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TRIGGER.005「真なる力 エンジェリング召喚」
―――貴方達に与えられた力は、今世界に分かれました。
―――天使の魔術も、またその一つ。
―――エンジェリング召喚は、真なる力の欠片なのです。
「――真なる力……エンジェリング召喚……か」
~~~
エンジェリング召喚の祖は、過去の産物と共に居る…か。
「何故そのような情報を我々に提供するのですか」
「ほんの気まぐれです。我々も、協力する側としてはエンジェリング召喚の謎を追う権利があり、あなた方に情報を提供する義務がある。ただそれだけのことなのです」
「なるほど、にして…過去の産物とは?」
「彼は天使と言うにはあまりに人間に近く、人間と言うには人間としての能力を逸脱した生命体。…まさに、過去が産み出した『モノ』です」
過去が産んだ『モノ』か…なるほど、天使ではないがそれに限りなく近い存在ということだな…。
しかし、何故過去の人物がここに……。
「……その人物の名は…?」
「………特別に、お教えしましょう」
~~~
「………」
「うーん……」
……………。
「うーん……」
「…おい、」
「ちょっと黙って、今考えてるから」
「そうやっていつまで悩んでるつもりだよ…」
こんなんやってたらせっかく早退してきた時間も無駄だっての…。
全く…たかが………、
「たかがケーキ買うのに!何時間かけるつもりだよ!」
「良いだろ別にー、だって連れが1つにしろって言うから……」
「だったらむしろやめとけよ…」
こんな甘党の買い物に付き合わされるハメになるなんて…おとなしく授業受けてればよかったかな……。
「はぁ…分かってないな……」
「なにがだよ…」
「デュエリストなら、焦りは禁物だ!それすなわち、休息を取らなければ足元を掬われるということ!」
「………」
おい、誰かツッこんでやれよ……。
「そう言って毎日甘味食うバカがいてたまるものか」
「いったぁ!?」
あ、殴られた。…って誰だっけ、こいつ。
「わ、悪いか!!」
「悪い」
「~~~!」
「全く、遅いと思ってきてみれば…」
「えっと…」
「ん…?あぁ…とにかく、帰るぞヒカル」
「…分かったよ」
……あぁ、思い出した。托都だっけ、ヒカルの仲間だとかなんとか言われた気がする。
もしかして保護者代わりとか…?じゃなかったら殴ったりしないよな?……しないよな?
~~~
「というわけで、これが本来あるべき俺だ」
「………なるほど」
確かに全くイメージが変わるな…中身とかも。
「学校では仕方なくあの姿なわけだが、普段はこっちだと思ってほしい。…決して女装趣味ではないからな…!」
「そこまで言ってねえ…」
そりゃあ高校生にもなってそういう趣味とか…あったらあったで面白そうだけど嫌だな、俺は。
「じゃあ、なんか質問は?」
「質問?」
「なにかしら知りたがってる顔してるんだよ」
知りたがってる顔って…バレバレかよ……なら、遠慮なく。
「アンタはどうやってここに来た、普通の人間じゃないのは今日のあの飛び降りで分かってる」
「…いきなり本題かよ」
「えっ?」
「話すつもりだった話だからな」
なんだよ、だったらわざわざ言う必要なかったってことか。
「そもそも、俺だけじゃない、俺の周りの連中はどいつもこいつも人間のものじゃない力を持ってる」
「どいつもこいつも…ってことは」
「俺や、ヒカルの探す人間もそれに分類される」
「…!アンタいつの間に…」
「ヒカルが持っていた本来の力は消滅したはずだった」
「世界が必要としなくなったから消えたはずなんだ」
世界が必要としなくなったって、オカルトっつーかなんかいきなり広大な世界の話になりやがった……。
「あの時、アイツが消えてから突然また力が宿った…今度はただ戦うだけの力じゃなくて、時を越える力まで持っていた」
「戦うだけの…力…か」
「アイツが持っている力をそのまま俺が奪った気がするから、早く見つけようとしてるんだけどな」
「中々見付からないんだよ、これが」
「もう2年近いしな」
「2年!?」
2年近くも仲間探すために時を越えてきてたのか…?よく頭おかしくならずに済んだな……。
でも、……会えるなら、
「…大丈夫、」
「?」
「協力するからには必ずここで見つけよう、アンタはまだそいつに会う希望があるんだ」
「……、ありがとな、嬉しいよ」
まだ会えるならいいじゃないか、会えるなら…会いたい。俺だって…。
「…!そうだ、アンタらのいた過去って…」
「数百年前のハートランドシティだ、ヒカルの故郷はそこにある」
「アンタの故郷はないのかよ」
「触れてやるな、アイツはアイツでちょっと違うんだ…」
なんで若干言いづらそうなんだよ…。
「…気にするな、お前の方が複雑だろう」
「誰が複雑だよ…托都に比べたら……」
「そこまで…?」
「簡単に言ってしまえば、人間ではないからな」
………は!?
