ジェレスタ73「両 親 を 探 せ ! ヒ カ ル V S 托 都」
「・・・・・・、」
マイナスエクシーズ、神の五王とか言う奴らが使う強力なモンスターエクシーズたち。そして、それは洗脳されたデュエリストにも使う事ができる・・・。
俺がデュエルしたあの3人にはドリーミストのような不完全なマイナスエクシーズがあったけど、それでも今までマイナスエクシーズとデュエルをしたことがないのは事実。
遊矢のこともある、アイツの情緒不安定じゃまたいつどうにかなるか分からないし、俺だってこのままアイツに任せるつもりもない。
呪いはどうでもいい、それでも今は倒さなきゃいけない相手がいる。それを倒すための何かを・・・見つけなきゃいけないか。
「癪ではあるが――、天城カイト、お前の元に行かなければいけないようだな・・・」
~~~
「お、おーい!ヒカリ~!」
1人で歩いてくるヒカリを見つけてアミと大河と一緒に走ってくる、今日は何でヒカルがいないんだ?
「兄ちゃんどうした?」
「お兄ちゃんは用事があって学校に行けないんだって」
「まぁた欠席日数増えるぜ・・・?」
でも一体なにが・・・それに関係する事なら、もしかして――!
「わりぃ!アミ!大河!今日俺も休む!」
「な、なに言ってるの!?」
「分かったよ~!」
「サンキュー大河ー!」
「ちょっと大河くん!ダメでしょ?!」
「きっと遊矢くんにもやるべき事があるんだよ、僕らにそれを邪魔する事なんてできやしない」
「大河くん・・・・・そうね、そうかもしれないわね・・・。
ヒカルがもしも呪いのことでどっかに行ったならもしかしてリンさんのところかもしれない!!
行ってみる価値はある!!
~~~
「カイト!!」
大見得張ってきたは良いけどカイトがいるか確証ねえのが・・・まぁいなかったらゴーシュでも良いんだけどよ・・・。
「どうした、ヒカル」
「こちらから頼むのは個人的には嫌なんだが・・・マイナスエクシーズ、アイツらをどうすれば良いのか、教えてくれ」
「・・・・?まさか奴らを倒す為に強くなりたいとでも言うつもりか?」
「そうだ!」
「・・・・やめておけ、」
「えっ・・・」
「お前のような半人前に、強くなりたいなど何年早いと思っている」
半人前・・・・・、違う。俺は・・・、
「俺は半人前なんかじゃない!アンタとは違う!」
「ならば答えて見せろ、貴様に大切な物を守り抜く自信は本当にあるのか!今の貴様では、一生掛かっても弟――いや、仲間すら守る事などできない!」
あながち間違ってはいない、宣言しろと言われても、今の俺に・・・・できるかどうかの確証はない。
だけど俺はアイツとは違う、全てが違うんだ。あんな偽物のヒーローなんかと一緒じゃない。確かに5年前、弟のハルトを守りきったってドロワ先生が言っていたけど、あんな似非なやり方と俺は違うんだ、何もかも!
「それができないのなら、お前にこれ以上なにも言うまい。それより――、ちょうどいい時に来たな」
なにがちょうど良いだ。人にココまで言っておいてこの変わりよう、コイツはやっぱり俺が1番嫌いな奴だ。
「お前の、両親が見つかった」
たったちょっとだけの言葉だったかもしれない。数秒だけだったはずなのに突然忘れられないくらいに響いてきた。
父さんと母さんが生きてる・・・?もう十何年も俺たちを見放して、どこかに行っていたはずの2人が今更見つかった・・・?
「どういうことだ」
「場所は特定できていないが、それらしき跡を今追っている」
跡を追っている、と言う事は旅をしている、ということか。なら俺も追えば見つかるかもしれない・・・ということか・・・。
ヒカリに見せてやりたかった2人の顔を、見せられるかもしれない。
そんな希望が浮かぶ、そうだ、ヒカリのために今できることをやるまでの話。
「一応感謝する」
「おい、どこに行くつもりだ」
「決まっている、父さんと母さんのところだ」
もしもこれで見つかったら、これで――。
~~~
「えええええっ!?来てない!?」
「あぁ、ヒカルは来てないぞ」
リンさんのところじゃないということは一体どこにいるんだ・・・・?
