失いたくない人 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

秘密の扉 「ねぇ、久しぶりにゆっくりしたいの」

「うん、分かったじゃ6時に迎えに行くから」

いったいどこへ行くつもりだろう。

「前日友達と飲むし、あのメンバーえかきさんだと朝になるかも」

「朝帰りかー」

まだ分からないけど、それじゃぁ6時には戻るようにするから」


めちゃくちゃ楽しいもはやオフ会とは呼べなくなってしまった再会のあと、私はすっかり酔っていた。高尾まで行ってしまうと戻れないので、わざわざ豊田行きを選んで乗った。豊田だったら何とか帰ることが出来る。

johnさんからお礼のメールが入ったのがちょうど国分寺に着いたときで私は飛び起きた。ありがとうjohnさん!


ふらふらとコンビニでグリコのカフェオーレを買って飲む。飲んだ後は何時もこれ。そのまま服も脱がないでベッドに倒れこんだ。


朝、眼が覚めると6時半、たかしにメールすると

「これから出るー」

散らかったままの部屋を眺めてどこから手をつけようかと考えているうちに二度寝してしまった。

辛うじて1時間ほどで目覚め、シャワーを浴びているとたかしがやってきた。


「箱根方面に行こうと思っていたんだけど、3連休を舐めていたよ、中央道なんてとんでもないことになってるぞー」朝からテンションが高い。

「とにかく出発」

「どこへ」

「奥多摩」

そういえばずっと奥多摩に行きたがっていたたかし。

「二日酔いは?」

「私の辞書に二日酔いはないよ」

二日酔を起こすほど飲めないのがホントの所。昨日は東京、今日は奥多摩かぁ。



車は順調に奥多摩に付き私たちはドラム缶橋を歩いて渡った。向こう岸は誰も居ない山の中。

「久しぶりにマイナスイオンたっぷりだね」

私たちは数ヶ月溜まったプラスイオンを洗い落とす必要があったみたい。

新鮮な空気を堪能した。

誰も居ないのでキスしていると

「あ、リスだ!」

たかしの声に、ガサッと音がして覗きがバレたリスは尻尾を巻いて逃げていくのが見えた。





という記事を書いていた昨夜、メールが来て

「帰り道、信号で止まっていたら、後ろから突っ込まれたー

 首が痛いから明日病院に行く」

写真には後部がへこんだ車が映っていた。


こんな時傍に居られない事がもどかしい。何も出来ずに祈ることしか出来ない。

傍に居てもそれは同じに違いないけど。


どんな形かではあっても、いつか別れは来る。それを上手く乗りこなしていくことなんて出来ないよ。

それでも私は失いたくない人をどんどん増やしていっている気がする。