翻訳の前に少し余談を。


 あなたは、「藤本 敏文」さんをしっていますか?

彼は、日本でトラックの運転手として働いている三人の娘の父です(現在離婚してしまったようですが)。この情報だけ見ると、「なんでこんな奴の話をしているのか?」という気にもなるでしょう。

ただ、彼には裏の顔があるのです。

それは・・・「旅行者」としての顔です。

正直な所、ここでもまた疑問が湧くでしょう。

「なんでただの旅行者の話をしているんだ?」


 彼の話題を何故出したのか、それにはしっかりした理由があります。

それを知ってもらうためにも、ここから翻訳に移ってみましょう。



Posted by the guardian on 6 Jan 2013

http://www.guardian.co.uk/travel/shortcuts/2013/jan/06/the-worlds-most-extreme-tourist



世界で最も過激な観光客

シリアに出没する日本人トラック運転手に遭遇


彼はいくらか、いや、かなりぶっとんでいる。

日本人トラック運転手の藤本敏文は、安価な観光ツアーには全く興味がない。

その代わりに、戦地であるシリアのアレッポで休日を楽しむ姿をAFPの記者に目撃された。


彼に質問を投げかけたとき、彼はちょうど反体制派の人間と写真を撮っているところであった。

彼は「戦場を間近で見て、体の中を興奮が駆け巡る感覚が好きなんだ」と話し、

「それは俺をわくわくさせるんだ、楽しいよ」と語った。


彼が観光に訪れたのはアレッポだけではない。

昨年彼は、イエメンのアメリカ大使館でのデモに居合わせ、また一昨年には、ムバラク政権崩壊の余波に揺れるカイロを旅した。

彼は、「俺の夢はアフガンでタリバーンに会うことなんだ」と言った。


離婚した三人の娘の父である彼が、トルコを経由してシリアに忍び込んだのは、これが初めてではない。

国連が、六万人以上の死者が出ていると発表したシリアを、彼は2011年にも訪れている。

彼のFacebook上のアルバムには、現地の人々のほか、死体の写真も収められている。

家族は家に帰ってくるのか、と私が尋ねたところ、彼は「五年間娘の誰とも会っていないんだ。涙なしには話せないね」と話してくれた。


「何か俺に起こったら、保険金が娘たちに行き届いて、あいつらが楽に暮らせるようになるのを毎日祈ってるよ」と彼は語った。

だが彼は、身の安全の心配はしていない。

「俺は観光客なんだ、君達みたいに記者じゃない。だからスナイパーにも狙われないよ」






 いかがでしたでしょうか。

今回扱った記事は、中東の情勢を扱うという点では少しずれていたように思います。

ただ、自分はこのような面白い人が日本人の中にもいるということを、皆様に知ってほしかったのです。

日本のメディアで彼が報道されることはまったくなかったので、自分も彼のトークライヴに参加するまでは、彼のことは何一つ知りませんでした。


 ただ、そんな中でも、海外のニュースは彼を報道し続けていたのです。

このように、日本では得られない情報が、英語の情報の中で得られることがあります。

普段英文を目にしない人のためにも、中東関係でこのようなトピックがあれば、再度ここで扱っていきたいと思います。

Posted by ALJAZEERA on 25 Feb 2013

http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2013/02/2013225105029577423.html


シリア外相、武装勢力との対話を仄めかす

紛争解決策を求めてのロシア外相との対談に向け、「我々の準備は整っている」と

ワリド・アル=ムアリムは発言



 

シリア外相ワリド・アル=ムアリムは、「紛争終結を求める武装勢力を含む、あらゆる勢力と対話する準備がアサド政権には整っている」と主張した。



 

月曜日、モスクワでのロシア外相セルゲイ=ラブロフとの対談に向け、ムアリム外相はそのような発言を残した。


バッシャール・アル=アサド大統領率いる体制側と戦闘を続ける反政府勢力についてのはっきりとした言及の中で、「たとえ武器を手に取るものであろうとも、彼らが対話を望むのなら我々はそれに応じよう」と同外相は述べた。



 「我らはまだ、我々の問題にとって平和的な解決があるということを信じている」と同外相は話し、内部・外部の反対勢力と交渉する連合政府の創出について言及した。




 「これらの外相のコメントはロシア外相との対談の前になされたため、反政府勢力との対話において励みとなる」

「ここモスクワでは、そのことが大きな功績としてみなされるだろう。特にシリアの反対派の指導者アフメド・ムアーズ・アル=ハティーブが対話への申し出を拒絶したとあってはなおさらである。」とのように、アルジャジーラのチャーリー・アンジェラは伝えている。




分岐点



 

 「対話による同意から来る政治的解決を除いて、二年に渡るこの紛争を止める術はない」とラブロフ外相はムアリム外相の傍らで語った。



 

