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TRIGGER.007「黒き光の竜 エトワールブリーズ」
「えっ、なんだよその評価」
「深い意味はない、ただお前が思うアイツとは違うと言っている」
「ハズレって言いたいわけか…」
「時間軸も次元も間違ってはいないが、さすがに人間まで特定できるわけじゃないからな、あまり買い被るな」
「なんだそりゃ…」
ま、実際間違ったことは言われてないか…アイツが特別な人間だということに間違いはないだろうが、ハズレが同じ力を持っていることもあるにはある…か。
「仮に当たっていたとして、あれだけ追い込まれた時に自分を見失うようじゃ、俺たちの知っているものとは程遠いということだ」
「…なるほど、な」
「そんなことよりお前は…」
「な、なんだよ…」
「行動に責任を持て。昔から変わらないことは構わないが今回はやりすぎだ」
「…それもそうか…すまなかった」
正体がバレたのはまずい、それくらいは分かってる……。
「…ちょっと出掛ける!バイク借りるぞ」
「なっ…!どこに行くつもりで…」
「なんとかするさ、やるしかないだろ?」
「…はぁ……分かった、ついていく」
「よしっ!」
向かうべき場所は分かってる。会いに行くんだ、冴之馬トウマに。
~~~
「………」
―――君は素晴らしいデュエリストだ。
―――故に保証しよう。君は「私の位置(ここ)」まで辿り着けると。
…なんなんだよ、アイツの場所って。意味わかんねえよ。
―――なんでエンジェリング召喚を使わなかったんだよ…!
―――あれは君を試すために入れたまだ実戦用ではない一枚だ。
俺が試されていた…?俺のエンジェリング召喚を試すなんて……。
「?…遊紗ちゃん」
―――素晴らしい闘争心だ、また私に挑むがいい。
ふざけんな…!!バカにするのも大概にしろってんだよ…!!
「遊紗ちゃん、」
あのターンでもしアクションカードが守りのカードだったなら、……いや、勝てたか…?
「遊紗ちゃん?」
「!」
「どうしたんだい?口に合わなかったのかい?それともどこか具合が悪いのかい?」
「…ごめん、朝からちょっと風邪気味でさ、ごちそうさま」
「そう…しっかり寝て、治すんだよ」
そうだ。ちょっと調子が悪いだけ、アイツは俺の勝てない相手じゃない。
だから寝れば調子の悪さは治るはずなんだ。……治らないと困るんだ。
~~~
「社長、」
「…?どうした、花沢」
「先程、社長と面会したいという方が」
「ほう?名前は?」
「それが――――朽祈ヒカルだと」
「朽祈ヒカル…なるほど、向こうからこちらに来たか」
「いかがなさいますか」
「通せ、私も彼と話したいところだった」
さぁ、話してもらおう。君が本当にあの朽祈ヒカルなのかをな。
~~~
「…」
結局、あそこから勝つ方法なんて分からなかった。
アイツの戦歴、なんだよ…プロクラスって…意味全然わかんねえよ……!!
「一流のデュエリストが……、手加減するかよ普通」
「よっ!だーれだ!」
「!おい!」
「やっほーゆーさくん!」
「遊紗だ!間違えんじゃねえ、というかなにしやがる!」
「いやぁさー、かったい顔してんなぁとか思ったからさ!ほーらスマイルスマイル!」
「にゃめろくぉのー!」
「ほら変顔だぜ!!」
なにが変顔だっつーの、人の頬引っ張んなよ…!!
「…つか、お前誰」
「し、知らねえのか…?マジで言ってる?」
「知らねえ」
「あ、…うん。俺様は新城ミチルってんだ!よろしくな!ゆーさくん!」
「遊紗だ、よろしく…えっと…」
「新城ミチル!!お願いだから覚えて!覚えてください!!」
新城ミチル、ね。そういや、いっつも授業中うるさい奴こいつか。
「で、何の用だ」
「俺とデュエルしねえか!?」
「デュエル…?」
「うんうん!だってお前、エンジェリング召喚っていうすげーカード使うんだろ?」
…すげーカード、ね。
「気が乗らないからパスだ、相手なら他を当たれ」
「ええー!?お前とやるから意味あるのにか!?」
「デュエルって気分じゃない」
間違った話はしてないし、諦めてくれ早く。
「ぐ、ぬぬ…!!でも…!!」
「こら新城!!」
「!げっ、ゆかりん…!?」
「栞くん、やらないって言ってるんだからやめなさいよ!」
「い、いやぁ~でもさぁ?」
「でもじゃない!」
委員長……、
――キーンコーンカーンコーン
今は感謝する…!!
