リーダーシップ
東北、北関東地方を襲った地震と津波の大惨事から約2ヶ月が経ちました。
私自身も先月はじめ、避難生活を送る子供たちが体を動かす事によって少しでも元気を取り戻してくれればとの思いから、
野球用具、サッカーボール、バドミントンラケット、縄跳びなどを被災地に届ける為に、福島県に行ってきました。
そこでは段ボールで作った敷居の中で暮らす被災者の皆さんの生活を目の当たりにし、家というものが人々にとってどれほど大切なものなのかを実感しました。
私が訪れた避難所では食料や水は足りているようでしたが、自分たちが安心して安全な暮らしができる家を、
地震や津波で奪われるという事の重大さをこの目で確認し、悲しい気持ちになりました。
こうした困難に立ち向かい、一日も早く被災者に仮設住宅などを提供する為には政府の動きが不可欠ですが、
対応の遅れやリーダーシップの欠如は皆さん周知の通りです。
そして、これは過去20年、いやそれ以前からの日本という国のあり方を物語っているのかもしれません。
また、日本が一つになり立ち上がらなければならない中で、
政府が節電等の為に呼びかけた「自粛」は、政府の脆弱さを表現するかのようでした。
原発事故に関しては、原子力発電所を運営する東京電力や政府が「想定外」という表現を使い続けています。
福島原発建設にゴーサインを出したのは管政権ではありませんが、
東北地方の過去の津波被害などから考慮しても、津波に対する対応は十分ではなかった事を様々な情報が示しています。
「想定外」という言葉ももはや国民に対する言い訳にしか聞こえません。
政府と東電の言う「想定外」の惨事を受け、
政府はその被害状況を正しく国民に伝えず、エネルギー節約の為の自粛を国民に依頼しています。
公共の需要を満たす為のエネルギーを即座に確保する事がリーダーの務めであり、今回の震災後の被害拡大は明らかに政府や東電にマネジメント力の不足に起因するものです。
そして、マネジメントの失敗により、日本人は過去に前例のない 困難に直面をしています。
企業は仕事を失い、飲食店は顧客を失い、あらゆるビジネスが勢いを失い、日本経済全体が流れを失っています。
菅首相が社会主義的な政策から脱却し、この国のインフラを再生しなければ、
世界第二位の経済大国の座を奪われたばかりの日本はこのまま茨の道を進む事になるでしょう。
国益の為に法律やルールを変えなければならないなら、菅首相は積極的に動くべきであり、
これは首相にとっても国民に対する忠誠を示すと同時に国民の信頼を勝ち取る大きなチャンスでもあります。
今回の震災は言うまでもなく、被災地のみならずあらゆる場で大きな影響を及ぼしています。
例えば、子供に体操を教えるコーチである私の知人は、
電力消費が大きいとの理由で体育館の使用を断られました。
子供たちは私たちの未来であり、その子供たちからスポーツを含む様々な機会を奪ってしまっては、私たち自身の未来をつぶす事に他なりません。
私たち大人は多少の犠牲に耐えなければならないかもしれませんが、
子供達が学校に行き、スポーツや芸術活動に参加をする機会は優先されなければならないと思います。
未来への宝である子供たちが出来るだけ日常に近い暮らしをできるように配慮し、この体育館の自粛のような姿勢は、行政の取り組みによって改善されなければなりません。
一方、野球界に話題を移すと、NPBのシーズンスケジュールは紆余曲折を経てようやく決まりました。
「批判を覚悟で」とマスコミに語っていたNPBのコミッショナーもやはりリーダーシップを発揮できませんでした。
そもそも、コミッショナーがリーダーとして当たり前の仕事をし、
12球団、野球界を一つにまとめる事ができれば、彼は批判を受ける必要すらありませんでした。
しかし、パリーグはパリーグの、セリーグはセリーグの好きなようにさせてしまい、この国の野球界がまとまっていない事実を目の当たりにしました。
であれば、そもそもコミッショナーという役職が必要なのでしょうか。
2リーグがばらばらの事をするのであれば、そもそもNPBという一つの機構である事に意味があるのでしょうか。
日本の野球界でもまた、政府と同じような迷走ぶりを目の当たりにしました。いつになったら日本に強いリーダーが現れるのでしょうか。