「人間じゃない!?…ヒカルも人間ではないよな…いやいや…!」
「そこは面倒だから説明はあえてしたくない」
「そうだな。それより、お前が何よりも気になっている事をまだ話してないな?」
「!」
これも気付かれてるし…。
「……エンジェリング召喚については…知らないのか?」
「…それは分からない、悪いな」
「そっか…」
「エンジェリング召喚、」
「…?」
「托都?」
「真なる力……奴はそう言っていた」
エンジェリング召喚は、真なる力……。
それより…!!
「『奴』って誰だよ!」
「そうだ托都!お前、何を知ってるんだ」
「…夢に出た、紫の髪の女の姿をした奴が言っていたはずだ」
「紫の髪の女…?」
「………」
謎がむしろ深まっただけってことか…。
エンジェリング召喚……なんなんだろう…一体。
「…!来たな」
「へ?」
「……はぁ、随分と唐突な上に早かったな」
「全くだよ」
「…?」
「ついてこい」
~~~
「……ここに彼が…」
「来たな」
「…!」
「…あれは……?」
「冴之馬トウマ、ユートリア・コーポレーション社長…そうだろ!!」
「ええっ!?」
あれが、ユートリア・コーポレーションの社長…!?
「君の言う通りだ、随分とこの世界について調べたのだな。朽祈ヒカル」
「…………」
しかも社長って奴、ヒカルの正体知ってるのかよ…。
「何の用だ?俺がいるのが分かったから追い出そうっていう魂胆にでも辿り着いたか?」
「その計画も練ってはいたがな、今のところ君に用はない。…私が接触したいのは、隣の少年……」
「!」
まさか、
「栞遊紗、」
「……」
「私と、デュエルする気はないか?」
「デュエル…?」
俺とこいつがデュエル…?
…冗談言うなよ…ヒカルのこと知ってるような奴だぞ、勝ち負け云々よりなにか狙いがなかったらデュエルなんてするわけが……、エンジェリング召喚……!
「デュエル形式はアクションデュエル…私は、君と君のエンジェリング召喚の先を見に来たのだ」
「やっぱりか…」
「どうする遊紗、」
「………」
エンジェリング召喚が狙いなのは間違いない、だけど…アクションデュエル……。
シュウとのデュエルでアクションデュエルの基礎は分かった、なら―――負ける道理はない…!!
「分かった!そのデュエル、受けて立つ!」
「…そうか。――1時間後、デュエルアーチスタジアムで待っている。君の全力を以て、私に挑むが良い」
「そうかよ…言っておくけどな、俺はアンタに、負ける気がしない…!」
「…フッ…ではまた会おう、栞遊紗」
冴之馬トウマ…、必ず勝つ…!!
