ジェレスタ61「過 去 を 乗 り 越 え ろ ! 悪 夢 の リ リ ー ヤ」



「くっそぉ~!」

「次々と現れて気味が悪いわ・・・」


「確かにこれは―――」

「一気に片付けるにも量が多すぎる・・・!」


それじゃあ俺達はどうすれば――!


「行きなさいシルフィーネ!アイス・レイ!」


「「「!!」」」

「り、璃緒!?」


って、璃緒さん!?璃緒さん・・・・というかほかにも!!


「お待たせしました、凌牙」


「・・・なんでてめえまでいるんだよ!離れろ!璃緒から!」


「おやおや、お嬢様は私を気に入っていますよ」

「まぁⅣさん、御託はそこまでにしてください」

「ええ――。今日の相手はどうやらとてもファンサービスのしがいがありそうだ・・・」


Ⅳさんがニヤリと笑った。なんかテレビで見るⅣさんと違うようなⅣさんの片鱗が見えた気がする。


「まっ、俺もノリで参加させてもらうぜ!」

「ゴーシュ・・・貴様もか」

「姉さんを忘れないで」

「姉さん・・・」


「これだけ集まれば十分だ!」

「一気に片付けちゃおう!」


「それじゃあ、止めといきましょう!今その殻を突き破れ!《零鳥姫リオートハルピュイヤ》!」

「来い!《H-C エクスカリバー》!」

「現れろ!《ギミックパペット-ディスティニー・レオ》!」

「現れなさい!《深黒穴眼の暗黒物質竜》!」


十分すぎる人材、これなら遊矢たちに十分なアシストもできる!


「行くぞ、みんな!」

「「「おうっ!/ええ!」」」



~~~



「・・・なるほど、命を賭けたデュエルか」

「受けるかはアンタの自由だけど――どうする?」

「面白い・・・!貴様を倒し、遊矢たちと共にこの世界を守る、行くぞ―――デュエルディスク、セット」


《ARヴィジョン、リンク完了》


「「デュエル!!」」


「私の先攻!ドロー!私は《フルール・アルプ-ビーネ》を召喚!ビーネの効果発動!ビーネは相手のデッキからモンスターを1枚ランダムに選択、私はそのモンスターの属性を当てる」

《攻撃力:1200/レベル:4》


「・・・」


「これだけじゃ語らないってわけね、だったらすぐにでも脅かしてあげる!」


ランダム選択されたカードは炎属性の《フレイムアンブラル》・・・。相手が分かっているなら闇属性を選択するはず・・・。


「さぁ、答えてみろ」


「ええ。そうねえ~じゃあ・・・・炎属性・・・とか・・・?」


「ッ・・・。当たりだ、それで?」


「そのモンスターは墓地に送られ、アンタのライフに500ポイントのダメージを与える」


《托都のライフ:3500》


ちまちま削っていく地味なデッキか。あれはまぐれ、次に当たることはない。


「更に私は魔法カード《フルール・アルプシング》を発動!このカードは相手のデッキの1番上のカードの種類を私が選択して、そのカードが当たっていれば私はデッキから《フルール・アルプ》と名の付くモンスターを2体特殊召喚できる!」

「まぐれに挑戦するというのか・・・!」

「そう、私のはまぐれじゃない。これは夢占い、すべては思い通りよ」

「寝言は寝て言え!」

「そうねえ私は魔法カード、それも速攻魔法を選択するわ」


速攻魔法・・・魔法カードが当たるとは限らないがそれに更に速攻魔法をかぶせるという事か・・・。


「ちなみに私が失敗すると手札に加えられるわよ」

「知れたこと、行くぞ!」


―――!?


「当たっている・・・・!?」

「そうでしょそうでしょ!」


速攻魔法《サイクロン》・・・。まさかコイツ、すべてわかっているという事か・・・!?


「チッ・・・」


「さぁそのカードを墓地に送って!私はデッキからフルール・アルプを召喚するわ!現れよ!《フルール・アルプ-フリーゲ》!《フルール・アルプ-シュピンネ》!」

《攻撃力:1000/レベル:4》《攻撃力:1700/レベル:4》


レベル4のモンスターが3体・・・!


「レベル4のフリーゲ、シュピンネ、ビーネの3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!さぁ悪夢のショーの幕ひらけ!《フルール・アルプトラウス-セイレーン》!」

《攻撃力:2700/ランク:4/ORU:3》


「攻撃力・・・2700・・・・」


「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

《手札:3》


召喚しただけ召喚してなにもなし・・・余裕なのかビビッてるのか・・・。いや、・・・。



