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ジェレスタ139「 受 け 継 が れ る 『 か っ と ビ ン グ ! 』」
「俺は、希望の未来でオーバークロス!!」
~~~
『あの光は…!!』
『英雄は、あの少年を選んだのか…』
『暖かい希望…新たなゼアルの輝き……』
~~~
希望を貫く二つの光、今こそ一つになり、希望は進化する!!
「かっとビングだ!俺!!」
この力は、風の希望!俺の真の未来!!
「…キレイ……」
『この光…』
「やればできるじゃん、遊矢」
「重なりあう希望の波動――、ロイヤルゼアルアーマード!!」
「ロイヤルゼアル、アーマード……」
……えっ、えええええっ!?これ俺!?なんか感じてる力が全然違う!!
『ゼアルは君に継承された、我々の力を取り込み、君が新たなゼアルとなったのだ』
「俺がゼアルに…」
確かにすげえ力、ゼアルに似てるけどそれ以上のなにかを感じる。そうだ、ゼアルだけどゼアルじゃない、アーマードの力と合わさったんだ…!
「すげえぜ遊矢!」
『遊馬、君はどっちの味方なんだ』
「へへっ!もちろん遊矢の!」
『……まさか君は……そうだったのか』
「さぁこい!遊矢!」
「あぁ!これが、俺の力だ!!ドロー!!」
来た…!
「俺は魔法カード《希望の転生(ホープトランスミグレイション)》を発動!墓地のエア・ストリームソードを除外し、ホープのコントロールを得る!」
《攻撃力:2500/ORU:0》
「ホープのコントロールを!」
『なるほど、ホープは奪われたのではないな』
「あぁ、ホープは、遊矢の元に自分から行ったんだ」
これでランク4のモンスターが二体揃った。
…遊馬……遊馬さん、これが俺の見せられる最大限の希望だ!!
「俺はランク4の希望皇ホープとホープ・オブ・ソードで、レギオンエクシーズチェンジ!!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!」
「これは…!」
『ホープとホープ・オブ・ソード、奇跡の合体か!』
「希望は絶えず揺るがない、剣士の刃をその手に宿し、希望皇は生まれ変わる!羽ばたけ未来!限界突破だ!!現れろ!《No.39 希望剣皇ホープ・ブレード》!!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》
ホープ・ブレード、これがホープの新たな姿だ!!
「すげえ…これがホープ!!」
『…なんという光だ……』
「行くぜ!ホープ・ブレードで遊馬にダイレクトアタック!」
『まだ終われないぞ遊馬!!』
「おう!墓地の《ガガガランチャー》の効果発動!墓地の《ガガガマジシャン》を除外することで、守備表示で特殊召喚される!」
《守備力:1000》
これで攻撃が防がれた…!!
「まだまだ勝負はわからない!俺のかっとビングがあれば!」
「それはどうかな!」
「!まさか…!」
「ホープ・ブレードの効果発動!バトルでダメージが与えられなかった時、オーバーレイユニットを一つ使い、攻撃力を二倍にして、もう一度バトルする!!フィニッシャーチャージ!!」
《攻撃力:5000/ORU:1》
『攻撃力5000…!!』
「…決まったな」
これが俺の、最後の攻撃…!!
