管理者のブログ~レンゴク~

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警告
このブログはすべて創作です。
決して真に受けないでください!
繰り返します。
このブログはすべて創作です!

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ショッピングモールに続く、長い遊歩道に人影はない。

地上から30mに造られている。

透明なガラスの壁で覆われた通路を、夕日が橙色に染めている。

誰もいない通路に、元気で明るい女のアナウンスが、繰り返し流れている。

「六王町にようこそ! この先は、六王町の玄関口、最大のショッピングモールエリアです。このエリアは、町最大の住宅街も隣接しており、ファミリー向けのマンションが立ち並んでいます。

町の中央には、議事堂があり、シンボルとなっています。

六王町は自然と文化の融合を目指しており、警察署、病院、大学、図書館など、施設も充実しています。

また、海と森に囲まれ、自然環境も整っています。

六王町に、お越しくださることを心よりお待ちしております!」

夏子は声にならない悲鳴を上げ、目を覚ました。体中、汗でびっしょりだ。額にも、粒子の細かい汗が、ねっとりとこびりついている。

悪夢をみていた。でも、何も覚えていない。

看護婦の水野が水をもってきてくれた。

「なっちゃん、大丈夫?」

夏子はうなずきながら、水をうけとり、一口飲んだ。

「心配ないから、ちゃんと休むのよ」

記憶を失った夏子に、水野は優しかった。夏子にとっては、大きな救いだった。

窓の外をみると、街の中心にある六王議事堂が見えた。白塗りの巨大な建物で、街のシンボルとなっているという。

すべて水野が教えてくれたことだ。

水野が窓を開けると、蝉の鳴き声とともに、熱風が、部屋に入ってくる。

「今日も暑いわよ、外は」

水野が外を見て、まぶしそうに目を細めた。

私は夢を見た・・・。

絶望の歌が鳴り響く夢を・・・。

その夢はあまりに長く、儚い。

その歌は吐き気がするほど美しい旋律を奏で、私の頭を破壊していく。

次の日、もう体調はよかった。私は点滴をかかえて、売店に向かった。タバコが吸いたかった。さりげなく、他の部屋を見ると、マル夫君のお母さんだろう、ワーワー泣いていた。マル夫君は天井をぼんやり見ている。

猫侍君のところには、友人だろうか、3人ほどきて話し込んで、笑っている。猫侍君がマル夫に話しかけた。何かアニメの話題らしい。マル夫君も何かを言う。そういえば、マル夫君っておたくっぽい。話が合うのかも。友人になれるといいなあ、私は思った。

隣の部屋には、旅人さんとピノ子ちゃんがいる。意外なことに、一人身とおもっていた旅人さんには家族がいたようだ。とりとめもない昔話に花を咲かせている。

ピノ子ちゃんには誰もきていない。さびしそうに外をみていた。

私は部屋に入ると声をかけた。

「ピノ子っち」

「ああ、ドキンさん」

そういえば・・・私は思った。私たちは本名を知らないのだ。だから、はたからみれば、おかしなあだ名で呼び合っている、子供みたいだ。

「大丈夫」

「うん・・・残念だった」

ピノ子ちゃんの顔はひどく曇ったままだった。明らかに死ねなかったことを悔やんでいるのがわかった。

「そう」

ピノ子ちゃんはきっとまた、同じことをするだろうと思った。

そして、誰も見舞いにきていないことからもわかるけれど、きっと孤独なのだ。

家族は彼女に興味をもっていないのだ。そう思うと哀しくなった。そして、あどけなさが残るピノ子ちゃんが哀れで仕方なかった。

そこにどやどやと人の群れが。誰だろう?

