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Stage-3「 赤 い 髪 の 秋 使 い 」
「いってきまーす!」
「今日もお出掛けですか、お嬢」
「うん!はい部屋の鍵!」
「…掃除ですね、どこですか」
「机周り!よろしく!」
昨日言われた通り、今11時!早速フォース本部に直行するわよー!!
ある程度の話はデュエルの後に色々聞いたんだけど、まだ会ってない人がいるんだよね。
「誰なんだろ…?」
「遊季ちゃーん!」
「!カエラ!」
「おはよう!今から向かうの?」
「うん!」
「じゃあ一緒に行こうよ!」
「そうね…分かったわ!行きましょ!」
駅前でカエラに会うなんて…偶然にしてはビックリというより、結構家が近かったのね、彼。
~~~
「こんにちはー!」
「こんにちは!」
「あっ!生徒会長さん!カエラも一緒なんですねー」
「僕をおまけみたいに言わないでよー!」
「目上の人には礼儀よ、礼儀!ちゃんと挨拶しなさい!」
「…あ、おはよー」
「『おはようございます』でしょ…!」
「厳しいね遊季ちゃん…」
そりゃあ、みっちり教え込まれてますから!というか、目上に敬語がしっかりできなきゃ社会に出てから色々大変っていうか……。
「とにかく行きましょー!」
「うわちょっ!?」
「待ってよー!」
どこまでやるの!?というかこれからなにが始まるわけ!?
「きたか~」
「おはようございます!」
「堅苦しいです生徒会長」
「う…」
こ、この子は…!!
「さて、まずは紹介したい奴がいる。来てくれ~」
紹介したい人…?あぁ、昨日いなかったっていう二人のことかな?
「おい凛堂!ちょっとこーい」
「呼びましたー?」
……あら、かわいい…お、女の子?
「こんな見た目だけど中身は女だぞ、いや、中身というか性別だけ…?」
「ちょっと黙ってください。さて、小春第一中学の凛堂真仲だ、よろしく」
「よろしくね、小春第二の冬咲遊季よ」
「まさか生徒会長が揃うなんてね」
「あとは第三がいれば完璧だね…」
「えっ!?」
じゃあ真仲も………、
「生徒会長だぞ、親近感が沸くな!生徒会長よ!」
「あらまぁ…」
確かにちょっと親近感が沸いてくるかも…あと、なんで性別だけ女って呼ばれてるか、分かった気がするわ。
……でも、なんか足りない気がするわね…なんだろ?
「凛堂、エレンは見てないか」
「金曜日は学校にいたし、多分来ると思いますけど…」
「エレン?」
「もう一人のメンバーだ」
「最後のフォースカードの持ち主でな、会わせときたいんだが…アイツ、気紛れなんだよ」
たまにしか来ないってことね…にしても、フォースカードの持ち主かぁ…気になるなぁ…!!
「仕方ない…大会の話でもするか」
「大会ですか!?」
「おっ、燃えてるね」
「もちろん!」
大会って言ったら、すごいデュエリストたちが集まる場所!!デュエリストなら、夢見ないわけがないんだから!
「まず、大会はリーグが異なる。プロリーグ、ユースリーグ、ジュニアユースリーグ、の3つだ」
「僕らは勝ち上がって、今年からはユースリーグなんだよ」
「そ、そうなんだ…」
「ここから更に分かれ、シングル、タッグ、チームになる」
じゃあ、私たちが目指しているのは主にチームってことになるわね。
「タッグにも参加はするぞ、優勝経験は凛堂とカエラだけだがな」
「じゃあやっぱ二人は強いんだ」
「凛堂さんがすっごく強いんだよ」
「あはは、それほどでも?」
でも、タッグはコンビネーションもかなり重要……つまりは、真仲もカエラもすっごく強くて連携がうまいってことになるわよね。
「シングルはたまに参加するが…まぁ基本はチーム戦だと思ってくれ」
「あ、はい!…そういえばチームって…」
「1チーム4人構成の勝ち抜き戦だな。全員負かせたら勝ちって言う分かりやすいルールもある」
そのまんますぎてわかりやすいわね…!!でも、これは燃える!!一気に4人を相手にできるんだもん!
「そして、最終的な目標はプロリーグの世界大会…「グランドフォースフェスタ」だ」
「グランドフォースフェスタ……」
「今年からユースリーグに昇格したということは、私達にも特例条件の参加資格はある。その大会に出場し、再び優勝することが今のフォースの目標だ」
再び…っていうことは、一度は優勝してたりする?
