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【遊戯王Lighting skyーA.Vision】




世界を揺るがした鏡の闇と少年の夢を利用した破壊者の野望を食い止めた遊矢達。


そこから帰還し平和な生活を送り続ける中、世界各国でデュエルディスクが次々に破壊される事件が起きる。


デュエルディスクを狙う謎の敵と遊矢そっくりの少女―――。


世界は反転した。




遊戯王Lighting sky:全145話
遊戯王Lighting sky-A.Vision:全25話



【Characters】



◆風雅 遊矢

神話の装甲をその身に宿す「風」の少年。
ちょっと冷めているが持ち前の明るい性格で周りの仲間達に元気や活力を与えている。
現在はハートランドの平和を守るため日夜違法デュエルの取り締まりに励んでいる。
遊馬の「仲間を想う力」から産まれた特異な存在だったが、後に遊馬の魂と肉体を宿し、人間として存在を得た。

使用デッキ→【Ss(スカイソニッカー)】【Zs(ゼアルソニッカー)】

「俺さ、やっぱありのままに戦うことにしたんだ!」


◆朽祈 ヒカル

救世の装甲を宿した「星」を司る青年。
クールでいつも斜に構えたように見えるが、実際は優しくとても感情豊かな明るい人物。
推薦によってプロデュエリストとなり、若き強者として大人から子供まで大人気。
「覚醒体」と呼ばれる謎の人格らしきものを宿していて、本人すら全く知らない問題らしくいまだに正体不明。

使用デッキ→【カオス・パージ】【ギャラクシー】

「強くなりたい、みんなを守れるくらい強く―――」


◆堰櫂 托都

異界人と人間の間に産まれた「闇」の子。
基本的には無口で冷静沈着だが、遊矢たちの危機には駆けつける仲間思いな一面も持つ。
トラウマから父親を始めとした「親」という存在がなによりの天敵にして弱点。
バリアンの神の子として産まれ、苦難に満ちた人生の最中で一度は命を落とすが、奇しくも「父」の力で復活を果たした。

使用デッキ→【ネクロスフィア】【機械天使】

「結局、俺はこのカードを使うことになるわけだ」


◆孤鈴 アミ

遊矢をいつも支え続ける「蝶」の少女。
明るく心配症で、遊矢をいじったりしつつ実は気にかけている。

「しっかりしなさいよ遊矢!」


◆岸岬 狩也

遊矢を幼少から知る「宇宙」の少年。
生意気で大人っぽい性格だが、根は情熱的で仲間思い

「しかし、デュエルディスクを壊してなんの意味が…」


◆高山 慶太

遊矢の幼馴染である「花」の少年。
気楽でおちゃらけた性格と裏腹に真面目な一面も。

「せっかくの夏休みが台無しだっつーのー」


◆刹那川 雪那

遊矢の幼少からの友である「雪」の少女。
優しくて温厚、誰かを包むような暖かい少女でもある。

「皆さん、優しい方々なんですね」



◆エース

突如現れた遊矢にそっくりの謎の少女。
ボーッとしながらも飄々としていて男勝り。ヒカル曰く「遊矢と鏡を合わせたような奴」らしい。
いつも棒キャンディを舐めていて、相手すらもナメているように見えるが、実際はとても強力なカードを使う実力者にしてアーマードの使い手。

