶』
「……素晴らしい―――!」
「………」
「ミドガルドの扉は開かれた!よくやった、「我が子」よ…!」
「…命に従ったまでの事。次は……っ…!」
――……違う。これは俺のじゃない……
――じゃあ誰の……?誰の記憶なんだ…
「あらら…?」
「記憶共有の不全……」
「大事か」
「……いえ、問題は…」
「そうか…。ならば次は旧友と、再会といこうか」
「…旧友……?」
「あぁ、とっておきのサプライズだ。それまでは、眠るがいい」
~~~
「……」
ちょうど10分、か。
「待たせたな!」
「あー、確かに10分は自分で言っといて長かったぜ…覚悟は?」
ファイヤー
覚悟……そうだ、俺に今必要なもの。
でも、ただの言葉だけなら簡単なんだ、だから……。
「まだ分からない――だからこのデュエルで見つけたい!」
「………遊矢らしいな!でも、デュエルディスクがねえんじゃデュエルは―――それは…」
「……俺の魂が刻まれたディスクだ」
九十九遊馬が遺したモノは、俺とホープだけじゃない。
――――
――――――
「カイト……さん…?」
「悩むお前にプレゼントだ。受け取れ」
「!これは……」
「遊馬がこの世に残したもの。使うならお前しかいない」
「カイトさん……」
「立ち上がって見せろ、遊矢」
――――――
――――
このデュエルディスクにこそ、遊馬の魂が宿ってる、魂が刻まれたこのディスクなら、戦える―――!!
「そっか、ならかかってこい!!」
「おう!!」
「デュエルディスク、セット!」
「Dゲイザーセット!!」
《ARヴィジョンリンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
「遊矢、一体どこに…!」
「あの怪我で遠くに行けるはずはない。ならば近くに…」
「でも!ここの広さは……きゃっ」
「わぁっ!」
「…おい………」
誰か…ぶつかっちゃった…?
前見てなかった私が悪いよね、…でも一体誰が…。
「お前……!」
「えっ……?」
「ご、ごめんなさい…!」
「いやっこちらこ……そ……?」
女の子……?
「……ルクシア」
「ルクシア……?」
この女の子の、名前なのかな…。
「………托都さん、ですね」
~~~
「先攻はもらうぜ!俺は《鎖鳥の騎士 ロータス》を召喚!ロータスは、手札の鎖鳥モンスター1体を墓地に送ることでデッキから鎖鳥モンスターを特殊召喚できる!来い!《鎖鳥の乙女 ラフレシア》!」
《ATK:1700/Level:4》
《ATK:0/Level:4》
レベル4のモンスターがこれで二体、来る…!!
「レベル4のロータスとラフレシアでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!《鎖鳥の霊獣 ロゼッタ》!!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》
「ロゼッタ……」
「更に、フィールド魔法《霊獣の里‐ロゼッタガーデン》を発動!」
慶太がフィールド魔法を!?なんて珍しいことしてんだコイツ……。
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド!さぁ遊矢のターンだ!」
《Hand:1》
「言われなくても…!!俺のターン、ドロー!!」
「この瞬間、ロゼッタガーデンの効果発動だ!」
「…!」
「ロゼッタガーデンがフィールドにある限り、相手はドローしたカードを公開!モンスターなら特殊召喚され、それ以外は墓地に送る」
つまり、どっちにもリスクを伴うギャンブル…俺が引いたのは……。
「《Ss-風切りのグライダー》だ!フィールド魔法の特殊召喚される!」
《ATK:1200/Level:4》
「ヘヘッ!永続罠《鎖鳥の結界》発動!相手のレベル5以下のモンスターの特殊召喚を無効にし、破壊!相手に400ポイントのダメージを与える!」
「なっ…!!」
それじゃあ、フィールド魔法の効果はあくまで俺がモンスターを特殊召喚するための誘発…!?
「慶太のクセに、よく考えてるな…」
《Yuya Life:3600》
「馬鹿にしすぎだぜ遊矢!」
あのカードがある限り、モンスターを特殊召喚できないことに変わりはない…モンスターエクシーズを出すためのモンスターが揃えられないんじゃ、俺に勝ち目なんてないんだ。
「俺は、モンスターを裏守備表示でセット!カードを2枚伏せてターンエンドだ!!」
《Hand:2》
「ってぇなんだよそれ!!もっと遊矢らしく攻めてこいよ!」
これは俺の覚悟を見つけるために始めたデュエル、簡単に負けるわけにいかない…!