~~~
「かしこまりました、では4時よりデュエルアーチスタジアムのデュエル権限を許可します」
「頼むぞ花沢」
「しかし、よろしいのですか?」
「なにがだ?」
「アリスコンツェルンの者へ連絡しておりませんが…」
「彼らもスタジアムの騒ぎに気づけばすぐにカメラを回すだろう」
彼らに情報を漏洩するわけにはいかない…これは私に必要なものなのだから。
「彼らの回線が回ってくるようならば全て接続を切るんだ、彼らにエンジェリング召喚を見せるな」
「かしこまりました!」
これは我々の未来に必要な素材、みすみすチャンスを逃すわけにはいかない…!
~~~
「遊紗、」
「…!ヒカル……」
「気を付けろよ、相手は本気だ」
「分かってる。だから負ける気がしねえんだよ」
「?それってどういう…」
「余裕そうにしてたら足元掬われるって、俺はそう確信してる」
むしろ、焦らない奴が負ける…余裕そうに嘲笑うその鼻を俺が必ずへし折ってやる…!!
「…そうか、頑張れよ。必ず勝ってこい!」
「任せろよ!」
なんたって、俺にはエンジェリング召喚が付いている――――!!
「…やっと来たか」
「なんだ、一時間暇だったのかよ」
「まぁ…そんなところだ、では始めよう栞遊紗、君のエンジェリング召喚…見せてもらう」
「こっちこそ…!アンタのその偉そうな態度、ぶっ潰してやる!」
負けない…!負けるわけがないんだ、こんな……なんにも知らないような奴に…!!
《アクションフィールド選択完了!》
「アクションフィールド《フューチャーガーデン》発動!!」
《Field set DUEL standby》
「行くぞ!」
「来い!!」
「「デュエル!!」」
「先攻は俺だ!俺は《Si-グランド・フェンリル》を召喚!」
《ATK:1700/Level:4》
先攻は最初のターンに攻撃できない…手札のことを考えたら、今はターンを終えてアクションカードを集めた方がいい…!
「俺はこれでターンエンド!グランド・フェンリル、いくぞ!」
《Hand:4》
「アクションカードの位置を確認しに行ったか…」
未来都市みたいなフィールドだけど、地上にあるアクションカードを見つけられれば有利になるのは間違いない…!なら、今は駆け抜ける!!
「さて、君がアクションカードを見つけるまでに私は下準備を整えるとしよう。私のターン!」
「アクションデュエルを仕掛けたからには必ずアイツにもなにかある」
「遊紗はそれが分からなければ…」
「まぁ、負けるだろうな」
一体何が来る…、いや、なにが来ても良い…!なにがどうあっても俺が必ず奴を倒すんだからな…!
「私は《十字架の幻獣 バジリスク》を召喚!」
《ATK:1200/Level:4》
「幻獣……?」
「更に、魔法カード《幻獣解放》を発動!私のデッキから、二体の「幻獣」モンスターを手札に加える」
どんな奴が来ようが、俺のやることは変わらない……!さぁこいよ!
「手札に加えた《十字架の幻獣 バイコーン》の効果!このモンスターとフィールドに存在するレベル4以下のモンスターで、融合召喚を行う!」
「融合!?」
「アイツ融合使いだったか…」
融合には本来《融合》のカードが必要になる…そのカードを使わないで融合召喚を……。
「二角の角持つ魔獣よ、蛇の毒持ちし魔獣よ、今こそ交わり王者となれ!融合召喚!現れよ《十字架の帝王 リヴァイアサン》!」
《ATK:2600/Level:8》
「いきなり攻撃力2600のモンスター…!」
「リヴァイアサンでグランド・フェンリルを攻撃!エナジーストリーム!」
来たか!アクションカードは……!
「あった…!アクションマジック《回避》!バトルを無効にする!」
「無闇に走り回っているわけではないようだな…リヴァイアサンの効果発動!相手モンスターを破壊できなかったターン、相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える」
「なに!?」
「攻撃力は1700、1700のダメージだ。まずはその足を潰そう…!スプラッシュバースト!!」
「っ!!グランド・フェンリル…」
《Yusa Life:2300》
アクションカードを探すモンスターを破壊してくるなんて……。
だけど、まだ逆転は余裕だ!次のターンに必ず…!
