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◇第3楽章「少女の秘密」◇
「じゃーんけーん…」
「「「ポン!!」」」
「また負けたぁ!」
「じゃあまたあそこの信号まで荷物持ちな!」
「おっさきー!」
「あー!待ってよ…ふぎゃっ!?」
「……………」
あれって、同じ学校の人かなぁ……?
「痛いぃ…みんな行っちゃったし…」
「あ、あの……」
「…?……!」
「大丈夫……ですか?」
いろんなところ擦りむいてる……でも、こんなコンクリートで転んだらそうなるよね。
「(こ、ここ、ここれは……!?)」
「ちょっと、痛いかもしれないですけど……失礼します」
「(可愛い……いや、可憐な…まるで、どこかの花畑から来たお姫様みたいな…優雅だけどどこか幼さのある顔立ちや行為…)」
顔真っ赤になっちゃってる……濡れタオル必要かなぁ…でも濡らすような場所がないし…ウェットティッシュで足りるかな……。
「(…困った顔も可愛い……コロコロ変わるんだ……)」
「滲みちゃったら、ごめんなさい」
「っいて…!」
「あっ、だ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です!(…しまったぁ…油断してた……)」
た、大変…!滲みて痛かったんだよね…?どうにかしなきゃ…!!
「こ、れで…大丈夫だと、思います」
「あ、……ありがとう、ございます」
「それじゃあまた…」
「ねえ!」
「…?」
「このハンカチ……」
「……きっと、学校でまた会えますから」
同じ学校の生徒なら、きっと会えるよね。
返すのなんて、いつでもいいんだけど…まぁいいかな…?
「……僕の、天使……」
「おいなにしてんだよー!」
「おまっ!怪我したのかよ!」
「あっ…!今行く!!」
また、会えるといいなぁ…。
~~~
「おはよう、ございます……?」
「おはようございます!遊乃さん!」
「ちぃーっす!」
よかったぁ……なんだか雰囲気変わってないみたい…。
『一安心した?』
「真実ちゃん…どういうことなの…?」
『教室前で10分くらいモジモジしてたじゃないか』
うっ……なんで普段いないのにこういうときだけ真実ちゃんいちゃうんだろう……。たまには一人で――――、
「遊乃ちゃぁん…?」
「う、うわぁっ!?」
『あれ?』
「どうしたんですかアルさん」
「遊乃ちゃんやっぱりデュエルやめないでよー!」
「はぁ!?」
「………」
うん、私が今日学校に来て一番いやーな予感がしていたのは多分これだ……。
「遊乃!…だって、おま、明日氷に勝ったんだろ!?」
「やめちゃうんですか!?」
「だって私…音楽がやりたくてこの学校に………」
「片手間でもいいんだよぅ…遊乃ちゃん、お願いします!」
「え、ええー…」
というよりも、なんで風鈴さんたちが知ってるんだろう……。
「…!よう明日氷!」
「……よう」
「明日氷くん…」
『初心者に負けても学校に来る胆力は恐ろしいな……噂になってたろうし』
噂に……か。
「おい遊乃、」
「!はい!!」
「ほらよ」
「わっ!」
か、カード……?なんで?
「どういうつもりですか?」
「どうもこうもねえよ、それ二枚入れてみろ、相性いいだろうよ」
……二枚…。………いいのかな…。
『もらえるだけもらっときなよ、困らないし』
「う、うん……」
――キーンコーンカーンコーン……
「授業始めますよ!席について!」
「じゃあな遊乃!」
「また休み時間に!」
「うん……」
~~~
「ただいま~…誰もいないけど……」
『おかえり遊乃』
「今日も一緒にいたよね?」
結局なんにも言えないまま帰ってきちゃった……。
カードも、もらってきちゃってよかったのかなぁ…もうやらないつもりなのに……。
―――――――、
―――――、
「ゆ、ゆゆ遊乃ちゃん!」
「…エイプリルフールは今日じゃないぞ…?」
「…?」
エイプリルフールは一年以上後だよね?
「せっかく始めて、勝ったのに勿体ないよ!」
「そう言われても……」
「こっからがデュエルの楽しさなんだ!遊乃は強くなるから!なっ?」
「友達少ないからデュエルする相手いませんし」
「…………」
そうだよ。アルちゃんはデュエルしないんだから私だけデュエルできたってつまらないだけだよ。
だったらピアノの練習した方が……。
「というわけなんです、時間なんでそろそろ帰りますね?」
「た、タンマ!!」
「遊乃ちゃんストォーップ!!」
「……」
『遊乃、そろそろ代わって』
「うん…」
埒が明かないよね、真実ちゃん任せた。
「…遊乃ちゃん…?」
「……しつこい子は嫌われちゃうよ?まぁ僕は最初から嫌いだけど」
「ガーン!!」
「じゃあね~」
多分、これで大丈夫だよね、遊乃。
―――――、
―――――――、
結局アルちゃんはあの通りだったから、明日氷くんにデュエルやめたのって教えたら怒られるよね…。
「はぁ……」
『とりあえず、デッキを始末したら?』
「捨てるのもったいないよ…」
『引っ越しのダンボールの中にあったんだから、誰かが入れたんじゃないの?』
「…あっ、そっか」
そうだよね。だって知らなかったんだから私入れないもん。
となると……、
『……読めたね』
「うん、なんだかわかった気がするよ」
『明日行こうか』
「だね…」
でもなんでそんなこと、したんだろう?