「いっけえホープ・ブレード!!遊馬にダイレクトアタック!シャイニングホープソード!!」
「っ…!うわぁぁぁあああ!!!」
『うぁぁああ!!』
《遊馬のライフ:0》
《WIN:風雅遊矢》
「……………」
「…勝った……」
~~~
『終わったのですね……』
『あぁ…これで、彼らの運命は……決まったのだな』
『英雄、九十九遊馬から風雅遊矢へ…受け継がれてゆく……』
『…風雅遊矢、君は……アストラル世界を変えた英雄を、…そうか』
~~~
「………」
『遊馬…』
「分かってるさ、アストラル、巻き込んじまってごめんな」
『…気にするな、私も楽しかった、悔いはない』
「そっか……!アストラル、体が…!」
『…私が先に別れのようだな…』
「アストラル…!」
『遊馬、またいつか会おう』
「…あぁ!絶対に!」
『約束したぞ――――――』
アストラル……俺が、勝ったから…。
「遊馬!」
「…遊矢、すっげえじゃん!あんなの初めてだ!楽しかったぜ!」
「……その…アストラルが…」
「…大丈夫だって、こわかねーし!俺もすぐあとに……」
「大丈夫!」
「えっ?」
「遊馬は消させない、なにが起きても、絶対に!俺が守る!」
「…心強いなぁ…ま、俺もいつ迎えにこられるのかわからないっつーか…ありがとな」
「…うん!」
もし俺と一体になるなら全力で拒む、どんな困難からも守る、それで遊馬の存在が守られるなら…俺は……。
―――パキッ…
「…!」
「とにかく、どうしたら消えなくなるんだろ…やっぱフェイトシャイニングアーマード…?」
「運命変えたらお前が消えるだろ」
「だよなぁ」
―――バキッ ドゴォッ!
「!」
「遊矢!!」
「うぁっ!」
今、地面が…!!
「遊矢、大丈夫か」
「ヒカル…!?じゃあ、今の…!」
「…っ…!」
「遊馬!」
「遊矢、無事か!」
「うん!でも遊馬が…!今、引き上げるからな!!」
俺を押し出してくれたんだ、だからしがみついて耐えてる…俺が何とかしなくちゃ…!
「俺も手伝うぜ」
「ありがと!せーのっ!」
「~~!」
「…ダメだ、上がらない……二人がかりで…なんで……」
「遊矢、ここはそういう場所なんだよ」
「えっ………」
「負けたらこんなもんだよな!ハハッ…分かってたさ、アストラルと俺は…そういうことだし」
……そうだ、アストラルが消えたなら遊馬も…じゃあ、やっぱり……覆せない事実…!?
「嫌だ、こんなところで…!大切なものを、失いたくない!!」
「遊矢……」
「かっとビングだ、そうだよ!かっとビングがあれば絶対に……!!」
「遊矢…、」
「遊馬…?」
「あのデュエルの意味、分かったか?」
「デュエルの…意味…?」
あのデュエルは、俺の諦めない心を、かっとビングを呼び覚ますデュエル…とかじゃないのかな……。
「…まさか、遊馬さん!アンタ、遊矢を鏡に勝たせるためにわざと…!?」
「えっ!?」
「…あと、遊矢には元気に楽しく生きてほしいもんな!俺が死んだら死ぬなんて、嫌すぎるだろ」
俺が鏡に勝つため、このデュエルを…?遊馬が死んだら死ぬ事実を変えるために…!?
「遊矢の答えも正解だぜ、かっとビング…大切にしてくれよな」
「遊馬………」
「ぜってーに、みんなの未来を、守れよ」
「あっ…!!」
「遊矢、楽しかったぜ!かっとビングだ!遊矢!ヒカル!」
「遊馬……遊馬ぁぁぁああ!!」
「…そんな……」
自分から、手を離すなんて……そんなの……そんなの……!!
「うそ、だろ………――!えっ!なんだこれ!?」
「遊矢!?」
「うっ!!」
なんだよ、この光―――!!
~~~
『ぐっ………ぬ…おのれ……!』
「俺の勝ちだ、てめえの力は俺がもらう」
『おのれ…!!貴様、貴様ァ…!!――――――――』
ヘッ…断末魔まで恨み節かよ、笑わせてくれるぜ。
どうやら向こうのデュエルも終わったみたいだな……勝敗は………、
「なっ…!!」
九十九遊馬が負けた、だと…!?
「…はは……あっはははははははぁ!」
おもしれえ…!!いいぜ、それでこそ風雅遊矢!!