「あっ!ゆーさくん!!」
「…行ったわね、ふぅ………って、あれ?新城?…しまったぁ!!」
~~~
「はぁ…」
「それで同級生に追われて?」
「そうだ…」
ったく、偉い目に遭った……なにがゆーさだ、俺の名前は遊紗だっつの。
「デュエルしたくないのかい?」
「言ってんだろ、気分が乗らないからやりたくない」
「…そう、一回負けたくらいで、そんなに落ち込んだら空だって曇っちゃうだろう?」
「そんなん、俺には関係…っ!」
「ま、深く考えるより、笑顔でみんなと次勝てるようにデュエルしよう?なっ?」
「……はぁ…」
卵焼き……甘すぎだろ。
「見つけたぁ!!」
「!」
「ゆーさくん!俺とデュエルしようぜ!」
………、はぁ…。
「あのなぁ、そもそも俺は―――」
「いいよ」
………、は?
「マジで!!?って園舞先輩!?」
「その代わり、俺に勝ってからだ。新城くん」
「あ、アンタ…」
「俺だってデュエルできるよ?よく見ていて、デュエルの楽しさとか奥深さとかの全て、君を見せてあげるから」
「……分かった」
緋式先輩がデュエルを……、デュエルの楽しさ……か。
「さて、どうする?受ける?」
「やる!!よろしくお願いします!先輩!」
「よし!それなら、行くぞ!」
《Field set DUEL standby》
「「デュエル!!」」
「先攻はもらうぜ!俺は《バブルブロウラー グローブ》を召喚!更にフィールド魔法《深海の闘技場》を発動!!」
《ATK:1500/Level:4》
海の中の闘技場…こいつ、海のモンスターを使うのか。
「俺はこれで、ターンエンドだ!先輩のターンだぜ!」
《Hand:3》
緋式先輩のデュエル…、
「(遊紗、見せてあげる。俺のデュエルを、楽しいデュエルを!)」
どんなデッキなんだ…!
「俺のターン、ドロー!手札が3枚以上ある時、《エトワール・ブリーズ カブリオール》は特殊召喚できる!」
《ATK:800/Level:3》
「エトワール…ブリーズ……」
「更に、《エトワール・ブリーズ シャッセ》を通常召喚!」
《ATK:1200/Level:3》
レベル3が二体、来るか!
「俺はレベル3のカブリオールとシャッセでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ!《エトワール・ブリーズ ドゥーブルブリゼ》!」
《DEF:2500/Rank:3/ORU:2》
守備力2500のモンスターエクシーズを……。
「へへっ!守るだけじゃ、俺には勝てないぜ!」
「ドゥーブルブリゼの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを一つ使い、このモンスターの守備力より低い攻撃力のモンスター1体をデッキに戻す!さぁ、戻ってもらうよグローブ!」
《ORU:1》
「まさかバウンスデッキか!?」
でもなんで守備にしたんだ?攻撃表示ならダイレクトアタックが決められるはず……。
「ドゥーブルブリゼの攻撃力は0だからね、一番合った活躍をさせて上げないと」
「一番合った活躍……」
「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
《Hand:3》
確かに、俺はモンスターをとにかく出していって、その場で最善の状況が作れてない…。
緋式先輩のデュエル、間違いなく参考になってる…!
