アユリ「ねえ、ケンはまだ俳優やってるの?」

ケン「あ、うん。そういえば俳優のギャラ、ようやく月十万超えました!

   すごいだろ?」

アユリ「すご〜い。私と付き合ってた頃ってほとんどもらってなかったよね?」

ケン「まあ…三万くらいかな…いや三万五千円くらいか!」

アユリ「そこ重要じゃないから!」

 

 

笑い合う二人、ケンがアユリの腕を見て

 

 

ケン「うわ、高そうな時計してんな〜」

アユリ「可愛いでしょ、旦那が買ってくれたんだ」

 


 

ケン「愛されてる〜」

アユリ「ケンまだ私があげた時計してんだね?」

ケン「うん。これ使いやすいんだよ~」


 


 

アユリはケンの嬉しそうな顔を見て

 

ケンのことは本当に愛していた。だけど…  


 

  

 

アユリは物思いに耽っていると辺りが急に暗転し、

背後から付き合っていた頃のケンが現れる。


 

ケン「アユリ、ごめん。結婚したいけど、

   今の俺じゃアユリを幸せにできないと思う」

     

と言っていなくなるケン。



 

今度は夫が現れる。

 

夫 「そんな甲斐性のない男やめなよ。

   俺が絶対に幸せにしてあげるから」

  

 

 

アユリが目線を外すと、辺りが明るくなる。



 

 

ケンはまだアユリのインスタグラムを見ている。

 

 

ケン「へ〜旦那さん、いろんなとこ連れてってくれんだね」

アユリ「…(話題を変え)プロポーズのときね、バラの花束と

  大きなダイアモンドをくれたんだ〜」

ケン「うわ、格好いい~俺には絶対に出来ないや」

 

アユリ「(笑って)だろうね~ケンの誕生日プレゼント、

    大量の駄菓子だったことあるもんね」

ケン「だってケン、駄菓子好きじゃん!」

アユリ「まあ、あれはあれで嬉しかったけどね」



 

ケン「そう言えばさ、昔、〇〇と行ってた定食屋あるでしょ?

   あそこ今行列できてるらしいよ」

アユリ「え?どうして、どうして?」


 

と思い出話を始め、次第に笑いが止まらなくなるアユリ。

 

ケンとのくだらなくて他愛ない話。

本当はこんな話をしながら毎日笑っていたかったんだ。

 

 

私が欲しかったのは、他人からのいいねじゃなくて、これだったんだ 

 

 

つづく…

 

 

 

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