「リーダーは昔、グランドフォースフェスタのチーム戦で優勝しているんだ」
「ええっ!?」
「それがフォースができるきっかけにもなってるらしいよ」
じゃあ最初からすごく強いチームだったのね……世界大会にぽっと出で優勝なんて中々できるわけないし…。
「まぁこんなもんだな、どうだ、興味とか」
「チーム戦!!すっごく楽しみです!」
「よぅし…、だけどな、チームは活躍具合でメンバーを決めていく。お前になるとは限らないからな」
「はい!」
「頑張ろうね!遊季ちゃん!」
「ええ!」
ワクワクしてきた…!!これは、熱いわね!!
「…ダメだな」
「…?」
「エレンの奴、全く返信がない。またどこかに行ったか…?」
エレンって時間にルーズな人なんだろうなぁ……。
もうちょっと人付き合いうまくできないのかしら?なんだかもったいない気がする。
「探してみようか?」
「まぁただの人見知りだからこの辺にいるだろうな、探そう」
「私も探すわ!」
「遊季ちゃんも?」
「人手は多い方が良い、感謝するぞ」
これで私が見つけちゃっても先に挨拶すれば良いだけの話だもの!簡単ね!
「じゃあ探してきます!」
「分かった分かった。遊季、」
「はい?」
「エレンは赤と紫の髪の奴だ、若干お前に髪型が似てるから分かりやすいだろう」
赤と紫の髪で…ロングヘアってこと?男なのに?
「じゃあ行ってきます!」
「頼んだぞー」
「…良いのか?頼んじゃって…」
「隊長権限で連れてきちゃえばよかったのに」
「………」
~~~
「さて!凛堂さんはカフェテラスの方、僕はショッピングモール、遊季ちゃんは中央公園で頼める?」
「カフェテラスか、了解だ!」
「中央公園ってちょっと行った先の広い公園よね?」
「うん、ショッピングモールは広すぎるから…いい?」
「えぇ大丈夫よ!じゃあ行きましょ!」
中央公園には結構何回も来てるし、多分すぐ回りきれると思うけど……休日だから人が多そうね…。
赤と紫の髪の男の子…そんなすぐ見つかるのかしら。
……そう言えば、中央公園の一番奥の林の先に隠れ広場あったわよね。そこも最後に探してみましょ。
「子供連ればっかりね…」
逆に同年代が少なそうだから見分けとかは楽にできそうだけど、にしたって今日お祭りかなにかあった?いやいや、そんな話聞いてないんだけど!
……普通に参ったわね……これが都会か…。
「ねえねえこのカード強いでしょ!」
「あぁ!強いな、これと合わせたら…」
「ホントだぁ!ありがとうエレン兄ちゃん!」
「……?」
子供と……赤い髪の…………エレン!?
「うそぉっ!?」
「んぁ?」
「どーしたの?」
「いや、なんでもな―――」
「あ、貴方がエレン!?」
「そうだけどなにか?」
な、なにかってなに!?想像以上になんだか間抜けてるわよ!?
あぁぁ…大丈夫かなぁ私…!!
「…もしかしてフォースの新しい人?」
「え、えぇそうよ。私は冬咲遊季、よろしく」
「秋暮エレン、よろしくな」
「エレン兄ちゃん、この人だぁれ?」
「フォースの人だよ、怪しくねえ」
「そっかぁ!」
子供に好かれてる…?というか、まさかわりと友好的?
「で、なにか用?」
「リーダーが貴方のこと探してたから、みんなで探してたの」
「あー…大方アンタの自己紹介のためだろ?」
「まぁ……合ってるわね」
「なら、もう済んだしいいな」
………前言撤回しようかすっごく悩むわ、どうしよう、撤回したい。
「みんな、じゃあ近くで遊んでこいよ。俺この人と話あるから」
「わかったー!」
「いってきまーす!」
「あんま遠く行くなよー」
子供の世話してるのはどうしてかしら?こんなに人がいるんだから親が見ているはずなのに?
「あの子たち、親御さんは?」
「近くの孤児院の子供なんだよ、週末になると俺がここに連れてくるってわけ」
「そう…なんだか悪かったわね」
「気にすんな、さっき真仲から連絡入ってたし誰かしら来るとは思ってた」
やっぱり気づいてたんだ…にしても、孤児院の子供をつれて公園に行ったりするなんて、口は悪そうだけど根はいい人そうね。
「チームにいるだけなのもつまんねえからな、大会期間まではあんまりいたくねえんだよ」
「だから子供たちのお世話してるの?」
「まぁ、5割正解だな。…俺も、孤児院にいたから」
「……そっか」
エレン、案外気が合うかも……?