「待ってるぜ、最後の戦いといこうじゃねえか!!」
~~~
「……遊矢…?」
「…これは………」
デッキや体からすごい力を感じる…遊馬、アストラル……きっと、二人の力が俺に……。俺が、勝ったから…。
でも、立ち止まれない。遊馬が託してくれた未来を、守らなきゃ…俺が、守らなきゃいけないんだ。
「……先に進もう、きっとこの先にファントムや鏡がいるはずだ!」
「…あぁ!行こう、俺たちに願いを託したみんなのために!」
ここで止まっちゃいけない、一歩一歩踏み出していくんだ…!忘れられないもの、遊馬が教えてくれた、かっとビングで、世界を守るために!!
~~~
「遊馬が……」
「遊馬さんを遊矢が……」
これで、本当によかったのかな……。
「…これがあいつの覚悟かよ、情けねえなぁ遊馬くんよぉ」
「ベクター!!」
「あぁ?」
「遊馬がどれほどの気持ちで遊矢に任せたと思ってやがんだよ!」
「なぁに言ってるかわかんねえなぁ?単細胞はこれだからムカツクんだよ…!」
「黙れ!!なんならお前もここで―――」
「やめろアリト!!」
「だが!!」
「…俺たちも、遊矢に任せよう、遊馬が任せたように、これがきっと最後の戦いだ」
「最後の………」
あの先に、ファントムが……いるの、ね。
~~~
「…ここが………」
通路を走り抜けた先、なんか気持ち悪い場所にでっかい穴。多分ここが、最深部に繋がってるんだと思う。
「ついに、来たんだな」
「そうだな…」
「行こう、世界の平和を守るんだろ?」
「うん」
「じゃあ―――」
「あ、待って!!」
「…?」
遊馬とのデュエルですっかり忘れてたけど、ヒカルの結界の侵食……こんなとこに入ったら影響受けちゃうんじゃ……。
「腕から…また黒いの広がってる…」
もう腕が見えない…。
「…!いや、これは、大丈夫だから…早く行こう、行かないと」
「俺は、」
「……遊矢…」
「そんなヒカルを連れてはいけない」
「…なに言ってるんだよ、おいていかれたら…それこそ……!」
「ヒカル!!」
「っ!」
「これ以上消えてほしくない!!お前は、お前が消えたら…俺……」
アミをおいてきちまった、ヒカルを…おいていくのは辛い……けど、消えたらそれこそ怖い…!!
「大丈夫、俺は大丈夫…」
「………」
「消えないでくれよ、俺と一緒にいてくれよ…!だから――!!」
「分かったよ、遊矢…」
「ヒカル…」
「先に行っててくれ、きっと後から追い付くから…」
「……あぁ!!」
ヒカルのことだから、大丈夫だと思う。待っててくれるはず。
「それじゃあ、行くぜ」
「遊矢!」
「ん?」
「しっかりな、絶対応援してるから」
「…もち!やるしかないじゃん!」
あとはここに飛び込むだけ、それで、最後の戦いが始まるんだ。
「……遊矢、…お前がピンチになったら、絶対に、助けるからな」
~~~
―――闇の底に落ちていく、すごく不思議な感覚に違和感すら感じる。
―――希望が見えなくなった時、いつも仲間が居てくれた。
悔しくて泣きたいときは、可愛げもあるけど生意気で、でも優しいライバルが居てくれた。
ただ憧れていただけじゃなく、上に上がりたいと思える存在、兄……憧れの人がいた。
それを支える幼馴染みや仲間たちが居た。
―――今俺は一人だ。仲間も、憧れも、ライバルもいない。全て置いてきて、消えていってしまった。
平気かなんて解らない。仲間もみんなもいない中で勝てるのか、勝てても希望を持って帰ってこれるのか。
―――そう考えただけで怖い、身震いがして寒気が止まらない………だけど、思い出せばいろんな出会いと別れを繰り返してきた。俺は様々な人々と出会い、戦い、そして仲間になれた。
そう考えるなら、また仲間に出会える。きっと、怖くはないのかな……。
―――そうだ、まだある、仲間の気持ちが。希望がある限り、信じるものがある限り、託してくれた未来がある限り、俺はまたみんなのもとに帰ってこれる。
だからこそ、負けられない。負けることは自分の中で許さない。
―――これは世界がかかった戦い。そんなことよりも仲間と過ごした日々を忘れないために。なにより、みんなが愛した幸せな未来のために。
18年と14年過ごした、この希望を胸に抱いて絶対に負けたりしない…!