自分の家・・・・いや、それはないだろうし、街中を歩くなんてもってのほかだ。それじゃあ一体――。
「カイトがな、ヒカルのことを探していた。もしかしたらカイトのところかもしれないな」
「マジですか!ありがとうございます!」
「それと、」
「?」
「ヒカルのこと、お前がなんとかしろよ。アイツに真っ当に向き合えるのはお前くらいしかいないんだからな」
・・・・そっか、ヒカリにも呪いのことは隠してるってことなのか・・・・そうか・・・。
それなら尚更俺がなんとかするしかないじゃん!
「ありがとうございました!」
ヒカル、大丈夫だからな。俺も協力して、お前の呪い、絶対に解いてやるから――!
~~~
「どこに行くんだ?」
「・・・・?」
一瞬誰かに声をかけられた。
「托都・・・・・・お前こそ、なにしてんだ」
「俺はただ、天城カイトに呼ばれただけだが?」
「ふーん、俺には関係ない話――「俺の母さんが生きてたらしくてな」っ!?」
「なんでも、父さんは今はいないらしいな。俺にとっては最早関係ない話ではあるが・・・」
「なにが言いたい」
「お前も同じようにカイトに言われたんだろ?」
コイツに悪気はない、本当に一切。だが間違いなくこれは俺に対してケンカを売ってるようなものだ。
「それがどうした、お前にも俺にも関係ない話だ」
「どうだか・・・。さしずめ、「この現状などどうでもいい、今は両親を見つけるのが先決だ」とでも言いたそうじゃないか?」
「貴様には関係ないことだ!」
「そうだな、俺には全く関係ないが――、遊矢にとってもそれは困る事だ。それにお前は弟を置いてまで行くつもりか?」
「あぁ」
「ならば、ここから先はデュエルで俺を倒してからだな」
「なにっ」
「デュエルを受けるか受けないか、それによって結果が大きく変わるかもしれないが・・・まぁそれはお前の自由だしな」
ここでデュエルを受けるか・・・・、受ける必要のないデュエルなのは分かっている。だがいつかコイツも俺が倒すべき壁だった事には変わりない、それが今ここで俺の邪魔をしているんだったら倒すのみ・・・!
「分かった、そのデュエル、受けて立つ!」
「面白い、そうこなくてはな」
「御託はそこまでだ!行くぞ、Dシューター展開!――デュエルディスク、セット!」
「デュエルディスクセット!」
「Dゲイザー、セット!」
《ARヴィジョン、リンク完了》
「「デュエル!!」」
~~~
やっとハートタワーの内部だぜ・・・ここまで来るのにどれだけ苦労したことか分かったもんじゃないよな・・・全く・・・。
・・・・?
「あれって・・・ARヴィジョン・・・?」
まさかデュエルが始まったのか?