~~~
「……」
―――「遊乃ちゃんやっぱりデュエルやめないでよー!」
「……マジかよ…」
聞こえなかったフリだけでよかったはずなのに、ざっけんなよあのバカ…。
「俺を負かしたクセに勝手にやめるとか言ってんじゃねえよ…」
~~~
「えっと、モノレールで…」
『乗り換え2本と3時間か』
「ここまで車で来たから大変だね…」
中央駅から出るモノレールに乗ればうまく乗り継げるみたいだし、さて!やってみよう!……混みませんように…。
「……あれは…遊乃?」
「えっと…これだね」
「席空いてるよ」
「うん!」
…今から行くのは私がいた病院がある小さな町。
理由は……昔に住んでた小さい家とかあるんだけど、今回は思い出とかじゃなくて私のお兄ちゃんに会うため。
お兄ちゃんとは言っても、本当のお兄ちゃんじゃなくて、病院でずっとお世話になってたからお兄ちゃん呼びなだけで……多分、私の引っ越しのダンボールにデッキを入れたのはお兄ちゃんのはず。
先生や看護師さんも手伝ってくれたけど、勝手になにか知らないもの入れるような人じゃないんだもん。
だから、お兄ちゃんに会えばきっとわかる。私になにか伝えたくて、やったことだろうから……。
「………」
―――――――、
「着いたぁ!」
『長かったね』
「うん…!」
一時間半も座るなんて聞いてないよ…音楽聞くしかなかった……。
「…あら?遊乃ちゃん!」
「あっ…!看護師さん!」
駅の前にいるなんてビックリしたぁ…!
「一体どうしたの?寂しくて帰ってきちゃった?」
「違います!その、環お兄ちゃんに返さなきゃいけないものが…」
「あぁ、環くんにね。今日はなにもないはずだからきっと会えるわ」
「やったぁ!」
「じゃあ行きましょうか!」
「……アイツ、病院になにか用あるのか…?」
『………気のせい…?』
~~~
病院の一番端の部屋、ずっと変わらないここにいるはず……。
「おじゃましまーす…?」
「……?あぁ、遊乃か」
「久しぶり、環お兄ちゃん」
とは言っても2週間くらいしか経ってないけど……。
「……誰かの見舞いか…」
「遠路はるばるどうしたんだい?」
「環お兄ちゃん、引っ越しのダンボールにカード入れたでしょ!」
「カード?」
「うん!」
環お兄ちゃんは目が見えてない、だから口で全部説明しなきゃいけないの。
でも、それは事故の後遺症で、本当ならすごい音楽家だったんだ。私、ずっとテレビの中の人だって思ってたからビックリした。
「カードって、デュエルモンスターズ?」
「そうだよ」
「……そっか、遊乃がデュエルをしたのか…」
「笑えないよお兄ちゃん!今日はカードを返しに来たんだから!」
「…!カードを、返しに……?じゃあ、アイツも……」
あぁ言ったなら、たまたまじゃなくて故意で入れたんだよね?ひどいよお兄ちゃん……。
「返すからね」
「…これは、受け取れないな」
「どうして…?」
「遊乃がデュエルをしたのは、なにか意味があってのこと?」
「うん…」
「なるほどね…デュエルは、人と人を繋げる歌と同じなんだ」
歌と、同じ……?
「意味があったから始めた、でも意味がなくなったからやめる。歌はそうじゃない、自由に、意味なんてなくていい、誰かと繋がるためなんだ。遊乃が歌でみんなと仲良くなりたいって言っていたよね?」
「うん」
「じゃあ、遊乃にとっての歌はデュエルなんだよ。きっと遊乃があの町に行ってデュエルを始めたのは、遊乃の夢が始まった証拠なんだ」
私の、夢が……。歌で色んな人と繋がりたい、その歌がデュエル……。
「今はまだ意味なんて持つ必要ない、自由に奏でるんだよ、遊乃の歌を」
「……」
「デュエルは歌、か……」
「…でも、」
「…?」
どうしても、気になることがひとつあって……。
「勝ち負けって、嫌いなの」
「………」
「歌はみんなで歌うから楽しいでしょ?でもね、勝ち負けって優劣だよね?…合わせるのと違うよ」
「なるほどね」
「勝ち負けが嫌いか…ったく」
勝ち負けがつくっていうことは、歌とは違うことだから。きっとデュエルをやめたいのは、そういうことなんだよね…。
「甘いんだよ遊乃」
「…!明日氷くん!?」
なんでここにいるの!?
「…知り合い?」
「う、うん…なんで!?」
「たまたま見つけただけだ」
『たまたま見つけてここまで来るか普通…』
真実ちゃん正論だね……。
「勝ち負けってのは優劣なんかじゃない、時に勝ち時に負ける、それは自分磨きも同然だ」
「自分磨き…」
「なるほど…しかもね、遊乃、勝ち負けは互いに共感して、次に繋げる強さになる」
「次…?」
「二人とも次は勝つとか次も勝つ、そう思うだろ?ほら、互いに思いは同じだ」
……!本当だ……想いが合わさった…!
「すごい……」
「デュエルはつまり、デュエットのようなものだ。互いの想いが強ければ強いほどに美しい歌になる」
「…そういうことだな」
『……へえ、それは僕も、共感できるかな』
なんだか、そう思うと、納得なのかな…。
「それに、」
「…!」
「まだ俺は勝ってねえ、俺が勝つまで負けるなんて、それこそ未完成品の歌なんじゃねえか?」
「………」
「いいライバルなのかもね、アスヒくんは」
らいばる……?お友だちがいいなぁ…。
「初音さん!ごめんなさい、ミスがあったみたいで、これからリハビリだわ…」
「そうですか、じゃあ遊乃、また後でかな?」
「うーん…」
「帰ります、コイツにはデュエルの楽しさをしっかり教えてやりますから」
「あ、明日氷くん!」
「そっか、じゃあまた来てね。…デッキ、大切にするんだよ」
「…うん!」
明日氷くんが、デュエルの楽しさをなんて…ちょっと合わないかも…。
「なに笑ってんだよ、行くぞ」
「あっ、うん!」
~~~
「でも、明日氷くんなんでここに来たの…?」
「たまたま駅で見かけただけだ、気になったからついてきたらこういうことになってたんだよ」
『たまたま…ね』
たまたまって凄いなぁ…今日学校お休みしたのに、明日氷くんもお休みしたんだ……。
「お前こそ、どうするんだよ。デュエル、続けるか?」
「…私……続けようと、思ってる」
「理由は?」
「理由なんてないよ、まだ、ね」
「まだない理由か…」
とにかく今は、がむしゃらに歌うしかない、そうだよね。きっとそれが正しいんだよね。
――ヒュゥ…
「きゃっ!」
「あっ」
「リボン飛んじゃった!取ってくるね!」
「一人で行けるか?」
「うん!」
「……あれ、デッキ…」
風で取れちゃうなんて…!!