とりあえず、見つけたしカエラたちに連絡しましょうか。
「…あら?」
《おかけになったアドレスをお呼び出しできません、再度お掛け直しください》
「この公園、よく電波障害あるからな」
「先に言ってよ……」
「話もちょうどいいし、ガキたち迎えに行くぞ。ついてくるか?」
「…え、まぁ……」
なんだか流れに流されたわね…確かに30分くらい話し込んじゃってたけど…子供たち、どこまで行ったかしら…迷子じゃないといいけど…。
~~~
「……ん?」
「どうしたの?」
「…ちょっと待ってろよ」
…なにかあったかしら?
「どうした?……本当か?」
「……?」
もしかして……、あの茂みの先になにかいる?
「分かった、必ず見つけて取り返す」
「う、うん…」
「お願いエレン兄ちゃん、せっかくエレン兄ちゃんがほめてくれたんだもん…」
「どうしたのよ」
「カードを知らないやつに取られたらしい」
「ウソ!?」
「だが、さっきまで持ってたカードがない、事実のようだな」
小さい子供からカードを奪うなんて…!許せない!
「必ず犯人見つけないと!」
「分かってる。…そうだ、犯人の顔は見たか?」
「こ、この近くにいっつもいる、こわい人たち…だったよ」
「こわかったよぅ…」
…こわい人……ね、情報不足に感じるけど……エレンは、分かってる…?
「分かった、すぐ戻る。行くぞ遊季」
「えっ?!わ、わかった!」
やっぱり分かってる!?すごい、というより、こわい人っていうのが有名なのかしら…?
「多分奴らは公園奥の林の先にいるはずだ」
「その奴らって不良集団なの?」
「まぁそんなとこだ、早いところ片付けてカードを取り返そう」
……なんだか、顔がすごい本気ね…まぁいざとなれば私だってデュエルするけれど…!!
「いた…」
「えっ」
「あのガキいいカードもってんなぁ」
「雑魚が使っても役に立たねえっつーのに」
「雲野がもらって正解だったんじゃねーの?」
うっすら林の先に見えるけど……あの三人組で間違いないわね。
「どうするつもり?」
「決まってんだろ、行くぞ」
「えっ?行くって…ちょっと!」
大丈夫なの!?さすがにあんな厳つい奴らに挑むなんて無茶な―――!!
「おい」
「あぁん?」
「なんだァこいつ」
「さっきアンタらが子供から奪ったカード、返してもらう」
「カードォ…?」
「奪ったなんて人聞き悪いなぁ、もらってあげたんだよ」
「言いがかりはやめてくれねえかなぁ?」
な、なにあいつら…いちゃもんでもつけてるつもりなの?
「……言葉は通じないようだな」
「なにぃ?」
「…!デュエルディスク…!」
「もしかして、デュエルを?」
「ほーぅ?」
「俺が勝ったなら子供から貰ったとかいうカード、俺がもらおう。さぁデュエルだ」
「なるほどな、良いぜ、受けてたってやるよ」
…まさかこんな形で、フォースのデュエリストのデュエルが見られるなんて……デュエルの形は不本意だけど、でも、気になる…!
「デュエルディスク、リレイトオン!」
《Duel mode Relate》
「「デュエル!!」」
《Two Life:4000》
「先攻譲ってやるよ!見るからに弱そうだしな!」
「そうか…」
フォースのデュエリストをバカにするなんて、自殺行為もいいところよね…。
「1ターンだ」
「は?」
「このターンで、お前のライフを削りきる」
「なっ!?」
「はぁ?」
「バカじゃねーのこいつ!」
「先攻は最初のターン攻撃できないんだぜ?知ってるか?」
確かに、先攻は攻撃できないし、ドローフェイズがない…じゃああの手札に、勝利するだけのカードが揃ってるってこと!?
「俺は手札から魔法カード《融合》を発動!手札の《炎華獣 ボムビースト》と《炎華銃士 カノンソルジャー》を融合!」
「もしかして、融合使い!?」
いや、それより…炎華…?
「弾ける炎の獣よ、銃器放つ兵士よ、その魂を一つとし、戦場に赤き華を咲かせよ!融合召喚!現れろ《炎華騎士 ブラストブレーダー》!!」
《ATK:2000/Level:6》
「融合モンスター……」
「ケッ!たかが攻撃力2000のモンスターだろ?攻撃すらできねえんだ、1ターンで負けるわけねえ」
あのモンスターで倒すなら……もしかして…!
