ニューヨークの公共交通網は、車社会であるアメリカの中では比較的発達している部類でしょう。マンハッタン島の地下を縦横無尽に走る市営地下鉄、そして市内を蜘蛛の巣が如く広がる市営バス網は、総延長は世界でも指折りの長さを有します。

地下鉄はマンハッタン島の摩天楼と、我が校の位置するロングアイランドを隔てる海峡を渡る唯一の公共交通手段ですから重宝しますが、一方で市営バスはそこまでの価値はありません(当社比)。ロングアイランドはマンハッタンとは違い、車が必須の社会ですから、そんな中で『自家用車に乗らずにバスを使う人』というのは、口にせずともどんな客層かはおわかりいただけると存じます。車内の雰囲気がどことなく怪しく、以前に何度か利用しましたが、最近はどうも利用する気が滅入り、しばらく乗っておりません。

 

さてバスに乗らないとなると、移動では徒歩が多くなります。そして住宅街や市街地に該当する地区を歩くことになります。御尊父様や御母堂様は私が独りで外出することを非常に心配していますが、正直『19歳の男子学生』を襲おうとする人なぞ(余程の物好き)しかいませんし、そこまで気にせずにいます。

 

歩いている際に気がつくのは、道路の汚さですね。やっぱりアメリカ、裏切りません。歩道には発泡スチロールの端材やファストフード店の箱、車に轢かれて真っ平になったソーダ飲料の缶や使い捨ての電子タバコなど、車歩道ともに塵が散乱しています。

 

そしてそれに拍車をかけているのが、水たまりです。ヘドロの様な色をした水が、車道の端や、場合によっては歩道も水面下に沈んでいる場合があります。少し異臭がする場合も少なくありませんし、やはりあの不潔な雰囲気はその地区にプラスになるものではありません。

原因としては道路の水捌けが宜しくないのもありますが、やはり『排水溝の少なさ』もあると思います。日本だと歩道が10ブロック(溝から溝)にひとつくらいは排水溝があり、河川敷が崩壊する位の豪雨でなければ、路面に水が溜まることは少ない様に思います

。日本の地形が坂がちというのもありますが、総じてもアメリカの排水の非効率さは異常です。

 

道の汚さは、街のムードに影響してくる、と私は思います。横浜にある新居に越した年末には、我が家だけでなくお向いさんのお宅にも落ち葉が大量に溜まっていました。その結果、その落ち葉の中にはおにぎりのプラスチックやペットボトルなどの塵が紛れていました。そういったところから街が汚れていき、人が去り、その街は寂れていきます。そういった長期の目線からしても、道を綺麗に保つのは治安の維持とともに、街の過疎化を防ぎ、住みやすい街を保持していくことにつながります。

 

そういった面でも、このアメリカの荒れた道、というのはどうにかして欲しいものです。勿論ニューヨークまで1時間を切る好立地ですからそれだけの理由で寂れる様は想像がつきませんが、少しでも街が『より良く』なるために、水捌け然り、塵然りをどうにかして欲しいものです。

 

カミゴリ