ジェレスタ47「吹 き 荒 れ よ 吹 雪 ! 氷 結 の 舞 姫 !」


エターナルフォースブリザード、相手は死ぬ





「それで、どういうことなんだ?」

「覚えてねえよ、それ以降は」

「はぁ・・・?お前最初に会った時は喘息とか発作は・・・」

「ない!俺はヒカリと違って元気だ」

「だよな、・・・・・」


今日学校に来た時、様子がおかしかったヒカルに声をかけたら・・・。

本当になんでだろう、倒れた後覚えてないのは分かるけどデュエルの内容まで忘れるとは思えないし・・・・。それに持病はないらしいから変な事ではないだろうケドさ。


やっぱり仲間だし、もしかしてなにかあったかもって思うんだよな・・・。思い込み・・・なのか?


「2人とも、どうしたのかしら?」

「璃緒さんこそ・・・」

「・・・神代璃緒・・・・か、あの神代凌牙さんの妹だったよな?」

「ええ、兄共々よろしくお願いしますわ。・・・ところで彼は?」

「コイツは――」

「俺は朽祈ヒカル、2年の生徒だしアンタにはあんまり関わらないと思うけど」

「まぁね・・・ねえ遊矢くん、雪那さんを見なかった?」

「雪那を?・・・雪那なら多分教室にいると思うけど」

「ありがとう!それじゃあね!」

「「・・・・?」」



~~~



「・・・・・・・・・」


遊矢くんがすっごい頑張ってる。私も頑張らなくちゃって思ってるけど、中々うまくいかない。・・・やっぱデュエルの次元が違うのかなぁ・・・。

もっとも~っと強くなれたら、遊矢くんやみんなのためになれると思うんだけど。


・・・・・・私に足りない物・・・・・・か。氷結?


「雪那さん!」

「り、璃緒さん!」

「どうかなさったの?浮かない顔をしてますわ」

「・・・私、遊矢くんの役に立てなくて・・・どうすればいいか分からないんです」

「なるほど・・・。そう、ね。それじゃあ雪那さん、今度の日曜日は暇かしら?」

「え?」

「確か雪那さんは帰国子女で、ハートランドシティに来て間もないんでしたわね、だったら私が1番好きな場所に付いて来てくれませんか?」

「好きな場所・・・?」

「買い物や話をすれば、きっと迷いは晴れますわ。どうでしょうか?」

「・・・・行きます!」


なにか、可能性を感じる気がする・・・。璃緒さんについていけば、私の中でなにか、変われるのかもしれない。それなら・・・。


「・・・結局なんなんだろ?」

「・・・さぁ・・・?」



~~~



「風雅遊矢を仕留めるためには・・・・・・・・・・・・」


「酷くお悩みのようですわね」


「アンタは、トルテか」


「ええ。私に気にせずどうぞお考え下さい」


「助言しに来たわけじゃなくて安心したぜ」


「強いて言えば・・・仲間、ですかしらね」


「はぁ・・・?」



~~~



というわけで日曜日、モノレールに乗って隣町までやってきていた。

ここはきたことない町だなぁ・・・。


「ココの町は広いんです、色々と紹介しますわ」

「ありがとうございます!」

「遠慮しなくていいのよ、気になる場所があったら教えてね」

「はいっ!」


璃緒さんって、プライベートで会うのは初めてだけど、良い人かも!



「・・・・はぁ」

「凌牙さん、どうして付いてきたんですか?」

「あの雪那の方が心配でな」

「おかしいこともあるもんだな、凌牙さんは璃緒さんの心配してんじゃないんだ」

「氷の女の心配なんてするかよ」

「雪那は氷の娘だぜ・・・」

「それはマジなのか?」

「本当だぜ・・・」