―――さぁ闇の終点に辿り着く。
もう覚悟は決まった。希望の活路、見いだせた。
―――ここが闇の最深部。
もう逃げない、これがラストデュエルだ―――!!
「……来たか、風雅遊矢」
「………鏡…」
「待ちわびたぜ、さぁデュエルだ――!」
みんな、必ず俺は帰ってくる…みんなが待っている限り……!!
「あぁ、そうだな。終わりにしよう、デュエルだ!!鏡!!」
140話へ続く
=================
【あとがき】
今回の一言、「希望は進化する」
呆気なさが逆にね……しかも皮肉というべきか、父親・一馬と同じく、底のない穴に落ちていく最期を遂げるという……(本家キャラなのに)あんまりだよ…こんなのってないよ…!
実は今回の一言を「海老引き揚げ漁」にしようとしたんですけど、いくらなんでもそれはやばくねえか?と変な自覚であえなくカット、遊馬が落ちたあの穴は重力が穴の中だけ集中していて引き上げられないようになっていたんです。敗者は必ずあの穴に落ちるようになってた、それはトルテたちも同義。ただし他殺と消滅だったために今まで効果がなかったのです。デュエルの衝撃で地面が割れたわけではない。
最深部に続く広間はいわゆる内臓の中的な……グロい場所。コープスの涅槃とか想像していただければ。そんな場所に嫁ヒカルをおいていくなんて遊矢ひどい\(^o^)/
なんかいられなくなって走ってきた黒い通路でうずくまってそうなヒカルさん、かわいそうだけどまぁ侵食きてたら普通は止められるよね。でもまだ活躍残ってるから大丈夫!!
NTRに定評のあるホープさん、はいはいホープ楽しかったです。遊馬デッキ難しかったけどレアな感じだったんで、わりとサクッと楽しく書かせていただきました!二期の終盤以来とかいまだに信じられないよ私。遊馬デュエル少なすぎる!!
アリトのストレスがマッハ、仕方ないね。ベクター久々に書けて嬉しかったです。
最後の闇の突入した時のは、以前書いたS3Dの【希望の活路】からです。あれをやりたかった。
次回!!最後の戦いがついに幕を開ける。しかし、そこに立っていたのは………。
闇の底に辿り着いた遊矢と、遊矢を待ち続けていた鏡、相対する二つの力が今ぶつかる!!
完結まであと6話!!!
【予告】
闇の底に辿り着いた遊矢を待っていたのは遊矢を待ち続けていた鏡だった。
そこにファントムの姿はなく、驚く遊矢に鏡はファントムを取り込み、完全な復活を果たしたことを告げる。
遊矢の持つ光の風、鏡の持つ闇の風、二つがぶつかり合う時、最後のデュエルの幕が開く―――!!
次回!第140話「未来を守れ!光と闇のファイナルデュエル」
【予告】
今回の主役は才色兼備の完璧生徒会長・冬咲遊季、14歳!!
ある日、氷の塊となった不思議なカードが遊季の元へと降ってきた。
「フォースカード」と呼ばれるその不思議な力に導かれるように、現在最強と言われるアリーナチーム「フォース」に入隊することに。
クールな秋使い・秋暮エレン、明るい夏使い・夏野アカネ、優しい春使い・春澤カエラ、そして冬使いの遊季――バラバラな四人のフォースカード使いによる新たなデュエル伝説が幕を開ける―――!!
遊☆戯☆王EXTRA STAGE!!
