梶原「……はいはい」

課長は拳銃を地面に置くと、それを理事官の方向へ蹴った。

桜子「梶原課長…!」

梶原「一般人を人質にされている以上、妙な事は出来まいよ。連中が遠隔操作で爆破出来るのは、先日の黒ワゴンで立証済みだ」

桜子「それはそうですが…!」
(ここでこの男に銃を渡したら、私達は…)

京国「……形勢逆転、ですね」

嬉しそうに拳銃を手にし、京国理事官は不気味な笑みを浮かべた。

京国「さて、どちらから死にたいですか?
梶原課長はなかなか頭が切れるようなので少し勿体ないですが…、
我々に賛同してくれるとは思えないので、残念ですね。」

理事官は微笑みながらーー、私と課長に銃口を向けた。

(この人は本当に、私達を殺す気だ)

空気が張りつめて、肌がピリピリと緊張に震える。

京国「人目もありませんし、何しろ怒ったのは久しぶりなので、少しイライラしてるんですよ。」

右手に拳銃、左手に爆破装置を持ちながら理事官は高笑いをする。


桜子「そうやって苛立ちに任せて、私達を殺すつもりですか。
かつて…、チュンメイを殺したように。

京国「チュンメイ?…ああ、役立たずな売春婦ですかですか。
計画に協力させていたら突然、嫌だと騒ぎだしましてね、安蘇んだ勢いで、つい殺してしまったんですよ。」

桜子「…そして、ユンに死体を始末させた、と」

京国「あれは発見されて、埼玉県警で追ってるようですが、私に捜査の線が及ぶことは、まずないでしょうね」

京国理事官は楽しそうに笑いながら手元の銃を握りなおした。
京国「それにしても、よく私だと分かりましたね。褒めて差し上げますよ。どこの情報ですか?」

梶原「…死んだ彼女に聞いたんだよ」

京国「ふふ…はははは、面白い冗談ですね。
鬼元と呼ばれた男も、所轄に落ちて緩くなったものだ。」

梶原「ベラベラと解説してくれるのは嬉しいが、雑魚は黙ってろ、テロが起きている今、雑魚にかまってる暇なんてないんだよ。」

桜子(梶原課長、何を…!)

いきなり挑発した課長に驚いて視線を向けると、一瞬だけ課長と視線が交わる。

京国「…雑魚?私が?いいでしょう、梶原課長。
その、不適切な言葉を後悔させるため、門田捜査官を先に殺して差し上げましょう」
桜子(つ…!)

銃口を向けられ、私はとっさに腰を落とす。

理事官が狙いをつけて、引き金を引いたーーその瞬間

梶原「はぁっ!!」

京国「!?」

課長に体当たりされ、照準が外れた銃弾がアスファルトを跳ねる。

課長はすぐさま手刀で、拳銃を握る理事官の手首を打った。