ジェレスタ59「そ れ ぞ れ の 思 い」



全員で遊馬さんの家に移動していた。危険だと考えたのもあるんだけどな。


「間に合わなかった・・・か」

『ええ、間に合わなかったわ』


アルトの言うそれがどういう意味かは大体分かる。後悔してならない。


「遊矢、・・・」

「アミ・・・気にすんなよ!そいつぶっ倒せばいいんだろ!」


「そう簡単にはいかないぞ、遊矢」


「えっ?」

「アルトだったな、遊矢曰く」

『見えているのね』

「まぁな、」


まぁ遊馬さんやリンさんみたいな人にはアルトのこと見えるのかもしれないけど・・・。


「なぁ、アルトはあいつらに関わってたんだろ?なにか知ってるんじゃねえのか?」

『私からも聞きたいな、話してはくれないか?』


『遊矢から聞いたみたいね、簡潔に話すわ。現在の状況を』


アルトの話によると、今、グレンは復活したばかりで世界を滅ぼす力は持っていなくて1人の人間を消すのが精一杯らしい。だから今は「絶望の大穴」ってところで力を溜め込んでいるとか。


「なるほどな、大穴の場所さえ特定できればってことか・・・」

『特定はできているの』

「どこにあるんだよ!」

『・・・・この世界の地中深く、そう、地中の奥にある異世界に』


「さしずめ地中空間ってところか・・・」


托都の言うとおりだな。だけどどうやってそんなところまで行くんだ?


「残念だが、俺やアストラルの力、当然だけどヌメロン・コードの力は使えない」

『だけどあるわよ』

「どこ?」

『この町の地中に大穴があるの。そこに通じる3つの場所』

「3つ・・・」


1つは遊馬さんたちが通っていた学校――今は使われていない旧ハートランド学園の廃校舎の旧体育館倉庫。

2つはハートランドシティの外れにある山のとある場所。

そして3つはハートランド中心にあるハートタワーの地下。遊馬さんたち三勇士がバリアン世界っていう異世界の人と戦った場所。


「全て異世界に関連する場所・・・」

「バリアン――ベクターとデュエルした場所に、」

「アリトとギラグが潜伏していたアジトにミザエルがカイトと初めてデュエルしたところか!」


全部がバリアン関係の場所なんて・・・、それよりも異世界関係の場所なんてそんなことがあるのか・・・。


『ただし、絶望の大穴は善ある者の魂を喰らう場所・・・。入ったら生きて戻ってこれるか分からないわ』

「マジかよ!」

「そんな!・・・ということは」

『この世界に戻ってこれるか分からない・・・』


そんな場所に・・・。だけどこれでアイツが悪ってはっきりしたな。


――ガタン


「ん?」


「「「「あっ!」」」」


「・・・慶太?」

「みんなどうしたの?」


「その・・・話、聞いてて・・・」

「行っちまうのかよ遊矢!」

「遊矢さんじゃなくたっていいじゃないですか!」

「そうだよ!」


「えっあー・・・その・・・」


「覚悟がないなら決めるまで待つ」

『多分タイムリミットは5時間程度、3時間は待つわ。3時間後、ここに集まって』


3時間後・・・・に、か。


「確かに、覚悟がないヤツが行ったところで何の役にもたたないからな」


「ヒカル・・・もう良いのか?」


「問題ない、それとアルト、俺は行くぜ。奴らをぶっ潰さないと気が済まないからな」


・・・・や、八つ当たりか・・・?

とにかくヒカルがいれば即戦力間違いなしだぜっ!


「・・・・・・・」


・・・・・俺がそうはいかない気がする。


~~~


「はぁ・・・」


いきおいで言っちまったけどいいのかこれで・・・。

いや、むしろこれで良い。ヒカリのことは―――戻ってこれる事を前提にすれば良いだけだ。


それでも―――。


「自棄酒ならぬ自棄コンポタというものか?」


「カイト・・・・。アンタには関係ないことだ」

「いや、弟はどうするつもりだ」

「・・・・・いざとなったらアンタが面倒見てやってくれよ、まぁ戻ってくるけどな」

「どうだろうな?」


この男は挑発するのが好きらしい、特にケンカを売ってくるわけでもないのにこれなんだ。


「弟が大事ならしっかり戻って来い、良いな」

「・・・当然だ」


ただやることは1つ。奴らを倒して、弟――ヒカリを守るだけだ。


~~~


「ねえ遊矢」

「遊矢さーん!」

「遊矢、どうした?」

「・・・・ムーッ・・・あーもー!!うっせえ!」


せっかく人が考え込んでる時に声かけてきやがって!!