あれがないと、真実ちゃんが……。
「…多分、この辺に……あった!」
「おいおい!いなくなったヤツがいるぜー!」
「ホントだ!」
「…!」
この声……もしかして……。
「もしかして幽霊なんじゃねえの?」
「そっかぁ幽霊か!」
「……太賀くん…たちだよね……」
「おっ、覚えてやがった!」
「なら、話は早いよな!」
……早く、リボン取らなきゃ……!真実ちゃんと代わらなきゃ…!!
~~~
「遅い…」
なにか嫌な予感がする……、ちょっと探すか。
そもそも、アイツはあのリボンになにか思いれがあるのか…?というか、あのリボンはなんで色が変わるんだ。そういうリボンなのか。………ねえな。
「じゃあ、やっぱり……」
そういう、多重人格か……。
「うぇえ……」
「…!」
今の声は……!
「ほーらよ!お前のリボン取りに行けよ!」
「木登りできないくせに!」
「ばっかじゃねーの?」
「ち、違うよ…登れるように、なったもん…」
「………」
……まさか、アイツ…この町で………。だから転入してきたときにあんな怯えて…。
…俺と、同じだ……!!
「アイツら…ッ!!」
「早く登ってみろよ!」
「い、たいよ…!」
「おい」
「…?誰だお前」
「明日氷くん……?」
「なにー?ボーイフレンド?」
「そこどけよ」
「弱虫な遊乃ちゃんには貧弱そうなボーイフレンドがついてんのな!」
「どけと言われてどくヤツがいるか!」
あー、同じだ。全部同じ。
「痛い目遭いたくなかったらそこをどけ…!」
「あの野郎デュエリストかよ!寺田、活寺!」
「いいぜ!図に乗ったおバカなボーイフレンドをコテンパンにしてやろうぜ!」
「3対1だ!!」
3対1でコテンパンか、図に乗ったおバカな三人組をとっとと仕留めて、ここから帰る…!!
「明日氷くん……」
「遊乃、後でリボン取ってやるよ」
「…うん!」
さて、めんどくさくなる前に、片付ける!!
「行くぞ!!」
「「「「デュエル!!」」」」
『…僕が干渉できない間は、彼に守ってもらうんだよ、遊乃』
ライフは4000と4000が三人か。しかも俺がラストターンのバトルロイヤル…ハンデにはちょうど良すぎたな。
「俺のターン!俺は《暗黒の騎士》を召喚!効果発動だ!1ターンに1度、手札を一枚捨てることで、相手の手札1枚につき200のダメージを与える!お前の手札は5枚!食らえ!」
《ATK:1600/level:4》
「…ふんっ」
《Asuhi life:3000》
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
《Hand:2》
「俺のターン!俺も、《暗黒の騎士》を召喚し効果発動だ!」
《ATK:1600/level:4》
「……」
《Asuhi life:2000》
「明日氷くん!」
「心配すんな」
バカの一つ覚えみたいに同じことばかりかよ。勝ったな。
「カードを一枚伏せてターンエンド!」
《Hand:3》
「俺のターン、ドロー!俺は《暗黒の騎士》を召喚して効果発動!」
《ATK:1600/level:4》
「…チッ」
《Asuhi life:1000》
「更に魔法カード《暗黒融合》を発動!闇属性モンスターを自分もしくは相手のフィールドから選択して融合する!」
フィールド全体を使って融合か、そこはまぁまぁやるな…。
「俺は《暗黒の騎士》を3体融合!!闇に生きる3体の騎士よ、今交わりて戦に立て!融合召喚!!来い!《暗黒の巨神剣士》!!」
《ATK:3000/level:9》
「きたぁ!」
「勝ち確定!!」
「……デカブツが…」
ただのデカブツ立ててどうすんだよ、鼻で笑われるぞ。
「巨神剣士の効果発動!!手札を一枚捨て、攻撃力分のダメージを与える!」
「ほう?」
「「罠発動!《フレイムバースト》!効果ダメージを倍にする!!」」
「……12000…?」
アホだな…。
「食らえ!!12000だ!」
「手札から《氷瑠璃器 ダイヤモンドシールド》を墓地に送り、ダメージを無効にする」
「な、」
「「なにぃ!?」」
「更にダイヤモンドシールドは、ゲームから除外することで、このターンに俺が受けたダメージ分のダメージを相手に与える!食らえ!」
《Taga life:3000》
《Terada life:3000》
《Katsuda life:3000》
バカの一つ覚えトリオにはちょうどいいハンデだったな、はぁ…長かった。
「すごい……」
「っく、ターンエンド!」
《Hand:1》
「俺のターン、ドロー!…ワンターンだ」
「…?」
「このターンで、決める…!」
「な、なに言ってんだコイツ!」
「つか…あのデュエルディスク……」
「まさか…!!」
手札はこれか、上々だ。
「俺は魔法カード《エクシーズ・ダスト》を発動!手札から必要な素材となるモンスター二体以上を選択し、エクシーズ召喚する!」
「手札からエクシーズ召喚!?」
「そんなことができるんだ…!」
「俺は手札からレベル4の《氷瑠璃器 バーストボム》と《氷瑠璃器 スパークメイス》でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!」
別に秘密とかじゃない、知れたって構わない。ただ、許せないだけなんだ。
「烈風を受けし剣士の血を受け継ぎし瑠璃の騎士よ、吹雪を切り裂く刃となれ!現れろ!《氷瑠璃剣皇 アイスラピス・ブレード》!!」
《ATK:2500→3000/Rank:4/ORU:2》
「攻撃力3000か…」
「だがな!攻撃できなきゃ意味ないんだよ!」
攻撃できなきゃ、か。攻撃だけが全てじゃないことをその身に刻むことだ。
「アイスラピス・ブレードの効果発動!召喚に成功した時、オーバーレイユニットを全て手札に戻し、装備する効果のあるモンスターがあれば、その数だけ装備する!」
「なにぃ!?」
「バーストボムとスパークメイスはどちらも装備可能…スパークメイスの効果、装備されたこのモンスターを墓地に送ることで相手モンスター1体を破壊する!」
これでご自慢の攻撃力3000は砕け散った。あとはコイツで終わりだ!
