ガトーショコラ | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

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金曜日昼から息子が具合悪くなったことにして仕事をサボった。
「あけましておめでとう」
日曜出勤の代休のたかしと、二人で小金井公園に梅を見に行く。
紅白の梅がチラホラと咲き始めていた。
「どこかに蝋梅はないかしら」
「あった、こっちこっち」
ほんとにいい香り。平日だというのに小金井公園は人が多くてキスも出来ないのが不満。


「そういえばこの辺のお菓子教室に来たことがあったな」
「へー、何習ったの?」
「ガトーショコラ」
「doorでもお菓子作ったりするんだ。バレンタインデーはガトーショコラがいいなぁ」
私はちょっとムッとした。手作りケーキなんていつも娘に作ってもらっているくせに私にも作ってもらいたいの?
「もう準備しちゃったもん」
「ガトーショコラの中にペンチが入っててもいいよ」
たかしの娘たちのほうが作りなれていて美味しかったら困る。とても困る。

「じゃぁ、今度いつ逢える?何日に焼けばいい?今年は無理でしょ」
たかしは困った顔をした。4月まで多分彼のスケジュールはキチキチだ。今回のデートも直前に決まった。
「来年作るからね」
「うまく焼けるように味見は何回でもするよ」
買ったほうが絶対に美味しいと思うんだけど。