だから耐えるしかない……!!
「くっそぉ……俺のターン、ドロー!俺は装備魔法《鎖鳥銃士の弓》をロゼッタに装備!行けロゼッタ!裏守備モンスターに攻撃!!」
「モンスターは《Ss-ワンダー・ガードナー》だ!」
《DEF:2000》
「でもな!《鎖鳥銃士の弓》を装備したモンスターが攻撃した時、貫通ダメージを与えることができるんだぜ!」
「くっ…!」
《Yuya Life:3100》
このままじゃ攻められるだけだ…!なんとかしないと…!
「俺はこれで、ターンエンド!」
《Hand:1》
「俺の、ターン!!」
「さぁ!ドローしたのはなんだ!」
「ドローしたのは、…《ウィンド・クリボー》…」
《Yuya Life:2700》
クッソ…!一体どうしたら……。
「……遊矢、」
「…なんだよ?突然」
「あの時、鏡に言われたんだよ。俺には遊矢と決定的な差があるって」
俺と慶太の、差……?
「俺、地味に痛感してたんだよ。遊矢だけじゃない、ヒカルさんやお前の兄貴、狩也もお前と同じ…いや、遊矢も知らないなにかがあるって」
「俺が知らない、なにか…」
「遊矢にそれが分かった時、きっとそれが胸の覚悟になるんだって思ってる」
俺の胸に宿る、覚悟……。
三人が持ってて、俺が持ってないなにか…。
ヒカルはいっつも誰かのために、自分がなにも感じられないくらい必死に戦ってた。
それは托都も同じ、命なんて振り切れる覚悟……狩也も。
でも、俺にそんなこと……自分を投げ出してまで誰かを守りたいなんて…思えてたかな。
確かに、仲間を思う心から俺が生まれてたかもしれない。……思うだけじゃ、なにも変わらない。それは鏡を倒して、今日この日まで全部……。
でも、それでも。
「…………」
「遊矢……」
「慶太、俺さ……やっぱり、そう思えないんだ」
「えっ?」
「俺の命がもし尽きて、それで今ヒカルを救えたら、嬉しいけどさ…きっとヒカルは悲しむと思うんだ。だから俺、三人みたいにはなれない」
でも、俺がいることで喜んでくれる仲間がいる、家族がいる。みんながいるから俺はここにいられる。
「だから俺、俺が俺でいるために、居場所になるために、戦うよ」
「……そっか」
「慶太、ありがとな!俺ちょっと頑張ってみる!ダメなら何度でも立ち上がって、踏み潰されたって這いつくばってでも!!それが、遊馬のかっとビング!俺が選んだ答えだ!!」
「…まっ、バカな遊矢らしい答えだな!」
「バカにバカって言われたくねーぜ!」
「お互い様ってことだな!でも遊矢、この逆境、どうする!」
確かにヤバイのに変わりはないさ、だから…。
「俺はこれでターンエンドだぜ!」
《Hand:2》
「なら、サクッと勝たせてもらうぜ!ドロー!俺は、魔法カード《オーバーレイ・グラデーション》を発動!自分フィールドのモンスターエクシーズ1体を選択しエクストラデッキに戻す!これによって、同じランクのモンスターエクシーズを代わりにフィールドに呼び出すことができる!」
つ、つまりモンスタートレード…?
でも慶太のランク4エクシーズって、……まさか!!
「俺はロゼッタをエクストラデッキに戻し、コイツを特殊召喚だ!光溢れる太陽の彼方、今こそ風を照らせ!エクシーズ召喚!《鎖鳥の零剣士 サンフラウ》!」
《ATK:2400/Rank:4/ORU:2》
「も、もしかして…」
「サンフラウは、オーバーレイユニットを1つ使い、相手の墓地のモンスター1体を装備、その攻撃力か守備力分攻撃力をアップできる!俺はワンダー・ガードナーの守備力を選択!」
《ATK:4400/ORU:1》
攻撃力4400!?
まずい、このままじゃ―――!!