今春連載開始予定!!
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ジェレスタ139「 受 け 継 が れ る 『 か っ と ビ ン グ ! 』」
「俺は、希望の未来でオーバークロス!!」
~~~
『あの光は…!!』
『英雄は、あの少年を選んだのか…』
『暖かい希望…新たなゼアルの輝き……』
~~~
希望を貫く二つの光、今こそ一つになり、希望は進化する!!
「かっとビングだ!俺!!」
この力は、風の希望!俺の真の未来!!
「…キレイ……」
『この光…』
「やればできるじゃん、遊矢」
「重なりあう希望の波動――、ロイヤルゼアルアーマード!!」
「ロイヤルゼアル、アーマード……」
……えっ、えええええっ!?これ俺!?なんか感じてる力が全然違う!!
『ゼアルは君に継承された、我々の力を取り込み、君が新たなゼアルとなったのだ』
「俺がゼアルに…」
確かにすげえ力、ゼアルに似てるけどそれ以上のなにかを感じる。そうだ、ゼアルだけどゼアルじゃない、アーマードの力と合わさったんだ…!
「すげえぜ遊矢!」
『遊馬、君はどっちの味方なんだ』
「へへっ!もちろん遊矢の!」
『……まさか君は……そうだったのか』
「さぁこい!遊矢!」
「あぁ!これが、俺の力だ!!ドロー!!」
来た…!
「俺は魔法カード《希望の転生(ホープトランスミグレイション)》を発動!墓地のエア・ストリームソードを除外し、ホープのコントロールを得る!」
《攻撃力:2500/ORU:0》
「ホープのコントロールを!」
『なるほど、ホープは奪われたのではないな』
「あぁ、ホープは、遊矢の元に自分から行ったんだ」
これでランク4のモンスターが二体揃った。
…遊馬……遊馬さん、これが俺の見せられる最大限の希望だ!!
「俺はランク4の希望皇ホープとホープ・オブ・ソードで、レギオンエクシーズチェンジ!!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築!」
「これは…!」
『ホープとホープ・オブ・ソード、奇跡の合体か!』
「希望は絶えず揺るがない、剣士の刃をその手に宿し、希望皇は生まれ変わる!羽ばたけ未来!限界突破だ!!現れろ!《No.39 希望剣皇ホープ・ブレード》!!」
《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》
ホープ・ブレード、これがホープの新たな姿だ!!
「すげえ…これがホープ!!」
『…なんという光だ……』
「行くぜ!ホープ・ブレードで遊馬にダイレクトアタック!」
『まだ終われないぞ遊馬!!』
「おう!墓地の《ガガガランチャー》の効果発動!墓地の《ガガガマジシャン》を除外することで、守備表示で特殊召喚される!」
《守備力:1000》
これで攻撃が防がれた…!!
「まだまだ勝負はわからない!俺のかっとビングがあれば!」
「それはどうかな!」
「!まさか…!」
「ホープ・ブレードの効果発動!バトルでダメージが与えられなかった時、オーバーレイユニットを一つ使い、攻撃力を二倍にして、もう一度バトルする!!フィニッシャーチャージ!!」
《攻撃力:5000/ORU:1》
『攻撃力5000…!!』
「…決まったな」
これが俺の、最後の攻撃…!!