「バーストボムの効果!相手モンスターが破壊された時、装備されたこのモンスターを墓地に送ることで、俺以外のプレイヤーに、その攻撃力分のダメージを与える!」
「なっ…!!」
「ダメージは、」
「3000!?」
「自分のモンスターで自滅とは、デュエリストを名乗る資格すらないな!行け!アイスラピス・ブレード、ダイヤモンドバースト!!」
「うわあああぁぁ!!」
《Katsuda life:0》
「ぐぁあっ!!」
《Terada life:0》
「これが、風雅遊矢の…伝説のデュエリストの……子供!?うわぁあああああ!!」
《Taga life:0》
『…!!』
《WIN:白城 明日氷》
「…明日氷くん、すごい……」
3対1でこの程度か…情けないな。
『アイツ、やっぱり……遊矢くんの……』
「く、くっそぉ…!」
「まだやるか?」
「ひぃっ!?」
「お、覚えとけー!!」
まるで悪役みたいな台詞回しだったな…。さて、遊乃にリボン取ってやらねえと。
「ほら、しっかり結んどけよ」
「あ、ありがとう…」
「ったく…で、アイツらは?」
「……小さい頃、いじめられてたの。多分、その人達の内の三人…」
やっぱりか、その内の三人ってことはかなりの人数だよな。
「私の目…気持ち悪いでしょ…?同じ色じゃないの……」
「…別に、俺の親父の友達にもいたんだってさ、目の色が違う人」
「ホント?」
父さんの友達、失踪した伝説のデュエリスト…か。
「ほら、帰るぞ遊乃」
「…うん、ねえ!」
「……?」
「明日氷くんのお父さんって、どんな人なの?」
俺の父さん…?
「すげえ人、そりゃもう最高にな」
「……そっか!」
~~~
「さて、家はここか?」
「うん…ありがとう」
「まぁな、じゃあ俺は帰るから」
「明日氷、」
「…!」
またリボンの色が変わった…?
「今日はありがとう、またよろしく」
「…任せろよ、もう一つの遊乃さん」
これでいいはず、これで…。
親父、俺……少しはアンタに近付けたかな。
――――風雅、遊矢に。
4話へ続く
=================
【あとがき】
今回の一言、「いじめ、ダメ、ゼッタイ」
遊乃と明日氷のアンチテーゼの一つでもある孤独の側面に触れるようなプロローグラストの物語でした、次回からまた日常化します。
デュエル=歌を位置付けた遊乃と環お兄ちゃんすごすぎる。私の歌を聴けえぇ!!となりそうだけど遊乃の後半のメンタルは菩薩だからきっとそうならない。
意味なく鼻唄を歌うようにデュエルするっていう環お兄ちゃんからのありがたい言葉になったかな?「デュエルに意味はない、意味はいつか見つければいい」みたいなね。明日氷にとっちゃデュエル=生き甲斐。
然り気無く明日氷が遊矢の子供だとか遊矢の友達にオッドアイがいたとか真実ちゃんが遊矢に反応とかLSと関係する場面が多い話だったから「少女の秘密」というか「少年の秘密」だったかもしれない。
冒頭に登場したキャラこそが沙耶くんです、ここから6話まで長いストーキングが始まりますね!!
遊乃は純粋に優しいからあんまり理解してないし恋愛に関してはフラグクラッシャーぶりは相変わらず遊戯王らしいなにかな気がする、めげるな男どもよ。
アルちゃんもっと出番ください、出番ください。今回のエンドカードなのにアルちゃん出番少なすぎぃ!
次回!双子のニンニン忍者デュエリスト見参!!タッグデュエルってなぁに?
一週間後、距離を一気に縮めた遊乃と明日氷を見た風鈴兄妹は二人になにがあったかを聞き出すべくタッグデュエルを提案するのだが…。
【予告】
環のいる病院に行ってから一週間後、一気に距離を縮めた遊乃と明日氷を見たアルや風鈴兄妹は、二人になにがあったかを聞き出すべくタッグデュエルを提案する。
しかし、デュエル初心者の遊乃と伝説のデュエリストの息子である明日氷の実力差でタッグはちぐはぐ。
一方の風鈴兄妹は双子ならではのタッグコンビネーションで一気に二人を追い詰める――!
次回!第4話「双子の忍者デュエリスト!!」
【今回のエンドカード】
illust:kねこ
【お知らせ】
Muse-SONGエンドカードを募集しています!
公式イラスト発表済みのキャラクターを描いてどしどし応募してください!
応募されたエンドカードは必ず採用されますので、コメント・メッセージ・なう・リプライからお伝えください!
よろしくお願いいたします!!