「行けえ!サンフラウで、遊矢にダイレクトアタックだ!!」
「見つけた!!」
「あ、あれ…!」
「遊矢…?」
~~~
「マスター、」
「……どうした、プロム」
「先刻の記憶共有の不全についてなのですが」
「あぁ…事がうまくいかないようか?」
「ええ、レーヴァテインに支配され、記憶を書き換えてなおあの力……マスターの力添えが必要かと」
「いや、その必要はない」
「と、言いますと?」
「……彼には、絶望を身をもって味わってもらおうではないか。楽しくなってきたぞ、プロム」
「………ええ、マスター」
~~~
「決まった……?」
「いや……まだ決まってないぜ!」
《Yuya Life:500》
「ライフが!」
危なかったぜ、間一髪だな!
「ダイレクトアタックを受けた時、罠カード《向かい風》を発動してたんだ!向かい風は、墓地に存在する風属性モンスターを二体除外することで、ダイレクトアタックのダメージを半分にできる!」
「もしかして、デュエル中!?」
「そうか…早い奴め」
これでライフは繋いだ、次のターンで決めないと……。
「さすがだな!ターンエンド!」
《Hand:1》
「俺のターン……」
みんなと共にある覚悟。この逆境を切り抜ける力……。
ヒカル、力貸してくれよな…!
「あぁ、貸してやるさ」
「―――――!ドロー!!」
………、来た!!
「ドローカードは……」
「引いたのは、《Ss-影縫いのクラウド》だ!」
《Yuya Life:100》
「ライフが!!」
「いや、」
クラウドの効果は墓地に送られてこそ!!条件が揃った!
「クラウドの効果発動!!このモンスターが墓地に送られた時、相手の魔法・罠を2枚まで破壊することができる!」
「!ロゼッタガーデンと《鎖鳥の結界》が!!」
「これで俺は特殊召喚が使える!罠発動!《ダブルブラスターサモン》!モンスターを効果で破壊されたターン、デッキからレベル4以下のモンスターを二体特殊召喚できる!来い!《Ss-ブラスト・ファイター》!《Ss-シュート・ブレイブ》!」
《ATK:1500/Level:4》
《ATK:1600/Level:4》
これで、やっとレベル4が揃った!!
さぁいくぜ!
「レベル4のブラスト・ファイターとシュート・ブレイブでオーバーレイ!!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!現れろ《Ss-エア・ストリームソード》!!」
《ATK:2100/Rank:4/ORU:2》
「ありゃー……来ちゃったよ」
「そして進化しろ!来い!《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》!」
《ATK:2500/Rank:4/ORU:3》
ホープ・オブ・ソード……この前はごめんな、でも次からは―――!!
「ホープ・オブ・ソードの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスター1体を選択。攻撃力1000ポイントにつき攻撃力を800アップさせる!」
《ATK:4100/ORU:2》
「攻撃力4100!でもギリギリ届かねえ!」
「まだだ!墓地のブラスト・ファイターの効果発動!モンスターエクシーズがバトルする時、相手の攻撃力を下回っていた場合、相手モンスターの攻撃力を0にする!!」
《ATK:0》
「………そうだな、さぁこいよ!遊矢!」
「ホープ・オブ・ソードで、サンフラウに攻撃!!シューティングスターブレード!!」
「っ、うぁああああっ!」
《Keita Life:0》
《WIN:風雅遊矢》
………勝った、終わった……?
「慶太、」
「あーぁ!また負けた!!」
「ありがとうな」
「…?あぁ、別に礼言われるようなことしてねえ!」
「照れんなよ…俺さ、まだ自分らしいそんな奴になれないけど、頑張る。俺に宿った絆の光が、いつかまた応えてくれるまで」
「ま、頑張れよ!バカ遊矢!」
またバカって……バカバカ言うと慶太の方がバカなんだぜってな。
「遊矢、」
「…!托都!」
「……どうやら、もう立ち直ったな」
「うん、…でも、遊馬のデュエルディスクをいつまでもは……」
「それに関しては、問題ない」
「えっ…?」
問題ないって、まさか―――!!
「あの!!」
「……君は?」
「ルクシアです。私に、新型デュエルディスクを造らせてください」
「新型、デュエルディスク……!」
この女の子が俺のディスクを作るって…!?