「永続魔法《バーストダウンファイア》発動!このカードは、相手のフィールドにモンスターが存在しない時効果を発動し、手札のカードを一枚墓地に送ることで、自分フィールドの融合モンスターの、攻撃力の半分のダメージを与える!ブラストブレーダーの攻撃力の半分、1000のダメージだ!」
「バーンデッキ!?ぐぁっ!」
《Unno Life:3000》
「やっぱり…!!」
「更に、この効果で墓地に送った《炎華蝶 フレイムバタフライ》の効果発動!墓地に送られたこのモンスターと手札のカードを全てゲームから除外し、相手の手札を全て墓地に送る!」
「な、なにぃ!?」
なんて強力な効果…!これで相手は手札を全て失った!
「だ、だけどライフは削りきれねえ!」
「そ、そうだそうだ!」
「ブラストブレーダーの効果発動!相手の手札かフィールドのカードが墓地に送られた時、墓地に送られたカードの枚数分カードをドローできる!」
「ば、バカな!?」
「あいにく、規制のない永続魔法なんでな。手札のカードを三枚墓地に送り、3000のダメージだ!食らえ!!」
「う、うわああああ!!!」
《Unno Life:0》
《WIN:秋暮 エレン》
強い……、これがフォースのデュエリスト……。
「つ、つえぇ……」
「逃げろぉー!!」
「…っ!」
「…!遊季、あぶねえ…!」
「アンタたち!!」
「ヒッ!?」
「約束よ、カードを返しなさい!」
………いや、勝手に取り付けた約束とか云々を今気にしてる暇なんてないわね……。
「た、たかが女だ!やっちまえ!」
「!おい遊季!」
「はぁっ!!」
「ぐへえっ!?」
「……はい?」
ふぅ……見た目以上に軽いわね、これだから贅肉は嫌なのよ、贅肉は。
「せ、背負い投げ…」
「ほら、返しなさい」
「は、……はい」
…一件落着って感じ?
「もう子供に手出しするんじゃないわよ!」
「「「は、はいィー!!」」」
「……すげえ」
~~~
「はい!カードだよ」
「ありがとう!エレン兄ちゃん、遊季お姉ちゃん!」
「どういたしまして」
結局、林でガクブルしたままだったけどあの三人組大丈夫かしら?
「遊季ちゃーん!」
「…!カエラ!」
「真仲もか」
「心配したぞ、遊季まで…ってエレン!」
「見つけてたんだ!」
「うん、まぁね」
なんだか、すっごいヤツってイメージになっちゃったかな。
やっぱ強いわよね、当然だけど!
「早く本部に戻ろうよ!」
「みんな待っているらしいからな」
「そうなの?じゃあ行かなきゃ!ほら、エレン!」
「遊季!」
「…?」
「どうした、エレン」
…私の方見てる……?
「今……俺と、デュエルしてほしい」
「えっ…?」
「はい?」
「なんだとぅ!?」
私と、エレンがデュエル――――?!
4話へ続く
=================
【あとがき】
今回の一言「なんというリアリスト」
某リアリストも真っ青なドローバーン、えげつねえ…えげつねえよ……。つか融合使いとか黒咲さん涙目だよ\(^o^)/
遅いよ聖桜、プリパラとかDDFFやってる暇あるんだったら早よ更新しなさいよ、はいごめんなさいMuse全く書いてないけど構想できてるしRRの最新話も更新できそうなの、Museもうちょっと待ってね、多分RR先に更新するから。
さて、エレンがとってもいい人そうで前回のラストのシリアス感が失われていくのを感じた、なんかユートとユーゴ混ぜた感じになってる、アルェ…?
子供世話好きな暇人のエレンとまるで彼女か何かのように連れ回される遊季。へぇ、デートかよ。
あと遊季が強すぎて不良たちがガクブルしている、そりゃあヤのつく自営業の方の娘だし……護身術ができないようじゃデュエリストにはなれないらしいし(謎)
真仲さんあれ、フォース毛嫌いしてた子のリメイク、某イゴの子っぽいイケボ系生徒会長。つよい。彼女の話はしばらく後にありますので、安心してくださいよぅ!
次回!!遊季VSエレン、氷華と炎華が火花を散らす!!
エレンからデュエルを申し込まれる遊季。とにかく本部に戻って、アリーナデュエルが始まり……?
にしても遊季さん、なにか忘れてませんか?
【予告】
エレンにデュエルを申し込まれ、驚く遊季たち。
フォースの本部に戻り、改めて後日デュエルする約束を取り付けた遊季はアキサに言われたある一言を思い出していた。
そしてデュエルの日、互いに名前や性質が似たようなデッキを使う二人のアリーナデュエルがついに始まり、遊季とエレンはその実力を発揮する!!