 「体制、そして反体制の立場の了解を通じて成し遂げられる政治的解決の他に受け入れ得るものは何もない」

 「その宗教が何であれ、私たちは自由の中で平和かつ民主的に生きる全シリア国民と共にあり、また独立し全国民が結び付いたシリアという国と共にある」



 

 「シリア国民が自らの運命を決める上で、外部からの介入があるべきではない」のようにも同露外相は述べている。



 

 「シリアの状況というのは分岐点にある」と同外相は付け加えたが、その一方で交渉による解決策も見つかり得るという楽観的な主張も残した。




 「社会、そして国家の崩壊の危険性をはらむ更なる流血への道に足を置くものがいる」




 「だが、政治的解決に至るための対話を開く必要性に気づきつつある良識者ある者たちも存在する」




 「そのような現実的な立場の支持者は増えつつある」と同外相は続けた。




 吉兆
 

ラブロフ外相は、「先週には吉兆が見え、体制・反体制とも平和に向けての対話に前向きであった」と話した。ただ一方で、対話に向けての準備に関する非公式な発言を実際に行動に移すようアサド政権に求めてもいた。




 2011年三月に紛争が始まってから、七万人もの人々が亡くなっていると国連は伝えている。




 軍事的優位を求めて両体制が攻勢を強めるここ最近、戦闘はさらに激しさを増している。

 ロシアは、早くとも今年三月中に反体制派の指導者アル=ハティーブをモスクワに招待できるよう交渉を続けている。



 しかし、反体制側は、流血を阻止できない国際社会の無力さに対する抗議として、国外勢力との対話から現在撤退してしまっている





25 Feb 2013















































 初めまして。現在大学二年生で、英語を専攻に、またアジア文化研究を副専攻としている「むらひむ」と申します。このブログにおいては上記のように、「ALJAZEERAの記事を中心に中東情勢に関するニュースを和訳して載せていく」ということを行っていきます。


 それでは実際に和訳記事を載せていく前に、「なぜこのようなことをするに至ったか」という点について少しばかりお話しさせていただきたいと思います。


 大きなきっかけとしては↓

http://www.newsweekjapan.jp/column/sakai/2013/02/post-638.php

この酒井啓子先生の文章を読んだことが挙げられます。

この中で先生は、「海外進出する日本人にとって必要なものは、現地の日常的な情報公開である」ということをおっしゃっていましたが、このこと自体は極々当然であるように思います。海外に進出するのであれば、その地の情報が重要であることは当然です。ただ、「現地の情報を日本人が本当に理解できるのか?」。そういった疑念が頭をよぎりました。ただでさえ英語力に問題を抱える日本人が、即座に現地の情報を把握できるのか・・・。


 このような疑問を抱えた中で、「自らの力でそういった状況を解決する情報プラットフォームを作れないか

?」、ということをふと思いつきました。例えば自分の専攻の範囲であれば、英語・アジア関係(特に中東)の知識を生かせれば、自分も情報発信源として社会の役に立てるのではないか、そのように考えたのです。そこから、このブログの開設に至ります。


 学生という身分、またプロの翻訳家でないということを言い訳にするのは忍びないですが、時には更新がまばらになることや、また翻訳の質に問題が生じることもあるでしょう。ですが私は、「英語に問題を抱える日本人に代わって、中東情勢に関する情報の発信源となる」ということを目標とし、なるべく皆様の役に立つ情報を翻訳し、発信していけるよう努力していきたいと思います。


 最後になりましたが、このブログにおけるもう一つの目標についても記しておこうと思います。その目標とは、「皆様に中東に関する関心を持ってもらう」ということにあります。


 「中東は危険だ」というイメージが先行しているようで、なかなか中東地域に対して関心を持ってくれる人が私の周りにはいません。ですが、中東という国は非常に魅力的な文化・歴史を持っており、関心を持つことに十分値する地域であると考えます。例えば、イスラームの文化がそうであることは言うまでもありません。歴史で言うとオスマントルコの歴史など。語れば話は尽きません。また、皆様の中にはイラクがまだ戦火に苦しんでいると思っているかたもいらっしゃるでしょうが、それは誤りです。イラクは今、国の再建に向けて邁進している最中であり、その経済的な可能性は明るい光に満ちています。米軍も既に撤退しました。うまく進まないことがあるのも事実でしょうが、ポジティブに見ることのできる側面も確かに存在するのです。

 

 以上のようなことを踏まえて、中東に対して興味を持てるような情報も随時ここに載せていければと思うので、その点でも期待していてください。


 前置きが長くなりましたが、今後お付き合いよろしくお願いします。コメントなど皆様の反応をお待ちしております。