「あ」

ピノ子ちゃんの顔がぱっと明るくなった。

「はは、生きてる、生きてる」

小柄な女子高生くらいの女の子が言う。友人のようだ。

「あーあ、バカなことした。何で私が、ピノ子のために・・・」

「まあまあ」

そういったのは30くらいの人当たりのよさそうな丸刈りの男だった。

「本当だよ、迷惑そのもんだ」

陽に焼けて背の高い男が言う。二枚目で、役者でも通じるような男だ。

「悪魔さん、こんなこといってるけど、死のうとしてるのを知って助けようっていったの彼だから」

20代中盤の化粧が結構、派手な女がいう。香水がきつめだ。

「言わなくていいんだよ!」

「まあまあ」

丸刈りの男がとりなしている。

彼らがいれば何とかなるかもな、私は思った。

「じゃあ、ピノ子ちゃん、またあとで、話そうね」

私も何かできるかもしれない。

私は部屋を後にした。

その隣では一人、名無しさんがベットの上で半身になって、座っている。

彼女が通報してみんな助かったらしい。

お礼を言おうと彼女に近づいた。

「あの・・・」

「よかった、無事だったんですね!」

名無しさんはとても元気がよかった。

「あの、ありがとう、あなたのおかげで私生きてるよ」

「いいえ、私はお礼を言われるようなことはしてません。それより、いづれ、謝罪のメールが届くと思います。どうか許してほしいんです」

「そんな・・・あの、よければ、名前を」

「ええ、私は妙恵っていうんです・・・説明するのは難しんですが、安子に代わってあやまります」

名無しさん・・・妙恵さんは頭を深々と下げた。

「いや、気にしないで。よければ、あとでまた話しませんか」

「もちろん、私でよければ」

妙恵さんは正直よくわからない。突然現れて、通報して、結果的に私たちを救ってくれた。

まあ、いづれ、色々わかってくるだろう。

私は首をかしげつつ、部屋をあとにして、売店に向かう。

タバコをかって、入口の喫煙室に。

やけにおいしかった。生きてればこそだな・・・私はしみじみ思った。

透明のガラス張りの場所だから、部屋の外は丸見えだ。

旦那と娘が通ったので、私は手を振った。

昨日、遠慮していた娘は私に飛び付いた。私はぎゅっと抱きしめ、抱っこする。

旦那が止めようとしたが、私は大丈夫といった。

つくづく私はバカだなと思った。大事なものをおろそかにして、欲望に取り付かれていたのだ。近くある大切なものを見失っていたのだ。

私は心から思った。

今度絵をかこう。子供と旦那と私の絵をかこう。それが一番大切なものなんだから。大切ものはすぐ近くにある。みんなあるのに気づかないだけなんだよね。


END

気がついたら、病院。旦那と娘がいる。

私はなにもいえずにいる。だんながいった「ごめん」

涙がでた。それは私が言おうとした言葉。身勝手な私が言う言葉。

私はあの言葉を思い出し、照れくさかったがった。

「ただいま」

窓をみると、太陽が燦々と輝いていた。オレンジ色に空を染めていた。まぶしかった。

「私さ・・・小さい頃ね、よく母親にさ、なぐられてたんだ」

そういえば、はじめてだな、人に話したのさ。正直いえば話せなかったんだ。

旦那は何も言わずに私を抱きしめた。温かかった。

夜になると、意識がもどってきた。もう家族は帰った。隣には哲さんがいる。

二人部屋だった。

「あーあ、情けねえな」

目を覚ました哲さんがいった。

「いっつも、こう、中途半端。人生負けてばっかり」

「だけど、車ン中でいった哲さん、最後いったよね。あれけっこういい感じ」

私が言った。

哲さんは照れくさそうに、

「何言ったか忘れたよ」

「だけど、哲さんがいたからかも、失敗したの。いつもうまくいかないから」

といって私が笑うと、哲さんも笑った。

「なあ、またやるの?」

哲さんがいう。

「わかんない」

私も哲さんも天井をみている。

実際、未遂を犯した人間なふとしたきっかけで繰り返す。

「哲さんは?」

「俺は・・・俺はやめるよ」

「そう」

「いや、仕事をね」

「え」

私は視線を哲さんにうつす。哲さんは天井を向いたままだ。

「俺さ、F1ドライバーになりたかったの。ていっても、全然、駄目でさ。全然下のクラスで、それでもなかなか駄目でね。事故ちゃって、運転できなくなって。で、車の販売やってんの。だけど、身なんか入らなかった。だから、やっぱ、もう一度、レースにかかわろうと思うんだ」

「そう」

「レーサーは無理でも、かかわることはできるから」

「いいね・・・私はそういうのないからさ」

「そうかな・・・みんな、きっと何かあるはずさ。探してないだけなんだよ、きっと。心に聞いたんだ、ずっと。助かってから、今までさ」

「私は・・・私は絵が好きだったの」

「あるじゃん!」

哲さんは自分のことのようにうれしそうだった。私も何かうれしかった。

「だけど・・・」

「いいんだよ、好きなことなら。それ以外を求めなくて。金とかそんなの考えなくてさ」

「そうかも」

「旦那さんもいるんだろうしさ」

「まあね」

「浮気はもうよせよ」

「さあ」

私はおどけていった。実際、もうやることはないだろう。

「あーあ、怖いね女は」

哲さんと私はまた大声で笑った。

私はミノリ。ミノリは私。私ははじめてミノリと一緒にステージに立つことにした。

私の歌詞で感動する人間がいることに気づいた。

私は私の痛みを歌詞にしているだけだった。けれど、同じような傷をもった人たちすくなからずいて、何かを探し求めて聞きにきていた。涙がでた。これからのことはわからない。正直いえば誰にもわからないのだ。元気な人が事故で死んじゃうこともある。

