電話からの声は、何故あんなにも心を乱すのだろう。


今週彼が出張で逢えず、私は身体の都合もあり悶々とした気分で過ごしていた。だけどこんな時にセフレである。


セックス出来るようになったので嬉々として、というかこの彼と逢えないことによる曇模様の気分を晴らしたかっただけである。


セフレは「むくみ、あるんじゃないの?」と、気が付けば「私の主治医か?」と言いたくなるようなセリフと共に妙な量の荷物を持って現れた。リンパマッサージが出来るのだそうで、セフレのバックヤードにまた1つハテナが増えた。


現職なに?元職なに?


セフレにそんな質問をしようかしまいか悩んでいるうちに、私は私の後ろにまわったセフレから感じさせられ、この行為によって「脱いで」と急かされた。


前回助けを求めてしてもらったマッサージの時にはセックス出来なかったぶん、セフレは何だか今日はいつもに増して興奮気味だった。通常ならマッサージセックスの流れの私達だが、今日は日にちが開いたせいか「先に抱かせて」とセフレは私の耳元でささやいた。


断る理由など、あるワケがない。


セフレの相変わらず激しいセックスは、私の悶々としていた心を落ち着かせるにはちょうど良かった。


肩で息をしながらうつ伏せになる私に、セフレはマッサージを施す。老廃物とモヤモヤしていた心の全部を体外へ出すにはこんな良い組み合わせがあるなんて!私は肩で息をしながらセフレに身を任せていた。


先のセックスとマッサージが済んで、今にも寝落ちしそうな私を放っておかないセフレ。セフレとの関わりの中で私は新陳代謝が良くなったのか、それとも身体が尚更敏感になったのか。こんなにも汗をかく行為があることを私は知らなかった。


一通りのセックスが終わるとセフレはお茶を煎れて帰って行った。私はシャワーを浴び、空いていないお腹の中に何かを入れようと何かを探していた。


携帯が鳴る。


出張が終わった彼だ。やっと声が聞けた、と嬉しそうに今週あったあれやこれやを話してくれるし、私も久しぶりに声が聞けて嬉しくて仕方ない。


だがふと思った。


さっきまでセフレと会い、身体も心も軽くなった私の格好は、いかにも「情事の後」なのだ。彼に隠し事があることに対して後ろめたさはないが、急にこの彼との電話の内容と私の姿のギャップに心が乱れてしまう。逢いたくて仕方ないような、今逢いに来られるとどう対処したらいいか悩んでしまったり。だけど、このまま彼に逢って抱かれたらこの上ない快感を得られるのではないか、とか。


心が乱れたままで彼に逢って何かトラブルを起こしてもいけないと思い、来週逢うのが楽しみだと電話を切った。


このまま眠ってしまいたいと思う反面、セフレにイかせれてチカラが入らなくなったこの身体をいつものように繊細に、且つ秘密をすべて喋ってしまいそうなほど抱いて欲しいとも思う私はきっとどうかしている。