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◇第3楽章「少女の秘密」◇
「じゃーんけーん…」
「「「ポン!!」」」
「また負けたぁ!」
「じゃあまたあそこの信号まで荷物持ちな!」
「おっさきー!」
「あー!待ってよ…ふぎゃっ!?」
「……………」
あれって、同じ学校の人かなぁ……?
「痛いぃ…みんな行っちゃったし…」
「あ、あの……」
「…?……!」
「大丈夫……ですか?」
いろんなところ擦りむいてる……でも、こんなコンクリートで転んだらそうなるよね。
「(こ、ここ、ここれは……!?)」
「ちょっと、痛いかもしれないですけど……失礼します」
「(可愛い……いや、可憐な…まるで、どこかの花畑から来たお姫様みたいな…優雅だけどどこか幼さのある顔立ちや行為…)」
顔真っ赤になっちゃってる……濡れタオル必要かなぁ…でも濡らすような場所がないし…ウェットティッシュで足りるかな……。
「(…困った顔も可愛い……コロコロ変わるんだ……)」
「滲みちゃったら、ごめんなさい」
「っいて…!」
「あっ、だ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です!(…しまったぁ…油断してた……)」
た、大変…!滲みて痛かったんだよね…?どうにかしなきゃ…!!
「こ、れで…大丈夫だと、思います」
「あ、……ありがとう、ございます」
「それじゃあまた…」
「ねえ!」
「…?」
「このハンカチ……」
「……きっと、学校でまた会えますから」
同じ学校の生徒なら、きっと会えるよね。
返すのなんて、いつでもいいんだけど…まぁいいかな…?
「……僕の、天使……」
「おいなにしてんだよー!」
「おまっ!怪我したのかよ!」
「あっ…!今行く!!」
また、会えるといいなぁ…。
~~~
「おはよう、ございます……?」
「おはようございます!遊乃さん!」
「ちぃーっす!」
よかったぁ……なんだか雰囲気変わってないみたい…。
『一安心した?』
「真実ちゃん…どういうことなの…?」
『教室前で10分くらいモジモジしてたじゃないか』
うっ……なんで普段いないのにこういうときだけ真実ちゃんいちゃうんだろう……。たまには一人で――――、
「遊乃ちゃぁん…?」
「う、うわぁっ!?」
『あれ?』
「どうしたんですかアルさん」
「遊乃ちゃんやっぱりデュエルやめないでよー!」
「はぁ!?」
「………」
うん、私が今日学校に来て一番いやーな予感がしていたのは多分これだ……。
「遊乃!…だって、おま、明日氷に勝ったんだろ!?」
「やめちゃうんですか!?」
「だって私…音楽がやりたくてこの学校に………」
「片手間でもいいんだよぅ…遊乃ちゃん、お願いします!」
「え、ええー…」
というよりも、なんで風鈴さんたちが知ってるんだろう……。
「…!よう明日氷!」
「……よう」
「明日氷くん…」
『初心者に負けても学校に来る胆力は恐ろしいな……噂になってたろうし』
噂に……か。
「おい遊乃、」
「!はい!!」
「ほらよ」
「わっ!」
か、カード……?なんで?
「どういうつもりですか?」
「どうもこうもねえよ、それ二枚入れてみろ、相性いいだろうよ」
……二枚…。………いいのかな…。
『もらえるだけもらっときなよ、困らないし』
「う、うん……」
――キーンコーンカーンコーン……
「授業始めますよ!席について!」
「じゃあな遊乃!」
「また休み時間に!」
「うん……」
~~~
「ただいま~…誰もいないけど……」
『おかえり遊乃』
「今日も一緒にいたよね?」
結局なんにも言えないまま帰ってきちゃった……。
カードも、もらってきちゃってよかったのかなぁ…もうやらないつもりなのに……。
―――――――、
―――――、
「ゆ、ゆゆ遊乃ちゃん!」
「…エイプリルフールは今日じゃないぞ…?」
「…?」
エイプリルフールは一年以上後だよね?
「せっかく始めて、勝ったのに勿体ないよ!」
「そう言われても……」
「こっからがデュエルの楽しさなんだ!遊乃は強くなるから!なっ?」
「友達少ないからデュエルする相手いませんし」
「…………」
そうだよ。アルちゃんはデュエルしないんだから私だけデュエルできたってつまらないだけだよ。
だったらピアノの練習した方が……。
「というわけなんです、時間なんでそろそろ帰りますね?」
「た、タンマ!!」
「遊乃ちゃんストォーップ!!」
「……」
『遊乃、そろそろ代わって』
「うん…」
埒が明かないよね、真実ちゃん任せた。
「…遊乃ちゃん…?」
「……しつこい子は嫌われちゃうよ?まぁ僕は最初から嫌いだけど」
「ガーン!!」
「じゃあね~」
多分、これで大丈夫だよね、遊乃。
―――――、
―――――――、
結局アルちゃんはあの通りだったから、明日氷くんにデュエルやめたのって教えたら怒られるよね…。
「はぁ……」
『とりあえず、デッキを始末したら?』
「捨てるのもったいないよ…」
『引っ越しのダンボールの中にあったんだから、誰かが入れたんじゃないの?』
「…あっ、そっか」
そうだよね。だって知らなかったんだから私入れないもん。
となると……、
『……読めたね』
「うん、なんだかわかった気がするよ」
『明日行こうか』
「だね…」
でもなんでそんなこと、したんだろう?