「ホントに!?」
「はい!だから、お願いです…」
「…?」
「ヴェリタスを……おとうさんを、止めてください……!」
ヴェリタス!?
「それって、」
《そこまでだ。諸君》
「!!」
「誰だ!」
《ご紹介に預かろう。我が名はヴェリタス》
「ヴェリタス…!」
《風雅遊矢、堰櫂托都……君達を我が城へ招待しよう》
「…招待、と来たか。どうする遊矢」
「……ヒカル…」
「……おとうさん……」
城ってとこに、ヒカルは……。
「――――なら、」
行くしか、ないよな――!!
Next Answer→
==================
【あとがき】
今回の一言、「遊矢ご乱心シリーズ」
LS本編以上に情緒不安定な遊矢だったわけだけど、にしたって慶太がイケメンすぎる。狩也に立ち位置奪われたと思えない。
どうにもこうにもやっと遊矢がかっこよくなってきた。ボッコボコにされてからが遊矢の立ち回りの見せどころ。でも次回からのデュエルは遊矢のデュエルじゃないんだよなぁ…\(^o^)/
遊馬のデュエルディスクは最早遺産。どうしても展開上描写できなかったけど、魂は失ってもデュエルディスクやデッキがなくなったわけじゃない、つまり遊馬のデュエルディスクもDゲイザーも残ってる。
そう考えたらそれ使えばいいじゃんって言いたいけど、残念ながらDパットのディスクは旧型だから今じゃ使ってる人間の方が少ない。しかも遊矢は負けて遊馬のディスクを壊されるのは嫌がってる。ある意味まだネガティブってる。
そしてついに登場、ルクシアちゃん。ディスクを造ってくれる発言よりなんで托都と知り合いなのかを疑問にしなさい。といいつつまず過去の人間なんだよなぁ…とな。
んで最近で一番まともな会話してるヒカルさん、最近で一番まともな会話してる(重要)
会話は成立してるけど中身が落ち着かないのは問題があるよね。ヴェリタスの策が策に溺れてる感ある。
そんな次回はまたアレの出番だよ!中盤にかけてすごい活躍するおにーちゃん、というかこのデュエル1回書いたことあるよね?
【予告】
Answer.10「守るべきもの」
~~~
くぁーっ!久々に遊矢とデュエルしたぜ!!
アイツ、やっぱ強いよな。また鏡の言った通りになっちまったなぁ…。
もっと俺も頑張らねえと!!さぁ!次の相手はどいつだ!?
………えっ?もう俺のデュエルないの?
そんなぁ!??
~~~
【ある日の夕方…】
「ふぁぁ~」
「なんだ、寝不足か?」
「あ、うんそう……」
「お前が真面目に宿題をやっているとは思えない…理由はなんだ?」
「二言くらい余計だよな…単に、ほら遊矢が…」
「……そういうことか。心配で夜も眠れない、と」
「いや、そうじゃなくて…」
「じゃあなにが原因なんだ。はっきり言えよ」
「それがさ、夜様子見に行って、建物で迷子になっちまってさぁ!」
「………お前……」
「へ?なんか問題か?」
「まず夜ってなんだ!?昼間に行け!!」
「いやぁ寝付けなかったりしてないかなぁとか?」
「お前は母親か!?まず寝ているのに寝付けないもなんもねえよ!」
「えー?じゃあなにしろと」
「なにもすんな!!いいか!?昼間に行け!」
「お、おう…」
END
※深夜0時~5時までのコメントや読者登録はマナー違反です。おやめください。
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Answer.9「絆の光」
「…慶太……」
「あのさ、俺とデュエルしねーか?」
「デュエル……って、分かってるだろ。俺のデュエルディスクは…」
もう壊れてるし……。
「それに……」
「細けえこたぁいいんだよ!俺がデュエルしてえんだから!」
「………お前…」
デュエルしたいって…そんな無茶な……俺以外とデュエルすればいいのに。
今やったって、きっと……!