次回!第4話「限界突破!アリーナデュエル!」
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Stage-3「 赤 い 髪 の 秋 使 い 」
「いってきまーす!」
「今日もお出掛けですか、お嬢」
「うん!はい部屋の鍵!」
「…掃除ですね、どこですか」
「机周り!よろしく!」
昨日言われた通り、今11時!早速フォース本部に直行するわよー!!
ある程度の話はデュエルの後に色々聞いたんだけど、まだ会ってない人がいるんだよね。
「誰なんだろ…?」
「遊季ちゃーん!」
「!カエラ!」
「おはよう!今から向かうの?」
「うん!」
「じゃあ一緒に行こうよ!」
「そうね…分かったわ!行きましょ!」
駅前でカエラに会うなんて…偶然にしてはビックリというより、結構家が近かったのね、彼。
~~~
「こんにちはー!」
「こんにちは!」
「あっ!生徒会長さん!カエラも一緒なんですねー」
「僕をおまけみたいに言わないでよー!」
「目上の人には礼儀よ、礼儀!ちゃんと挨拶しなさい!」
「…あ、おはよー」
「『おはようございます』でしょ…!」
「厳しいね遊季ちゃん…」
そりゃあ、みっちり教え込まれてますから!というか、目上に敬語がしっかりできなきゃ社会に出てから色々大変っていうか……。
「とにかく行きましょー!」
「うわちょっ!?」
「待ってよー!」
どこまでやるの!?というかこれからなにが始まるわけ!?
「きたか~」
「おはようございます!」
「堅苦しいです生徒会長」
「う…」
こ、この子は…!!
「さて、まずは紹介したい奴がいる。来てくれ~」
紹介したい人…?あぁ、昨日いなかったっていう二人のことかな?
「おい凛堂!ちょっとこーい」
「呼びましたー?」
……あら、かわいい…お、女の子?
「こんな見た目だけど中身は女だぞ、いや、中身というか性別だけ…?」
「ちょっと黙ってください。さて、小春第一中学の凛堂真仲だ、よろしく」
「よろしくね、小春第二の冬咲遊季よ」
「まさか生徒会長が揃うなんてね」
「あとは第三がいれば完璧だね…」
「えっ!?」
じゃあ真仲も………、
「生徒会長だぞ、親近感が沸くな!生徒会長よ!」
「あらまぁ…」
確かにちょっと親近感が沸いてくるかも…あと、なんで性別だけ女って呼ばれてるか、分かった気がするわ。
……でも、なんか足りない気がするわね…なんだろ?
「凛堂、エレンは見てないか」
「金曜日は学校にいたし、多分来ると思いますけど…」
「エレン?」
「もう一人のメンバーだ」
「最後のフォースカードの持ち主でな、会わせときたいんだが…アイツ、気紛れなんだよ」
たまにしか来ないってことね…にしても、フォースカードの持ち主かぁ…気になるなぁ…!!
「仕方ない…大会の話でもするか」
「大会ですか!?」
「おっ、燃えてるね」
「もちろん!」
大会って言ったら、すごいデュエリストたちが集まる場所!!デュエリストなら、夢見ないわけがないんだから!
「まず、大会はリーグが異なる。プロリーグ、ユースリーグ、ジュニアユースリーグ、の3つだ」
「僕らは勝ち上がって、今年からはユースリーグなんだよ」
「そ、そうなんだ…」
「ここから更に分かれ、シングル、タッグ、チームになる」
じゃあ、私たちが目指しているのは主にチームってことになるわね。
「タッグにも参加はするぞ、優勝経験は凛堂とカエラだけだがな」
「じゃあやっぱ二人は強いんだ」
「凛堂さんがすっごく強いんだよ」
「あはは、それほどでも?」
でも、タッグはコンビネーションもかなり重要……つまりは、真仲もカエラもすっごく強くて連携がうまいってことになるわよね。
「シングルはたまに参加するが…まぁ基本はチーム戦だと思ってくれ」
「あ、はい!…そういえばチームって…」
「1チーム4人構成の勝ち抜き戦だな。全員負かせたら勝ちって言う分かりやすいルールもある」
そのまんますぎてわかりやすいわね…!!でも、これは燃える!!一気に4人を相手にできるんだもん!
「そして、最終的な目標はプロリーグの世界大会…「グランドフォースフェスタ」だ」
「グランドフォースフェスタ……」
「今年からユースリーグに昇格したということは、私達にも特例条件の参加資格はある。その大会に出場し、再び優勝することが今のフォースの目標だ」
再び…っていうことは、一度は優勝してたりする?