「いっけえホープ・ブレード!!遊馬にダイレクトアタック!シャイニングホープソード!!」
「っ…!うわぁぁぁあああ!!!」
『うぁぁああ!!』
《遊馬のライフ:0》
《WIN:風雅遊矢》
「……………」
「…勝った……」
~~~
『終わったのですね……』
『あぁ…これで、彼らの運命は……決まったのだな』
『英雄、九十九遊馬から風雅遊矢へ…受け継がれてゆく……』
『…風雅遊矢、君は……アストラル世界を変えた英雄を、…そうか』
~~~
「………」
『遊馬…』
「分かってるさ、アストラル、巻き込んじまってごめんな」
『…気にするな、私も楽しかった、悔いはない』
「そっか……!アストラル、体が…!」
『…私が先に別れのようだな…』
「アストラル…!」
『遊馬、またいつか会おう』
「…あぁ!絶対に!」
『約束したぞ――――――』
アストラル……俺が、勝ったから…。
「遊馬!」
「…遊矢、すっげえじゃん!あんなの初めてだ!楽しかったぜ!」
「……その…アストラルが…」
「…大丈夫だって、こわかねーし!俺もすぐあとに……」
「大丈夫!」
「えっ?」
「遊馬は消させない、なにが起きても、絶対に!俺が守る!」
「…心強いなぁ…ま、俺もいつ迎えにこられるのかわからないっつーか…ありがとな」
「…うん!」
もし俺と一体になるなら全力で拒む、どんな困難からも守る、それで遊馬の存在が守られるなら…俺は……。
―――パキッ…
「…!」
「とにかく、どうしたら消えなくなるんだろ…やっぱフェイトシャイニングアーマード…?」
「運命変えたらお前が消えるだろ」
「だよなぁ」
―――バキッ ドゴォッ!
「!」
「遊矢!!」
「うぁっ!」
今、地面が…!!
「遊矢、大丈夫か」
「ヒカル…!?じゃあ、今の…!」
「…っ…!」
「遊馬!」
「遊矢、無事か!」
「うん!でも遊馬が…!今、引き上げるからな!!」
俺を押し出してくれたんだ、だからしがみついて耐えてる…俺が何とかしなくちゃ…!
「俺も手伝うぜ」
「ありがと!せーのっ!」
「~~!」
「…ダメだ、上がらない……二人がかりで…なんで……」
「遊矢、ここはそういう場所なんだよ」
「えっ………」
「負けたらこんなもんだよな!ハハッ…分かってたさ、アストラルと俺は…そういうことだし」
……そうだ、アストラルが消えたなら遊馬も…じゃあ、やっぱり……覆せない事実…!?
「嫌だ、こんなところで…!大切なものを、失いたくない!!」
「遊矢……」
「かっとビングだ、そうだよ!かっとビングがあれば絶対に……!!」
「遊矢…、」
「遊馬…?」
「あのデュエルの意味、分かったか?」
「デュエルの…意味…?」
あのデュエルは、俺の諦めない心を、かっとビングを呼び覚ますデュエル…とかじゃないのかな……。
「…まさか、遊馬さん!アンタ、遊矢を鏡に勝たせるためにわざと…!?」
「えっ!?」
「…あと、遊矢には元気に楽しく生きてほしいもんな!俺が死んだら死ぬなんて、嫌すぎるだろ」
俺が鏡に勝つため、このデュエルを…?遊馬が死んだら死ぬ事実を変えるために…!?
「遊矢の答えも正解だぜ、かっとビング…大切にしてくれよな」
「遊馬………」
「ぜってーに、みんなの未来を、守れよ」
「あっ…!!」
「遊矢、楽しかったぜ!かっとビングだ!遊矢!ヒカル!」
「遊馬……遊馬ぁぁぁああ!!」
「…そんな……」
自分から、手を離すなんて……そんなの……そんなの……!!
「うそ、だろ………――!えっ!なんだこれ!?」
「遊矢!?」
「うっ!!」
なんだよ、この光―――!!
~~~
『ぐっ………ぬ…おのれ……!』
「俺の勝ちだ、てめえの力は俺がもらう」
『おのれ…!!貴様、貴様ァ…!!――――――――』
ヘッ…断末魔まで恨み節かよ、笑わせてくれるぜ。
どうやら向こうのデュエルも終わったみたいだな……勝敗は………、
「なっ…!!」
九十九遊馬が負けた、だと…!?
「…はは……あっはははははははぁ!」
おもしれえ…!!いいぜ、それでこそ風雅遊矢!!