「まだだ」
「…!」
「私は魔法カード《エンジェリック・サーチ》を発動。手札から一体モンスターを墓地に送ることで、デッキからゲートモンスター1体を手札に加える」
「ゲート…モンスター…!?」
「ゲートモンスター……エンジェリング召喚の!?」
「アイツ……」
エンジェリング召喚を使う…!?だって、エンジェリング召喚は俺のデッキにしかないはずだ…じゃあアイツは…、冴之馬トウマは、何者なんだ…!?
「私は《十字架の幻獣 ユニコーン》を手札に加える…これでまずは1体」
「ッ…!!」
「さぁ、早く君も見せてみるんだ。その崇高なる祖の力を」
「祖の…力…?」
「私の目的は君のエンジェリング召喚をこの目で知り、そして私の夢の実現へ繋げること。君にはその糧になってもらう」
「冴之馬トウマ……」
………はっ、上等じゃねえか…。
「やれるもんならやってみやがれ」
「…ほう…?」
「悪いけど、糧になるのはお前だ。俺は誰にも負けない…!」
「……威勢が良いことだ、私もそれならば戦い甲斐があるというものだ」
「こっちこそ!!ぜってーに、負けるもんかよ!」
意地とプライドの真剣勝負…!
エンジェリング召喚を使うってんなら、本家エンジェリング召喚がぶっ倒してやる!
「行くぜ冴之馬トウマ!俺のデュエルは、ここからだ!」
6話へ続く
=================
【あとがき】
今回の一言、「迷子の迷子の社長さん」
アンタ出掛けてから何時間経ってるの…。一応時間的にあのエクシーズ反応は5分後くらいに解析、そこから一時間後に外出なんでまぁまぁ……うん。
序盤に托都が昼寝してたりアリスコンツェルンの名前が出てきたり忙しいRRの初期内容、ちなみに二期はもっと忙しい。
祈里の格好だと普通に「へぇ、デートかよ」って言いたくなる二人、だ が 男 だ 。orz男じゃなかったらお似合いなんだけどなぁ……もったいないし………いや、男じゃなくても基本無口だから微妙か。
だんだん遊紗が熱血染みて来てるけどまだ弱遊星タイプくらい、クール8で熱血2だからニッって感じに笑ったりしないもったいない。
あと登場キャラ数が近年稀に見るくらい少なかった気がする、モブさん仕事しろ。
トウマのデッキは幻獣がモチーフです、もう名前そのまんまですからね!そして融合使いという!!儀式とエクシーズはまだですか
エンジェリング使いの遊紗、シンクロ使いのシュウ、融合使いのトウマって感じに現状は進んでる感じ。懐かしきトルネード召喚も勿論あるから大丈夫です!!ありますから!!(必死)
次回!!その者は探求せし者、遊紗のエンジェリング召喚は如何に…!?
トウマは融合使いであり、なんとエンジェリング召喚を手にするデュエリストでもあった。
そんなトウマに対し、遊紗は本家エンジェリング召喚を繰り出す!
【予告】
ユートリア・コーポレーション社長であり融合使いのデュエリスト・冴之馬トウマはなんと遊紗しか持っていないはずのエンジェリング召喚を持つ者でもあった。
驚きつつも、そんなトウマの鼻を明かそうと自身の全力を出してデュエルに挑む遊紗。
そしてついに自身の力であるエンジェリング召喚を繰り出すのだが…!?
次回!第6話「探求する者 冴之馬トウマ」
【本日のカード紹介】
《Si-グランド・フェンリル》
ATK:1700/DEF:1000/Level:4/水属性/獣族/効果モンスター
①1ターンに1度、手札の魔法カードを一枚墓地に送ることで、このターンのエンドフェイズ時まで相手モンスター1体の攻撃力を0にする。
『作者からのコメント!』
遊紗の使うシルバーアイス【Si-】の仲間であり、遊紗のデュエルでは現在全てに登場している裏フェイバリットカードです!
魔法カードと組み合わせて強力コンボを作れるかも!?