~~~
「……」
―――「遊乃ちゃんやっぱりデュエルやめないでよー!」
「……マジかよ…」
聞こえなかったフリだけでよかったはずなのに、ざっけんなよあのバカ…。
「俺を負かしたクセに勝手にやめるとか言ってんじゃねえよ…」
~~~
「えっと、モノレールで…」
『乗り換え2本と3時間か』
「ここまで車で来たから大変だね…」
中央駅から出るモノレールに乗ればうまく乗り継げるみたいだし、さて!やってみよう!……混みませんように…。
「……あれは…遊乃?」
「えっと…これだね」
「席空いてるよ」
「うん!」
…今から行くのは私がいた病院がある小さな町。
理由は……昔に住んでた小さい家とかあるんだけど、今回は思い出とかじゃなくて私のお兄ちゃんに会うため。
お兄ちゃんとは言っても、本当のお兄ちゃんじゃなくて、病院でずっとお世話になってたからお兄ちゃん呼びなだけで……多分、私の引っ越しのダンボールにデッキを入れたのはお兄ちゃんのはず。
先生や看護師さんも手伝ってくれたけど、勝手になにか知らないもの入れるような人じゃないんだもん。
だから、お兄ちゃんに会えばきっとわかる。私になにか伝えたくて、やったことだろうから……。
「………」
―――――――、
「着いたぁ!」
『長かったね』
「うん…!」
一時間半も座るなんて聞いてないよ…音楽聞くしかなかった……。
「…あら?遊乃ちゃん!」
「あっ…!看護師さん!」
駅の前にいるなんてビックリしたぁ…!
「一体どうしたの?寂しくて帰ってきちゃった?」
「違います!その、環お兄ちゃんに返さなきゃいけないものが…」
「あぁ、環くんにね。今日はなにもないはずだからきっと会えるわ」
「やったぁ!」
「じゃあ行きましょうか!」
「……アイツ、病院になにか用あるのか…?」
『………気のせい…?』
~~~
病院の一番端の部屋、ずっと変わらないここにいるはず……。
「おじゃましまーす…?」
「……?あぁ、遊乃か」
「久しぶり、環お兄ちゃん」
とは言っても2週間くらいしか経ってないけど……。
「……誰かの見舞いか…」
「遠路はるばるどうしたんだい?」
「環お兄ちゃん、引っ越しのダンボールにカード入れたでしょ!」
「カード?」
「うん!」
環お兄ちゃんは目が見えてない、だから口で全部説明しなきゃいけないの。
でも、それは事故の後遺症で、本当ならすごい音楽家だったんだ。私、ずっとテレビの中の人だって思ってたからビックリした。
「カードって、デュエルモンスターズ?」
「そうだよ」
「……そっか、遊乃がデュエルをしたのか…」
「笑えないよお兄ちゃん!今日はカードを返しに来たんだから!」
「…!カードを、返しに……?じゃあ、アイツも……」
あぁ言ったなら、たまたまじゃなくて故意で入れたんだよね?ひどいよお兄ちゃん……。
「返すからね」
「…これは、受け取れないな」
「どうして…?」
「遊乃がデュエルをしたのは、なにか意味があってのこと?」
「うん…」
「なるほどね…デュエルは、人と人を繋げる歌と同じなんだ」
歌と、同じ……?
「意味があったから始めた、でも意味がなくなったからやめる。歌はそうじゃない、自由に、意味なんてなくていい、誰かと繋がるためなんだ。遊乃が歌でみんなと仲良くなりたいって言っていたよね?」
「うん」
「じゃあ、遊乃にとっての歌はデュエルなんだよ。きっと遊乃があの町に行ってデュエルを始めたのは、遊乃の夢が始まった証拠なんだ」
私の、夢が……。歌で色んな人と繋がりたい、その歌がデュエル……。
「今はまだ意味なんて持つ必要ない、自由に奏でるんだよ、遊乃の歌を」
「……」
「デュエルは歌、か……」
「…でも、」
「…?」
どうしても、気になることがひとつあって……。
「勝ち負けって、嫌いなの」
「………」
「歌はみんなで歌うから楽しいでしょ?でもね、勝ち負けって優劣だよね?…合わせるのと違うよ」
「なるほどね」
「勝ち負けが嫌いか…ったく」
勝ち負けがつくっていうことは、歌とは違うことだから。きっとデュエルをやめたいのは、そういうことなんだよね…。
「甘いんだよ遊乃」
「…!明日氷くん!?」
なんでここにいるの!?
「…知り合い?」
「う、うん…なんで!?」
「たまたま見つけただけだ」
『たまたま見つけてここまで来るか普通…』
真実ちゃん正論だね……。
「勝ち負けってのは優劣なんかじゃない、時に勝ち時に負ける、それは自分磨きも同然だ」
「自分磨き…」
「なるほど…しかもね、遊乃、勝ち負けは互いに共感して、次に繋げる強さになる」
「次…?」
「二人とも次は勝つとか次も勝つ、そう思うだろ?ほら、互いに思いは同じだ」
……!本当だ……想いが合わさった…!
「すごい……」
「デュエルはつまり、デュエットのようなものだ。互いの想いが強ければ強いほどに美しい歌になる」
「…そういうことだな」
『……へえ、それは僕も、共感できるかな』
なんだか、そう思うと、納得なのかな…。
「それに、」
「…!」
「まだ俺は勝ってねえ、俺が勝つまで負けるなんて、それこそ未完成品の歌なんじゃねえか?」
「………」
「いいライバルなのかもね、アスヒくんは」
らいばる……?お友だちがいいなぁ…。
「初音さん!ごめんなさい、ミスがあったみたいで、これからリハビリだわ…」
「そうですか、じゃあ遊乃、また後でかな?」
「うーん…」
「帰ります、コイツにはデュエルの楽しさをしっかり教えてやりますから」
「あ、明日氷くん!」
「そっか、じゃあまた来てね。…デッキ、大切にするんだよ」
「…うん!」
明日氷くんが、デュエルの楽しさをなんて…ちょっと合わないかも…。
「なに笑ってんだよ、行くぞ」
「あっ、うん!」
~~~
「でも、明日氷くんなんでここに来たの…?」
「たまたま駅で見かけただけだ、気になったからついてきたらこういうことになってたんだよ」
『たまたま…ね』
たまたまって凄いなぁ…今日学校お休みしたのに、明日氷くんもお休みしたんだ……。
「お前こそ、どうするんだよ。デュエル、続けるか?」
「…私……続けようと、思ってる」
「理由は?」
「理由なんてないよ、まだ、ね」
「まだない理由か…」
とにかく今は、がむしゃらに歌うしかない、そうだよね。きっとそれが正しいんだよね。
――ヒュゥ…
「きゃっ!」
「あっ」
「リボン飛んじゃった!取ってくるね!」
「一人で行けるか?」
「うん!」
「……あれ、デッキ…」
風で取れちゃうなんて…!!
