目的地の鶴岡駅まであともう少し!やっと荒かった呼吸が整った。大きく深呼吸すると赤いダウンジャケットの女の事が気になった。


彼女は新庄駅でタマキと同じ車両に乗り込んで来た。


何故か真っ赤なカラーに目を奪われて右手でコロコロを引き左手には土産らしき物を持って視線は上に向いていた。するとその紙袋を横にして頭上の荷物を置くスペースにスッと上手くのせるとそのまま左手で吊革に捕まった。


タマキは「大都会トーキョーから里帰りか?!」勝手に決め付けた。


過去にタマキはタメ歳のシロイと中央線に乗った時、信濃町に降り立った。するとシロイは急にソワソワし出した。


シロイは「カメラ!カメラ!」と発するとタマキの左腕を掴んだ。その表情は固まっていた。


すぐ様2人で駅員に駆け寄った。


どうやら電車の上の棚に置いてそのまま忘れたようで、30分ぐらいタマキは一人で待たされた。


シロイにとってはかなりのダメージらしく声を掛けてもまるっきり別人と化してしまった!


そんな経験からか何故かタマキは電車に乗るたびに忘れ物をする人がいないか?!気にかけるのがクセになっていた。


「次は藤島、藤島でございます」と車掌のアナウンスに身体が反応した!タマキは高校時代の冬期間は、鶴岡、藤島駅間を通学に利用していたので一気に外の風景に眼を持っていかれた!


高校時代は約7分程での行き来だったので、忘れ物の無いようにと伸一朗から借りた真っ赤なナイキのボストンバッグを膝の上に乗せた。


「長げっ!半日がかりか?!」タマキは呟いた。


「ガタン」


「プシューーーッ」


「シューーッ」


ほとんどの乗客が降りた感じがした!改札に目を向けると迎えに来ている人が、いなほに比べては少ないがとても多く居た。


改札を出るとタミーが待っていてくれた。


「アーイ」


そのまま車の助手席に乗り、駅前Pのゲートが上がった。


「アッ!」とっさにタマキは発した


「なすたなや?」


タミーに反応せずに左側のタクシー乗り場に居たあの赤ダウンジャケットに顔が向いた。


忘れかけた紙袋をしっかり左手に持っていたのを見届けて、ニヤッとしながら身体ごとゆっくりと正面を向いて「イヤッ」と言って何事も無かったようにその場をスルーした。


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