「いいぜ!でけー壁なんて水流でぶっこわーす!俺のターン!!俺は儀式魔法《伝説の水流闘士復活の儀式》発動!」
「儀式!?」
「へぇ、儀式使いなんだ?」
「手札からレベル7以上になるようにモンスターを墓地に送る!手札のレベル4《バブルブロウラー ヒットマン》二体を墓地に送り、儀式召喚!!復活しろ!《伝説の水流闘士 アレス》!」
《ATK:2400/Level:7》
儀式モンスター…指定されたレベル以上になるようにモンスターを墓地に送って召喚されるモンスターか…すごい。
「でも、攻撃力2400じゃ守備力に届いてないよ!どうする?」
「闘技場で守りなんて通用しない!《深海の闘技場》の効果発動!自分の水属性モンスターがバトルする時、相手モンスターは必ず攻撃表示になる!」
《ATK:0》
「攻撃表示に変更するフィールド魔法か!」
「いっけえ!アレスで、ドゥーブルブリゼに攻撃!!アクアストリームラッシュ!!」
「っ!」
《Hinori Life:1600》
すごい…、バトルするモンスターを強制的に攻撃表示に変えるなら、相手が守りを固めたところでそれは全く無意味だ。
「全く…君らしいデュエルスタイルだなぁ」
「それって褒め言葉?」
「…まぁ、そうだね」
皮肉ってるのが通じてないのかコイツ…。
「褒め言葉ならありがてえ!更に俺のデュエル、見せてやれるからな!」
「……」
「アレスの効果発動!バトルフェイズ時、このモンスターは儀式召喚に使用したモンスター1体を墓地から除外することでバトル回数を1回増やすことができる!」
「ということは、素材の1体を除外してあと1回攻撃できるってことだね」
つまりダメージは合計で4800になる、これを食らったら負けだぞ…!
「いっけえアレス!!園舞先輩にダイレクトアタック!アクアストリームラッシュ!!」
「手札から《クイックリボー》を墓地に送り、効果発動!バトルダメージを半分にするよ!」
《Hinori Life:200》
「外した…!」
あの攻撃をかわしきった…!!これが、緋式先輩の実力…!
「バトルは終わりかな?」
「ぐ、ぐぬぬ…ターンエンド…」
《Hand:1》
「素晴らしいデュエルだけどね、自分勝手にやってたらダメだ」
「…!」
「デュエルは楽しく!勝手も負けても最後は爽やかに握手できるようなものじゃないとね!」
自分勝手なデュエルよりも、デュエルは楽しく…か。
「それは俺もさ!でも、相手に負けたら悔しいもんだし?」
「悔しくてもいいんだ、次に生かせたらね」
「悔しくても…」
「デュエルは仲間を作ってくれるんだ!そのためには、みんな笑顔でデュエルしなきゃ!ねっ?」
仲間を…作ってくれるもの。……そうだ、俺の周りは変わった。みんな周りでニコニコしてる奴ばっかで、でもそういうのは全部一方的で俺は全然気にしてなかった。
でも、…それでも俺は―――!
今、きっと、仲間といられる時間が、デュエルが楽しいんだ…!
「俺のターン!俺は、罠カード《クリアチェンジ》を発動!フィールド魔法が発動している時、そのフィールド魔法を破壊!」
「闘技場が…!!」
「そして、デッキからフィールド魔法を選択し発動する!俺は、フィールド魔法《聖域の水晶城-クリスタル・パレス-》を発動!」
フィールド魔法を破壊してフィールド魔法を発動する罠カード!?
「クリスタル・パレスの効果、墓地のドゥーブルブリゼを特殊召喚し、レベルを与える!更に、墓地のカブリオールを同一効果で特殊召喚!!」
《ATK:0/Level:3》
《ATK:1200/Level:3》
「レベル3のモンスターが二体!?」
「いや、魔法カード《エトワールの舞》を発動!デッキから俺が選んだレベルのモンスターを墓地に送り、フィールドのモンスターのレベルを墓地に送ったモンスターと同じにする!デッキから《エトワール・ブリーズ ワルツ》を墓地に送るよ!」
《Level:3→8》
《Level:3→8》
レベルが8になったということは、ランク8のエクシーズがくるのか!?
「俺はレベル8となったドゥーブルブリゼとカブリオールでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
「な、なんかヤバそう…?」
「黒金の竜よ、銀河の神秘を白き翼に宿し現れよ!《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:2》
黒金の……竜…。
「黒い光…」
「《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》で、アレスに攻撃だ!」
「うぉっ!?で、でもこんなんじゃライフは削りきれないぜ!」
《ATK:2400》
「《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》は、1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使いこのターン召喚、特殊召喚したモンスターの守備力分、攻撃力をアップできる!リフレクションオーラ!」
守備力の合計はドゥーブルブリゼの2500、カブリオールの1500、そしてコイツの2000で合計は6000と3000を合わせた9000!!
《ATK:9000/ORU:1》
「ま、マジで…?」
「いけっ!《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》!!マジェスティムーンストリーム!!」
「うぇえ!?えっ、えっ!?うわぁぁぁ!!?」
《Mithiru Life:0》
《WIN:Sonomai Hinori》
……すごい、これがデュエル…!!