あれがないと、真実ちゃんが……。
「…多分、この辺に……あった!」
「おいおい!いなくなったヤツがいるぜー!」
「ホントだ!」
「…!」
この声……もしかして……。
「もしかして幽霊なんじゃねえの?」
「そっかぁ幽霊か!」
「……太賀くん…たちだよね……」
「おっ、覚えてやがった!」
「なら、話は早いよな!」
……早く、リボン取らなきゃ……!真実ちゃんと代わらなきゃ…!!
~~~
「遅い…」
なにか嫌な予感がする……、ちょっと探すか。
そもそも、アイツはあのリボンになにか思いれがあるのか…?というか、あのリボンはなんで色が変わるんだ。そういうリボンなのか。………ねえな。
「じゃあ、やっぱり……」
そういう、多重人格か……。
「うぇえ……」
「…!」
今の声は……!
「ほーらよ!お前のリボン取りに行けよ!」
「木登りできないくせに!」
「ばっかじゃねーの?」
「ち、違うよ…登れるように、なったもん…」
「………」
……まさか、アイツ…この町で………。だから転入してきたときにあんな怯えて…。
…俺と、同じだ……!!
「アイツら…ッ!!」
「早く登ってみろよ!」
「い、たいよ…!」
「おい」
「…?誰だお前」
「明日氷くん……?」
「なにー?ボーイフレンド?」
「そこどけよ」
「弱虫な遊乃ちゃんには貧弱そうなボーイフレンドがついてんのな!」
「どけと言われてどくヤツがいるか!」
あー、同じだ。全部同じ。
「痛い目遭いたくなかったらそこをどけ…!」
「あの野郎デュエリストかよ!寺田、活寺!」
「いいぜ!図に乗ったおバカなボーイフレンドをコテンパンにしてやろうぜ!」
「3対1だ!!」
3対1でコテンパンか、図に乗ったおバカな三人組をとっとと仕留めて、ここから帰る…!!
「明日氷くん……」
「遊乃、後でリボン取ってやるよ」
「…うん!」
さて、めんどくさくなる前に、片付ける!!
「行くぞ!!」
「「「「デュエル!!」」」」
『…僕が干渉できない間は、彼に守ってもらうんだよ、遊乃』
ライフは4000と4000が三人か。しかも俺がラストターンのバトルロイヤル…ハンデにはちょうど良すぎたな。
「俺のターン!俺は《暗黒の騎士》を召喚!効果発動だ!1ターンに1度、手札を一枚捨てることで、相手の手札1枚につき200のダメージを与える!お前の手札は5枚!食らえ!」
《ATK:1600/level:4》
「…ふんっ」
《Asuhi life:3000》
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
《Hand:2》
「俺のターン!俺も、《暗黒の騎士》を召喚し効果発動だ!」
《ATK:1600/level:4》
「……」
《Asuhi life:2000》
「明日氷くん!」
「心配すんな」
バカの一つ覚えみたいに同じことばかりかよ。勝ったな。
「カードを一枚伏せてターンエンド!」
《Hand:3》
「俺のターン、ドロー!俺は《暗黒の騎士》を召喚して効果発動!」
《ATK:1600/level:4》
「…チッ」
《Asuhi life:1000》
「更に魔法カード《暗黒融合》を発動!闇属性モンスターを自分もしくは相手のフィールドから選択して融合する!」
フィールド全体を使って融合か、そこはまぁまぁやるな…。
「俺は《暗黒の騎士》を3体融合!!闇に生きる3体の騎士よ、今交わりて戦に立て!融合召喚!!来い!《暗黒の巨神剣士》!!」
《ATK:3000/level:9》
「きたぁ!」
「勝ち確定!!」
「……デカブツが…」
ただのデカブツ立ててどうすんだよ、鼻で笑われるぞ。
「巨神剣士の効果発動!!手札を一枚捨て、攻撃力分のダメージを与える!」
「ほう?」
「「罠発動!《フレイムバースト》!効果ダメージを倍にする!!」」
「……12000…?」
アホだな…。
「食らえ!!12000だ!」
「手札から《氷瑠璃器 ダイヤモンドシールド》を墓地に送り、ダメージを無効にする」
「な、」
「「なにぃ!?」」
「更にダイヤモンドシールドは、ゲームから除外することで、このターンに俺が受けたダメージ分のダメージを相手に与える!食らえ!」
《Taga life:3000》
《Terada life:3000》
《Katsuda life:3000》
バカの一つ覚えトリオにはちょうどいいハンデだったな、はぁ…長かった。
「すごい……」
「っく、ターンエンド!」
《Hand:1》
「俺のターン、ドロー!…ワンターンだ」
「…?」
「このターンで、決める…!」
「な、なに言ってんだコイツ!」
「つか…あのデュエルディスク……」
「まさか…!!」
手札はこれか、上々だ。
「俺は魔法カード《エクシーズ・ダスト》を発動!手札から必要な素材となるモンスター二体以上を選択し、エクシーズ召喚する!」
「手札からエクシーズ召喚!?」
「そんなことができるんだ…!」
「俺は手札からレベル4の《氷瑠璃器 バーストボム》と《氷瑠璃器 スパークメイス》でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!」
別に秘密とかじゃない、知れたって構わない。ただ、許せないだけなんだ。
「烈風を受けし剣士の血を受け継ぎし瑠璃の騎士よ、吹雪を切り裂く刃となれ!現れろ!《氷瑠璃剣皇 アイスラピス・ブレード》!!」
《ATK:2500→3000/Rank:4/ORU:2》
「攻撃力3000か…」
「だがな!攻撃できなきゃ意味ないんだよ!」
攻撃できなきゃ、か。攻撃だけが全てじゃないことをその身に刻むことだ。
「アイスラピス・ブレードの効果発動!召喚に成功した時、オーバーレイユニットを全て手札に戻し、装備する効果のあるモンスターがあれば、その数だけ装備する!」
「なにぃ!?」
「バーストボムとスパークメイスはどちらも装備可能…スパークメイスの効果、装備されたこのモンスターを墓地に送ることで相手モンスター1体を破壊する!」
これでご自慢の攻撃力3000は砕け散った。あとはコイツで終わりだ!
