今日は、なんともアンニュイな雰囲気に包まれた一日だった。月初のあの目まぐるしい忙しさはどこへやら、うちの部署はまるで嵐が過ぎ去った後の静けさのように落ち着いている。書類の整理やメールの返信を淡々とこなすくらいで、なんだか時間がゆっくり流れてるみたい。周りの部署は相変わらず慌ただしく動いていて、会議室から聞こえてくる活発な議論の声や、廊下を急ぎ足で通り過ぎる同僚たちの姿を見ると、ちょっと申し訳ない気持ちが湧いてくる。うちだけこんなにのんびりでいいのかな、なんて。でも、まあ、こういう日もあるよね、と自分を納得させて、今日は早めに仕事を切り上げることにした。

昨日、パートナーに晩御飯の準備を丸投げしてしまった罪悪感がまだ少し残ってる。パートナーは文句一つ言わずに作ってくれたけど、さすがに連続で頼るのは気が引ける。というわけで、今日はリベンジのつもりで、帰宅後にキッチンに立つことに。家に着いて冷蔵庫を開けると、ちょっと急いで使わないといけない食材たちが目に飛び込んでくる。セロリは少し葉がしんなりしてるけどまだイケる、牛細切れは賞味期限がギリギリ。あと、冷蔵庫の隅で忘れ去られていたピーマンも発見。さて、これをどうしようか。

頭の中でレシピをぐるぐる巡らせながら、結局、いつもの胡麻油、味醂、醤油のトリオで炒めることに落ち着いた。ほんと、味付けのレパートリーが増えないなあ。新しい調味料とかスパイスに挑戦してみたい気持ちはあるんだけど、つい慣れた味に頼っちゃう。まあ、シンプルが一番美味しいってこともあるよね、なんて自分に言い訳しながら、セロリとピーマンをざくざく切って、牛肉を解凍。炒め物のいい匂いがキッチンに広がると、なんだか気分が上がってくる。料理って、こういう瞬間が楽しい。

パートナーから「30分くらい遅れる」と連絡が入ったので、時間との勝負だ。30分で炒め物を仕上げて、キッチンを片付けて、テーブルセッティングまで完了させる。料理しながらシンクに溜まったボウルやまな板をササッと洗うのが、なんだか「俺、できる男」感を醸し出してる気がして、内心ちょっと得意になる。パートナーよりこういう場面でスマートに動ける自分、悪くないな、なんて自画自賛。フライパンから立ち上る胡麻油の香りと、セロリのシャキッとした食感を想像しながら、火加減を調整。味見してみると、うん、悪くない。ちょっと醤油多めかな? でも、まあ、これくらいパンチが効いててもいいよね。

パートナーが帰宅した瞬間、ちょうど料理が完成。セロリと牛肉の炒め物に、ピーマンが彩りを添えて、見た目もまずまず。パートナーは疲れた顔で「ただいまー」と言いながら、テーブルを見て「うわ、めっちゃいい匂い!」と一気にテンションアップ。ほんと、こいつのこの反応が毎回癒しだ。何を作っても「美味しい、美味しい」って食べてくれるから、料理のモチベーションが上がる。今日の炒め物も、ペロッと平らげて「お店の味みたい!」なんてお世辞(?)までくれる。いやいや、さすがにそれは盛りすぎだろ、と思いつつ、内心めっちゃ嬉しかったりする。

食卓で他愛もない話をしながら、ふと思う。パートナーはほんと、食べる天才だ。どんな料理でも、ちゃんと味わって、ちゃんと喜んでくれる。こんな人が隣にいてくれるんだから、明日も頑張って何か作ってみようかな。新しいレシピに挑戦する勇気、ちょっとだけ湧いてきた気がする。まあ、結局また胡麻油と醤油に落ち着くかもしれないけどね。今日はそんな平和で、ちょっと幸せな一日だった。