「くぁ~!!負けたぁ!」
「大丈夫?」
「あ、はい!ピンピンしてます!」
「ならいいけど、…楽しかった?」
「はい!でも、悔しいです!負けるってことはまだデッキに改良の余地ありだよなぁ…次は負けませんから!」
「楽しみにしてるよ」
あぁやって負けた後も次に向けて対策しようとか考えるのか…やっぱ俺はまだまだだな。
「遊紗、」
「!」
「楽しかった?そして、分かった?」
「…まだ分からないこともあるけど、頑張って理解してみようと思う!」
「そっか!よかったよ!」
どうすれば楽しいデュエルかなんてまだ分からない、でも必ず分かるはずだ。
「これからもよろしくね、遊紗」
「…あぁ!」
きっと、分かる日が来る。
「おっ、なんかやってた?」
「……えっ!?」
「君、それ…」
「えっ、うえええええ!?」
「アンタ、マジかよ…」
「ん?あぁ、冴之馬トウマからこの方が行動範囲が広がるって言われたんだ!」
「高等部の、男子制服…!?」
「つ、つーかあれって!!」
まさか、女装やめて正体バラすとか正気かコイツ!?
「高等部二年、朽祈ヒカルだ。改めてよろしくな」
「く、朽祈ヒカル本人!?本物!?マジで!?ゆーさ知り合いだったのか!?」
「うるせえ、あと遊紗だっつの」
「本人かどうかは、お前の頭で考えてみろ」
「すげー!サインください!!」
「だから考えろと」
………これで、よかったのか?
「なんだかとっても楽しそうだ、よかったよかった!」
~~~
…………、
―――これは夢で、現実なんです。
………現実で、これは夢。
―――信じてください、私の話を。
………どんな話を、信じなきゃいけないんだ。
―――世界の均衡が、もうすぐ、
………もうすぐ、世界の均衡が?
―――私を、人間界に戻してください。
………人間界に、誰を戻すんだ。
―――私を…****を、彼のところに
―――もうすぐ、やってくるから。
なにが、やってくるんだ。
……、答えは返ってこなかった。
8話へ続く
================
【あとがき】
今回の一言「デュエルで…みんなに笑顔を…」
レッツエンジョイかユートのノルマ達成にしか見えない、つか緋式先輩キャラブレブレじゃないですか(歓喜)
新キャラです!!新城ミチル、遊紗のクラスメートでゆかりちゃんの友達です!愉快な性格で主人公気質な感じしますけど遊紗から見たらただウザい奴って評価が止まらない。
そしてバブルブロウラーという水属性の格闘的なモンスターとフィールド魔法を駆使して戦う「儀式使い」といった感じになってます。儀式使いですよ!!このご時世で儀式ですよ!!…おっと誰か来たようだ。
まぁミチルがレギュラーキャラになっていくわけですけど、氷樫くんが空気化してるような気が…次回久々に出ますよ!!
緋式先輩のデッキはバレエテーマのエトワール・ブリーズです、星のそよ風なのにバレエテーマとはこれいかに。デッキから引っ張る効果等が非常に多いテーマなんですけど、正直楽しいです。
最後の最後に祈里様改め、「男子生徒の」ヒカルが登場しました。トウマとなにを話したのかはちょっと先の話でお伝えします、ただわりとマジでシリアスな話してますが。
最後のシーン?なんのことですかね、ちょっと分からないです。
今回からカードの紹介が無くなりますが、不定期で別にコーナーをやるつもりです。よろしければ、またよろしくお願いします。
次回!!白い剣のデュエリスト登場!?探し人ってどんな人?
冴之馬トウマと再戦を望む遊紗はある日、氷樫からある人物からの手紙を受け取るのだが……。
ついに待望の彼が登場!!
【予告】
緋式のデュエルに向き合う気持ちに触れ、冴之馬トウマとの再戦を望んで意気込む遊紗。
ある日、氷樫から「白城明日氷」という人物からの手紙を受け取り、その人物からデュエルを申し込まれる。
不信に思いながらも明日氷と対面し、明日氷から思いもよらない質問を投げ掛けられ…!?