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TRIGGER.005「真なる力 エンジェリング召喚」
―――貴方達に与えられた力は、今世界に分かれました。
―――天使の魔術も、またその一つ。
―――エンジェリング召喚は、真なる力の欠片なのです。
「――真なる力……エンジェリング召喚……か」
~~~
エンジェリング召喚の祖は、過去の産物と共に居る…か。
「何故そのような情報を我々に提供するのですか」
「ほんの気まぐれです。我々も、協力する側としてはエンジェリング召喚の謎を追う権利があり、あなた方に情報を提供する義務がある。ただそれだけのことなのです」
「なるほど、にして…過去の産物とは?」
「彼は天使と言うにはあまりに人間に近く、人間と言うには人間としての能力を逸脱した生命体。…まさに、過去が産み出した『モノ』です」
過去が産んだ『モノ』か…なるほど、天使ではないがそれに限りなく近い存在ということだな…。
しかし、何故過去の人物がここに……。
「……その人物の名は…?」
「………特別に、お教えしましょう」
~~~
「………」
「うーん……」
……………。
「うーん……」
「…おい、」
「ちょっと黙って、今考えてるから」
「そうやっていつまで悩んでるつもりだよ…」
こんなんやってたらせっかく早退してきた時間も無駄だっての…。
全く…たかが………、
「たかがケーキ買うのに!何時間かけるつもりだよ!」
「良いだろ別にー、だって連れが1つにしろって言うから……」
「だったらむしろやめとけよ…」
こんな甘党の買い物に付き合わされるハメになるなんて…おとなしく授業受けてればよかったかな……。
「はぁ…分かってないな……」
「なにがだよ…」
「デュエリストなら、焦りは禁物だ!それすなわち、休息を取らなければ足元を掬われるということ!」
「………」
おい、誰かツッこんでやれよ……。
「そう言って毎日甘味食うバカがいてたまるものか」
「いったぁ!?」
あ、殴られた。…って誰だっけ、こいつ。
「わ、悪いか!!」
「悪い」
「~~~!」
「全く、遅いと思ってきてみれば…」
「えっと…」
「ん…?あぁ…とにかく、帰るぞヒカル」
「…分かったよ」
……あぁ、思い出した。托都だっけ、ヒカルの仲間だとかなんとか言われた気がする。
もしかして保護者代わりとか…?じゃなかったら殴ったりしないよな?……しないよな?
~~~
「というわけで、これが本来あるべき俺だ」
「………なるほど」
確かに全くイメージが変わるな…中身とかも。
「学校では仕方なくあの姿なわけだが、普段はこっちだと思ってほしい。…決して女装趣味ではないからな…!」
「そこまで言ってねえ…」
そりゃあ高校生にもなってそういう趣味とか…あったらあったで面白そうだけど嫌だな、俺は。
「じゃあ、なんか質問は?」
「質問?」
「なにかしら知りたがってる顔してるんだよ」
知りたがってる顔って…バレバレかよ……なら、遠慮なく。
「アンタはどうやってここに来た、普通の人間じゃないのは今日のあの飛び降りで分かってる」
「…いきなり本題かよ」
「えっ?」
「話すつもりだった話だからな」
なんだよ、だったらわざわざ言う必要なかったってことか。
「そもそも、俺だけじゃない、俺の周りの連中はどいつもこいつも人間のものじゃない力を持ってる」
「どいつもこいつも…ってことは」
「俺や、ヒカルの探す人間もそれに分類される」
「…!アンタいつの間に…」
「ヒカルが持っていた本来の力は消滅したはずだった」
「世界が必要としなくなったから消えたはずなんだ」
世界が必要としなくなったって、オカルトっつーかなんかいきなり広大な世界の話になりやがった……。
「あの時、アイツが消えてから突然また力が宿った…今度はただ戦うだけの力じゃなくて、時を越える力まで持っていた」
「戦うだけの…力…か」
「アイツが持っている力をそのまま俺が奪った気がするから、早く見つけようとしてるんだけどな」
「中々見付からないんだよ、これが」
「もう2年近いしな」
「2年!?」
2年近くも仲間探すために時を越えてきてたのか…?よく頭おかしくならずに済んだな……。
でも、……会えるなら、
「…大丈夫、」
「?」
「協力するからには必ずここで見つけよう、アンタはまだそいつに会う希望があるんだ」
「……、ありがとな、嬉しいよ」
まだ会えるならいいじゃないか、会えるなら…会いたい。俺だって…。
「…!そうだ、アンタらのいた過去って…」
「数百年前のハートランドシティだ、ヒカルの故郷はそこにある」
「アンタの故郷はないのかよ」
「触れてやるな、アイツはアイツでちょっと違うんだ…」
なんで若干言いづらそうなんだよ…。
「…気にするな、お前の方が複雑だろう」
「誰が複雑だよ…托都に比べたら……」
「そこまで…?」
「簡単に言ってしまえば、人間ではないからな」
………は!?
