僕には、人にない能力が一つある。

 

人が流した涙に色がついて見え、そこからさまざまな情報を読み取ることができるという能力だ。

初めてこの能力に気づいたのは小学校6年生の秋だった。

 

ーいつも通りに学校で休み時間を過ごしていると、クラスの女の子が突然泣き出したのだ。

急な出来事だったため、たまたま教室にいた先生も少し驚いていて、

 

「どうしたの?大丈夫?」

 

と声をかけて頭をなでることしかできなかった。

 

そこに居合わせた僕がその女の子の顔をふと見てみると、涙が綺麗な緑色をしていたのだ。

ありえない出来事に少しびっくりして身を引いたが、他の人は何事もないように見ていた。
どうやらその緑色の涙は僕にしか見えていないようだった。

 

もう一つびっくりしたことがあった。

その緑色の涙を見たと同時に色んな情報が写真のように頭の中に流れ込んできたのだ。

 

「ミシンで小物入れを作る女性の姿」「プレゼントを貰って満面の笑みで喜ぶ彼女の姿」「学校の廊下に落ちている小物入れ」

 

不意に僕の中に流れ込んできたこの三つの情報が

 

「お母さんが作ってくれた小物入れを学校のどこかに落としてなくしてしまった」

という結論に僕を導いたのだ。

 

当然確信はなかったが、僕は彼女と先生に言った。

 

「どこかで小物入れ落としちゃったんだよね、一緒に探そうか?」

 

すると彼女は一瞬驚いた顔をして、僕が気持ちを分かってくれたことに対する喜びで笑顔になってくれた。ー


こういった出来事があってから僕は、泣いている人を見かけるとつい、顔をのぞき込んでしまう癖ができてしまった。

それと、この能力を得た代償だろうか、自分自身が涙を流すことができなくなってしまったのだ。

 

だがしかし、この能力のおかげで人の役に立つことができているため、別に悪い気はしなかった。

 

 

その時から何か嫌な予感はしていたが。