振り返ると、少し離れたテーブルに、

地味なスーツ姿の女性がひとり。

…なんか、見てる気がする。






◆パパの“奥さん”じゃないよね?



わたしの心拍数が上がる。

眉間に軽くしわを寄せた彼女。

おそらく、40代半ば。キリッとした表情。


いや、まさか。

でも、こんなに堂々と話してた?

声、ちょっと大きかった?笑ったタイミング、最悪だった?


「パパ、あの人、知り合いじゃない?」


って聞こうと思ったけど、聞けなかった。

何かが、崩れてしまいそうで。