次回!第8話「白氷の剣」
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TRIGGER.007「黒き光の竜 エトワールブリーズ」
「えっ、なんだよその評価」
「深い意味はない、ただお前が思うアイツとは違うと言っている」
「ハズレって言いたいわけか…」
「時間軸も次元も間違ってはいないが、さすがに人間まで特定できるわけじゃないからな、あまり買い被るな」
「なんだそりゃ…」
ま、実際間違ったことは言われてないか…アイツが特別な人間だということに間違いはないだろうが、ハズレが同じ力を持っていることもあるにはある…か。
「仮に当たっていたとして、あれだけ追い込まれた時に自分を見失うようじゃ、俺たちの知っているものとは程遠いということだ」
「…なるほど、な」
「そんなことよりお前は…」
「な、なんだよ…」
「行動に責任を持て。昔から変わらないことは構わないが今回はやりすぎだ」
「…それもそうか…すまなかった」
正体がバレたのはまずい、それくらいは分かってる……。
「…ちょっと出掛ける!バイク借りるぞ」
「なっ…!どこに行くつもりで…」
「なんとかするさ、やるしかないだろ?」
「…はぁ……分かった、ついていく」
「よしっ!」
向かうべき場所は分かってる。会いに行くんだ、冴之馬トウマに。
~~~
「………」
―――君は素晴らしいデュエリストだ。
―――故に保証しよう。君は「私の位置(ここ)」まで辿り着けると。
…なんなんだよ、アイツの場所って。意味わかんねえよ。
―――なんでエンジェリング召喚を使わなかったんだよ…!
―――あれは君を試すために入れたまだ実戦用ではない一枚だ。
俺が試されていた…?俺のエンジェリング召喚を試すなんて……。
「?…遊紗ちゃん」
―――素晴らしい闘争心だ、また私に挑むがいい。
ふざけんな…!!バカにするのも大概にしろってんだよ…!!
「遊紗ちゃん、」
あのターンでもしアクションカードが守りのカードだったなら、……いや、勝てたか…?
「遊紗ちゃん?」
「!」
「どうしたんだい?口に合わなかったのかい?それともどこか具合が悪いのかい?」
「…ごめん、朝からちょっと風邪気味でさ、ごちそうさま」
「そう…しっかり寝て、治すんだよ」
そうだ。ちょっと調子が悪いだけ、アイツは俺の勝てない相手じゃない。
だから寝れば調子の悪さは治るはずなんだ。……治らないと困るんだ。
~~~
「社長、」
「…?どうした、花沢」
「先程、社長と面会したいという方が」
「ほう?名前は?」
「それが――――朽祈ヒカルだと」
「朽祈ヒカル…なるほど、向こうからこちらに来たか」
「いかがなさいますか」
「通せ、私も彼と話したいところだった」
さぁ、話してもらおう。君が本当にあの朽祈ヒカルなのかをな。
~~~
「…」
結局、あそこから勝つ方法なんて分からなかった。
アイツの戦歴、なんだよ…プロクラスって…意味全然わかんねえよ……!!
「一流のデュエリストが……、手加減するかよ普通」
「よっ!だーれだ!」
「!おい!」
「やっほーゆーさくん!」
「遊紗だ!間違えんじゃねえ、というかなにしやがる!」
「いやぁさー、かったい顔してんなぁとか思ったからさ!ほーらスマイルスマイル!」
「にゃめろくぉのー!」
「ほら変顔だぜ!!」
なにが変顔だっつーの、人の頬引っ張んなよ…!!
「…つか、お前誰」
「し、知らねえのか…?マジで言ってる?」
「知らねえ」
「あ、…うん。俺様は新城ミチルってんだ!よろしくな!ゆーさくん!」
「遊紗だ、よろしく…えっと…」
「新城ミチル!!お願いだから覚えて!覚えてください!!」
新城ミチル、ね。そういや、いっつも授業中うるさい奴こいつか。
「で、何の用だ」
「俺とデュエルしねえか!?」
「デュエル…?」
「うんうん!だってお前、エンジェリング召喚っていうすげーカード使うんだろ?」
…すげーカード、ね。
「気が乗らないからパスだ、相手なら他を当たれ」
「ええー!?お前とやるから意味あるのにか!?」
「デュエルって気分じゃない」
間違った話はしてないし、諦めてくれ早く。
「ぐ、ぬぬ…!!でも…!!」
「こら新城!!」
「!げっ、ゆかりん…!?」
「栞くん、やらないって言ってるんだからやめなさいよ!」
「い、いやぁ~でもさぁ?」
「でもじゃない!」
委員長……、
――キーンコーンカーンコーン
今は感謝する…!!