「リーダーは昔、グランドフォースフェスタのチーム戦で優勝しているんだ」
「ええっ!?」
「それがフォースができるきっかけにもなってるらしいよ」
じゃあ最初からすごく強いチームだったのね……世界大会にぽっと出で優勝なんて中々できるわけないし…。
「まぁこんなもんだな、どうだ、興味とか」
「チーム戦!!すっごく楽しみです!」
「よぅし…、だけどな、チームは活躍具合でメンバーを決めていく。お前になるとは限らないからな」
「はい!」
「頑張ろうね!遊季ちゃん!」
「ええ!」
ワクワクしてきた…!!これは、熱いわね!!
「…ダメだな」
「…?」
「エレンの奴、全く返信がない。またどこかに行ったか…?」
エレンって時間にルーズな人なんだろうなぁ……。
もうちょっと人付き合いうまくできないのかしら?なんだかもったいない気がする。
「探してみようか?」
「まぁただの人見知りだからこの辺にいるだろうな、探そう」
「私も探すわ!」
「遊季ちゃんも?」
「人手は多い方が良い、感謝するぞ」
これで私が見つけちゃっても先に挨拶すれば良いだけの話だもの!簡単ね!
「じゃあ探してきます!」
「分かった分かった。遊季、」
「はい?」
「エレンは赤と紫の髪の奴だ、若干お前に髪型が似てるから分かりやすいだろう」
赤と紫の髪で…ロングヘアってこと?男なのに?
「じゃあ行ってきます!」
「頼んだぞー」
「…良いのか?頼んじゃって…」
「隊長権限で連れてきちゃえばよかったのに」
「………」
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「さて!凛堂さんはカフェテラスの方、僕はショッピングモール、遊季ちゃんは中央公園で頼める?」
「カフェテラスか、了解だ!」
「中央公園ってちょっと行った先の広い公園よね?」
「うん、ショッピングモールは広すぎるから…いい?」
「えぇ大丈夫よ!じゃあ行きましょ!」
中央公園には結構何回も来てるし、多分すぐ回りきれると思うけど……休日だから人が多そうね…。
赤と紫の髪の男の子…そんなすぐ見つかるのかしら。
……そう言えば、中央公園の一番奥の林の先に隠れ広場あったわよね。そこも最後に探してみましょ。
「子供連ればっかりね…」
逆に同年代が少なそうだから見分けとかは楽にできそうだけど、にしたって今日お祭りかなにかあった?いやいや、そんな話聞いてないんだけど!
……普通に参ったわね……これが都会か…。
「ねえねえこのカード強いでしょ!」
「あぁ!強いな、これと合わせたら…」
「ホントだぁ!ありがとうエレン兄ちゃん!」
「……?」
子供と……赤い髪の…………エレン!?
「うそぉっ!?」
「んぁ?」
「どーしたの?」
「いや、なんでもな―――」
「あ、貴方がエレン!?」
「そうだけどなにか?」
な、なにかってなに!?想像以上になんだか間抜けてるわよ!?
あぁぁ…大丈夫かなぁ私…!!
「…もしかしてフォースの新しい人?」
「え、えぇそうよ。私は冬咲遊季、よろしく」
「秋暮エレン、よろしくな」
「エレン兄ちゃん、この人だぁれ?」
「フォースの人だよ、怪しくねえ」
「そっかぁ!」
子供に好かれてる…?というか、まさかわりと友好的?
「で、なにか用?」
「リーダーが貴方のこと探してたから、みんなで探してたの」
「あー…大方アンタの自己紹介のためだろ?」
「まぁ……合ってるわね」
「なら、もう済んだしいいな」
………前言撤回しようかすっごく悩むわ、どうしよう、撤回したい。
「みんな、じゃあ近くで遊んでこいよ。俺この人と話あるから」
「わかったー!」
「いってきまーす!」
「あんま遠く行くなよー」
子供の世話してるのはどうしてかしら?こんなに人がいるんだから親が見ているはずなのに?
「あの子たち、親御さんは?」
「近くの孤児院の子供なんだよ、週末になると俺がここに連れてくるってわけ」
「そう…なんだか悪かったわね」
「気にすんな、さっき真仲から連絡入ってたし誰かしら来るとは思ってた」
やっぱり気づいてたんだ…にしても、孤児院の子供をつれて公園に行ったりするなんて、口は悪そうだけど根はいい人そうね。
「チームにいるだけなのもつまんねえからな、大会期間まではあんまりいたくねえんだよ」
「だから子供たちのお世話してるの?」
「まぁ、5割正解だな。…俺も、孤児院にいたから」
「……そっか」
エレン、案外気が合うかも……?
