
朝から降っていた雨がちょうど雪に変わろうとしている。
私が一番好きな冬の午後だ。
空はどんよりと鉛色に染まり、重苦しそうにうなだれている。
外の景色は何も変わらない、いつもと同じ時間を刻んでいた。
私は昔からこの瞬間がとても好きだった。
何も考えず、ただ一人ボーっと窓の外を眺めていた。
私がここに存在する意味をその瞬間だけは、忘れることができた。
まるで夢の続きのようなそんな感覚は、子供の頃とちっとも変わらないのだ。
人々は忙しそうにこの師走の街を闊歩している。
私には、何が残されているのだろう?
罪や後悔をどのようにして償うべきなのか、いつからか、この空を見るたびに悲痛な叫びが
心を掻きむしるようになったのだ。
6年前の今頃、私はちょうど大学受験を控えた冬休みであった。
その頃の私は、今思えば、人生の分岐点に差し掛かった一人のただの高校生だったのである。
受験生特有の、未来を心待ちにしているわけでもない、何となく全てをかわしながら
受験生である立場をある意味楽しんでいた。
普通の高校生活、普通の家庭、普通の自分、何もかもが普通で何の刺激もなかった。
あの事件は私のそんな普通の生活を180度変えてしまった。
あの頃、何より姉がまだ、生きていた。
1999.12 作