『関ヶ原』
事前にネットなどで読んでいた感想では、「台詞が早すぎる」「薩摩弁には字幕などの通訳が欲しい」などがありましたし、「知識がないと理解が難しいかも」との意見もありました。
確かに、ある程度の歴史的な予備知識があると、物語の深いところまで読み込めるかもしれませんが、文庫本で三冊、テレビドラマでも三夜続けて放送しても全てを語れなかった物語を二時間強の映画にするのですから予備知識がありすぎると早過ぎてむしろ混乱するかもしれませんね。
台詞が早過ぎたり、薩摩方言がわかりにくかったりするのは、命をかけた戦の前の高揚した人々の姿そのものにも見えました。
その意味では戦いの場面も、家紋や旗印の知識がないとどの場面かわかりにくいです、でもそれも実際にその場で戦った人間は自分がどこにいて勝っているのかどうかも理解できなかったことがそのまま体感できる気持ちでもありました。
作品は、三成が三献の茶で秀吉に登用される場面から始まっていて、秀次事件や秀吉の死なども描かれています。
そのなかで、正義を貫こうとする三成と、野望に突き進む家康が対比されているのですがところどころで物語に食い込む小早川秀秋が影の主人公のようでした。
その反面、初芽の存在はちょっと謎…
男ばかりが登場する物語だから、若い女性も出ないと華が無いってことだったのかな?
あと、三成の話なのに、三献の茶は天寧寺、誓書を大老に出す(家康に足を向けた場面)は龍潭寺、大垣城は彦根城だったりと井伊家の関連地が多くて、ちょっと変な東軍と西軍の融合を一人で感じちゃいました。
また、公開前から言っていますが、三成の甲冑をよく知られたものではなくより実戦的で三成らしい素朴なデザインにし、戦う前に前立てを外すなどの場面も良かったです。
資料のある東軍の甲冑は、できるだけ再現していたのもいいですね。
ただ、この作品を観て「西軍が勝てるかも」って思った。
と、ネットで見る感想には?です。
最初から最後まで勝てそうな要素は見いだせなかった。
むしろ、勝てなかったが正義は貫いたとの感じが似合う気がします。
総じて見れば、面白かったですし、関ヶ原の合戦は映画館の大画面で観てこその迫力ですね。