~~~



「旧校舎の裏側・・・」


まず進入が難しそうなところでなんていう・・・・・・。

だが、俺も時間はかけたくない。いや、正確にはかけたら俺の身が持たない。


「よし――」


―――「ダメですよ、貴方はどうあがいてもこれから起こる事には抗えないのですから」―――


「ッ・・・・。るせえ・・・・」


なにもかも――。なら変えるまでのこと――!



~~~



「俺のターン、ドロー!俺は墓地の《フレイムアンブラル》の効果を発動!このモンスターをゲームから除外する事で、俺はデッキから闇属性モンスター1体を手札に加える!手札に加えた《ネクロスフィア・ウィンディーナ》の効果発動!このモンスターが手札に加わった時、特殊召喚できる!」

《攻撃力:2000/レベル:8》


「更に、モンスターの特殊召喚に成功した事で《ネクロスフィア・モルフィーネ》は特殊召喚できる!俺はレベル8のウィンディーナとモルフィーネでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ《機械堕天使 ネクロ・ブラッティ》!」

《攻撃力:2500/ランク:8/ORU:2》


「あれが・・・。私は罠カード《ダブルセンチミオン》を発動!相手が自分のモンスターよりも攻撃力の下回ったモンスターを召喚した時、そのモンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

《攻撃力:3500》


なにかの罠・・・・。だが《ダブルセンチミオン》には、その代わりとして相手はそのターン、魔法・罠を発動できない効果しかない。

ということは・・・なにも仕掛けるつもりがないということか・・・?

とにかく今はチャンスだ。やるしかない!


「行けッ!ネクロ・ブラッティでセイレーンに攻撃!!デッドリーアンビシャス!」


――ドォォォォオオオオン!!!


「・・・・・」


妙な違和感。土煙が晴れない。そして妙に空が黒い。黒は好きだがこのドス黒い感覚は嫌いだ。

なにが起きた・・・?


「・・・「ねーぇ!」・・・・?」

「ねーおにーさーん!」

「!・・・、呼んだか?」


「ダメでしょ?知らない人に話しかけたら・・・」

「その・・・ごめんなさい」

「良いじゃないか、きっと人に触れ合いたい年頃なんだ」

「そうよね。さて、帰りましょうか。――ごめんなさいね、デュエリスト・・・なのね、息子そっくりだわ」

「あぁ、息子も君のような青年になる気がするね」


息子――か。俺には関係のないことだ。


「気にするな、息子さん――大事にしろよ」


「ええ、私達の大切な息子ですから」


大切な・・・。俺には理解できないができることなら――な。


「さぁっ!今日も父さんがデュエルの相手してやるぞ!」

「やったぁ!」

「デュエルの前にちゃんと明日の準備しておきなさい!」

「はーい・・・」


「・・・・・」


―――しかし待て、あまりにも自然すぎて溶け込んでしまっていたが。何故俺はこんなところに・・・・。それにアレは・・・・・・・。


「なんて悪趣味な・・・!」


「ええ、悪趣味で結構」


気づけばまたさっきと同じ場所にいた。相手のライフは残り3000。ダメージは通っている。じゃあ何故・・・。


「私はダメージを受けた時、セイレーンの効果を発動した。セイレーンは幻惑を見せる魔性の女――。オーバーレイユニットを1つ使う事で私の受けたダメージと同じダメージを相手に与え、更に攻撃モンスターの攻撃力を0にして効果を無効にする!」

《攻撃力:0》《托都のライフ:2500》


「貴様の真の狙いはそういうことだったのか・・・!」


「それだけじゃないわ!相手のエクストラデッキからランダムにカードを2枚選択し、私がそのカードたちの属性を当てる!そして当たった時、そのカードたちを除外するわ!当然指定するのは闇属性!いえ・・・カオスエクシーズと新たな闇の力!」


「クロイツエンドとスフィアディオルを狙ってきたか・・・!」


