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Answer.5「灼熱の対価」




「さて、いつから付け回ってやがった?」

「貴方達が建物を出た辺りから、ですね」

「ご苦労なことだな。それになんの意味があるかは知らないが、俺の仲間に手出しはさせねえ、ここで止めてやる」

「デカいことを言うなら誰にでもできます、それを行動に生かしてみることだ」

言ってくれるなコイツ……、間違ったことは言っていないか…なら…!!

やるだけやるしかない、そうだろ遊矢。

奴が遊矢の言っていた人形で間違いないはず、油断してかかればあの人みたいに……―――考えただけでゾッとするな……。
まぁ、そんな簡単にはやられたりする気はないがな。

「さぁ、始めましょうか」

「良いだろう、受けてたつ!」

負けることは許されない…もう、絶対に…!


~~~


「くっそ…!」

二人とも、どこに…!?
Dセンサーの電波はおかしくなってるし、こんなんじゃしらみ潰しで見るしかねえじゃん!!

《PPPPP》
「ん?誰だよこんな時に……―――えっ!?」


~~~


「「デュエル!!」」

「先攻はもらうぞ!俺は手札から、魔法カード《ビッグバンフュージョン》を発動!デッキから決められた素材のモンスターを墓地に送り、エクストラデッキからその融合モンスターを除外することで、除外した融合モンスターのレベルよりランクが低いモンスターを特殊召喚できる!」

「融合モンスターをコストに、モンスターエクシーズを…」

デッキの《コスモ・ナイト ラムダ》と《コスモ・ナイト デルタ》を墓地に送ったことで除外できる融合モンスター《コスモ・ツインブレーダー プリズマソード》のレベルは9、つまりランク9より下のモンスターを呼び出せる…。

「俺はデッキから《コスモ・ナイト ラムダ》とデルタを墓地に、エクストラデッキからレベル9の《コスモ・ツインブレーダー プリズマソード》を除外!」

「…来ますか」

「現れろ!奮い立つ灼熱の竜《太陽眼の炎神竜(ソレイユアイズアポロンドラゴン)》!!」
《ATK:3500/Rank:8/ORU:0》

負けられないんだ、俺は…!
太陽眼……アイツの誇りにかけて、俺が絶対に勝つ!

「カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
《Hand:3》

「私のターン、ドロー。私は《ソウル・アダマン プロテクトヴィーナス》を召喚」
《ATK:0/Level:2》

攻撃力0のモンスターを攻撃表示で……なにを狙ってる…?

「更に、フィールド魔法《地底帝国-ヘルヘイム》を発動!」

「フィールド魔法……」

「この居城を落とさない限り、君に勝ち目はありません。なにせ、「彼」はこの城を落とせませんでしたからね」

「彼…?」

遊矢……違う、遊矢がデュエルしたのは炎属性モンスターを使うとか言っていた。じゃあ、……あの人が…?

……そうか、だったら尚更――――、

「その城は俺が落とさなきゃならないな」

「ほう…?」

俺だってもう子供じゃない、あんな人に遊矢を任せられるかっての。

「ならば、落としてみせなさい!私は君に期待しよう!プロテクトヴィーナスで太陽眼に攻撃!」

「させるか!罠発動!《コズミックプレート》!!相手モンスターの攻撃を無効にし、デッキから光属性レベル8のモンスター1体を墓地に送る!」

「なるほど、プロテクトヴィーナスの攻撃をあえて……私はこれでターンエンドです。ヘルヘイムの維持コストとして、デッキからカードを二枚墓地に送ります」
《Hand:4》

明らかに攻撃しろさせろと言わんばかりに…!

「狩也くん!!」

「…!アミか!?」

「…あれって……!」

「お友達がついてきましたか」

「っ……」

誰かを背にして戦うのは苦手なんだよ…。

「…良いでしょう。君の次は、そこの彼女のデュエルディスクを破壊するまでのこと」

「それは無理だな」

「何故…?」

「俺は負けないからな」

アミを守れなきゃ遊矢に顔向けできねえからな、それこそ、絶対に負けられない境地に自分を追い込める…!!