「ちょっと黙ってろって!」

「んだよ遊矢!俺たちは心配してお前に声かけてんのに!」

「別に言ってないだろ!心配なんていらない!結構だぜ!」

「あーあ!分かりました分かりました!遊矢なんてどっか行っちまえば良いんだよ!」


「慶太くん・・・・・」


慶太のバカ、俺は心配しなくたって戻ってくるのに、なんであんな怒ってるんだか・・・。

俺もやらなきゃいかないんだ。ここまで来たらもう後戻りなんて考えてられるわけがない、絶対に勝って世界を救ってやるんだ。


「遊矢さん、」「遊矢くん、」

「だーいじょうぶだって!心配すんなよ、俺は勝つ!絶対に勝つ!」

「・・・・うん」


・・・・・雪那は心配性だな・・・。ま、昔からか。

みんなを危険に巻き込むわけにはいかないからな、俺は俺なりにやるしかないじゃん!


?そういえばアミの奴、何処行ったんだ・・・?


~~~


「待って!待ってよ慶太くん!」


「なんだよ」


「遊矢はみんなを巻き込みたくなくて、それであんなに――」


「俺たちだってアイツの役に立ちたいんだよ!アイツがあんなに頑張ってるのに俺らは見てるだけかよ!そんなの嫌だ!」


・・・・もしかして慶太くんがあんなに怒ってたのって・・・・こういうことだったの・・・?


「ねえ慶太くん、遊矢は――その・・・不器用だから」

「知ってる、あいつは不器用すぎて人の助けを借りたがらないよな、だから心配なんだ。アミ、遊矢のこと頼んだぜ」

「・・・・・その――・・・ごめん!」


遊矢が不器用すぎて、みんな大好きなのにうまくいかなくて――そんなの分かってるよ!

でも―――!


~~~


「托都!」

「・・・遊矢、良いのか?友達は」

「あぁ。托都はどうするつもりなんだ?」

「俺は――借りがあるからな」


借り・・・・・あぁ、そういうこと。

でも托都にとってはキツいことかもしれないし、俺やヒカルみたいに特殊な力を持ってるわけじゃないのに・・・・。


「遊矢、お前は安心してろ。例えなにがあっても、お前らだけでもこの世界に戻してやるから」

「托都・・・・」


そ、うだよな・・・。でもできれば全員で戻ってきたい、全員で。



~~~



『・・・・光・・・善の光が迫っている・・・。バイオたち―――。ここを守りぬけ』


「「「「「・・・」」」」」


『そして我が絶望の同胞達よ――世界を覆え』



~~~



「覚悟は決めたか」


「もちろん!」

「まぁな」

「・・・・」

「・・・遊矢・・・」


これが最終決戦だ、やりきって戻ってくる!それが俺だ!


『それじゃあ――』


――ブーッブーッ


「・・・?カイト、どうしたんだ」

《ハートランドシティ中に影のような奴らが現れた!そいつらのデュエルに負けるとそいつらの仲間になるようでな・・・大量にいるぞ・・・》

「な、マジ!?」

『まずいな・・・敵はすでに次の手を用意したというわけか』


『どうやら早く出発しなければいけないみたいね』

「あぁ」


影たちが襲ってくる・・・・?デュエルに負けると影になっちまうなんて、それって結構ヤバいんじゃ・・・。


「・・・托都は山の奥の――いや、」


「これは?」


「場所だ。ベイエリア、ポイント753にある」


「・・・・なるほどな」


地図だったんだ、というかまた旧型のを・・・・。


「ヒカルは――。ここから1番近いが、旧校舎。旧校舎の裏にある旧体育館の倉庫、そこにあるはずだ」

「分かった」

「遊矢、お前が1番危険な場所へ行く事になる、覚悟はできたか?」

「・・・あぁ」

「今ハートランドにも人はいない。全員非難している、仕掛けを解除する人物はいない。ハートタワーの最下層。そこが遊矢の行くべき場所だ」


俺が・・・やらなきゃいけないこと、やるしかない!


「アミ、お前は遊矢のアシストを頼む」

「え、ええ・・・」


『それじゃあ、これからは戻れない戦いよ。心して、そして世界を救って』


人に頼まれたんじゃ・・・やるしかねえよな。


「ヒカル、托都、また後で会おうぜ」


「生き残っていればな」

「変な冗談は止せ」


そうだ。俺たちはなんとしても全員残る、そう決めたんだ!