「人間じゃない!?…ヒカルも人間ではないよな…いやいや…!」
「そこは面倒だから説明はあえてしたくない」
「そうだな。それより、お前が何よりも気になっている事をまだ話してないな?」
「!」
これも気付かれてるし…。
「……エンジェリング召喚については…知らないのか?」
「…それは分からない、悪いな」
「そっか…」
「エンジェリング召喚、」
「…?」
「托都?」
「真なる力……奴はそう言っていた」
エンジェリング召喚は、真なる力……。
それより…!!
「『奴』って誰だよ!」
「そうだ托都!お前、何を知ってるんだ」
「…夢に出た、紫の髪の女の姿をした奴が言っていたはずだ」
「紫の髪の女…?」
「………」
謎がむしろ深まっただけってことか…。
エンジェリング召喚……なんなんだろう…一体。
「…!来たな」
「へ?」
「……はぁ、随分と唐突な上に早かったな」
「全くだよ」
「…?」
「ついてこい」
~~~
「……ここに彼が…」
「来たな」
「…!」
「…あれは……?」
「冴之馬トウマ、ユートリア・コーポレーション社長…そうだろ!!」
「ええっ!?」
あれが、ユートリア・コーポレーションの社長…!?
「君の言う通りだ、随分とこの世界について調べたのだな。朽祈ヒカル」
「…………」
しかも社長って奴、ヒカルの正体知ってるのかよ…。
「何の用だ?俺がいるのが分かったから追い出そうっていう魂胆にでも辿り着いたか?」
「その計画も練ってはいたがな、今のところ君に用はない。…私が接触したいのは、隣の少年……」
「!」
まさか、
「栞遊紗、」
「……」
「私と、デュエルする気はないか?」
「デュエル…?」
俺とこいつがデュエル…?
…冗談言うなよ…ヒカルのこと知ってるような奴だぞ、勝ち負け云々よりなにか狙いがなかったらデュエルなんてするわけが……、エンジェリング召喚……!
「デュエル形式はアクションデュエル…私は、君と君のエンジェリング召喚の先を見に来たのだ」
「やっぱりか…」
「どうする遊紗、」
「………」
エンジェリング召喚が狙いなのは間違いない、だけど…アクションデュエル……。
シュウとのデュエルでアクションデュエルの基礎は分かった、なら―――負ける道理はない…!!
「分かった!そのデュエル、受けて立つ!」
「…そうか。――1時間後、デュエルアーチスタジアムで待っている。君の全力を以て、私に挑むが良い」
「そうかよ…言っておくけどな、俺はアンタに、負ける気がしない…!」
「…フッ…ではまた会おう、栞遊紗」
冴之馬トウマ…、必ず勝つ…!!