とりあえず、見つけたしカエラたちに連絡しましょうか。
「…あら?」
《おかけになったアドレスをお呼び出しできません、再度お掛け直しください》
「この公園、よく電波障害あるからな」
「先に言ってよ……」
「話もちょうどいいし、ガキたち迎えに行くぞ。ついてくるか?」
「…え、まぁ……」
なんだか流れに流されたわね…確かに30分くらい話し込んじゃってたけど…子供たち、どこまで行ったかしら…迷子じゃないといいけど…。
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「……ん?」
「どうしたの?」
「…ちょっと待ってろよ」
…なにかあったかしら?
「どうした?……本当か?」
「……?」
もしかして……、あの茂みの先になにかいる?
「分かった、必ず見つけて取り返す」
「う、うん…」
「お願いエレン兄ちゃん、せっかくエレン兄ちゃんがほめてくれたんだもん…」
「どうしたのよ」
「カードを知らないやつに取られたらしい」
「ウソ!?」
「だが、さっきまで持ってたカードがない、事実のようだな」
小さい子供からカードを奪うなんて…!許せない!
「必ず犯人見つけないと!」
「分かってる。…そうだ、犯人の顔は見たか?」
「こ、この近くにいっつもいる、こわい人たち…だったよ」
「こわかったよぅ…」
…こわい人……ね、情報不足に感じるけど……エレンは、分かってる…?
「分かった、すぐ戻る。行くぞ遊季」
「えっ?!わ、わかった!」
やっぱり分かってる!?すごい、というより、こわい人っていうのが有名なのかしら…?
「多分奴らは公園奥の林の先にいるはずだ」
「その奴らって不良集団なの?」
「まぁそんなとこだ、早いところ片付けてカードを取り返そう」
……なんだか、顔がすごい本気ね…まぁいざとなれば私だってデュエルするけれど…!!
「いた…」
「えっ」
「あのガキいいカードもってんなぁ」
「雑魚が使っても役に立たねえっつーのに」
「雲野がもらって正解だったんじゃねーの?」
うっすら林の先に見えるけど……あの三人組で間違いないわね。
「どうするつもり?」
「決まってんだろ、行くぞ」
「えっ?行くって…ちょっと!」
大丈夫なの!?さすがにあんな厳つい奴らに挑むなんて無茶な―――!!
「おい」
「あぁん?」
「なんだァこいつ」
「さっきアンタらが子供から奪ったカード、返してもらう」
「カードォ…?」
「奪ったなんて人聞き悪いなぁ、もらってあげたんだよ」
「言いがかりはやめてくれねえかなぁ?」
な、なにあいつら…いちゃもんでもつけてるつもりなの?
「……言葉は通じないようだな」
「なにぃ?」
「…!デュエルディスク…!」
「もしかして、デュエルを?」
「ほーぅ?」
「俺が勝ったなら子供から貰ったとかいうカード、俺がもらおう。さぁデュエルだ」
「なるほどな、良いぜ、受けてたってやるよ」
…まさかこんな形で、フォースのデュエリストのデュエルが見られるなんて……デュエルの形は不本意だけど、でも、気になる…!
「デュエルディスク、リレイトオン!」
《Duel mode Relate》
「「デュエル!!」」
《Two Life:4000》
「先攻譲ってやるよ!見るからに弱そうだしな!」
「そうか…」
フォースのデュエリストをバカにするなんて、自殺行為もいいところよね…。
「1ターンだ」
「は?」
「このターンで、お前のライフを削りきる」
「なっ!?」
「はぁ?」
「バカじゃねーのこいつ!」
「先攻は最初のターン攻撃できないんだぜ?知ってるか?」
確かに、先攻は攻撃できないし、ドローフェイズがない…じゃああの手札に、勝利するだけのカードが揃ってるってこと!?
「俺は手札から魔法カード《融合》を発動!手札の《炎華獣 ボムビースト》と《炎華銃士 カノンソルジャー》を融合!」
「もしかして、融合使い!?」
いや、それより…炎華…?
「弾ける炎の獣よ、銃器放つ兵士よ、その魂を一つとし、戦場に赤き華を咲かせよ!融合召喚!現れろ《炎華騎士 ブラストブレーダー》!!」
《ATK:2000/Level:6》
「融合モンスター……」
「ケッ!たかが攻撃力2000のモンスターだろ?攻撃すらできねえんだ、1ターンで負けるわけねえ」
あのモンスターで倒すなら……もしかして…!