そう思って近づいてみるとそこにいたのはヒカルと托都、それもなんかヒカルがめちゃくちゃキレてる・・・。
「おい2人とも!!なにしてんだこんなところで!」
「遊矢・・・、」
「これは俺たち2人のデュエルだ、遊矢であっても邪魔はさせない」
「おいおい・・・・」
ということは今回の俺は見学ですか・・・?なんつーか確かに邪魔できない雰囲気なのは否定しないけどよ。
「行くぞ、俺の先攻、ドロー!俺は、魔法カード《ワンショットエクシーズ》を発動!このカードは、手札から素材となるモンスター2体以上を墓地に送り、モンスターエクシーズを特殊召喚できる!俺はレベル7の《カオスパージ・ジャッジメント》を2体墓地に送り、現れろ《迅雷の騎士ガイアドラグーン》!」
《攻撃力:2600/ランク:7/ORU:0》
オーバーレイユニット0とはいえいきなりモンスターエクシーズを!?というかガイアドラグーンにオーバーレイユニットは必要ない・・・これを逆手に取ったってワケか・・・。
「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!」
《手札:1》
全く、これがヒカルの本気なら恐ろしいものを感じるぜ・・・・。
「俺のターンドロー!俺は相手のフィールドのモンスターエクシーズ1体をリリース!」
「なにっ!?」
「《ネクロスフィア・バタフライ》を特殊召喚!更に、特殊召喚に成功した事で《ネクロスフィア・モルフィーネ》を特殊召喚!」
いきなりレベル8のモンスター2体を揃えた!?それに相手のモンスターを使うなんて・・・。
「俺は、レベル8のバタフライとモルフィーネでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ《機械堕天使 ネクロ・ブラッティ》!」
《攻撃力:2500/ランク:8/ORU:2》
「だが俺もこのタイミングで罠カード《カオスユニバース》を発動!このカードは相手が光属性か闇属性のモンスターをエクシーズ召喚したとき、俺はその属性以外のモンスターエクシーズを墓地から特殊召喚する!蘇れガイアドラグーン!」
これでガイアドラグーンの攻撃力が上回った!さすがはヒカル!
「更に俺は《光と闇の結界通路》を発動!ランク7のガイアドラグーンをエクシーズ素材にしモンスターエクシーズ1体を特殊召喚する!現れろ、《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!」
《攻撃力:3000/ランク:8/ORU:1》
ハイスピードな展開勝負!どっちもエース級のモンスターエクシーズ、これは目が離せない勝負だぜ!
にしても、托都がいつになく冷静だな・・・。
「俺は、ネクロ・ブラッティをカオス・エクシーズチェンジ!現れろ《機械堕天使 スフィアディオル》!」
《攻撃力:3500/ランク:8/ORU:3》
「スフィアディオルで《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》を攻撃!ジャッジメントゲート!」
「っ!」
《ヒカルのライフ:3500》
「更に俺は、速攻魔法《ギャラクシー・ダークホール》発動!相手モンスターエクシーズを戦闘で破壊したモンスターが闇属性だった場合、相手プレイヤーに破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える!攻撃力は3000、よって1500のダメージだ!」
「ぐッ・・・・!」
《ヒカルのライフ:2000》
「俺はこれでターンエンド」
《手札:3》
このデュエル、どっちもどっちすぎて先が読めない・・・いや、読むことが許されないデュエル・・・・まさにそう言えるかもしれない・・・。
「くそっ・・・」
「どうした、もう立ち上がれないか」
「うるさい・・・!俺のターン、ドロー!俺は魔法カード《死者蘇生》を発動!蘇れ《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!」
《攻撃力:3500/ランク:8/ORU:0》
「俺は、ギャラクティック・カオスを素材とし、ギャラクティックエクシーズチェンジ!混沌の銀河よ、今こそその光を糧として闇の力を解放しろ!現れろ《ギャラクシー・カオス・ダークネスドラゴン》!」
《攻撃力:4000/ランク:8/ORU:1》
このタイミングでギャラクシー・カオスが出てきた!?ということはもうヒカルが決着を付けにきたってことか!
「俺はギャラクシー・カオスの効果を発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、このモンスター以外の全てのモンスターの攻撃力を0にする!」
「なにっ!?」
《攻撃力:0》
「行け!ギャラクシー・カオスでスフィアディオルに攻撃!!これでトドメだ、ダークネス・メタル・ハウリング!!」
―――ドォオオオオオオオン
「くっ・・・うわぁあっ!」
これで勝負ありか!?・・・・ということは、まさか、ヒカルの勝ち・・・・?