「なにビビってんだよ、らしくねえな」
「ッ…!ビビってねえよ!!」
「じゃあ面と向かって話しやがれ!いつまでもウジウジが許されると思ったら大間違いなんだよ!!」
「………」
「目が逸らしてえなら全部失敗してからにしろよ…まだ、なにも終わってねえ」
まだ、なにも…。
「…10分後に東棟の屋上で待ってる」
「慶太………」
まだ終わってない。…でも、俺にそんな手段は残されてない。
アーマードにも拒まれて、デュエルディスクも……。
こんなんじゃダメだって分かってても…俺は…!俺じゃ誰も救えないんだ……。
「遊矢、」
「…!カイト、さん……?」
「悩むお前に、プレゼントだ」
~~~
『人の身に余る奇跡など!!』
『アレは魔女だ!』
『ヴェリタスを殺せ!!』
『みんなどうして!?お父さんはみんなのために錬金術を―――!もう一度考え直して!』
『黙れ小娘!』
『邪悪なる者から産まれし悪魔に死を!』
『死を!』
『聖なる炎を!』
――これは誰の記憶なのだろう……。
――誰の……そうだ、これは与えられた『他者の記憶』
「……素晴らしい―――!」
「………」
「ミドガルドの扉は開かれた!よくやった、「我が子」よ…!」
「…命に従ったまでの事。次は……っ…!」
――……違う。これは俺のじゃない……
――じゃあ誰の……?誰の記憶なんだ…
「あらら…?」
「記憶共有の不全……」
「大事か」
「……いえ、問題は…」
「そうか…。ならば次は旧友と、再会といこうか」
「…旧友……?」
「あぁ、とっておきのサプライズだ。それまでは、眠るがいい」
~~~
「……」
ちょうど10分、か。
「待たせたな!」
「あー、確かに10分は自分で言っといて長かったぜ…覚悟は?」
ファイヤー
覚悟……そうだ、俺に今必要なもの。
でも、ただの言葉だけなら簡単なんだ、だから……。
「まだ分からない――だからこのデュエルで見つけたい!」
「………遊矢らしいな!でも、デュエルディスクがねえんじゃデュエルは―――それは…」
「……俺の魂が刻まれたディスクだ」
九十九遊馬が遺したモノは、俺とホープだけじゃない。
――――
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「カイト……さん…?」
「悩むお前にプレゼントだ。受け取れ」
「!これは……」
「遊馬がこの世に残したもの。使うならお前しかいない」
「カイトさん……」
「立ち上がって見せろ、遊矢」
――――――
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このデュエルディスクにこそ、遊馬の魂が宿ってる、魂が刻まれたこのディスクなら、戦える―――!!
「そっか、ならかかってこい!!」
「おう!!」
「デュエルディスク、セット!」
「Dゲイザーセット!!」
《ARヴィジョンリンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
「遊矢、一体どこに…!」
「あの怪我で遠くに行けるはずはない。ならば近くに…」
「でも!ここの広さは……きゃっ」
「わぁっ!」
「…おい………」
誰か…ぶつかっちゃった…?
前見てなかった私が悪いよね、…でも一体誰が…。
「お前……!」
「えっ……?」
「ご、ごめんなさい…!」
「いやっこちらこ……そ……?」
女の子……?
「……ルクシア」
「ルクシア……?」
この女の子の、名前なのかな…。
「………托都さん、ですね」
~~~
「先攻はもらうぜ!俺は《鎖鳥の騎士 ロータス》を召喚!ロータスは、手札の鎖鳥モンスター1体を墓地に送ることでデッキから鎖鳥モンスターを特殊召喚できる!来い!《鎖鳥の乙女 ラフレシア》!」
《ATK:1700/Level:4》
《ATK:0/Level:4》
レベル4のモンスターがこれで二体、来る…!!
「レベル4のロータスとラフレシアでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!《鎖鳥の霊獣 ロゼッタ》!!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》
「ロゼッタ……」
「更に、フィールド魔法《霊獣の里‐ロゼッタガーデン》を発動!」
慶太がフィールド魔法を!?なんて珍しいことしてんだコイツ……。
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド!さぁ遊矢のターンだ!」
《Hand:1》
「言われなくても…!!俺のターン、ドロー!!」
「この瞬間、ロゼッタガーデンの効果発動だ!」
「…!」
「ロゼッタガーデンがフィールドにある限り、相手はドローしたカードを公開!モンスターなら特殊召喚され、それ以外は墓地に送る」
つまり、どっちにもリスクを伴うギャンブル…俺が引いたのは……。
「《Ss-風切りのグライダー》だ!フィールド魔法の特殊召喚される!」
《ATK:1200/Level:4》
「ヘヘッ!永続罠《鎖鳥の結界》発動!相手のレベル5以下のモンスターの特殊召喚を無効にし、破壊!相手に400ポイントのダメージを与える!」
「なっ…!!」
それじゃあ、フィールド魔法の効果はあくまで俺がモンスターを特殊召喚するための誘発…!?