「あっ!ゆーさくん!!」
「…行ったわね、ふぅ………って、あれ?新城?…しまったぁ!!」
~~~
「はぁ…」
「それで同級生に追われて?」
「そうだ…」
ったく、偉い目に遭った……なにがゆーさだ、俺の名前は遊紗だっつの。
「デュエルしたくないのかい?」
「言ってんだろ、気分が乗らないからやりたくない」
「…そう、一回負けたくらいで、そんなに落ち込んだら空だって曇っちゃうだろう?」
「そんなん、俺には関係…っ!」
「ま、深く考えるより、笑顔でみんなと次勝てるようにデュエルしよう?なっ?」
「……はぁ…」
卵焼き……甘すぎだろ。
「見つけたぁ!!」
「!」
「ゆーさくん!俺とデュエルしようぜ!」
………、はぁ…。
「あのなぁ、そもそも俺は―――」
「いいよ」
………、は?
「マジで!!?って園舞先輩!?」
「その代わり、俺に勝ってからだ。新城くん」
「あ、アンタ…」
「俺だってデュエルできるよ?よく見ていて、デュエルの楽しさとか奥深さとかの全て、君を見せてあげるから」
「……分かった」
緋式先輩がデュエルを……、デュエルの楽しさ……か。
「さて、どうする?受ける?」
「やる!!よろしくお願いします!先輩!」
「よし!それなら、行くぞ!」
《Field set DUEL standby》
「「デュエル!!」」
「先攻はもらうぜ!俺は《バブルブロウラー グローブ》を召喚!更にフィールド魔法《深海の闘技場》を発動!!」
《ATK:1500/Level:4》
海の中の闘技場…こいつ、海のモンスターを使うのか。
「俺はこれで、ターンエンドだ!先輩のターンだぜ!」
《Hand:3》
緋式先輩のデュエル…、
「(遊紗、見せてあげる。俺のデュエルを、楽しいデュエルを!)」
どんなデッキなんだ…!
「俺のターン、ドロー!手札が3枚以上ある時、《エトワール・ブリーズ カブリオール》は特殊召喚できる!」
《ATK:800/Level:3》
「エトワール…ブリーズ……」
「更に、《エトワール・ブリーズ シャッセ》を通常召喚!」
《ATK:1200/Level:3》
レベル3が二体、来るか!
「俺はレベル3のカブリオールとシャッセでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ!《エトワール・ブリーズ ドゥーブルブリゼ》!」
《DEF:2500/Rank:3/ORU:2》
守備力2500のモンスターエクシーズを……。
「へへっ!守るだけじゃ、俺には勝てないぜ!」
「ドゥーブルブリゼの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを一つ使い、このモンスターの守備力より低い攻撃力のモンスター1体をデッキに戻す!さぁ、戻ってもらうよグローブ!」
《ORU:1》
「まさかバウンスデッキか!?」
でもなんで守備にしたんだ?攻撃表示ならダイレクトアタックが決められるはず……。
「ドゥーブルブリゼの攻撃力は0だからね、一番合った活躍をさせて上げないと」
「一番合った活躍……」
「カードを一枚伏せてターンエンドだ!」
《Hand:3》
確かに、俺はモンスターをとにかく出していって、その場で最善の状況が作れてない…。
緋式先輩のデュエル、間違いなく参考になってる…!
