宇都宮で2泊目の朝を迎えた。目が覚めてカーテンを開けたら、空がきれいに晴れていて気持ちよかった。昨日までの曇り空が嘘みたいで、朝日が部屋に柔らかく差し込んでくるのが心地いい。パートナーも起きてきて、「天気いいね」と言っていて、私も「うん、今日はいい日になりそうだね」と返した。身支度を整えて朝食会場に向かうエレベーターの中で、昨日食べたパンと同じかなと思ったけど、何か新しいものがあるかもしれないと少し期待していた。

朝食会場に着いたら、ビュッフェのテーブルにはパンしか並んでいなかった。クロワッサン、食パン、デニッシュ、小さいロールパンだけ。スクランブルエッグやサラダはなくて、パンだけで勝負という感じ。私はパン好きだから全然いいけど、この潔さにちょっと驚いた。トレーを持って見ていると、パートナーが先にドリンクコーナーに行って、「ねえ、グレープフルーツジュースがあるよ!」と嬉しそうに教えてくれた。私が大好きで昨日はなかったものだから、すごくテンションが上がって、急いでパートナーの横に並んでグラスに注いだ。一口飲んだら、さわやかな酸味とほのかな甘さが口に広がって、朝から幸せな気分になった。「見つけてくれてありがとう」と言うと、パートナーは「いいよ」と笑って返してくれた。パンコーナーに戻って、昨日と少し違うチーズベーグルを見つけたからそれを取った。焼きたてらしい香ばしい匂いがして、こんがり焼けた見た目が美味しそう。席に着いてかじったら、外はカリッと中はもちもちで、チーズの濃厚な味が広がって、グレープフルーツジュースと一緒に食べると最高だった。パートナーはクロワッサンを選んで、「これ、やっぱり美味しいね」と言っていた。窓の外の晴れた空を見ながら、二人でのんびり朝食を楽しんだ。

今日はパートナーが楽しみにしていた駅のゼッテリアに行く予定だった。昨日、観光から帰る途中にたまたま見つけて、パートナーが絶品バーガーが大好きだから、「明日絶対に行こう」と言っていた。朝食を終えてホテルを出て、駅に向かう途中で、東口に新しいライトレールが見えた。去年開業したばかりの宇都宮のライトレールで、モダンなデザインの車両が静かに走っていて、ちょっとテンションが上がった。パートナーと「これ、乗ってみても面白そうだね」と話しながら駅に着いた。ゼッテリアに着いたら、まだ朝の時間帯だったからか、メニューが朝限定のものに変わっていて、楽しみにしていた看板バーガーが注文できないことが分かった。「えー、マジか」とパートナーが少しがっかりしていたけど、私は「朝メニューでも美味しいんじゃない?」とフォローした。私はBLTバーガーを、パートナーはとろーりチーズバーガーを注文した。運ばれてきたバーガーを見ると、バンズが店の自慢らしく、しっとりもちもちした感じがいい。私はBLTバーガーを食べて、レタスのシャキシャキ感、ベーコンの香ばしさ、トマトのジューシーさが絶妙で、バンズがそれを引き立てて美味しかった。パートナーのとろーりチーズバーガーは、チーズが濃厚で溢れていて、「これ、ほぼチーズパンだね」と笑っていた。「美味しいけどチーズが強すぎる」と言いつつ、満足そうに食べていた。二人で「これでも十分美味しいね」と言いながら食べ終えた。店の窓から見える駅前の景色が晴れていて、明るい雰囲気だった。



その後は特に予定を決めていなかったけど、週末の家事を思い出した。東京に帰ったら洗濯や掃除が待っているし、少し現実に戻る気分になった。さらに、パートナーの携帯に知り合いから連絡が入って、どうやらご不幸があったらしい。詳しくは聞かなかったけど、パートナーの表情が曇ったのを見て、「今日はこのまま東京に帰ろうか」と提案した。パートナーは「ごめんね、せっかくの旅行なのに」と申し訳なさそうに言ったけど、「全然いいよ、こういう時もあるし、天気もいいから帰り道も楽しめるよ」と笑って返した。宇都宮での滞在は短くなったけど、仕方ないこともある。

駅で始発電車のチケットを取って、ホームで少し待った。天気予報通り風もなく、朝の空気が澄んでいて気持ちよかった。始発電車だから人も少なくて、静かなホームで電車を待った。乗り込むと、向かい合う席が空いていたのでそこに座った。パートナーはいつも通路側に座ってくれて、私に窓際を譲ってくれる。「景色楽しんでね」と笑顔で言ってくれるのがいつものパターン。電車が動き出すと、晴れた空の下で宇都宮の街並みが流れていって、だんだん郊外の緑が増えてきた。パートナーは少し疲れたのか、通路側で目を閉じて静かにしている。私は窓の外を眺めながら、昨日からのことを振り返った。短い滞在だったけど、チーズベーグルとグレープフルーツジュースで始まった朝、新しいライトレールを見た興奮、天気いい中での散歩、ゼッテリアのBLTバーガーととろーりチーズバーガー。そして何より、パートナーと一緒に過ごせた時間が一番の宝物だった。予定が変わっても、こうやって一緒にいられるのが大事だなと思った。東京に着いたらまた日常が始まるけど、この小さな旅の記憶は、晴れた空とパートナーの優しさと一緒に心に残りそうだ。