使用デッキ→【Bs(バーストソニッカー)】

「甘ったるいのはキャンディーだけで十分なんだよ!!」



◆プロム・アブレーション

四大元素の「炎」を司るソウルドールズの一人。
狡猾で頭の切れるリーダー的な存在。情報収集から実戦まであらゆる行動をこなし、事件に暗躍する。

使用デッキ→【ソウル・プロミネンス】

「奇跡は二度も起こらない、その身に刻むがいい」


◆ヘイル・フィンブル

四大元素の「水」を司るソウルドールズの一人。
ソウルドールズの紅一点で、普段は上品だが残忍かつ執着心の強い一面を垣間見せている。

使用デッキ→【ソウル・コキュートス】

「気にくわないの!なんなのアイツ!」


◆テラ・マグナ

四大元素の「土」を司るソウルドールズの一人。
礼儀正しく優雅ではあるが、デュエルになると相手を完膚なきまでに叩きのめす要注意人物。

使用デッキ→【ソウル・アダマン】

「邪魔な暗闇には、早めに退場していただきます」


◆アニマ・ベントゥス

四大元素の「風」を司るソウルドールズの一人。
邪神・鏡の体液から造られ、その性格はまさに好戦的な鏡そのもの。強力な力を持ち襲いかかる。

使用デッキ→【ソウル・エアロ】

「色々わけわかんねーからぶっ潰す!」


◆ヴェリタス

ソウルドールズを率いて、万能の宝玉「賢者の石」を手に入れ最終戦争「ラグナロク」を引き起こすために遊矢達と対立する。
錬金術や魔術を使う術師。デュエルディスクのエネルギーで「未完の聖杯」を創り、賢者の石を手に入れようと企て、その計画のためならば犠牲は厭わない。
また、ソウルドールズとは別にホムンクルスのような人間を造り出そうとしている。

「私だけが正しく、私だけが生きる世界こそ、美しく儚い世界の在り方とは思わんか?」




◆ルクシア

遊矢やヒカルの夢に登場する少女。
ヴェリタスに似た男性を父と呼び慕っている錬金術師の見習い。
心優しく、行動力が高い活発な性格。
どうやら異端者狩りによって火炙りにされてしまったようだが…?

「私ね、お父さんに錬金術を学ぶのが楽しいの!」




【Keyword】



◇アーマード

「装甲」と呼称される世界を未来へ導く希望の力。
遊矢やヒカルの思いや意思によってアーマード化する際の能力は変化し、希望を持つならば光を、絶望を持つならば破滅をも与える。
遊矢が使用するアーマードは英雄・ゼアルとの融合を果たした「希望の装甲」。ヒカルが使用するアーマードは救世神オルフェウスの力を持つ「救世の装甲」。
▽3話
現在、エースもアーマードを使うことが可能で、エースの使用するアーマードは永久と魔術を意味する「永久の装甲」。尚、何故使用できるかは不明。
▽25話
始まりのアーマードは「雷光」、そして強さと共に失われた雷光は人々の希望と願いをもって再び降臨した。つまり、A.VisionとはAgain(再び)なのである。


混沌の刻印

托都の左腕に刻まれているカオスの存在の証だが、大部分が闇に侵食されている。
主にデュエルディスクやデュエル時の刻印を使用する際に発動し、その他本人の意思によっては攻撃手段等にもなりうる。
元々ドン・サウザンドの力が宿ったものだったがグレンの乗っ取りにあった際と托都の本質によって闇の力に還元されるものに変化した。
▽8話
一度はテラによって破壊されたものの、ドン・サウザンドの助力により新たに刻まれた。
また、長期に渡るコントロールの不能による魂の消滅を考慮し、バリアン本来の力が発揮できるものではなく、デュエルディスク本体も現在では携帯する形になっている。
▽13話
本来の力を発揮できずにいるため、デュエル以外の異能力に対する精神的な負荷は以前よりも高い。
バリアンの力は「誰かを守るための力」ではないため、無理を強いている托都のやり方は身体に大きな影響を及ぼしている。


◆レーヴァテイン

北欧神話においてロキが鍛え、女巨人シンモラが管理していたとされる剣。
「害をなす杖」「裏切りにみてる枝」の意を持ち、ヴェリタスの錬金術においては裏切りを促す力を持つ。
レーヴァテインの欠片を用いて、ヴェリタスが造り出した髪飾りは身に付けた人物の精神や心に干渉し、破壊していくものとなっている。
誰彼問わず触れた者の心を壊す代物だが、心を持たない者には効力がない。また、レーヴァテインの欠片が破損すれば効力を完全に失う。


