今日は仕事が本当にバタバタだった。年度初めという節目の時期に、まるで試されるように慌ただしさが押し寄せてくる。普段ならもう少し落ち着いて取り組める月次締めが、今年は初めての経験として年度締めと重なってしまった。定期異動のタイミングとぶつかったのも、なんとも皮肉な巡り合わせだ。チームは2人減って、その穴を埋めるように自分が新しく入った形になったけれど、正直、経理という仕事の奥深さと難しさに圧倒されるばかりだ。
経理の世界では、ちゃんとできて当たり前という空気が漂っている。99点なんて中途半端な評価は存在しない。100点か、それともゼロか、二択しかないような厳しさがある。締め作業を終えた瞬間はほっとするけれど、その安堵も束の間。締めた後から後から変更依頼がポツポツと届き始め、気づけばまた慌ただしさが戻ってくる。チームの子たちがバタバタと動き回りながら対応している姿を見ると、新人ながら申し訳なさと焦りが胸に広がる。自分も何か手伝えればと思うけれど、慣れない手順に追いつくだけで精一杯だ。
本当は、基本に立ち返って確認と承認を丁寧に繰り返し、手順を一つ一つ見直していくべきなんだろう。でも、現実はそうもいかない。締め切りが迫る中で、ままならない状況に苛立ちを感じつつも、「まあ、仕方ないか」とどこかで諦める気持ちが顔を出す。そんな人間には厳しい条件を突きつけてくる経理の仕事だけれど、面白いことにシステムに対しては妙に寛容だ。いや、寛容というより、システム自体がまるで気分屋のような性格を持っている。
最新の経理ソフトを使っているはずなのに、どこかアナログな一面が残っていて、扱うたびにその気まぐれさに振り回される。おだてて、なだめて、時にはお願いするように操作して、なんとか動いてもらう。まるで生き物と向き合っているような感覚だ。数字を扱う仕事なのに、こんな人間臭い部分があるなんて、なんだか不思議で、少し笑えてしまう瞬間もある。それでも、その気分屋なシステムと格闘しながら仕事を進めていくうちに、妙な愛着が湧いてくるから不思議だ。
そういえば、経理の仕事って基本的には季節労働みたいなものだよね、と同僚が冗談めかして言っていたのを思い出す。確かに、締め作業さえ乗り切れば、その後は少し和やかな雰囲気が戻ってくるはずだ。数字とにらめっこする日々も、締めが終われば少し息をつける時間が訪れる。今日はまだそのゴールが見えないけれど、終わりが近づけばチームみんなで軽く笑い合える瞬間が待っているかもしれない。そんなささやかな希望を胸に、疲れた頭を休めるためにもう一息頑張ろうと思う。
窓の外を見ると、春の夕暮れが静かに広がっていた。忙しさの中で見逃しがちな季節の移り変わりも、こうやって少し立ち止まると感じられる。疲れたけれど、どこかやりがいも感じる一日だった。明日もまた数字と向き合う日が続くけれど、今日のこの感覚を忘れずにいたい。