~~~
「かしこまりました、では4時よりデュエルアーチスタジアムのデュエル権限を許可します」
「頼むぞ花沢」
「しかし、よろしいのですか?」
「なにがだ?」
「アリスコンツェルンの者へ連絡しておりませんが…」
「彼らもスタジアムの騒ぎに気づけばすぐにカメラを回すだろう」
彼らに情報を漏洩するわけにはいかない…これは私に必要なものなのだから。
「彼らの回線が回ってくるようならば全て接続を切るんだ、彼らにエンジェリング召喚を見せるな」
「かしこまりました!」
これは我々の未来に必要な素材、みすみすチャンスを逃すわけにはいかない…!
~~~
「遊紗、」
「…!ヒカル……」
「気を付けろよ、相手は本気だ」
「分かってる。だから負ける気がしねえんだよ」
「?それってどういう…」
「余裕そうにしてたら足元掬われるって、俺はそう確信してる」
むしろ、焦らない奴が負ける…余裕そうに嘲笑うその鼻を俺が必ずへし折ってやる…!!
「…そうか、頑張れよ。必ず勝ってこい!」
「任せろよ!」
なんたって、俺にはエンジェリング召喚が付いている――――!!
「…やっと来たか」
「なんだ、一時間暇だったのかよ」
「まぁ…そんなところだ、では始めよう栞遊紗、君のエンジェリング召喚…見せてもらう」
「こっちこそ…!アンタのその偉そうな態度、ぶっ潰してやる!」
負けない…!負けるわけがないんだ、こんな……なんにも知らないような奴に…!!
《アクションフィールド選択完了!》
「アクションフィールド《フューチャーガーデン》発動!!」
《Field set DUEL standby》
「行くぞ!」
「来い!!」
「「デュエル!!」」
「先攻は俺だ!俺は《Si-グランド・フェンリル》を召喚!」
《ATK:1700/Level:4》
先攻は最初のターンに攻撃できない…手札のことを考えたら、今はターンを終えてアクションカードを集めた方がいい…!
「俺はこれでターンエンド!グランド・フェンリル、いくぞ!」
《Hand:4》
「アクションカードの位置を確認しに行ったか…」
未来都市みたいなフィールドだけど、地上にあるアクションカードを見つけられれば有利になるのは間違いない…!なら、今は駆け抜ける!!
「さて、君がアクションカードを見つけるまでに私は下準備を整えるとしよう。私のターン!」
「アクションデュエルを仕掛けたからには必ずアイツにもなにかある」
「遊紗はそれが分からなければ…」
「まぁ、負けるだろうな」
一体何が来る…、いや、なにが来ても良い…!なにがどうあっても俺が必ず奴を倒すんだからな…!
「私は《十字架の幻獣 バジリスク》を召喚!」
《ATK:1200/Level:4》
「幻獣……?」
「更に、魔法カード《幻獣解放》を発動!私のデッキから、二体の「幻獣」モンスターを手札に加える」
どんな奴が来ようが、俺のやることは変わらない……!さぁこいよ!
「手札に加えた《十字架の幻獣 バイコーン》の効果!このモンスターとフィールドに存在するレベル4以下のモンスターで、融合召喚を行う!」
「融合!?」
「アイツ融合使いだったか…」
融合には本来《融合》のカードが必要になる…そのカードを使わないで融合召喚を……。
「二角の角持つ魔獣よ、蛇の毒持ちし魔獣よ、今こそ交わり王者となれ!融合召喚!現れよ《十字架の帝王 リヴァイアサン》!」
《ATK:2600/Level:8》
「いきなり攻撃力2600のモンスター…!」
「リヴァイアサンでグランド・フェンリルを攻撃!エナジーストリーム!」
来たか!アクションカードは……!
「あった…!アクションマジック《回避》!バトルを無効にする!」
「無闇に走り回っているわけではないようだな…リヴァイアサンの効果発動!相手モンスターを破壊できなかったターン、相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える」
「なに!?」
「攻撃力は1700、1700のダメージだ。まずはその足を潰そう…!スプラッシュバースト!!」
「っ!!グランド・フェンリル…」
《Yusa Life:2300》
アクションカードを探すモンスターを破壊してくるなんて……。
だけど、まだ逆転は余裕だ!次のターンに必ず…!