◇ソウルドールズ

ヴェリタスが率いる四大元素を元とした集団。
人形に魂を宿らせることで稼働し、ヴェリタスの命令で動く。
それぞれが個性を持ち、また、人間の一部から造ることでその性格や容姿を複製することも可能。
▽18話
プロムのみがヴェリタスとルクシアと共に平和な時間を過ごした個体として存在し、他は最近になって造られたもの。
▽20話
ソウルコアと呼ばれるもので稼働するため、バックアップが用意されている。裏を返せば、ソウルコアの供給がなくなることでソウルドールは停止する。
ヒカルはヴェリタスの記憶からこれを紐解いてプロムのコアを奪取した。


◇異端者狩り

15世紀から18世紀にかけてヨーロッパを中心に発生した社会現象である別名「魔女狩り」。
こちらは小規模な町で起きた一種の事件であり、魔術を扱うとされた町外れの家に住む男性を対象に行われたが、処刑されたのは13歳の少女だったと云われている。
▽25話
ルクシア火炙りの真実は、町で難病にかかった少年に、万病に効くと言われる霊薬をヴェリタスが譲り渡した事が始まりであった。
霊薬の存在や、様々な善意による行為は次第に町の人々に不安を与えていくこととなっていく。
ルクシアは父を守るため人々を説得するも、その願いは叶わぬまま処刑されたのだった。
微かな希望を与えたことで裏切られ、奇跡に近い存在だったがゆえに絶望していくこととなった。


◇魔城・ニヴルヘイム

ヴェリタスが拠点とする異世界に鎮座した煉獄の魔城。
そのものが巨大な兵器として稼働し、世界を滅すために存在している。
異端能力を排除する電波を放ち、遊矢やヒカルのアーマード化を不可能にすることもできるなど、その技術は錬金術の一言で片付けられるものではない。
▽18話
空を割り、人間界に顕現したニヴルヘイムは、人間の闇を体現した存在。
ハートランド上空にありながらも世界中の人々がその目から捉えられ、地上に落下することで視覚的に人間を殺す装置として起動する。


◇ミドガルドの扉

人間界とニヴルヘイムを別ける境界の扉。
ここを開けることでニヴルヘイムは人間界に侵攻できるのだが、ヴェリタスや魂の人形には開けるどころか触れることもできない。
▽8話
救世の装甲によって扉は開かれ、人間界との境界がなくなった現在、ヴェリタスの侵攻も日に日に迫っている。


◇未完の聖杯

人の叡智と神の遺伝子によって起動する半人工の聖杯。
万能である完成された聖杯とは違い、万能であるが故に欠陥を持ち、その欠陥がどういった力を及ぼすかは分からない。
ヴェリタスは未完の聖杯を用いて賢者の石を作り出し、その時発生した欠陥でラグナロクを引き起こそうとしている。
▽11話
ヴェリタスが求めた完璧な未完の聖杯は一度はその手に堕ちたものの、その力は強大かつ矛盾した輝きである。
二人の呼び掛けによって目覚めたヒカル、胸の内の聖杯への道は閉じてしまった。
▽12話
人間の中に存在する未完の聖杯は核として存在し、肉体が失われることでその存在を失うこととなる。
アーマードの加護で守られたヒカルのみが例外であり、肉体を損なうことなく未完の聖杯を扱うことが可能。
▽20話
ルクシアも未完の聖杯を保有することが判明し、ホムンクルスという存在を生かし、複製することで未完の聖杯を扱うことができると踏むも、ヒカルと托都によって城は失われ、ホムンクルス素体は焼失した。
▽25話
未完の聖杯の真の正体、それは魂を受け止めるもの。
ルクシアの魂をホムンクルスが受け入れたのは、ルクシア本人が持っていた未完の聖杯をホムンクルスに与えたことで自我を得たホムンクルスとルクシアの思いが通じたことから始まった。
中枢核と共にルクシアの聖杯は失われ、死を目前としたルクシアに対し、ヒカルは未完の聖杯を与え、魂の受け皿として機能したことでルクシアは三度生を受ける。
結果、未完の聖杯はヒカルから失われ、世界から消滅した。


