閉鎖病棟へ入院[2]夫視点…最初の入院
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ある日曜日、妻のパコさんが
「朝から耳鳴りがして、右耳がほとんど聞こえない」
と言い出した。
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すぐ病院へ行くように言ったが
「前にもそうなった事があるから様子みる」
「今週は仕事が忙しくて行けない」と言う。
出張や土曜の休日出勤でかなり疲れて、難聴だけでなく、めまいも出ていたようだ。
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結局、病院へ行ったのは発症から一週間後だった。
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その日、病院へ行ったパコさんから連絡があり
「今日からの入院を勧められたけど、どうしよう」と言う。
「医者がそう言うなら、すぐ入院するしかないだろ」と言って
入院準備のために早退して家で合流した。
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『突発性難聴』・・・ストレスが原因だろうといわれている病気だった。
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パコさんが会社へ連絡したところ、「明日電話で仕事の説明をする」と言うパコさんに対して
「入院前に会社に出て来い」とか「今、仕事の説明しろ」とか言われてる様子だった。
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長々いつまでも電話をしていて、入院の準備が進まない。
そもそも会社でのストレスが原因なのに、何やっているんだと本当にイライラして
「もう電話を切れ!今すぐ!」と怒鳴ってしまった。
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治療は毎日の点滴だけで、初日分を夕方から始めることになった。
子供は父母にまかせることにした。
いつも保育園へのお迎えと週末のお泊りを頼んでいるので心配ないと思うが
仕事帰りに毎日顔を見せるようにした。
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『突発性難聴』は発症から 2週間ほどで症状固定となり
その後の回復はあまり見込めない。
統計的には、治療が早いほど回復の度合いが良いとのことだった。
医師が「スピード勝負」と言っていた理由がこれだった。
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パコさんは 10日間の点滴を終えて、退院することになった。
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難聴は若干良くなった程度だったが、これ以上の治療は無い。
体調は問題無く、元気過ぎる位だったが、職場への復帰は悩んでいるようだった。
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突然の入院を上司にかなり怒られて、もう会社を辞めるとか
他部署に転属希望するとか、いろいろと言っていた。
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そして、退院したその日の真夜中、それは起こった。
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・・・そこには、見たことの無い パコさんの姿があった。
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