~~~



「いっぱい買い物したわね~」

「そうですね、凄い重いです・・・」

「その重い荷物を持って悪いんだけど、いいかしら?」

「この前言っていたところですよね、構わないですよ」

「ありがとう!すぐそこだから!」


璃緒さんって話を聞いたら同じ氷使いなんだ。私は雪の妖精だけど璃緒さんは氷をイメージした鳥獣族モンスターデッキ、似てるようで全然似てないのね。でも、凄く気が合う感じがする。

同じデッキを使うだけで、その人と分かり合っているような感覚があってとても素敵だなぁ・・・って思うときがある。


遊矢くんのときはシナジーこそないけど風って爽やかだな~とか思ったような気がする。

様々だよね、うん。


入ったお店はカードショップだった。今まで璃緒さんの寄ったお店はどこもオシャレだったから、またそういうのかな?と思ったらカードショップだったんだ・・・。なんか意外って感じがする。


「お久しぶりですね、璃緒さん」

「お久しぶりです、今日も失礼しますね」

「ん?そっちの子は?」

「彼女は私が今研修している学校の生徒なの」

「刹那川雪那です・・・」

「よろしく、それでカード入ってるけど・・・」

「本当!?予約してたカードはあります?」

「はいよ、待っててください」


璃緒さんって凄い有名人・・・・?

カードの購入予約なんてしてたんだ、一体どんなカードなんだろう。


「お待たせ、これですか?」

「ええ、お願いします」


購入済ませた璃緒さんがルンルン気分で戻ってきた、どんなカードかな?


「はい、これ」

「え?さっき買ったカードですよね・・・?」

「カードを見てみて」

「・・・?《絶対零度》・・・?」

「絶対零度は、白銀の中の暗闇。凍った全てを凍りつかせる世界。だけど、その世界にも希望の光はある」

「希望の光・・・・」

「そのカードはね、私が5年前に退院して初めてのデュエルでフィニッシュを決めたカードなの。遊馬がいなかったら私は目を覚ましてなかった。きっと」

「璃緒さん・・・・」

「今度は雪那ちゃんがそのカードで希望の光を灯してほしいの、できるよね?」

「・・・・・・私、やってみます!このカードで、璃緒さんの想いでやってみます!ありがとうございます!」


璃緒さんの想いが、きっと私にもっと、力をくれる気がするんだ。


「貴方があの人の言っていた人物か、刹那川雪那」


「貴方は?」

「・・・もしかしてドリーミストの・・・」


「ご名答!俺の名前は炎竜。この場所に来たってことは何しに来たか、分かるか?」


「ええ、分かります。受けろというのですね、デュエルを」


やるしかなさそう・・・。遊矢くんのためにも、璃緒さんのためにも私がやってやるんだから!!


「それじゃあ行きますわ!はぁっ!デュエルディスク、セット!Dゲイザー、セット!」


「デュエルディスクセット!」


《ARヴィジョン、リンク完了》


「「デュエル!!」」



~~~



「おい、マジかよ!!」

「ドリーミストの連中が狙っていたなんて・・・」

「早く追わないと!!」

「・・・・?」



~~~



「俺が先攻をもらうぜ!俺のターン、ドロー!俺はフィールド魔法《炎竜の牢獄》を発動!このカードは、1ターンに1度炎属性モンスター1体を特殊召喚でき、相手の水属性モンスターの攻撃を封じる!」


これで私の水属性モンスターを封じるってことなのね、だけど私のデッキには光属性のフェイトリースがいる、そこまで繋がれば・・・!


「俺は《炎の剣士アルファ》を召喚!更にフィールド魔法の効果で《炎の魔術師ベータ》を召喚!そしてアルファとベータがいる時、《炎の武術家ガンマ》を召喚だ!」

《攻撃力:1900/レベル:4》


「レベル4のアルファ、ベータ、ガンマでオーバーレイ!3体の炎属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!現れろ《円竜眼エビルスパーク》!!」

《攻撃力:2400/ランク:4/ORU:3》


「コイツは1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手の手札1枚につき500ポイントのダメージを与える!アンタの手札は5枚だ、よって2500のダメージを喰らえ!」

《ORU:2》


「っ!!」

《雪那のライフ:1500》


強力なバーンモンスターに、私の水属性モンスターは攻撃ができない。しかも今の手札じゃ、どうあがいてもフェイトリースは召喚できない。なにか別の手を考えなきゃ・・・!


「俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」


「私のターン、ドロー!私は《冬の精霊シルフィー》を召喚!」

《攻撃力:1500/レベル:4》


「更に魔法カード《ダイヤモンドダストシューター》を装備!このカードは選択した水属性モンスターの攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップさせる!」

《攻撃力:2500》


「水属性モンスターの攻撃はできないことを覚えてないのか?


「覚えていますわ、私の目的はそうじゃない!シルフィーの効果発動!このモンスターの攻撃力が変化した時、変化した分のダメージを与える!」


「うっ!!」

《炎竜のライフ:3000》


これで少しダメージを与えられた!やった!


「私はカードを3枚伏せてターンエンド!」

《攻撃力:1500》


「3枚・・・か、効果を恐れてるように見えるぜ」


確かに相手のあのカードは怖い、なるべく手札がない方がいい。


「俺のターンドロー!だけど俺には通用しない!俺は速攻魔法《ファイアーハリケーン》を発動!このカードは自分フィールドの炎属性モンスターエクシーズのオーバーレイユニットを1つ墓地に送る事で、相手フィールドの伏せカードを2枚手札に戻す!」

《ORU:1》


「これで雪那さんの手札にカードは・・・3枚・・・!!」


「俺はエビルスパークの効果を発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手の手札1枚につき500ポイントのダメージを与える、よって1500のダメージ!これで終わりだ、喰らえ!!」

《ORU:0》


―――ドォオオオオオオオオン!!


「これは・・・・まさか・・・!」


こんなところで、負けるわけにはいかない・・・!絶対に負けたりしないんだから!


《雪那のライフ:500》


「なんだと!?」

「エビルスパークの効果発動にチェーンして、私は手札から《冬の精霊ウィンディー》の効果を発動していたわ。このモンスターは相手モンスターエクシーズの効果が発動した時発動でき、自分フィールドの水属性モンスター1体につき800ポイントのダメージを与えるのよ」

「ぐあっ!!」

《炎竜のライフ:2200》


これで私のライフは500で持ちこたえた・・・。


「くそっ!今度こそとどめだ!エビルスパークでシルフィーを攻撃!」

「罠カード《ブリザードバリア》発動!このカードは自分フィールドの冬の精霊1体を手札に戻しバトルを終了させる!」


「これで雪那さんのライフは持ちこたえられる!・・・(なぜかしら?私のデュエルと重なる何かを感じる・・・)」


「ターンエンドだ、さぁラストターンを楽しめよ」


ラストターン・・・か。ギリギリだけどなんとかしてみせる!


「私のターン、ドロー!私は《雪の精霊シルフィー》を召喚!更に魔法カード《死者蘇生》を発動!蘇れ《冬の精霊ウィンディー》!」

《攻撃力:1300/レベル:4》


「永続罠《炎の有刺鉄線》発動!1ターンに1度だけ相手が魔法カードを発動した時、400ポイントのダメージを与える!」


「くっ!」

《雪那のライフ:100》


残りライフギリギリ100・・・・このままだと本当に負けてしまうかも・・・。


「その程度の腕か、所詮はただの人間。風雅遊矢に関係したのを恨めよ」


・・・・・もう、許すわけにはいかないわ。絶対に。


「貴方、遊矢と関係したのを恨めって?私は遊矢くんに救われたの、絶対に遊矢くんを捨てたりしない、あんたみたいな独りよがりに負けるわけないでしょ」


「・・・雪那・・・・・・さん?」


「私はレベル4のシルフィーとウィンディーをオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!舞い上がれ《氷結の精霊エターナルフローズン》」

《攻撃力:2500/ランク:4/ORU:2》


これが私のもう1つのエースモンスター。あんなランク9、今は使っていられる状況じゃない。


「エターナルフローズンの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手フィールドの魔法・罠の効果を無効にし、相手モンスター1体の攻撃力を800ポイントダウンさせる!」

《ORU:1》《攻撃力:1600》


「凄い・・・ここまで考えて・・・・・」


否定なんかさせない、私がずっと大好きだった遊矢くんの否定を!