◆心と装甲

アーマードとは、自身の魂と信じる心を一つとした不可視存在を具現化したものであり、その心が迷いを抱えたならばアーマードが応えることはない。
遊矢とヒカルはそれぞれ1度ずつアーマードの発現ができなかった経験がある。
ヒカルの場合は、とある隷属の呪いで肉体的にも精神的にも疲弊した状態だったため、アーマードを扱うほどの精神力がなかった。
遊矢の場合は、大切な仲間と勝利を天秤にかけられどちらに対しても迷いが生じたため、アーマード自体が拒否した。
▽25話
上記2つは全く別の問題であるが、深刻なのは遊矢の方である。
アーマードを扱えないと心の底では恐怖していた遊矢は、人々の希望の暖かさに包まれ、ついにその剣を抜くのだった。


◆遊馬のデュエルディスク

文字通り、九十九遊馬が所有していたDパット。
遊矢と一つとなったことでその肉体を失うが、数々の物品が九十九家をはじめハートランド内で保管されている。
デュエルディスクだけではない。ガラクタに埋もれたデッキと皇の鍵、遊矢が憧れた伝説のデュエリストの魂は今もハートランドに在り続けている。


◆ホムンクルス

錬金術より産み落とされる人の姿をした泥人形。
ヴェリタスによって造られたルクシアの姿をしたホムンクルスの数は想像を上回る数であり、全ての失敗作にルクシアの「死までの記憶」がインストールされている。
▽20話
失敗作として放置されたホムンクルス素体たちは自我を持たないわけではない。
ホムンクルスたちの願いは「ヴェリタスの救済」。そのために自分達を殺せと言ったホムンクルスにヒカルたちは願いを聞き届けた。
燃え尽きたホムンクルスたちの感謝の言葉は泣き崩れたヒカルの胸に突き刺さっている。


◆記憶共有術

他人に持ちうる記憶を共有し、記憶の循環やリンクを行う魔術の一種。
ホムンクルスにはこれらの魔術が用いられ、ヒカルもこの方法でルクシアの記憶を得ているが、大半は失敗もしくは不調を起こす。
自身の記憶ではないが自身のものと無理矢理認識させるため、その反動は計り知れない。
▽25話
ヴェリタスは魔術にも精通した奇跡の代行者だった。
プロムには為せないものだったがために記憶を共有することができず、記憶障害を患ったヴェリタスの記憶は、いつかヒカルが分け与えられたものだけとなっていた。
  

◆フリューゲルアーツ

ルクシアが造り上げた三つの決戦用技法。
理解・分解・再構築を掲げ、3つのモードを操る翼の力。
心の闇を受け入れる黒化(ニグレド)フォーム、罪を認め背負い歩む白化(アルベド)フォーム、心に秘めた想いを具現化した赤化(ルベド)フォームを持つ。
また、托都のみが元々闇である黒化を保有しているため、初期状態から白化が可能。
▽25話
人々の救いへの願いと希望が集束し、遊矢の魂に秘められた遊馬としての希望が共鳴し、限界を越えた名も無き4つ目のフォームを解き放つ。
黄金に輝く希望のアーマードは錬金術の最終極致とも言えよう。


◆朽祈夜月

朽祈家の女性、ヒカルの母・明美の妹にあたる人物。享年28歳。
若くしてセキュリティの潜入捜査班に配属された期待の新人であり、普段は記者という表の顔で立場を隠している。
裏表のないさっぱりした性格で、20歳の時に捨てられた托都を保護した。
8年間托都を育てていた「姉」であり、時に厳しく時に優しく普段はガサツに見せていた。
余談だが、托都の住む家は元々夜月の自宅であり、バイクも夜月の持ち物である。
また、夜月のその性格の一部や生活環境は托都へ受け継がれているため、やはり部屋は汚い。
托都曰く、「ヒカルは夜月似」とのこと。
▽13話
彼女の死までの過程は悲惨を極める。
托都と共に天之御崎へ向かう道中に衝突事故を起こし、大怪我をしながらも托都を守ったがグレンの闇の波動で覚醒した托都に致命傷を負わされ死亡。事故死と処理されたが、托都以外誰一人として悲しむ者はいなかった。
最期の瞬間まで彼を両親の元へ帰してあげようと考えていた。
▽21話
事故の真相は遊矢の父が起こした人為的なもの。
探りを入れ続ける彼女の存在を危惧した彼が仕向け、結果的に夜月は死亡するも托都は生き残り、なにも知らずとも復讐を加速させる一因となった。


