自分の能力に気づいてからおよそ五年と少し時が過ぎていた。
能力については、中学に入ってからは誰にも言わないようにしていた。
僕の能力を変に頼られてしまっては厄介だからだ。
僕の能力について知っている数人には口止めをしてはいるのだが、
いつバレてもおかしくないと思っていた。
「絶対に言わない」
という言葉はうわべだけで、気づかないところで勝手に広めている、
それが人間の性だと昔から思っていたからだ。
がしかし、未だに僕の能力については広まっていないようだった。
能力について知っている人が二人しかいなかったことが功を奏したか。
自分の周囲に、涙を流す人をあまり見かけなくなった事もあり、
自分の能力が実在するものなのか、自信がなくなってきたのだが。
口止めをしている二人は、小学校一年生からの付き合いの「道島悠」と、
昔から近所に住んでいる、一つ年上の女の子「花城薫」だ。
高校二年生となった僕は彼女もいないまま、一人ボッチのクリスマスを迎えようとしていた。
俗に言う「クリボッチ」というやつだ。
『どうせだから、悠と薫を呼んで3人でイルミネーションでも見に行くか。』
そう思って僕は二人へ連絡した。幸いなことに、二人とも返事はOKだった。
早速予定を組んで三日後、三人でクリスマスを過ごすことにした。
クリボッチが三人集まればもう元のそれではない、むしろリア充とでもいえるものだ。
クリスマスへいろいろな妄想をふくらませながらその日は大した出来事もなく一日を終えた。
クリスマスはきっといい日になる。そう信じて。