「慶太のクセに、よく考えてるな…」
《Yuya Life:3600》
「馬鹿にしすぎだぜ遊矢!」
あのカードがある限り、モンスターを特殊召喚できないことに変わりはない…モンスターエクシーズを出すためのモンスターが揃えられないんじゃ、俺に勝ち目なんてないんだ。
「俺は、モンスターを裏守備表示でセット!カードを2枚伏せてターンエンドだ!!」
《Hand:2》
「ってぇなんだよそれ!!もっと遊矢らしく攻めてこいよ!」
これは俺の覚悟を見つけるために始めたデュエル、簡単に負けるわけにいかない…!
だから耐えるしかない……!!
「くっそぉ……俺のターン、ドロー!俺は装備魔法《鎖鳥銃士の弓》をロゼッタに装備!行けロゼッタ!裏守備モンスターに攻撃!!」
「モンスターは《Ss-ワンダー・ガードナー》だ!」
《DEF:2000》
「でもな!《鎖鳥銃士の弓》を装備したモンスターが攻撃した時、貫通ダメージを与えることができるんだぜ!」
「くっ…!」
《Yuya Life:3100》
このままじゃ攻められるだけだ…!なんとかしないと…!
「俺はこれで、ターンエンド!」
《Hand:1》
「俺の、ターン!!」
「さぁ!ドローしたのはなんだ!」
「ドローしたのは、…《ウィンド・クリボー》…」
《Yuya Life:2700》
クッソ…!一体どうしたら……。
「……遊矢、」
「…なんだよ?突然」
「あの時、鏡に言われたんだよ。俺には遊矢と決定的な差があるって」
俺と慶太の、差……?
「俺、地味に痛感してたんだよ。遊矢だけじゃない、ヒカルさんやお前の兄貴、狩也もお前と同じ…いや、遊矢も知らないなにかがあるって」
「俺が知らない、なにか…」
「遊矢にそれが分かった時、きっとそれが胸の覚悟になるんだって思ってる」
俺の胸に宿る、覚悟……。
三人が持ってて、俺が持ってないなにか…。
ヒカルはいっつも誰かのために、自分がなにも感じられないくらい必死に戦ってた。
それは托都も同じ、命なんて振り切れる覚悟……狩也も。
でも、俺にそんなこと……自分を投げ出してまで誰かを守りたいなんて…思えてたかな。
確かに、仲間を思う心から俺が生まれてたかもしれない。……思うだけじゃ、なにも変わらない。それは鏡を倒して、今日この日まで全部……。
でも、それでも。
「…………」
「遊矢……」
「慶太、俺さ……やっぱり、そう思えないんだ」
「えっ?」
「俺の命がもし尽きて、それで今ヒカルを救えたら、嬉しいけどさ…きっとヒカルは悲しむと思うんだ。だから俺、三人みたいにはなれない」
でも、俺がいることで喜んでくれる仲間がいる、家族がいる。みんながいるから俺はここにいられる。
「だから俺、俺が俺でいるために、居場所になるために、戦うよ」
「……そっか」
「慶太、ありがとな!俺ちょっと頑張ってみる!ダメなら何度でも立ち上がって、踏み潰されたって這いつくばってでも!!それが、遊馬のかっとビング!俺が選んだ答えだ!!」
「…まっ、バカな遊矢らしい答えだな!」
「バカにバカって言われたくねーぜ!」
「お互い様ってことだな!でも遊矢、この逆境、どうする!」
確かにヤバイのに変わりはないさ、だから…。
「俺はこれでターンエンドだぜ!」
《Hand:2》
「なら、サクッと勝たせてもらうぜ!ドロー!俺は、魔法カード《オーバーレイ・グラデーション》を発動!自分フィールドのモンスターエクシーズ1体を選択しエクストラデッキに戻す!これによって、同じランクのモンスターエクシーズを代わりにフィールドに呼び出すことができる!」
つ、つまりモンスタートレード…?
