転音 7 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

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「えっ?珍しいね、俺に運転させるなんて」
「ごめん、ちょっと寝不足で今怪しくなっていたかも」
「おいおい気を付けてくれよ」
「免許持ってきている?」
「どっかにはあるから大丈夫」
 既に酒々井のパーキングエリアは過ぎてしまっていたので次の幕張までかなりある。たかしは私が寝てしまうと困ると思ったのか盛んに私に話しかけ始めた。しかし旅行の話ばかりで、そうなると彼女が話に加わってきて元の木阿弥になり、まるで地獄にいるようだった。私がムッツリしていると、
「まったくdoorのブログ中毒にも困ったもんだなぁ」とたかしが言いだす。
折角迎えに来たのにそういう言い方はないと思ったが、喧嘩になりそうだったので黙っていた。この女の子の前で言い合いを始めるわけには行かない。
「えっ?doorさんブログやって居るんですか」
今度は後部座席の女の子が言い出した。
「ええ」
「私ヤプログでやって居るんです」
「あら、そうなの」
「ええ、だから今回の旅行のこともたくさん書くつもり」
「そう、じゃ今度見せてもらうわ」
「doorさんはどこでやっているんですか?」
「私はアメブロ」
「え~アドレス教えて下さ~い」
「みさきちゃん、どうせ読んだってつまんないからいいよ」
たかしは自分のことを読まれては困ると思ったのか、声が少し慌てているような気がした。
「あら、失礼ね。私のブログは面白いわよ。でも恥ずかしいから教えられないかな」
 おかしなものだ。先程まで頭の芯が痺れるほどの怒りを感じていたはずなのにすっかり落ち着いて私はこの女の子に興味すら抱き始めた。
「教えて下さいよぉ。あ、でも私もちょっと恥ずかしいかも」
「でしょう」
「コメントとかもらうと楽しいですよね。まだトラックバックってやったことがないんですけど、doorさんやったことありますか」
「ん~、今お友達とトラバで意見交換してる。議論の練習って感じで」
「へ~凄いなぁ、読みたいなぁ。たかしさんの事も書いてあったりするんですよねぇ」
「みさきちゃ~ん、あのさ~もういいよ、読まないでよ」
先ほどの鬱陶しい気分はすっかりどこかへ吹き飛んで、今度は何だかたかしを苛めたい気分になってきた。電話をしなかった罰だ。
「私はあんまり日常のことは書かないからたかしは出てこないのよ」
「じゃぁ何を書いているんですか」
「あははは…詩とか書いているかな?だから恥ずかしいから見ないで」
「え~でもその詩にたかしさんのことが出て来るんですよね、読んでみたいですよぉ」
私はすっかり冷静に戻って幕張のパーキングに車を止めた。
「すみません、ついでにトイレに行って来て良いですか」
女の子は返事も待たずに車をでていった。
「door、絶対に言うなよ」
「うん、でも相対性は別にあなたの事書いていないし、教えたって良いんじゃない?」
教えるつもりはなかったが、たかしが本気で困っているのでからかった。
「かんべんしろよ~」
「コメント欄まで良く読まないと私がdoorだなんて分からないわよ、リンクが貼ってあるわけでもないし」
「頼むよ~」
「あーあ、電話が来なくて寂しかったなぁ」


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