「まだだ」
「…!」
「私は魔法カード《エンジェリック・サーチ》を発動。手札から一体モンスターを墓地に送ることで、デッキからゲートモンスター1体を手札に加える」
「ゲート…モンスター…!?」
「ゲートモンスター……エンジェリング召喚の!?」
「アイツ……」
エンジェリング召喚を使う…!?だって、エンジェリング召喚は俺のデッキにしかないはずだ…じゃあアイツは…、冴之馬トウマは、何者なんだ…!?
「私は《十字架の幻獣 ユニコーン》を手札に加える…これでまずは1体」
「ッ…!!」
「さぁ、早く君も見せてみるんだ。その崇高なる祖の力を」
「祖の…力…?」
「私の目的は君のエンジェリング召喚をこの目で知り、そして私の夢の実現へ繋げること。君にはその糧になってもらう」
「冴之馬トウマ……」
………はっ、上等じゃねえか…。
「やれるもんならやってみやがれ」
「…ほう…?」
「悪いけど、糧になるのはお前だ。俺は誰にも負けない…!」
「……威勢が良いことだ、私もそれならば戦い甲斐があるというものだ」
「こっちこそ!!ぜってーに、負けるもんかよ!」
意地とプライドの真剣勝負…!
エンジェリング召喚を使うってんなら、本家エンジェリング召喚がぶっ倒してやる!
「行くぜ冴之馬トウマ!俺のデュエルは、ここからだ!」
6話へ続く
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【あとがき】
今回の一言、「迷子の迷子の社長さん」
アンタ出掛けてから何時間経ってるの…。一応時間的にあのエクシーズ反応は5分後くらいに解析、そこから一時間後に外出なんでまぁまぁ……うん。
序盤に托都が昼寝してたりアリスコンツェルンの名前が出てきたり忙しいRRの初期内容、ちなみに二期はもっと忙しい。
祈里の格好だと普通に「へぇ、デートかよ」って言いたくなる二人、だ が 男 だ 。orz男じゃなかったらお似合いなんだけどなぁ……もったいないし………いや、男じゃなくても基本無口だから微妙か。
だんだん遊紗が熱血染みて来てるけどまだ弱遊星タイプくらい、クール8で熱血2だからニッって感じに笑ったりしない
あと登場キャラ数が近年稀に見るくらい少なかった気がする、モブさん仕事しろ。
トウマのデッキは幻獣がモチーフです、もう名前そのまんまですからね!そして融合使いという!!
エンジェリング使いの遊紗、シンクロ使いのシュウ、融合使いのトウマって感じに現状は進んでる感じ。懐かしきトルネード召喚も勿論あるから大丈夫です!!ありますから!!(必死)
次回!!その者は探求せし者、遊紗のエンジェリング召喚は如何に…!?
トウマは融合使いであり、なんとエンジェリング召喚を手にするデュエリストでもあった。
そんなトウマに対し、遊紗は本家エンジェリング召喚を繰り出す!
【予告】
ユートリア・コーポレーション社長であり融合使いのデュエリスト・冴之馬トウマはなんと遊紗しか持っていないはずのエンジェリング召喚を持つ者でもあった。
驚きつつも、そんなトウマの鼻を明かそうと自身の全力を出してデュエルに挑む遊紗。
そしてついに自身の力であるエンジェリング召喚を繰り出すのだが…!?
次回!第6話「探求する者 冴之馬トウマ」
【本日のカード紹介】
《Si-グランド・フェンリル》
ATK:1700/DEF:1000/Level:4/水属性/獣族/効果モンスター
①1ターンに1度、手札の魔法カードを一枚墓地に送ることで、このターンのエンドフェイズ時まで相手モンスター1体の攻撃力を0にする。
『作者からのコメント!』
遊紗の使うシルバーアイス【Si-】の仲間であり、遊紗のデュエルでは現在全てに登場している裏フェイバリットカードです!
魔法カードと組み合わせて強力コンボを作れるかも!?