◆托都の本音

遊矢と邂逅を果たしてから3年、年齢は二十歳を迎える直前。
しかしながらこの錬金術師との戦いの中で托都は今まで忘れていた現実と直面することとなる。
両親に捨てられた悲しみから始まった寂しさは埋めることのできないものだった。
遊矢たちを支える孤高のデュエリストの本心は「一人に慣れすぎたために一人を恐れている」孤独に怯えた少年のそのままの姿。
冷静沈着かつ冷酷な発言や行動は遊矢やヒカルと同じ「誰も失いたくない」という気持ちの裏返し。
一人ぼっちにしないでくれと叫んだ彼に手を差し伸べたのはいつか彼を孤独と死の恐怖から助けた人と同じ血を分けた少年だった。


◆紅月の翼

今更のことではあるが、托都の親嫌いは深刻を極める。特に父親を嫌う傾向が強く、ドン・サウザンドすら問題解決の一手段として扱うほど。
しかし一方では「コイツファザコンなんじゃねーの」疑惑をかけられる程度に家族を愛しているらしく、ただの一言をかけられないだけで拗ねるほどにはまだ子供である。
つまるところ托都の父親嫌いは同族嫌悪に近いもの、逃げないと誓った父の姿は自身にも自己投影できる。
憎悪という名の迷いから脱した紅い世界の神の御子は、天使の翼に熱き炎を宿し荒れ狂う人形を燃やし尽くした。


◆ヒカルの境遇

約10年間を一人で過ごしてきたヒカルは人間関係に非常に弱い。
強い兄であらねばならないプレッシャー、周りから虐げれてきた記憶、愛する両親の不在、そして信じてきた師との確執によって幼かった心は繋がりから完全に閉ざされていた。
遊矢との出逢いで笑顔と絆を取り戻したヒカルだったが、その出逢いは同時に運命を狂わせた。
迫り来る様々な現実問題は閉じた心を苦しめ、ついにはその重さに潰されてしまう。
この道をヒカルが望んで進んだものだとしても、結果的に押し潰され、自身も知り得ない「覚醒体」という怪物を産み出してしまったのだった。
▽13話
遥羽シアラの一件で人との繋がり方にトラウマを持つヒカル。
遊矢以外との絆の形にはあまりに不器用なヒカルが托都に対し「寂しさを埋められる」と言ったのは、一人で背負うことの辛さを知っているヒカルだからこその発言だった。


◆変わらぬ決意

「強くなりたい」と願う気持ちは足手まといと自分を卑下した瞬間から芽生え続けていた。
強くあれば、変われるならばと信じるヒカルは振り向くことなく無我夢中にその「強さ」を追い求めた。
結果、他人だけではなく自分すらも苦しめることに至り、路頭に迷いかけた瞬間、大切な友から語られた言葉が思い出される。
「ありのままでいること」。変わらないことこそが自分の「強さ」であると確信したヒカルには黒く鈍い輝きが待っていた。


◆救世神オルフェウス

一万年に一度姿を現す幻想の理想郷に眠る救世主・オラシオンの正体。遊矢とヒカルに秩序を糺すため再びアーマードを授けた女神。
遥羽シアラにとり憑いた破壊者を封じるため再び目を覚ました救世の神はその光をヒカルに預け、今一度眠りについた。
▽25話
救世とは世を救うこと、人々の救済もまた然り。
本来ならばありえないだろう事象をヒカルに起こさせたのはオルフェウスの力である。
未完の聖杯を他人に移し変える、そのような芸当は魂の器たる本来許されることではない。
しかしヒカルの願いはオルフェウスに通じ、奇跡を起こす。ヴェリタスの求めた救世神の力はこうして救済を手助けした。


