
今回、一度にふたつの美術館を見学することによって、美術品の見せ方でも考え方によっていろんな手法で見せることが出来ることを知りました。
そして美術品を際立たせるための、建築の存在感や照明の大切さを改めて感じる機会となりました。
根津美術館は、床・壁・天井面にダークな色味を使っていて、ベース照明も必要最低限なので、空間全体の中で展示物が効果的に浮かび上がる様な見せ方をとっていました。
同じ設計者のサントリー美術館を訪れた時の感覚に近かったのですが、展示ケースの光に導かれて次の展示へと進んでいく、余計なものが目に入って来ないので展示物に集中できる、そんな感覚でした。
ベース照度を抑えた空間に目が順応した後展示室から出ると、庭の緑がより鮮明に綺麗に見えました。
山種美術館では、特に低い展示ケースの照明手法が印象的でした。
ケースのコーナー部分にLEDとミラーと使い、最小限の寸法でどの角度からも光源が見えず効果的な光を演出していました。
どちらの美術館に於いても、いかに照明の存在を消してよりリアルに色味を再現したり立体感を出すための工夫があり、とても勉強になりました。
以前、九州国立博物館で阿修羅展を開催していた時だったと思うのですが、
美術館や博物館等の照明を専門に担当している方のお話が印象的だったのを思い出しました。
その方のお話では、立体的な人物の顔に照明を施すのは特に難しく、照て方によってはその表情が優しくも怒ったようにも捉えられるとのことでした。
このような美術品に対して、光源の色温度や演色性によってその再現性を図ることはできますが、
無表情なものにさえ表情を与え、見る人の心を捉えるることのできる照明って改めて奥深く魅力的だと当時は衝撃的に思ったのでした。
ものの「見せ方」って、面白いですね。
d-naka