「バーストボムの効果!相手モンスターが破壊された時、装備されたこのモンスターを墓地に送ることで、俺以外のプレイヤーに、その攻撃力分のダメージを与える!」
「なっ…!!」
「ダメージは、」
「3000!?」
「自分のモンスターで自滅とは、デュエリストを名乗る資格すらないな!行け!アイスラピス・ブレード、ダイヤモンドバースト!!」
「うわあああぁぁ!!」
《Katsuda life:0》
「ぐぁあっ!!」
《Terada life:0》
「これが、風雅遊矢の…伝説のデュエリストの……子供!?うわぁあああああ!!」
《Taga life:0》
『…!!』
《WIN:白城 明日氷》
「…明日氷くん、すごい……」
3対1でこの程度か…情けないな。
『アイツ、やっぱり……遊矢くんの……』
「く、くっそぉ…!」
「まだやるか?」
「ひぃっ!?」
「お、覚えとけー!!」
まるで悪役みたいな台詞回しだったな…。さて、遊乃にリボン取ってやらねえと。
「ほら、しっかり結んどけよ」
「あ、ありがとう…」
「ったく…で、アイツらは?」
「……小さい頃、いじめられてたの。多分、その人達の内の三人…」
やっぱりか、その内の三人ってことはかなりの人数だよな。
「私の目…気持ち悪いでしょ…?同じ色じゃないの……」
「…別に、俺の親父の友達にもいたんだってさ、目の色が違う人」
「ホント?」
父さんの友達、失踪した伝説のデュエリスト…か。
「ほら、帰るぞ遊乃」
「…うん、ねえ!」
「……?」
「明日氷くんのお父さんって、どんな人なの?」
俺の父さん…?
「すげえ人、そりゃもう最高にな」
「……そっか!」
~~~
「さて、家はここか?」
「うん…ありがとう」
「まぁな、じゃあ俺は帰るから」
「明日氷、」
「…!」
またリボンの色が変わった…?
「今日はありがとう、またよろしく」
「…任せろよ、もう一つの遊乃さん」
これでいいはず、これで…。
親父、俺……少しはアンタに近付けたかな。
――――風雅、遊矢に。
4話へ続く
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【あとがき】
今回の一言、「いじめ、ダメ、ゼッタイ」
遊乃と明日氷のアンチテーゼの一つでもある孤独の側面に触れるようなプロローグラストの物語でした、次回からまた日常化します。
デュエル=歌を位置付けた遊乃と環お兄ちゃんすごすぎる。私の歌を聴けえぇ!!となりそうだけど遊乃の後半のメンタルは菩薩だからきっとそうならない。
意味なく鼻唄を歌うようにデュエルするっていう環お兄ちゃんからのありがたい言葉になったかな?「デュエルに意味はない、意味はいつか見つければいい」みたいなね。明日氷にとっちゃデュエル=生き甲斐。
然り気無く明日氷が遊矢の子供だとか遊矢の友達にオッドアイがいたとか真実ちゃんが遊矢に反応とかLSと関係する場面が多い話だったから「少女の秘密」というか「少年の秘密」だったかもしれない。
冒頭に登場したキャラこそが沙耶くんです、ここから6話まで長いストーキングが始まりますね!!
遊乃は純粋に優しいからあんまり理解してないし恋愛に関してはフラグクラッシャーぶりは相変わらず遊戯王らしいなにかな気がする、めげるな男どもよ。
アルちゃんもっと出番ください、出番ください。今回のエンドカードなのにアルちゃん出番少なすぎぃ!
次回!双子のニンニン忍者デュエリスト見参!!タッグデュエルってなぁに?
一週間後、距離を一気に縮めた遊乃と明日氷を見た風鈴兄妹は二人になにがあったかを聞き出すべくタッグデュエルを提案するのだが…。
【予告】
環のいる病院に行ってから一週間後、一気に距離を縮めた遊乃と明日氷を見たアルや風鈴兄妹は、二人になにがあったかを聞き出すべくタッグデュエルを提案する。
しかし、デュエル初心者の遊乃と伝説のデュエリストの息子である明日氷の実力差でタッグはちぐはぐ。
一方の風鈴兄妹は双子ならではのタッグコンビネーションで一気に二人を追い詰める――!
次回!第4話「双子の忍者デュエリスト!!」
【今回のエンドカード】
illust:kねこ
【お知らせ】
Muse-SONGエンドカードを募集しています!
公式イラスト発表済みのキャラクターを描いてどしどし応募してください!
応募されたエンドカードは必ず採用されますので、コメント・メッセージ・なう・リプライからお伝えください!
よろしくお願いいたします!!