月曜日。どうしてこの曜日はこんなに恨めしいんだろう。目覚ましが鳴った瞬間、身体が「まだ寝かせてくれ」と全力で抵抗してくる。週末は帰省でバタバタだったせいで、家の中はまるで嵐が過ぎ去った後のような状態。リビングのソファには冬物のマフラーやセーターがぐちゃっと積まれ、寝室のタンスは春物のTシャツや薄手のジャケットを適当に引っ張り出したせいで引き出しが半開き。衣替えをちゃんとやろうと思ってたのに、帰省の荷物整理すら終わってない。もう1日、いや、半日でも休みがあれば家をリセットできるのに…なんてことをぼんやり考えながら、顔を洗ってインスタントコーヒーを流し込み、通勤の準備を急いだ。月曜の朝って、なんでこんなに全てが面倒なんだ。
外は春らしい柔らかな陽気だったけど、心の中はどんより。電車の中でスマホをスクロールしながら、週末の帰省のことを思い出した。土曜日は実家で家族とゆっくり過ごし、日曜日はパートナーと一緒に丹波に足を伸ばした。丹波ののどかな田園風景と、桜がまだ少し残る山々を眺めながら、地元の直売所で買った新鮮な野菜や黒豆のお菓子が美味しかったな。あのゆったりした時間がまだ身体に残ってるのに、現実の月曜日は容赦なくやってくる。職場に着いても、頭の片隅で「帰ったら家の片付けしなきゃ」がチラつきながら、溜まったメールの返信や会議の準備に追われた。月曜、ほんとキツい。
仕事からクタクタで帰宅すると、家の雰囲気がなんかいつもと違う。玄関に、見慣れない大きな段ボールがドンと置かれてる。リビングに入ると、パートナーが実家から持ち込んだらしい荷物があちこちに散乱していた。一番目を引いたのは、めっちゃデカい電動足マッサージ器。こんなバカでかいものをどうやって夜行バスで運んできたんだ!? と、呆れつつもちょっと笑えた。パートナーは「実家の親が使ってたやつだけど、めっちゃ気持ちいいよ! うちで絶対使うから!」と得意げだけど、こんな場所を取るものを置くスペース、うちにはないって。「マジで捨ててよ」とお願いしたけど、「いや、絶対使う! 試してみなよ」と頑なに譲らない。このマッサージ器、リビングの主になる気満々だな。もう、しばらくはコイツと向き合うしかないのか…と半分諦めた。
夕飯の時間、テーブルの上にはパートナーの愛知県の実家から持ち帰ったおかずがずらり。煮物、焼き魚、ひじきの炒め物、きんぴらごぼう、漬物。パートナーのお父さんが糖尿病だから、味付けは全体的に薄めで、素材の味を丁寧に引き立てる優しい仕上がり。普段私が作る料理は、つい濃いめの醤油や味噌でガツンと味付けしちゃうけど、このおかずたちは出汁の風味がしっかり効いてて、塩気が控えめなのに物足りなさが全然ない。煮物の里芋は、ほんのり甘い出汁がじゅわっと染み込んでて、口の中でほろっと崩れる。ひじきの炒め物は、ほのかにごま油が香って、豆の食感がアクセントになってる。他人の家庭の味って、こんなに個性があって面白いんだな、と感心しながら箸を進めた。特に、きゅうりと大根の浅漬けが最高だった。塩気が控えめなのにシャキッとした歯ごたえがクセになる。パートナーが「これ、母さんが毎年漬けてるやつ。健康にいいからって、大量に送ってくれたんだ」と笑うけど、冷蔵庫のスペースがすでにパンパンでどうしよう…。
食事を終えて、洗い物をしながら今日を振り返った。月曜の重苦しさ、帰省の疲れで散らかった家、パートナーの突飛な行動。全部ちょっとイライラするけど、どこか愛らしい。丹波で見たのどかな風景や、愛知の実家のおかずの優しい味が、なんだか心を少し軽くしてくれた。電動足マッサージ器、邪魔だけど、疲れた夜に試したらハマっちゃうかもしれない。衣替えは…まあ、週末まで持ち越しだな。春の陽気と薄味のおかずの余韻に助けられながら、明日からの火曜日をなんとか乗り切ろう。今日はもう、早めに寝よう。