「・・・!あの罠は・・・!」
「・・・見切ってたか、この罠カード《護りの宝玉》は自分のフィールドにモンスターエクシーズがいるとき、手札から発動できる罠カード」
「手札から発動!?」
「・・・そしてその効果は、相手のモンスターエクシーズのバトルで受けるダメージを半分にし、相手に1000ポイントのダメージを与える」
「そうだ、よく覚えていたものだな」
《托都のライフ:2000》《ヒカルのライフ:1000》
「くっ・・・!俺はこれで、ターンエンド!」
《手札:1》
「俺のターン、ドロー!俺も魔法カード《死者蘇生》を発動!蘇れスフィアディオル!」
《攻撃力:3500/ランク:8/ORU:0》
でも、このタイミングで復活させても、攻撃力には500の差がある、どうやって埋めるつもりなんだ・・・?
「俺は、装備魔法《スフィアヴェール》を発動、このカードは自分のモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせ、相手モンスターとの戦闘時、相手は魔法・罠が発動できない!」
《攻撃力:4300》
「なにっ!?ということは――」
「行け!スフィアディオル!ギャラクシー・カオスに攻撃!ジャッジメントゲート!」
「ぐっ!!」
《ヒカルのライフ:700》
「更に、ギャラクシー・カオスの効果。オーバーレイユニットがない状態で破壊されたとき、800ポイントのダメージを受けてもらう!」
「っうわぁああああああ!!」
《ヒカルのライフ:0》
《WIN:堰櫂托都》
・・・・ヒカルが、負けちまった・・・・。でも、なんてアッサリと・・・。
「ったく、デュエルする必要もなかったな」
「托都!こりゃ一体どういうことなんだよ」
「アイツの親が生きてたらしい、それでアイツ1人で先走ってる。そういうことだけだ」
「ヒカル・・・・・」
そういえばヒカルの父さんたちって行方不明のままで見つかってないんだよな。それが見つかって・・・探し出そうとしたのか・・・・・。
「ヒカル、」
「遊矢・・・」
「俺も協力するぜ、そうやって1人で抱え込むなよ!俺たち仲間だろっ?」
「・・・これは俺の問題だ。俺が解決する」
「ヒカル・・・俺だって1人の問題だと思い込むときがある、でも実際は違うんだよ!俺たちは仲間なんだ、だからいつでも頼ってくれればいいさ!」
「・・・・・物理的に解決するよりも、遊矢に任せた方が良かったかもな」
「・・・托都、お前の母親とやらは・・・・」
「いずれ解決させるさ、その時が来たらな」
托都の母親も・・・生きてるってことなのか・・・・、それがどんな意味かはまだ分からないけど、2人にできることがあれば協力しないと、それが俺が仲間としてできることなんだから!
~~~
「アレが堰櫂托都のデュエルタクティクス・・・・・・・、」
でもあんなものじゃないはず、
なんたって、
私の兄さんなんだから・・・・!
74話へ続く
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【あとがき】
今回の一言「托都に勝手なイメージを押し付けるな!」
マジヒカルくん不遇枠。今回は久々のメイン回なのにメインにしてもらえなかった絶望。
托都くんってば何者なんでしょうかねwwwwわざとらしいですが展開的にはそろそろ尽きてきてるので考え中です。そしてカイトさんが23歳にもなって相変わらずブラコンの鑑みたいなこと言っていらっしゃる、この人はマジだわ・・・。
そしてラストにとある女の子が登場、見た感じなんか女王様とかお嬢様な感じがすると思いますがまさにそんなキャラに間違いはないです。ハイ。托都の妹・・・・ということは皆さんもう分かりましたよね?
次回!17年前、そして托都の身に一体なにが起きたのか、托都も知らない兄弟の話、全ての過去が明らかになります!!
というかあらすじバレとかあれ元にしてるけど実際アレが強いからね、全く用意するべきじゃない物を用意してしまった気分ですよ全く。日常回がしばらく続いていきます。
【予告】
アミが「托都の過去を調べてみよう」と遊矢に言い出し、中間達と共に托都の過去を巡る調査が始まった。
そんな時、北条神社の巫女である祭囃子ミコが現れ、托都の身に起きた記憶を全て語る。
しかしそこに新たな五王を名乗る「タクミ」が現れる!・・・だがどことなく托都に似ていて・・・?
次回!第74話「真実の物語 隠された過去」