「待ってるぜ、最後の戦いといこうじゃねえか!!」
~~~
「……遊矢…?」
「…これは………」
デッキや体からすごい力を感じる…遊馬、アストラル……きっと、二人の力が俺に……。俺が、勝ったから…。
でも、立ち止まれない。遊馬が託してくれた未来を、守らなきゃ…俺が、守らなきゃいけないんだ。
「……先に進もう、きっとこの先にファントムや鏡がいるはずだ!」
「…あぁ!行こう、俺たちに願いを託したみんなのために!」
ここで止まっちゃいけない、一歩一歩踏み出していくんだ…!忘れられないもの、遊馬が教えてくれた、かっとビングで、世界を守るために!!
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「遊馬が……」
「遊馬さんを遊矢が……」
これで、本当によかったのかな……。
「…これがあいつの覚悟かよ、情けねえなぁ遊馬くんよぉ」
「ベクター!!」
「あぁ?」
「遊馬がどれほどの気持ちで遊矢に任せたと思ってやがんだよ!」
「なぁに言ってるかわかんねえなぁ?単細胞はこれだからムカツクんだよ…!」
「黙れ!!なんならお前もここで―――」
「やめろアリト!!」
「だが!!」
「…俺たちも、遊矢に任せよう、遊馬が任せたように、これがきっと最後の戦いだ」
「最後の………」
あの先に、ファントムが……いるの、ね。
~~~
「…ここが………」
通路を走り抜けた先、なんか気持ち悪い場所にでっかい穴。多分ここが、最深部に繋がってるんだと思う。
「ついに、来たんだな」
「そうだな…」
「行こう、世界の平和を守るんだろ?」
「うん」
「じゃあ―――」
「あ、待って!!」
「…?」
遊馬とのデュエルですっかり忘れてたけど、ヒカルの結界の侵食……こんなとこに入ったら影響受けちゃうんじゃ……。
「腕から…また黒いの広がってる…」
もう腕が見えない…。
「…!いや、これは、大丈夫だから…早く行こう、行かないと」
「俺は、」
「……遊矢…」
「そんなヒカルを連れてはいけない」
「…なに言ってるんだよ、おいていかれたら…それこそ……!」
「ヒカル!!」
「っ!」
「これ以上消えてほしくない!!お前は、お前が消えたら…俺……」
アミをおいてきちまった、ヒカルを…おいていくのは辛い……けど、消えたらそれこそ怖い…!!
「大丈夫、俺は大丈夫…」
「………」
「消えないでくれよ、俺と一緒にいてくれよ…!だから――!!」
「分かったよ、遊矢…」
「ヒカル…」
「先に行っててくれ、きっと後から追い付くから…」
「……あぁ!!」
ヒカルのことだから、大丈夫だと思う。待っててくれるはず。
「それじゃあ、行くぜ」
「遊矢!」
「ん?」
「しっかりな、絶対応援してるから」
「…もち!やるしかないじゃん!」
あとはここに飛び込むだけ、それで、最後の戦いが始まるんだ。
「……遊矢、…お前がピンチになったら、絶対に、助けるからな」
~~~
―――闇の底に落ちていく、すごく不思議な感覚に違和感すら感じる。
―――希望が見えなくなった時、いつも仲間が居てくれた。
悔しくて泣きたいときは、可愛げもあるけど生意気で、でも優しいライバルが居てくれた。
ただ憧れていただけじゃなく、上に上がりたいと思える存在、兄……憧れの人がいた。
それを支える幼馴染みや仲間たちが居た。
―――今俺は一人だ。仲間も、憧れも、ライバルもいない。全て置いてきて、消えていってしまった。
平気かなんて解らない。仲間もみんなもいない中で勝てるのか、勝てても希望を持って帰ってこれるのか。
―――そう考えただけで怖い、身震いがして寒気が止まらない………だけど、思い出せばいろんな出会いと別れを繰り返してきた。俺は様々な人々と出会い、戦い、そして仲間になれた。
そう考えるなら、また仲間に出会える。きっと、怖くはないのかな……。
―――そうだ、まだある、仲間の気持ちが。希望がある限り、信じるものがある限り、託してくれた未来がある限り、俺はまたみんなのもとに帰ってこれる。
だからこそ、負けられない。負けることは自分の中で許さない。
―――これは世界がかかった戦い。そんなことよりも仲間と過ごした日々を忘れないために。なにより、みんなが愛した幸せな未来のために。
18年と14年過ごした、この希望を胸に抱いて絶対に負けたりしない…!