「いいぜ!でけー壁なんて水流でぶっこわーす!俺のターン!!俺は儀式魔法《伝説の水流闘士復活の儀式》発動!」
「儀式!?」
「へぇ、儀式使いなんだ?」
「手札からレベル7以上になるようにモンスターを墓地に送る!手札のレベル4《バブルブロウラー ヒットマン》二体を墓地に送り、儀式召喚!!復活しろ!《伝説の水流闘士 アレス》!」
《ATK:2400/Level:7》
儀式モンスター…指定されたレベル以上になるようにモンスターを墓地に送って召喚されるモンスターか…すごい。
「でも、攻撃力2400じゃ守備力に届いてないよ!どうする?」
「闘技場で守りなんて通用しない!《深海の闘技場》の効果発動!自分の水属性モンスターがバトルする時、相手モンスターは必ず攻撃表示になる!」
《ATK:0》
「攻撃表示に変更するフィールド魔法か!」
「いっけえ!アレスで、ドゥーブルブリゼに攻撃!!アクアストリームラッシュ!!」
「っ!」
《Hinori Life:1600》
すごい…、バトルするモンスターを強制的に攻撃表示に変えるなら、相手が守りを固めたところでそれは全く無意味だ。
「全く…君らしいデュエルスタイルだなぁ」
「それって褒め言葉?」
「…まぁ、そうだね」
皮肉ってるのが通じてないのかコイツ…。
「褒め言葉ならありがてえ!更に俺のデュエル、見せてやれるからな!」
「……」
「アレスの効果発動!バトルフェイズ時、このモンスターは儀式召喚に使用したモンスター1体を墓地から除外することでバトル回数を1回増やすことができる!」
「ということは、素材の1体を除外してあと1回攻撃できるってことだね」
つまりダメージは合計で4800になる、これを食らったら負けだぞ…!
「いっけえアレス!!園舞先輩にダイレクトアタック!アクアストリームラッシュ!!」
「手札から《クイックリボー》を墓地に送り、効果発動!バトルダメージを半分にするよ!」
《Hinori Life:200》
「外した…!」
あの攻撃をかわしきった…!!これが、緋式先輩の実力…!
「バトルは終わりかな?」
「ぐ、ぐぬぬ…ターンエンド…」
《Hand:1》
「素晴らしいデュエルだけどね、自分勝手にやってたらダメだ」
「…!」
「デュエルは楽しく!勝手も負けても最後は爽やかに握手できるようなものじゃないとね!」
自分勝手なデュエルよりも、デュエルは楽しく…か。
「それは俺もさ!でも、相手に負けたら悔しいもんだし?」
「悔しくてもいいんだ、次に生かせたらね」
「悔しくても…」
「デュエルは仲間を作ってくれるんだ!そのためには、みんな笑顔でデュエルしなきゃ!ねっ?」
仲間を…作ってくれるもの。……そうだ、俺の周りは変わった。みんな周りでニコニコしてる奴ばっかで、でもそういうのは全部一方的で俺は全然気にしてなかった。
でも、…それでも俺は―――!
今、きっと、仲間といられる時間が、デュエルが楽しいんだ…!
「俺のターン!俺は、罠カード《クリアチェンジ》を発動!フィールド魔法が発動している時、そのフィールド魔法を破壊!」
「闘技場が…!!」
「そして、デッキからフィールド魔法を選択し発動する!俺は、フィールド魔法《聖域の水晶城-クリスタル・パレス-》を発動!」
フィールド魔法を破壊してフィールド魔法を発動する罠カード!?
「クリスタル・パレスの効果、墓地のドゥーブルブリゼを特殊召喚し、レベルを与える!更に、墓地のカブリオールを同一効果で特殊召喚!!」
《ATK:0/Level:3》
《ATK:1200/Level:3》
「レベル3のモンスターが二体!?」
「いや、魔法カード《エトワールの舞》を発動!デッキから俺が選んだレベルのモンスターを墓地に送り、フィールドのモンスターのレベルを墓地に送ったモンスターと同じにする!デッキから《エトワール・ブリーズ ワルツ》を墓地に送るよ!」
《Level:3→8》
《Level:3→8》
レベルが8になったということは、ランク8のエクシーズがくるのか!?
「俺はレベル8となったドゥーブルブリゼとカブリオールでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
「な、なんかヤバそう…?」
「黒金の竜よ、銀河の神秘を白き翼に宿し現れよ!《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》!」
《ATK:3000/Rank:8/ORU:2》
黒金の……竜…。
「黒い光…」
「《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》で、アレスに攻撃だ!」
「うぉっ!?で、でもこんなんじゃライフは削りきれないぜ!」
《ATK:2400》
「《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》は、1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使いこのターン召喚、特殊召喚したモンスターの守備力分、攻撃力をアップできる!リフレクションオーラ!」
守備力の合計はドゥーブルブリゼの2500、カブリオールの1500、そしてコイツの2000で合計は6000と3000を合わせた9000!!