「アミ!」

「あ、え、なに!!」

「…逃げるなら、今のうちだぜ」

「え…?」

「お前が遊矢のところに戻るくらいの時間は稼いでやる!お前を守れなくちゃ俺も、デュエリスト失格なんでな!」

あの日、雪那を守れなかったんだ、だからせめて…今こそは!!

「逃げないよ!」

「!」

「狩也くんが負けるって思ってない!でも、もしそうなったら、私が狩也くんを守るから!」

な、―――なに言ってるんだ…。

「遊矢だけじゃない…狩也くんだって仲間だから、私は逃げない!狩也くんを守る!」

「…ッ…!」

「おや?君の意図とはどうやらずれたようですね」

「うるせえ…!」

だったらやれるだけ、やるだけだ!!

「俺のターン!!…!」

来た…!!これなら、未だに効果の知れないヘルヘイムを崩せるはず…。

「俺は魔法カード《オーバーレイ・ドライブ》を発動!フィールドに、ランク5以上のモンスターエクシーズが存在する時、手札を1枚墓地に送り、そのランクと同じランクのモンスターエクシーズをエクストラデッキから特殊召喚できる!」

「太陽眼のランクは8、つまり」

「そうだ!来い!逆巻く時空の覇者!《No.107 銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズタキオンドラゴン)》!!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:1》

効果を発動した《オーバーレイ・ドライブ》は特殊召喚されたモンスターエクシーズのオーバーレイユニットになる。
これで準備は整った!!

「永続魔法《竜骨の呪柱》を発動!フィールドにドラゴン族モンスターが2体以上存在する時、相手のフィールドの魔法・罠の効果を無効にできる!俺が選択するのはもちろん、ヘルヘイムだ!」

これでなにがあっても、効果は発動できない…!

「行け!時空竜でプロテクトヴィーナスを攻撃!!」

「(時空竜の効果では、プロテクトヴィーナスの効果も使えないですね……いやはや、考え込まれている)」

「殲滅のタキオンスパイラル!」

「ぐぁっ!!」
《Terra Life:1000》

「すごい!これなら!!」

時空竜の効果を恐れて効果を使わなかった…!!なら、これで終わりだ!

「行け!!《太陽眼の炎神竜》でダイレクトアタック!灼熱の、フレアストリーム!!」

「これが決まれば狩也くんの勝ち!!」

「…ですが、やはり幼稚だ」

「なにっ…!?」

「私はこの瞬間、ヘルヘイムの効果を発動する!」

「!?」

無効化されているはずの効果を発動だと!?なにを言っているコイツは!!

「プロテクトヴィーナスは破壊された時、その効果によりゲームから除外することでこのターン発動したカードの効果を1つだけなかったことにできる」

「つまり、」
「《竜骨の呪柱》の効果を、無効に!?」

「そうだ、そしてヘルヘイムは!戦闘する相手モンスターのコントロールを奪い、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

「なんだと!?」

「太陽眼はいただこう、まぁ奪ったモンスターで攻撃はできないが…」

「くっ…!!」

時空竜を破壊されたことで俺のモンスターは全滅、しかもおまけに太陽眼は向こうのフィールド…!
ふざけんじゃねえよ、これが遊矢たちの相手にした敵だっていうのか!!

「そしてヘルヘイムが発動したターン、相手は伏せカードをセットすることができない!」

「そんな!!」

「くそっ…!」

手札にモンスターカードはない、だがライフはまだ4000、これなら…。

「ターン、エンドだ…!」
《Hand:1》

「その場しのぎもできないか、期待はずれでしたね。なら君もここまでだ」

「攻撃のできない太陽眼で、どうするつもりだ」

「高を括っているからこそ、勝機を逃す!私のターン!」

まだだ、諦めてなるものか…!

「私はヘルヘイムの更なる効果を発動!このカードの効果でコントロールを奪ったモンスターとこのカードを素材に、《魂土獣 ニーズヘッグ》を特殊召喚する」

「ニーズヘッグ……」

「古の大樹により産まれし魔獣よ、今現世に出でてその牙で光を討て!現れろ!《魂土獣 ニーズヘッグ》!」
《ATK:3000/Level:8》

あれが、奴のエースモンスター…。

「ニーズヘッグは相手の手札1枚を選択し、そのカードを墓地に送る効果がある、さぁ墓地に送るといい」

「四方八方塞ごうっていうことか、だが、攻撃力3000では俺に届かないな!」

「甘い考えだ」

「なに…!」

「ニーズヘッグは徐々に君のライフを蝕んでいるのだ、大樹の根をかじるように」

「なにを言って…!!」

「さぁ時間だ!ニーズヘッグ、ダイレクトアタック!!」

例え話で俺を動揺させようなんて、驚くかよ!