「永続魔法《バーストダウンファイア》発動!このカードは、相手のフィールドにモンスターが存在しない時効果を発動し、手札のカードを一枚墓地に送ることで、自分フィールドの融合モンスターの、攻撃力の半分のダメージを与える!ブラストブレーダーの攻撃力の半分、1000のダメージだ!」
「バーンデッキ!?ぐぁっ!」
《Unno Life:3000》
「やっぱり…!!」
「更に、この効果で墓地に送った《炎華蝶 フレイムバタフライ》の効果発動!墓地に送られたこのモンスターと手札のカードを全てゲームから除外し、相手の手札を全て墓地に送る!」
「な、なにぃ!?」
なんて強力な効果…!これで相手は手札を全て失った!
「だ、だけどライフは削りきれねえ!」
「そ、そうだそうだ!」
「ブラストブレーダーの効果発動!相手の手札かフィールドのカードが墓地に送られた時、墓地に送られたカードの枚数分カードをドローできる!」
「ば、バカな!?」
「あいにく、規制のない永続魔法なんでな。手札のカードを三枚墓地に送り、3000のダメージだ!食らえ!!」
「う、うわああああ!!!」
《Unno Life:0》
《WIN:秋暮 エレン》
強い……、これがフォースのデュエリスト……。
「つ、つえぇ……」
「逃げろぉー!!」
「…っ!」
「…!遊季、あぶねえ…!」
「アンタたち!!」
「ヒッ!?」
「約束よ、カードを返しなさい!」
………いや、勝手に取り付けた約束とか云々を今気にしてる暇なんてないわね……。
「た、たかが女だ!やっちまえ!」
「!おい遊季!」
「はぁっ!!」
「ぐへえっ!?」
「……はい?」
ふぅ……見た目以上に軽いわね、これだから贅肉は嫌なのよ、贅肉は。
「せ、背負い投げ…」
「ほら、返しなさい」
「は、……はい」
…一件落着って感じ?
「もう子供に手出しするんじゃないわよ!」
「「「は、はいィー!!」」」
「……すげえ」
~~~
「はい!カードだよ」
「ありがとう!エレン兄ちゃん、遊季お姉ちゃん!」
「どういたしまして」
結局、林でガクブルしたままだったけどあの三人組大丈夫かしら?
「遊季ちゃーん!」
「…!カエラ!」
「真仲もか」
「心配したぞ、遊季まで…ってエレン!」
「見つけてたんだ!」
「うん、まぁね」
なんだか、すっごいヤツってイメージになっちゃったかな。
やっぱ強いわよね、当然だけど!
「早く本部に戻ろうよ!」
「みんな待っているらしいからな」
「そうなの?じゃあ行かなきゃ!ほら、エレン!」
「遊季!」
「…?」
「どうした、エレン」
…私の方見てる……?
「今……俺と、デュエルしてほしい」
「えっ…?」
「はい?」
「なんだとぅ!?」
私と、エレンがデュエル――――?!
4話へ続く
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【あとがき】
今回の一言「なんというリアリスト」
某リアリストも真っ青なドローバーン、えげつねえ…えげつねえよ……。つか融合使いとか黒咲さん涙目だよ\(^o^)/
遅いよ聖桜、プリパラとかDDFFやってる暇あるんだったら早よ更新しなさいよ、はいごめんなさいMuse全く書いてないけど構想できてるしRRの最新話も更新できそうなの、Museもうちょっと待ってね、多分RR先に更新するから。
さて、エレンがとってもいい人そうで前回のラストのシリアス感が失われていくのを感じた、なんかユートとユーゴ混ぜた感じになってる、アルェ…?
子供世話好きな暇人のエレンとまるで彼女か何かのように連れ回される遊季。へぇ、デートかよ。
あと遊季が強すぎて不良たちがガクブルしている、そりゃあヤのつく自営業の方の娘だし……護身術ができないようじゃデュエリストにはなれないらしいし(謎)
真仲さんあれ、フォース毛嫌いしてた子のリメイク、某イゴの子っぽいイケボ系生徒会長。つよい。彼女の話はしばらく後にありますので、安心してくださいよぅ!
次回!!遊季VSエレン、氷華と炎華が火花を散らす!!
エレンからデュエルを申し込まれる遊季。とにかく本部に戻って、アリーナデュエルが始まり……?
にしても遊季さん、なにか忘れてませんか?
【予告】
エレンにデュエルを申し込まれ、驚く遊季たち。
フォースの本部に戻り、改めて後日デュエルする約束を取り付けた遊季はアキサに言われたある一言を思い出していた。
そしてデュエルの日、互いに名前や性質が似たようなデッキを使う二人のアリーナデュエルがついに始まり、遊季とエレンはその実力を発揮する!!
次回!第4話「限界突破!アリーナデュエル!」