今日は仕事が終わった後、部下2人と初めて飲みに行くことになった。ずっと在宅やらすれ違いでこういう機会がなかったから、ちょっと新鮮な気持ちだった。メンバーは30代の男性と20代の女性。30代の彼は真面目で少し理屈っぽいタイプで、仕事に対して熱心なんだけど、どこか成功者バイアスがあって、時々スノッブっぽい態度が出る。自分より年下だけど、妙に落ち着いてて、話すと「なるほど」って思うような鋭い視点を持ってる。一方の20代の彼女は、なんでも積極的で物怖じしない性格。明るくて素直で、誰からも好かれるような子だ。笑顔がチャームポイントで、初対面の人ともすぐ打ち解けちゃうタイプ。この飲み会、実は私にとってこの部署での最初で最後の飲み会になる予定だった。4月から別の部署に異動が決まってるから、ちょっと感傷的な気分も混じってた。

場所は会社近くのステーキハウス。2人ともなんか肉食のイメージで肉を食わせておけば文句は言わないだろうと思って。こぢんまりした店だけど、ビールが美味しくて雰囲気も悪くない。3人でテーブルに座って、とりあえず生ビールを注文。乾杯して、少し緊張が解けたところで話が始まった。最初は仕事の話。上司の苦手なところとか、部署の雰囲気とか、普段言えないような愚痴を出し合った。20代の彼女が「上司ってさ、匿名のアンケートから犯人探しみたいな追求するべきじゃ無い」って、少し熱くなりながら語ってた。30代の彼は「みんな他人事のように話してたけど、分析すると過半数が低い評価を入れているんだよね、」って、鋭い分析。だんだん仕事から離れて、プライベートな話題にシフトしていった。

30代の彼が急に投資に詳しい一面を見せてきた。「最近、株より金の方が安定してる気がする」とか、真剣に語りだすから、私もつい「でもリスク分散って大事だよね」なんて返して、ちょっとした討論みたいに。20代の子は「投資って難しそう…」って言いながらも、興味津々で聞いてた。そしたら話が金の話に流れ込んで、「金とかプラチナの価値って時代で変わるよね」なんて私が言ったら、彼女が「プラチナってなんですか?」って純粋に聞いてきて、30代の彼と私が顔を見合わせて笑っちゃった。「金よりレアで、白っぽい金属だよ」って説明してあげたら、「へえー!」って目を丸くしてたのが可愛かった。

で、彼女が「そしたら、その指輪は銀じゃ無くてプラチナなんですか」って話になって、もう1人も「どこの指輪なんですか?」って聞いてきたので、ティファニーだと答えた。2人とも「え、ティファニー!?」って食いついてきた。なんでティファニーを選んだかっていうと、同性カップルに一番偏見のない対応をしてくれたブランドだったから。そういう話をしたら、ちょっと空気が変わった。実は私、同性愛者なんだってカミングアウトすることになったんだ。緊張したけど、正直に話したかった。30代の彼は「へえ、そういう視点もあるのか…」って少し考え込む感じで、20代の子は「あ、そうなんですか?」って特別じゃない感じの態度だった。嫌な反応じゃなくて、むしろ受け入れてくれる感じがして、ほっとした。そこから少しその話題で盛り上がって、私の恋愛観とか、パートナーとの出会いとか、普段話さないようなことも自然と出てきた。

時間はあっという間に過ぎて、閉店間際。最後には20代の子が「もっとこれからも話したいことあったのにー!」って名残惜しそうに言ってくれて、なんか胸が温かくなった。30代の彼も「こういう話、普段できないから面白かったよ」って珍しく柔らかい笑顔を見せてくれた。4月から私は別の部署に異動するから、この2人とこんな風に過ごすのはこれで終わり。この部署を去る前の、いい思い出になった気がする。

帰り道、ふと思った。振られた男に「いい女だった」って思わせたい気持ち、ちょっと分かるなって。今更「戻ってきて欲しい」なんて言われても、もうその部署には帰らないけどさ。でも、今日のこの飲み会で、私らしさをちゃんと出せた気がして、少し誇らしかった。長い1日だったけど、悪くない締めくくりだった。