―――さぁ闇の終点に辿り着く。
もう覚悟は決まった。希望の活路、見いだせた。
―――ここが闇の最深部。
もう逃げない、これがラストデュエルだ―――!!
「……来たか、風雅遊矢」
「………鏡…」
「待ちわびたぜ、さぁデュエルだ――!」
みんな、必ず俺は帰ってくる…みんなが待っている限り……!!
「あぁ、そうだな。終わりにしよう、デュエルだ!!鏡!!」
140話へ続く
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【あとがき】
今回の一言、「希望は進化する」
呆気なさが逆にね……しかも皮肉というべきか、父親・一馬と同じく、底のない穴に落ちていく最期を遂げるという……(本家キャラなのに)あんまりだよ…こんなのってないよ…!
実は今回の一言を「海老引き揚げ漁」にしようとしたんですけど、いくらなんでもそれはやばくねえか?と変な自覚であえなくカット、遊馬が落ちたあの穴は重力が穴の中だけ集中していて引き上げられないようになっていたんです。敗者は必ずあの穴に落ちるようになってた、それはトルテたちも同義。ただし他殺と消滅だったために今まで効果がなかったのです。デュエルの衝撃で地面が割れたわけではない。
最深部に続く広間はいわゆる内臓の中的な……グロい場所。コープスの涅槃とか想像していただければ。そんな場所に
なんかいられなくなって走ってきた黒い通路でうずくまってそうなヒカルさん、かわいそうだけどまぁ侵食きてたら普通は止められるよね。でもまだ活躍残ってるから大丈夫!!
NTRに定評のあるホープさん、はいはいホープ楽しかったです。遊馬デッキ難しかったけどレアな感じだったんで、わりとサクッと楽しく書かせていただきました!二期の終盤以来とかいまだに信じられないよ私。遊馬デュエル少なすぎる!!
アリトのストレスがマッハ、仕方ないね。ベクター久々に書けて嬉しかったです。
最後の闇の突入した時のは、以前書いたS3Dの【希望の活路】からです。あれをやりたかった。
次回!!最後の戦いがついに幕を開ける。しかし、そこに立っていたのは………。
闇の底に辿り着いた遊矢と、遊矢を待ち続けていた鏡、相対する二つの力が今ぶつかる!!
完結まであと6話!!!
【予告】
闇の底に辿り着いた遊矢を待っていたのは遊矢を待ち続けていた鏡だった。
そこにファントムの姿はなく、驚く遊矢に鏡はファントムを取り込み、完全な復活を果たしたことを告げる。
遊矢の持つ光の風、鏡の持つ闇の風、二つがぶつかり合う時、最後のデュエルの幕が開く―――!!
次回!第140話「未来を守れ!光と闇のファイナルデュエル」
【予告】
今回の主役は才色兼備の完璧生徒会長・冬咲遊季、14歳!!
ある日、氷の塊となった不思議なカードが遊季の元へと降ってきた。
「フォースカード」と呼ばれるその不思議な力に導かれるように、現在最強と言われるアリーナチーム「フォース」に入隊することに。
クールな秋使い・秋暮エレン、明るい夏使い・夏野アカネ、優しい春使い・春澤カエラ、そして冬使いの遊季――バラバラな四人のフォースカード使いによる新たなデュエル伝説が幕を開ける―――!!
遊☆戯☆王EXTRA STAGE!!
今春連載開始予定!!