◆覚醒体

ヒカルに宿っている謎の人格。
精神的ショックや意識障害を引き起こした際に突如現れる。
荒々しい性格と他人の犠牲や死を厭わない行動、更には殺人もそつなくこなすヒカルとは全くもって正反対な人格だが、見た目でどちらの人格が表れているか判断することは難しい。
覚醒体の状態の場合は二色の目に紅い輝きが帯びている。
粗暴ではあるが、ヒカルのことを第一に考えており、その考えは可能な限り尊重するよう行動する。
過去、覚醒体が姿を表したのは3回。最初はハートランドにいた頃。2回目は真実誠との戦い。3回目はカイトの前の師と対峙した際。
そして一番の問題は、深層心理の世界以外ではヒカルがこの存在を全く自覚できないことである。


◆真実誠と七紡鏡

平安の世に産まれ出逢った二人。遊矢とヒカルの祖先。
本編Lightning skyのメインストーリーキャラクターに当たる。
全て始まりは真実誠からだった。赤い髪と紫の髪、呪いと災厄を同時に持った子は幼少から人々より疎まれ、母は災厄をもたらしたとして殺された。座敷牢から逃げ出した少年は父親を刺し殺し、外へ逃げ出す。
日差しを浴びることにも人々との接触にも怯える誠を助けた人こそが七紡鏡と玉藻襷だった。
七紡の若き当主だった鏡は誠を守り、やがて二人は絆を紡ぎ合い、そして鏡は決意する。
「僕は神様になって世界を変える」
そう言った少年は豹変した。
神に成るために一族を皆殺しにした。最愛の姉すらも、そして誠はそれに従い、生き残った人間を殺した。
しかし誕生したのは邪神そのもの、鏡は襷に封印され、現代まで眠りについた。
誠は鏡が目覚めるその日まで、女を孕ませ神の子を産ませた。
こういった経緯で現代に産まれ落ちたのがヒカルであり、遊矢は鏡の姉が産んだ赤子からの血筋である。
現代に封印は破られ、動き出した鏡はまず肉体を得ようと遊矢の肉体を奪い取る。
死を間近に控えていると感じていたヒカルを意のままに操ろうとした誠は逆鱗に触れ、一度は殺され、そのヒカルが起こした奇跡によって鏡は遊矢から引き剥がされた。
その状況下、生きていた誠はデュエルのできないヒカルを捕らえ、遊矢を誘き出す。
「鏡の夢に従う、それが親友のすべきこと」
しかしそれは遊矢たちの絆の前に敗れ去り、二人と友になれたと涙し、鏡と出逢わせてくれたこの世界でと誓って消滅する。
それから半年後、鏡の最終計画は始動し、世界は闇に包まれるが、遊矢とヒカルの絆の結晶である「エクスゴッドアーマード」との決戦に敗北。
それにもなお地の利を生かし足掻くが、光に包まれた世界で襷や遊矢の呼び掛けに答え、生まれ変わり誠と出逢いたいと言って消滅した。
そういった一連の事件から更に1年後の現在で遊矢は鏡と再会、その罪と記憶を永遠に受け継ぐことで闇の力を手にする。
鏡と誠が出逢えたかは分からない。だが、遠くない未来で唄う少女に寄り添う少年は、どこか遠くを見て、その姿に思いを馳せている。


◆エースの世界線

鏡と誠が出逢うことなく、なにもかもが起きなかった平和な世界。
ヒカルは両親とシアラが健在なため泣き虫で病弱な普通の少年、アミは幼馴染みではなくクラスメート。だが、エースこと遊矢は両親との仲が非常に悪く、要するにグレてしまった状態。托都だけが遊矢の世界とはほぼ変わらない、復讐に走らなかった無感情を絵に描いた人物になっている。
いじめられるヒカルをエースが助け、アミがエースと友達になろうと奮闘する日常生活。
それは、アミが狩也と共に行方を眩ませた夜から狂っていく。