「行くぜ、アミ!」

「ええっ!」


~~~


「おいおい・・・・意外にも驚くほどの人数じゃんか」

《遊矢!》

「リンさん!」

《今人間界は地中空間のせいで異世界と融合した空間になっている、ここでならモンスターを実体化させることができる!そいつらで蹴散らせ!》

「おうっ!」

「そうと分かればとっとと片付けるぞ!」


この大人数、大変だと分かっていてもやりがいがある。タイムリミットはあと2時間、ここでやらなきゃ誰がやるんだ!


「いけっ!《希望騎士 ホープ・オブ・ソード》!!」

「舞い上がれ!《煌蝶竜 ラピスラズリ・バタフライドラゴン》!」

「来い!《ギャラクティック・カオス・ドラゴン》!」

「現れろ!《機械堕天使 スフィアディオル》!」


なんとか着実に潰せてるけど、全然減ってねえじゃんか!このままだと時間だけが経っちまう・・・!

しかも・・・意外と不便だな、実体化って。リンさんはなんで疲れないんだよ!


「遊矢!後ろ!」

「っ!」


間に合わない―――!!


「いけっ!ロゼッタ!パワーショットリフレクション!」


「!?」

「慶太くん!?」


「待たせたな!遊矢!」


なんであいつらがここに!?


「行きなさいエターナルフローズン!フローズングラビティ!」

「《巨人王リバーシアンブレーダー》で攻撃!リバーシアンドライブ!」

「《神聖奏魔女エレン》!フォースインパクト!」


「雪那!敏也!」

「袢太くん!」


「影は僕達にお任せあれ!」

「みんなは安心して目的地に向かって!」


こりゃ心強い仲間たちが来たぜ!


「よし、このまま行くぞ、スフィアディオル!」

「遊矢、私達もラピスラズリに乗りましょ!」

「あぁ!」


みんなはこうやって力を貸してくれる。俺は――俺なりにやるしかないじゃん!


「くっ・・・でも僕たちでも限界がありますね・・・」

「まぁね」


「いけっ!《銀河眼の光子竜》!破滅のフォトンストリーム!!」


「「「「!!カイトさん!?」」」」


「シャークドレイク!デプスバイト!!」


「凌牙さんも!」

「こりゃ俺たちなんかよりも心強いな!」


「久々に共闘と行くぞ、凌牙」

「あぁ、カイト」


~~~


頼んだぜみんな、この世界をなんとか俺たちが戻ってくるまで守っていてくれ――!!



60話へ続く


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【あとがき】


慶太くんったらツンデレね。そして初めて異世界実体化です、なんかドキドキしたwwwこんな展開初めてですからw

とりあえず攻撃口上の新しいのが、

ロゼッタ→「パワーショットリフレクション」 エレン→「フォースインパクト」

ですね。なんだか愛らしい感じwww


さて、大台に乗ったかのような60話は次回です。そして次回は遊矢のエクシーズシンクロが覚醒!!星屑は進化する――!

にしてもこの人たちがリアルファイターすぎてヤバい。

そして途中から「托都くんいたんだ」状態になった俺は病気wwwww


影に関してはGXのデュエルゾンビみたいな感じで増えていきます。デュエルもするけど相手にしないのが1番良い。だから撃退もこの方が良いって言う事になりますね。

この後また撃退部隊に人数増えます。リンは安定しないから逆に来ない。遊馬も何故か来ません、その理由は―――。


【予告】

最終決戦の地、絶望の大穴を目指しハートランドの中心にあるハートタワーに突入した遊矢とアミの前にバイオデュエリスト・カリヤが現れる。アミが受けると言ったそのデュエルを受けた遊矢は序盤から《銀河眼の星屑竜》を召喚して圧して行く。

しかし、最後の一撃で発動した罠によってエクシーズ召喚と攻撃を封じられてしまう。

逆転された遊矢に残された本当の希望が今ココに誕生する!

第60話「エクシーズシンクロ覚醒 進化する星屑(スターダスト)」


【おまけ】


遊矢「カイトさんのフォトンデッキって、フォトン以外のモンスターカード入ってるんですか?」

カイト「当然だ、まぁほとんどがフォトンカードだが・・・」

遊矢「なるほど・・・ほとんど・・・」

カイト「・・・フォトンど」

遊矢「!?」