でも慶太のランク4エクシーズって、……まさか!!
「俺はロゼッタをエクストラデッキに戻し、コイツを特殊召喚だ!光溢れる太陽の彼方、今こそ風を照らせ!エクシーズ召喚!《鎖鳥の零剣士 サンフラウ》!」
《ATK:2400/Rank:4/ORU:2》
「も、もしかして…」
「サンフラウは、オーバーレイユニットを1つ使い、相手の墓地のモンスター1体を装備、その攻撃力か守備力分攻撃力をアップできる!俺はワンダー・ガードナーの守備力を選択!」
《ATK:4400/ORU:1》
攻撃力4400!?
まずい、このままじゃ―――!!
「行けえ!サンフラウで、遊矢にダイレクトアタックだ!!」
「見つけた!!」
「あ、あれ…!」
「遊矢…?」
~~~
「マスター、」
「……どうした、プロム」
「先刻の記憶共有の不全についてなのですが」
「あぁ…事がうまくいかないようか?」
「ええ、レーヴァテインに支配され、記憶を書き換えてなおあの力……マスターの力添えが必要かと」
「いや、その必要はない」
「と、言いますと?」
「……彼には、絶望を身をもって味わってもらおうではないか。楽しくなってきたぞ、プロム」
「………ええ、マスター」
~~~
「決まった……?」
「いや……まだ決まってないぜ!」
《Yuya Life:500》
「ライフが!」
危なかったぜ、間一髪だな!
「ダイレクトアタックを受けた時、罠カード《向かい風》を発動してたんだ!向かい風は、墓地に存在する風属性モンスターを二体除外することで、ダイレクトアタックのダメージを半分にできる!」
「もしかして、デュエル中!?」
「そうか…早い奴め」
これでライフは繋いだ、次のターンで決めないと……。
「さすがだな!ターンエンド!」
《Hand:1》
「俺のターン……」
みんなと共にある覚悟。この逆境を切り抜ける力……。
ヒカル、力貸してくれよな…!
「あぁ、貸してやるさ」
「―――――!ドロー!!」
………、来た!!
「ドローカードは……」
「引いたのは、《Ss-影縫いのクラウド》だ!」
《Yuya Life:100》
「ライフが!!」
「いや、」
クラウドの効果は墓地に送られてこそ!!条件が揃った!
「クラウドの効果発動!!このモンスターが墓地に送られた時、相手の魔法・罠を2枚まで破壊することができる!」
「!ロゼッタガーデンと《鎖鳥の結界》が!!」
「これで俺は特殊召喚が使える!罠発動!《ダブルブラスターサモン》!モンスターを効果で破壊されたターン、デッキからレベル4以下のモンスターを二体特殊召喚できる!来い!《Ss-ブラスト・ファイター》!《Ss-シュート・ブレイブ》!」
《ATK:1500/Level:4》
《ATK:1600/Level:4》
これで、やっとレベル4が揃った!!
さぁいくぜ!
「レベル4のブラスト・ファイターとシュート・ブレイブでオーバーレイ!!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!現れろ《Ss-エア・ストリームソード》!!」
《ATK:2100/Rank:4/ORU:2》
「ありゃー……来ちゃったよ」
「そして進化しろ!来い!《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》!」
《ATK:2500/Rank:4/ORU:3》
ホープ・オブ・ソード……この前はごめんな、でも次からは―――!!
「ホープ・オブ・ソードの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスター1体を選択。攻撃力1000ポイントにつき攻撃力を800アップさせる!」
《ATK:4100/ORU:2》
「攻撃力4100!でもギリギリ届かねえ!」
「まだだ!墓地のブラスト・ファイターの効果発動!モンスターエクシーズがバトルする時、相手の攻撃力を下回っていた場合、相手モンスターの攻撃力を0にする!!」
《ATK:0》
「………そうだな、さぁこいよ!遊矢!」
「ホープ・オブ・ソードで、サンフラウに攻撃!!シューティングスターブレード!!」
「っ、うぁああああっ!」
《Keita Life:0》
《WIN:風雅遊矢》
………勝った、終わった……?
