暮れに宝くじを買った話をした折に
「当たったらdoorに一万円あげるね」とたかしが言った。
「ありがと」
「毎日ね♪」
「それは凄い!当たるといいね」
なんてどこにでも転がっているような会話。
昨日の朝のメール
「door
毎日一万円のおこづかいあげるよ~\(^O^)/ 」
一瞬ドキッとした。携帯の画面をうんとスクロールすると
「エイプリルフールだ」とあった。
な~~んだ。ちぇっ、ぬか喜びだ。
そうか、今日はエイプリルフールだ。
何も考えていなかった。先に仕掛けられたのでは、適当なウソはすぐにバレてしまう。せっかくのエイプリルフールなのに詰まらないではないか。
よし、乗ってやろう!虚々実々のアドリブならお手の物だ。
返事を出した。
「まさか当たったのかー?
凄いぞー!
\(^O^)/
\(^O^)/ 」
うんとスクロールさせて付け加えた。
「エイプリルフールだ」
続いてすかさず2通目を打つ。
「たかしー
本当に当たったのかー
凄いぞ
どうしよう」
送信ボタンを押して、メールが行ったと同時に着信。
「ちゃんと
ご飯食べてるかー」
即返信。スピードが命綱だ。
「ご飯なんてどうでもいいよー」
すかさずまたメールを打つ。
「たかし
いつ分かったの~?
ビックリだ
何にも出来無いよ~」
同時に着信。
「door
ちゃんとメールの下のほうまで見るんだー(^^ゞ」
たかしは私が完全に信じてると思い始めたところだ。
それに返信。
「手が震えてダメだー」
メールが打てるなら、読めるはずなのだが。信じている振りはここまでが限界だろう。
そこへまたメールが来た。
「door
ちゃんと見てがっかりしてイジケルなよー」
そしてまた
「doorはあわてんぼだなー」
次に
「もしかしてー
doorに騙されてる?」
その頃私は出勤前の化粧の最中だった。
たかしはとうに出社していて仕事前のひと時のメールのやり取り。
私が本当に信じていたのか、自分を騙そうとしているのかどっちなんだろうと考えているに違いない。
「(-_-#)」
もう文字を打っている暇が無い。
「Re:(-_-#)
怒っちゃいやん」
「(-_-#)」
「door
マジであわてたのかー?f^_^;」
「(-_-#)」
「door
そんなdoorが大好き」
「(-_-#)
(`へ´)
(`ε´)」
「いつか当てるからー
それまで待つんだー」
もう私はアパートを出ていた。たかしが困っている顔を想像してニヤニヤしながら一度出したメールを再送するだけ。
「(-_-#)
(`へ´)
(`ε´)」
「door
そんな顔しないでー」
「(-_-#)
(`へ´)
(`ε´)」
「f^_^;
エイプリルフールのお約束事のつもりだったんだよぅ」
「(-_-#)
(`へ´)
(`ε´)」
仕事が始まってメールのやり取りは中断された。
お昼休みは私の方が早いからいつも私が先にメールする。
「(-_-#)
(`へ´)
(`ε´)」
「door
機嫌直して~~」
返信を見た私は給湯室で声をあげて笑った。
帰り道、歩きながらメールを打つ。
「Re:もしかしてー
>doorに騙されてる?
エイプリルフールのお返しだよ~\(^O^)/
初めからわかってたよ~ 」
「Re:もしかしてー
ホントにわかってたー?」
「Re:もしかしてー
私の最初のメールの一番下まで読んだ?」
夜のメッセ。
今朝は楽しかったね、たかし
doorが本気なんだか、うそなんだか
どっちだと思った?
おもしろかったぞー、どっちでもdoorの反応が
たかしが慌てたり困っている感じが面白かった
楽しかったー
ちょっとハラハラしたでしょ
それはdoorでしょ
ホントのことを言うとはじめの20秒はちょっと本気にしたけど後からスクロールしてすぐに分かった
20秒だけか
うん
メールがくるのがどきどきしてたー。いろんな推測が楽しかったぞー
いつ?
手が震えるとか、よく思いつくなー
怒ってる感じとか拗ねてる感じとか楽しんでくれた?
doorの顔が浮かんできて
私の怒った顔見たことあったっけ?
小宮悦子風に怒ってたー
やられたーーーーって言うのがあって口惜しくて~~~
ふふふ
なんか始めてもすぐにばれそうだし、だったら騙された振りして困らせてやれ~~~って
十分騙された
本気で心配になった?
ちょびっとね
doorが怒ったり、残念がったり、拗ねたり、いろんな顔が想像できて一日中楽しめたぞー
それは良かった、楽しいエイプリルフールだったね