だがそう簡単に当たるわけが―――!!


「ッ!?・・・引き当てる前から、当たっている・・・?」


「言ったはず、私は夢占いをしてるの。全てを見通している、このデュエルの結末もアンタの敗北も!」


「小癪な手を・・・・!俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

《手札:4》


「私のターン、ドロー!私は《フルール・アルプ-タオゼント》を召喚!タオゼントはその身を生贄とすることで、このターン相手の魔法・罠の発動を無効にする!」

《攻撃力:0/レベル:1》


「なんだと・・・!?」


「万策尽きたわね、それに残りライフは2500・・・。セイレーンで削りきれるわ」


なるほど、全て計算済みだったってわけか・・・・。


「さぁ行きなさいセイレーン!ガラクタ人形の堕天使に攻撃!ニヒツシーセント!!」


「俺は手札の《クリ・スフィア》の効果発動!墓地に送る事で、ライフを800ポイント回復する!っぐ!!」

《托都のライフ:3300→600》


「倒し損ねたわね・・・ターンエンド。効果を発動したタオゼントはエンドフェイズに破壊される」

《手札:2》


―――。またか・・・!

妙な土煙。タオゼント破壊に合わせて作り出したものか・・・。


『托都、ここで待っていてくれ。父さんは少し用事がある。すぐに戻ってくる』

「うん!」


「・・・・・・・」


これは・・・・あの時のか。

忘れもしない、いや、忘れるはずのない。


「おい、」

「・・・あ、おにーちゃんもまってるの?」

「ここで待ち続けるのはやめろ。無駄だぞ」

「なんで?」

「・・・・・・」


こんなやり取りは記憶にない。というか、未来から俺が過去の俺に話すなんてことは絶対にない。そんな覚えも何もない。

だが無駄な事は分かってた。1時間経って、1日経ってから「もう二度と戻ってこない」という事に気づいてから、だったから幻覚でもコイツにはせめて。


「そうだよね」

「えっ?」

「おにーちゃんはそれににげたんだよね、ぼくはまってるよ。おにーちゃんはまってなかった。まってなかったんじゃないよね。"復讐"」

「お前・・・ッ!」

「そうそう、おにーちゃんは復讐したかったんでしょ?あんなしあわせそうにしてるあのこが憎くって目障りで殺したいくらいだいっきらいで――」

「なにが、言いたい」

「まだきえてないんでしょ?この世界が消えちゃえば、だいっきらいなあの子がいなくなるんだよ?おにーちゃんにとって最高の復讐だよ!」

「やめろ」

「ね?言い返せないでしょ?やっぱり、そうだよね!自分は自分だもの。僕がそういうんだからお兄ちゃんも心のどこかでそう思ってる。だから協力してよ、僕らと一緒に世界を壊しちゃおうよ、お兄ちゃんならできるよ」

「やめろというのが聞こえていないのか!!」

「・・・・・・?」

「世界がなんだろうが、関係ない。ただ―――」


ただ―――。


「幻覚に打ち負かされるようじゃ、まだまだ復讐心が抜けきってないのよね~。まっ!仲間になっちゃえば思う存分復讐できるわよ!今のうちに決めちゃいなさいな!」


「ただ・・・・」


―――「仲間、違う!托都!お前は俺の家族だ!血が繋がってなくてもいい!それでも!」―――


「・・・・」


―――「それでも!!」―――


「・・・・・・・・」


―――「托都はずっと俺たちのところにいて良いんだ!だから、一緒に居てくれよ!」―――


「・・・・・、バーカ」


「ば・・・バカぁ!?」


「しょうがない奴だな、アイツは」


忘れかけていた。危うく、コイツらの罠にまんまとはまってしまう所だったな。


「アイツは俺がいないと、なんにもできないからな」


―――「またデュエルしようぜ!」―――


「ふ・・・ふざけないでよ!なにがなんにもできないとか、バカとか家族とか仲間とかチョームッカツク!!ムカつくむかつくむかつくむかつくぅー!!」


「勝手に言ってろ。行くぞ。俺のターン、ドロー!俺は、《RUM-ライトニングスカイ・フォース》を発動!」