「慶太、」
「あーぁ!また負けた!!」
「ありがとうな」
「…?あぁ、別に礼言われるようなことしてねえ!」
「照れんなよ…俺さ、まだ自分らしいそんな奴になれないけど、頑張る。俺に宿った絆の光が、いつかまた応えてくれるまで」
「ま、頑張れよ!バカ遊矢!」
またバカって……バカバカ言うと慶太の方がバカなんだぜってな。
「遊矢、」
「…!托都!」
「……どうやら、もう立ち直ったな」
「うん、…でも、遊馬のデュエルディスクをいつまでもは……」
「それに関しては、問題ない」
「えっ…?」
問題ないって、まさか―――!!
「あの!!」
「……君は?」
「ルクシアです。私に、新型デュエルディスクを造らせてください」
「新型、デュエルディスク……!」
この女の子が俺のディスクを作るって…!?
「ホントに!?」
「はい!だから、お願いです…」
「…?」
「ヴェリタスを……おとうさんを、止めてください……!」
ヴェリタス!?
「それって、」
《そこまでだ。諸君》
「!!」
「誰だ!」
《ご紹介に預かろう。我が名はヴェリタス》
「ヴェリタス…!」
《風雅遊矢、堰櫂托都……君達を我が城へ招待しよう》
「…招待、と来たか。どうする遊矢」
「……ヒカル…」
「……おとうさん……」
城ってとこに、ヒカルは……。
「――――なら、」
行くしか、ないよな――!!
Next Answer→
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【あとがき】
今回の一言、「遊矢ご乱心シリーズ」
LS本編以上に情緒不安定な遊矢だったわけだけど、にしたって慶太がイケメンすぎる。狩也に立ち位置奪われたと思えない。
どうにもこうにもやっと遊矢がかっこよくなってきた。ボッコボコにされてからが遊矢の立ち回りの見せどころ。でも次回からのデュエルは遊矢のデュエルじゃないんだよなぁ…\(^o^)/
遊馬のデュエルディスクは最早遺産。どうしても展開上描写できなかったけど、魂は失ってもデュエルディスクやデッキがなくなったわけじゃない、つまり遊馬のデュエルディスクもDゲイザーも残ってる。
そう考えたらそれ使えばいいじゃんって言いたいけど、残念ながらDパットのディスクは旧型だから今じゃ使ってる人間の方が少ない。しかも遊矢は負けて遊馬のディスクを壊されるのは嫌がってる。ある意味まだネガティブってる。
そしてついに登場、ルクシアちゃん。ディスクを造ってくれる発言よりなんで托都と知り合いなのかを疑問にしなさい。といいつつまず過去の人間なんだよなぁ…とな。
んで最近で一番まともな会話してるヒカルさん、最近で一番まともな会話してる(重要)
会話は成立してるけど中身が落ち着かないのは問題があるよね。ヴェリタスの策が策に溺れてる感ある。
そんな次回はまたアレの出番だよ!中盤にかけてすごい活躍するおにーちゃん、というかこのデュエル1回書いたことあるよね?
【予告】
Answer.10「守るべきもの」
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くぁーっ!久々に遊矢とデュエルしたぜ!!
アイツ、やっぱ強いよな。また鏡の言った通りになっちまったなぁ…。
もっと俺も頑張らねえと!!さぁ!次の相手はどいつだ!?
………えっ?もう俺のデュエルないの?
そんなぁ!??
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【ある日の夕方…】
「ふぁぁ~」
「なんだ、寝不足か?」
「あ、うんそう……」
「お前が真面目に宿題をやっているとは思えない…理由はなんだ?」
「二言くらい余計だよな…単に、ほら遊矢が…」
「……そういうことか。心配で夜も眠れない、と」
「いや、そうじゃなくて…」
「じゃあなにが原因なんだ。はっきり言えよ」
「それがさ、夜様子見に行って、建物で迷子になっちまってさぁ!」
「………お前……」
「へ?なんか問題か?」
「まず夜ってなんだ!?昼間に行け!!」
「いやぁ寝付けなかったりしてないかなぁとか?」
「お前は母親か!?まず寝ているのに寝付けないもなんもねえよ!」
「えー?じゃあなにしろと」
「なにもすんな!!いいか!?昼間に行け!」
「お、おう…」
END