◆残酷な未来

エースの世界線で起こった悲劇。
ヴェリタスの野望の達成を許してしまった絶望の世界。
ラグナロクによってハートランドをはじめ様々な世界各国都市は壊滅、世界人口の約8割が死亡。生き残った1割はヴェリタスから逃げ隠れる生活を送り、1割はラグナロクから世界を救った救世の神を信仰する信徒と化した。
平和だったハートランドで、突如アーマードを覚醒させたヒカルがニヴルヘイムに向かうも敗北し、ヴェリタスに利用され世界を荒廃させてしまう。
エースは意識不明となった親友を看病しながらも、逆転への手を考えていた。
こうした状況で手に入れたアーマードの力によって時空を越えたエースは未来を変え、この残酷な世界を元に戻すべく遊矢たちのいる世界にやって来る。
また、エースが托都を必要以上に恨んでいる理由は、「ヒカルを守れなかったから」ということだが、この未来における托都は行方が分からなくなっている。


◆ニヴルヘイム防衛システム

ニヴルヘイムの地下に存在する管理システム。
爆発四散したテラとヘイルの人工知能を結合させて作り上げた急造ソウルドール。
つぎはぎなため性格はデタラメ、挙動や発言も理解不能な部分が多い。
他社の記憶を記録することでその記憶からその人物を記憶の世界に送り込み心を砕く能力を持ち、エースはこれに崩れる。
絶望し、未来を嘆いた少女の前に現れるは二人のデュエリスト。かつて恋した先輩とかつて憎んだ兄がそこにいた。
▽21話
托都の幼少の姿はいつかにも現れた。
復讐へと誘う悪魔に思う答えは返せないままそれは終わったと思っていた。
しかし再び現れたそれは衝撃的な事実と共に托都を追い詰める。
ヒカルもそれはまた然り。文武両道、眉目秀麗、天性の才能、神秘の力をほしいままにする少年への平凡な人々からの風当たりは厳しい。
だがヒカルは自身を天才だと思わない、努力を重ね、積み上げたものがあると信じる彼はそれでもなお憎まれる。
その二人は折り砕かれる直前思い出す、帰る場所がある事を、分かり合う気持ちを。
そうして立ち上がった二人は決意した、逆襲という過激なやり方を。
▽22話
ニヴルヘイムを防衛するシステムとして、このシステムがなくなってしまうことはニヴルヘイムは意味をなさなくなるということ。
防衛の意味を失ったニヴルヘイムは同時に無へ帰する。
爆発するニヴルヘイムに残る二人と共に。


◆偽界樹

地球の地中深くに根を生やす巨木。
ハートランドに大樹を生やし、世界中に子供のような木を持っている。
元々、ラグナロク完遂後に強大すぎる力を持つ未完の聖杯と救世の装甲を閉じ込めるための封印の意味があったが、その計画はほぼ無意味に終わった。
しかし、最後の砦としてその役目を残す偽界樹は世界の崩壊を促進させ、膨大な力であるフリューゲルアーツやカード達、未完の聖杯を中枢に固定。ラグナロク―――最終決戦は始まろうとしていた。
▽25話
ヴェリタスの敗北により、ラグナロクは終わりを告げた。
ルクシアとヒカルの呼び掛けを受け、錯乱したヴェリタスは偽界樹の中枢を爆破し、地球ごと自らの心中を謀る。
その後中枢は未完の聖杯によって異界へ葬られ、その心中すら失敗に終わる。
最終戦争は人の手で終わり、そして未来は希望へと続く。


◆ラグナロクとその顛末

ラグナロクによる被害こそ再構築され元に戻ったが、人々の疑心暗鬼によって崩壊した世界は再構築されることはなく、復興で世界各国がざわめく。
一連の事件はその病のような人間の闇と偽界樹に準え「世界樹病-セフィロトパンデミック-」と呼称されるようになるが、引き起こした犯人と思われる人物をはじめ、世界を救った人物達の顔を誰一人思い出せず、結果的にその後の世界では世紀の未解決事件として扱われることとなった。
中枢を失った偽界樹はハートランドの外れに今も佇み、それを見て青年は思う。
「自分はなにかを救えたのか」
「この罪は決して許されるものではない」
と。
そして三人は決意する。
「この罪が人々が引き起こしたならば、それを語り継ぎ、いつか誰もが悲しまぬ世界を作ること」
たとえ罪が許されないとしても、それが人の業である限り、悲しみの連鎖を終わらせるその日まで。
涙したその目は、二色に輝いていた。




◆随時更新