水槽のフタについて。 | 夜明けのマリンブルー

夜明けのマリンブルー

さんごとおさかなでインテリア水槽を。

こんにちは、どにゃです。


今回は水槽のフタについてです。
私はとある理由から、水槽にはフタをしない派でした。
フタなしにはリスクやデメリットもあり、それを分かった上でフタをしていませんでした。

FBのコミュニティで皆さんのご意見を伺ってみた結果を簡潔にまとめると以下のような感じでした。


【フタをする派の理由】
魚の飛び出し防止、蒸発防止、海水の飛沫防止、地震の際の溢れ防止、OFノイズの低減



【フタをしない理由】
不便、フタの掃除が面倒、光量が低下する、水面を見るのが好きだから




実は私も水面を眺めるのが大好きという理由から、フタはしていませんでした。
弊害として、ルンバからパープルファイヤーゴビーの干物が出てきたことも・・・。(汗)
しかし今回、特に飛び出しやすいこの子をお迎えした事を理由に、ついにフタをしない拘りを捨てました!

s-20161119_220043.jpg

イエローヘッドジョー。
めっちゃかわいいww

以前から飼ってみたかったんですがその性質から躊躇っていました。
なのにお迎えしたのはガマンできなくなったからです。(笑)
嫁ちゃんからの強いリクエストのあったお魚でもありました。




さて、フタをするのは決まったとして、どうするか考えました。


まずは材質です。

代表的なのはアクリル、ポリカ(ポリカーボネート)、塩ビ、ガラス辺りです。
それぞれに良い点と悪い点があります。



アクリル
良 透明度抜群、加工しやすい、割れにくい
悪 とても反りやすい、傷付きやすい、UV透過しない

ポリカ
良 やや加工しやすい、とても割れにくい
悪 傷付きやすい、UV透過しない

塩ビ
良 やや加工しやすい、反りにくい、割れにくい
悪 透明度が低い、とても傷付きやすい
※UVの透過率は不明(多分ポリカやアクリルと変わらない気がしますが)

ガラス
良 全く反らない、とても傷付きにくい、UV透過する
悪 加工が困難、割れやすい、重い


※ここでいうUVとは400nm以下を指します。
アクリル、ポリカは400nmから以下へ向けて急激に減衰されます。
ガラスはもう少し短波長まで透過します。


20150725-03-spectrum-intensity-loss.png
参考資料(1.023World ナイトライドUV 370nmスポットLEDヒストリー )




それぞれを順位付けするとこんな感じです。


透明度  アクリル>ガラス>ポリカ>塩ビ

反り難さ ガラス>塩ビ>ポリカ>アクリル

傷耐性  ガラス>アクリル>ポリカ>塩ビ 

加工性  アクリル>ポリカ≒塩ビ>ガラス

UV透過率 ガラス>アクリル>ポリカ  塩ビ(←不明)

割れ難さ ポリカ>塩ビ>アクリル>ガラス



魚水槽には反らない塩ビ、メタハラやUV(400nm)入りLED等を使用するサンゴ水槽にはガラス、UVに拘らないトータルバランス的にはポリカ、という感じでしょうか。

なお、ここでいうアクリルは普通のアクリルです。
UVを透過する特殊なアクリルもありますが、高価です。



反りのなさと傷耐性とUV透過率を重視して、私はガラスを選択しました。

私の水槽は奥行が600mmなので、60cm規格水槽用のガラスフタを縦に使用することで安価に済ませることもできましたが、性格的にピチッ!としていないと嫌だったので(笑)、サイズを測ってガラス屋さんにオーダーしました。


注文から完成まではとりあえずサランラップで凌ぎました。(笑)
s-20161119_200448.jpg


こちらが完成品です。
s-20161119_214825.jpg

s-20161119_214907.jpg

s-20161119_214928.jpg

うム、カッコいい。(笑)
ガラスなので重いのと、万が一割ってしまった時のコストを下げるために4分割にしました。

厚さは3mmで、真ん中の穴(20φ)は脱着用です。
なんせフチにはほとんどスキマがないので。(笑)

中央の2枚は真四角で、左右2枚のシリコン部分だけカドを落としてもらいました。
s-20161120_224938.jpg

細い魚は穴を通れてしまうので100%ではありませんが、穴は20φなのでまぁ大丈夫でしょう。
ガラス面に沿って飛ぶことが多いので、フランジがない水槽だとフチ周りの僅かなスキマから飛び出すことは少なくないようです。

これで魚の飛び出しと、かなり大きめの地震が来ても水がこぼれる心配はほぼないでしょう。
フタが軽いと揺れた水が押し上げてしまうことがあるそうですが、フランジ+ガラスフタならほぼ鉄壁の防御となるはずです。
この場合は重さもメリットになりますね。




おまけの薀蓄。

私がフタをしなかった理由は「水面を眺めるのが好きだから」と書きましたが、もう一点は酸素供給の為です。


よくエアレーションやスキマーで酸素が供給されると勘違いされていますが、一般的なエアレーションの気泡サイズからはあまり酸素は溶け込みません。
酸素は水に溶けにくいのです。

実は、酸素は水面から大気圧によって溶け込んでいきます。
なので、エアレーションで酸素が供給されるのは気泡自体からではなく、気泡が水面で弾けることで水面を揺らすことと、気泡が「対流」を起こして酸素が豊富に溶け込んだ表層の水と酸素濃度が低い低層の水を撹拌することで水槽全体に酸素が溶け込みます。
従って、必ずしもブクブクさせる必要はなく、ウェーブポンプでの撹拌が酸素供給になります。
水面が揺れるようにセッティングするとなおいいですね。
まぁ海水水槽で水面が揺れてないものは見たことありませんが・・・。(笑)


淡水に比べて海水は酸素が溶け込みにくいので、酸素が不足しがちになります。
海水水槽で水流が大事といわれるのはこの為です。
好気性生物は(バクテリア等)は酸素がなければ活動ができません。
土台となる好気性バクテリアが正常に活動できなければ、水槽が上手く回らないことは解ると思います。

従って、筒の中で気泡がグルグル回っているだけのスキマーからの酸素供給はあまり期待できません。
スキマーの中では酸素が飽和状態にもなるかもしれませんが、酸素が必要なのはスキマー内ではなくメインタンク内です。
それならメインタンク内の水をグルグル回すべきです。

ウチはキャビネット内も通気が少ないため、メイン水槽にフタをすると酸素を含んだ空気が水面にあまり触れなくなるので酸欠への懸念が少しありますが、フタをすると飼育が出来なくなるというワケでも無いので気にしなくてもいいのかもしれません。
一応、帰宅してからはフタを1枚開けるようにはしています。