「いけっ!エターナルフローズンでエビルスパークを攻撃!」

「甘い!罠カード発動!《ブリューナクの叫び》!このカードは、自分フィールドのモンスターエクシーズにオーバーレイユニットがない時、元々のオーバーレイユニット1つにつき800ポイント攻撃力をアップする」

《攻撃力:5000》


攻撃力・・・・5000・・・・。


「所詮は氷、炎で溶かしきってやる!」

「・・・・・・・それはどうかしら」

「なにっ!?」

「これが氷の世界よ!速攻魔法《絶対零度》を発動!このカードはオーバーレイユニットのないモンスターエクシーズの攻撃力を0にする!」

《攻撃力:0》


「絶対零度は白銀の中の暗闇、全てを凍らせ破壊する希望の力」

「俺の・・・炎竜が!!」

「ゆけっ!エターナルフローズンで攻撃!フローズングラビティ!!」


「ぐあぁあああああ!!」

《炎竜のライフ:0》


《WIN:刹那川雪那》



「凄いわ!雪那さん!」

「ありがとうございます!」


私、勝ったんだ・・・ドリーミストに勝ったんだーっ!!


「懐かしいわ」

「えっ?」

「そっくりだった、5年前のあのデュエルに・・・。私の姿を映しているような貴方の姿、とっても美しかったわ」

「璃緒さん・・・・・」

「すっげえじゃん雪那!」

「遊矢くん!?」

「ドリーミストに勝てるなんて凄いぜ!!」

「その~・・・ありがとうございます」


なんかちょっとだけ恥ずかしいなぁ~でも誇っていいんだよね、こうして遊矢くんのためになれたんだから。


「これからもよろしくね!遊矢くん!」

「え?あっ!?どうしたんだよ雪那~!」


「すっごい、良い光景だわ」

「あぁいうのは子供の頃にやれなかったのがって思うのか?」

「違うわよ、微笑ましいなって思うのよ」

「・・・・・・俺には理解できないぜ」



48話へ続く


=========================

【あとがき】


気づいた人もいるかな?そうです、ZEXALⅡ6話で放送された璃緒VS愛華とシチュエーションはほぼ同じなのです。

違うのはダメージ、デッキ、相手の煽り方とあります。

このシチュエーションにした理由は多々ありますが《絶対零度》で締めたかったので。


遊雪が熱くなるな・・・。というかこの2人は色んな意味で公式カップルだから色々とダメだわwwww可愛くて仕方ないジュルリ

ヒカルが最後に意味深な言葉を言っているのは過去回想で分かります、というかそろそろヒカリも出番出さないと3期で出せないね。そして次回は仲間編2です。あと2話だけ続きますが気にせずに行きましょう。


次回は巨人兵発進!?お久しぶりです!空気気味になっているメガネショタ袢太くんのデュエルだよ!袢太くんいたの?ずっといた!

かっとビングだぜ袢太!!鉄男も出るよ!


【予告】

遊矢とのデュエルを通じて攻めるデュエルを知った袢太はドリーミストを倒すべく、攻めるデュエルをするためにデッキを作り変える。だがどうしても守りを主体とするデッキに変わってしまう。

そんなある日、遊馬に連れられてデュエル庵にやってきた袢太は・・・・・?

次回!第48話「袢太のかっとビング!?燃えろ巨人王!」


【おまけ】


今回の最強カードは《絶対零度》!

白銀の中の暗闇はどんなものでも凍りつかせる!

オーバーレイユニットのないモンスターエクシーズ1体の攻撃力を0にする強力なカードだ!