《ATK:9000/ORU:1》
「ま、マジで…?」
「いけっ!《ギャラクティオン・エール・ドラゴン》!!マジェスティムーンストリーム!!」
「うぇえ!?えっ、えっ!?うわぁぁぁ!!?」
《Mithiru Life:0》
《WIN:Sonomai Hinori》
……すごい、これがデュエル…!!
「くぁ~!!負けたぁ!」
「大丈夫?」
「あ、はい!ピンピンしてます!」
「ならいいけど、…楽しかった?」
「はい!でも、悔しいです!負けるってことはまだデッキに改良の余地ありだよなぁ…次は負けませんから!」
「楽しみにしてるよ」
あぁやって負けた後も次に向けて対策しようとか考えるのか…やっぱ俺はまだまだだな。
「遊紗、」
「!」
「楽しかった?そして、分かった?」
「…まだ分からないこともあるけど、頑張って理解してみようと思う!」
「そっか!よかったよ!」
どうすれば楽しいデュエルかなんてまだ分からない、でも必ず分かるはずだ。
「これからもよろしくね、遊紗」
「…あぁ!」
きっと、分かる日が来る。
「おっ、なんかやってた?」
「……えっ!?」
「君、それ…」
「えっ、うえええええ!?」
「アンタ、マジかよ…」
「ん?あぁ、冴之馬トウマからこの方が行動範囲が広がるって言われたんだ!」
「高等部の、男子制服…!?」
「つ、つーかあれって!!」
まさか、女装やめて正体バラすとか正気かコイツ!?
「高等部二年、朽祈ヒカルだ。改めてよろしくな」
「く、朽祈ヒカル本人!?本物!?マジで!?ゆーさ知り合いだったのか!?」
「うるせえ、あと遊紗だっつの」
「本人かどうかは、お前の頭で考えてみろ」
「すげー!サインください!!」
「だから考えろと」
………これで、よかったのか?
「なんだかとっても楽しそうだ、よかったよかった!」
~~~
…………、
―――これは夢で、現実なんです。
………現実で、これは夢。
―――信じてください、私の話を。
………どんな話を、信じなきゃいけないんだ。
―――世界の均衡が、もうすぐ、
………もうすぐ、世界の均衡が?
―――私を、人間界に戻してください。
………人間界に、誰を戻すんだ。
―――私を…****を、彼のところに
―――もうすぐ、やってくるから。
なにが、やってくるんだ。
……、答えは返ってこなかった。
8話へ続く
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【あとがき】
今回の一言「デュエルで…みんなに笑顔を…」
レッツエンジョイかユートのノルマ達成にしか見えない、つか緋式先輩キャラブレブレじゃないですか(歓喜)
新キャラです!!新城ミチル、遊紗のクラスメートでゆかりちゃんの友達です!愉快な性格で主人公気質な感じしますけど遊紗から見たらただウザい奴って評価が止まらない。
そしてバブルブロウラーという水属性の格闘的なモンスターとフィールド魔法を駆使して戦う「儀式使い」といった感じになってます。儀式使いですよ!!このご時世で儀式ですよ!!…おっと誰か来たようだ。
まぁミチルがレギュラーキャラになっていくわけですけど、氷樫くんが空気化してるような気が…次回久々に出ますよ!!
緋式先輩のデッキはバレエテーマのエトワール・ブリーズです、星のそよ風なのにバレエテーマとはこれいかに。デッキから引っ張る効果等が非常に多いテーマなんですけど、正直楽しいです。
最後の最後に祈里様改め、「男子生徒の」ヒカルが登場しました。トウマとなにを話したのかはちょっと先の話でお伝えします、ただわりとマジでシリアスな話してますが。
最後のシーン?なんのことですかね、ちょっと分からないです。
今回からカードの紹介が無くなりますが、不定期で別にコーナーをやるつもりです。よろしければ、またよろしくお願いします。
次回!!白い剣のデュエリスト登場!?探し人ってどんな人?
冴之馬トウマと再戦を望む遊紗はある日、氷樫からある人物からの手紙を受け取るのだが……。
ついに待望の彼が登場!!
【予告】
緋式のデュエルに向き合う気持ちに触れ、冴之馬トウマとの再戦を望んで意気込む遊紗。
ある日、氷樫から「白城明日氷」という人物からの手紙を受け取り、その人物からデュエルを申し込まれる。
不信に思いながらも明日氷と対面し、明日氷から思いもよらない質問を投げ掛けられ…!?
次回!第8話「白氷の剣」