私も心の傷に押しつぶされてあきらめることになるかもしれない。けれど、それはわからないことだ。私は今だけを何とか懸命に生きてみることにした。だから、すべてのブログを閉鎖することにしよう。そして、一緒に死のうとした人たちに、何かできることがあるかもしれない。きっと、彼ら、彼女たちはまた同じようなことをするだろう。止めることは難しい。だけど、私は思う。それでいいんだ。大切なことは苦しんでいる人に、言葉をとどけてあげることだ。素通りだけは決してしないつもりだ。

誰か一人でも救えたらいいが・・・正直いえば私は私を救えなかったのだが・・・それでも何とか生きてみたい。

7人の男女が自殺未遂をはかった。しかし、自殺志願者の一人が思いとどまり、警察に通報。さらに、何者か外部からの協力者もあり、すべては未遂に終わった。協力者は救急車が来る前に足早に立ち去ったという。彼らの処置が存命の分かれ目になったと医療関係者はみている。

「あなたは思い込んでいるだけ」

なんだ、このメッセージは・・・メッセージの主は・・・そう、ミノリ。

依頼主はミノリだった。

意味がわからない。何を思いこんでいるだけなのだ・・・

おれは過去の管理者のブログを読みなおしていく。

俺は語っている。そんな名探偵存在するわけない・・・そうか、俺は存在してない!?

じゃあ、俺は誰なんだ!

白雪姫・・・鏡に問いかけると、美しいのはあなたという、そんな話だ。鏡が話すのだ、鏡の中の自分が・・・俺は何かわかりかけている。

  の日記・・・これはなんだ。誰の日記なのだ。そして、3ザなどのわけのわからないタイトル・・・俺は気づいている。これは天使の階層を表しているのだ。

9段階あり、書いている奴は妙に天使に興味を持っている。カエサル♡ミチル・・・天使を崇拝している。天使などこの世にはいないのに・・・

StLとはあいうえおとアルファベットを対応させているのだ。

tは最後の「ん」になる。Aは「あ」、tは「ん」になる。

ブギーマンとはあいつのこと、あいつとは  の日記にもたびたびでてくる。そう死んだ父親のことである。

しかし、だからといって、どうすればいいのだ。俺が存在できる時間はあとわずかしかない。なぜかそうわかっていた。

いや、落ち着け、落ち着くんだ。最後の最後まで可能性がゼロになるその瞬間まで、探し求めるんだ。俺は自分に言い聞かせた。

毛利・・・これはなんだ、毛利といえば3兄弟、キーワードは3.堕天使の歌詞は3番まである。これは3人のことを表しているのではないか・・・そう、思った時、pcでみつけた、おとぎ話をみる。やはり、同じ。最初は安子のことを、3番目は弟・・・大志のことを・・・じゃあ、2番目は、追放されたとある。これは誰だ・・・気になる名前があった、小森ウタオ・・・ボク・・・ボクがボクであるために、類似する文章があるではないか!

そして、常に彼は部外者なのに、該当する信者たちに書き込みをしている。俺は存在しない人間だ。なにもできることはない・・・けれど、もし、彼に・・・いや、彼女に連絡することができるのなら・・・そう、彼は本当は妙恵。実の妹。

鏡よ鏡とは、多重人格者を表しているだけではなく、双子であることを表している。もしも、安子をとどまらせ、妙恵をかわりに行ってもらうことができたら・・・。

俺はすべてを書いたメッセージを彼女のブログ「絶え間ない日常」に送った。これで、すべて終わった。俺は間もなく安子に消し去られるだろう。けれど、俺は知っている。やることを全力でやったということを。

なぜ世界は一つだって限定するんだい?

なぜ自分はこうだって決めつけるんだい?

そんなの傲慢って話だ。


そらをみあげてごらん。

世界は今も広がり続けているよ。


僕は降りる。この狂の螺旋から。


そして始めるよ、もう一度、もう一度。