「ら・・・ランクアップ!?」


「このカードは、自分フィールドのモンスターエクシーズを素材として、ランクが1つ上のモンスターエクシーズを特殊召喚する!」


「なんですって!?」


「俺はネクロ・ブラッティでオーバーレイネットワークを再構築!1体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」


「そうはさせない!私は墓地のフリーゲの効果発動!相手の召喚するモンスターエクシーズの素材をあてる事で相手に800ポイントのダメージを与える!私は・・・・」


「"私は"・・・なんだ?」


「チッ・・・!私は闇属性を選択よ!」


「甘いな!エクシーズ召喚!雷光迅雷の魂を受ける者よ、闇の羽衣、光と変え、今その闇を打ち砕け!《機械大天使 クリスタルエンゲーラ》!」

《攻撃力:3000/ランク:9/ORU:3》


残念だぜ、残念すぎて・・・・な。


「なんで・・・なんで破壊されないのよ!」


「甘いと言った筈だ、このモンスターの属性は光属性だからな」


「ッ!?」


遊矢、感謝する。このカードにな。


「俺はクリスタルエンゲーラの効果を発動!オーバーレイユニットを1つ使う事で、相手モンスターエクシーズのオーバーレイユニットを全て墓地に送り、攻撃力を1つにつき800ポイントアップ、そしてこのターン相手は手札及び墓地からモンスター効果を発動できない!」

《攻撃力:4600》《ORU:0》


「なん・・・ですって・・・!?」


「さぁ行くぞ、クリスタルエンゲーラでセイレーンに攻撃!クリスタルグラスバスター!!」


「きゃああああああああ!!」

《リリーヤのライフ:1100》


「・・・・・・・・」


「ちょっ・・・ちょっと待ちなさいよ・・・!まだ私にライフは――」

「俺は罠カード、《デストラクションインフェルノ》を発動した。このカードは、相手モンスターエクシーズが墓地に送られた時、その攻撃力分のダメージを与える・・・!」


「そ・・・そんなぁ・・・・・」

《リリーヤのライフ:0》


「くっ・・・そんな・・・私が消えるなんて・・・」

「だが感謝する」

「えっ?」

「貴様のおかげで、大切ななにかを思い出したからな」

「・・・・・・・たまには人の役に立つのも・・・・悪くはないわね――――」


消えた・・・・・・か。

だが、RUM・・・・このカードは一体なんなんだ・・・。確かにこれは遊矢から受け取ったもの。あの決勝の後に部屋で見つけたと言われたが・・・。

RUM・・・・・・・・・・どこかで聞いたことがある。それも――懐かしいような・・・。



~~~



「・・・!」

「遊矢?」

「アミ、托都の奴やったぜ!!」

「えっ?」

「勝った!デュエルに勝ったんだ!」


托都、お前もお前にしかできないことを――。



62話へ続く


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【あとがき】


どうも。61話の一言、「今回のキチショタ枠は自分でした」。

そろそろ托都にも例のフラグが立ちました。これは結構早く回収されますよ。ヒカルのフラグに関しては回収は4期ですけど。


今回は出てこなかったけど次回はあの人が何故か味方として登場。そして次回は題して「女ってこわい」を体現したような回です。生々しい女の戦いなのでなんともいえない。

遊矢が凄い不遇に感じる次回のあらすじで分かる内容。


そういえばあと3ヶ月でLSも1周年。そろそろ1周年企画をなにか考えないといけないかな・・・。


【予告】

遊矢たちの目の前に再びバイオデュエリストが現れる。

ラフェーナと名乗った少女に対して何故か不機嫌染みた表情を浮かべるアミはなんとラフェーナのデュエル相手を買って出る!

一進一退の攻防、そして何故か恐怖を感じるデュエル。遂に女の戦いが切って落とされる!!

第62話「女の闘い(デュエル) アミVSラフェーナ」