「ニーズヘッグはダイレクトアタック時、君のライフポイントの半分、攻撃力がアップする!」

「なに!?」

「言っただろう!大樹の根をかじるように、蝕んでいると!!」

《ATK:5000》

そんなバカな…!?

「狩也くん!!」

「…ッ……くそ…!」

「終わりだ、シュヴァルツメテオストリーム!!」

「くっ!!」

こんなところで、また負けるのか…!
結局なにも、あの頃から変われないまま――――、

「っあぁああああ!!」
《Kaliya Life:0》

「狩也くん!!っ…!きゃああっ!!」

「…く、…!!アミ!」

「きゃぁぁああ!!」



―――遊矢、


「っ……!」
「ふっ…」


―――遊矢…!


―――やだよ、遊矢、私――、守りたいよ、なのに…!

「遊矢ぁあああっ!!」








「っ―――!!」





―――遊、矢……ごめんね。





―――――!!!





「…………?」
「―――、」
「ゆう、や…!?」
「…やっと見つけたぜ、アミ」
「…遊矢ぁ!!」



「やっと来ましたか」




あぁ、やっと来たぜ。



「勝負だ、テラ!!」










→Next Answer

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【あとがき】

今回の一言「それにしてもこの人形、ノリノリである」。
狩也不遇伝説がまた一つ産まれてしまった、訴訟。許してヒヤシンス\(^o^)/

このラストはアミちゃん濡れ濡れですわこれ……ライバルと違ってイケメンの方に目覚めた遊矢GJ
なんでや!ヒカルイケメンやろ!!
分かりづらいんでなにがあったかと解説すると、ニーズヘッグの攻撃の爆風でアミちゃんがぶっ飛んで階下まで落ちていったのを遊矢が「お姫様だっこ」で救出した感じです。お姫様だっこイメージ描いてるから待ってね。
連絡を取りあってた相手が誰なのか、なんで遊矢が場所を特定できたのかは、次回からの二話間で語られます。
テラさん興奮すると敬語が抜けるタイプだったかー、ダメだこりゃ。
ニーズヘッグは北欧神話で世界樹の根をかじっている蛇です、なので大樹の根をかじるようにっていう。地底的なイメージでテラのモンスターになっちゃったよ…。
狩也が負けすぎて辛い、本来ならもっと優遇されて然るべきのはずが何故かこんなことになってしまった。許してヒヤシンry
決して彼が嫌いなわけじゃないし嫌いだったら新規で服を描くわけがない。
さぁ、次回はどうなるか……。


【予告】
Answer.6「大地の力」





~~~



ゆ、遊矢のお姫様だっこ!?しかも私が!?

だって今までそんなに恋とかそういう絡みなかったのにどういうことなの…。

今更カップルみたいな扱いされても、私は知らないんから…!!

…え?遊矢は気にしてない……?むしろお姫様だっこはヒカルさんで慣れてる?

え、えー……。



~~~

【物語が始まる少し前2 ロンドンにて】


「…………、……」

ロンドンに滞在して1週間……日本は今どうなんだろうか。

プロデュエリストがこうもキツいなんて、俺もまだまだ甘いってことなのか。
ちゃんと自覚をもって行動しなくちゃな。

《PPPPPPPP》
「!はい、朽祈です!」
《ブッ…!!》
「………切るぞ」
《あー待って!!まだ用件はブツッ》

「……」

まだ、自覚が足りないのか……。

《PPPPPPPPPPP》
「!なんだ!!」
《はうぅ……お兄ちゃん……》
「ヒカリか…!?」

しまった、やってしまった!

《忙しいんだよね!ごめんなさい!》
「ちがっ、え、待って!」
《ブツッ》

…………。

「やってしまったぁ……」

「なにがあったんだ、ヒカルは」
「放っておけ、やたら面白そうだ」
「そ、そうか」

「う…ぐすん……」



END