逢えないことは、スパイスなのだろうか。

つまらない連休が終わり、やっと逢えた私達は昨日電話したものの、想像していた通り、それだけじゃ話足らずに迎えに来てくれた車の中で延々と喋っていた。

だけど想像とは違い、部屋に入った瞬間から脱がし合っていたのだ。一瞬でも早く抱きたくて、抱かれたくて。

彼の顔には、欲求不満の表われとしてその顔とは似合わないほど可愛くニキビが出来ていた。笑ってしまいそうなほどに嬉しい自分が不思議に思える。連休なんてこれまで幾度なく過ごして来たはずなのに、まるで初めてのような気さえしたのだ。

そしていつもなら大事に大事に扱ってくれる繊細な彼の手つきは珍しく激しく、冷静さを欠いたものだった。

驚いた私が「待って」と言う度に彼のテンションは上がり、激しさを増す。そしてその度に私の身体には電気が走ったかのような快感に包まれ、ワケがわからなくなる。

私は自分の心の所在のわからなさ故、彼にしがみつくのが精一杯で、だけどそんな私に彼は更に冷静さを欠いていく。

腕の中で何度もイかされてしまう私はなんて無力なのだろう。思考を放棄し、すべてを彼に委ね、彼と彼がもたらす快楽に溺れるばかりだ。

今日もまた、主導権が握れない。