町の中心部を抜けて車で40分走ると、山間部の木立の中に入る。

木立の中に家々が点在する地区に入った時だ。

周囲を緑の木々に囲まれた、普通の木造平屋だての家が目にとまる。

10坪もないこじんまりした、シンプルな建物だ。

住宅ではない、物置かなと思われる。

しかし、中には立派なグランドピアノがあり、

音響も苦心されたと聞く、コンサートホ-ルなのだ。

 

過日、ここで開かれた、

弦楽アンサンブル~プチ・アンソレイエ~のコンサートに、

出演者である娘が誘ってくれた。

 

30人程度の観客でもう満員だ。

 

2時間の演奏の中で、

弦楽四重奏、チェロ協奏曲、ピアノと弦の演奏等を聴かせてくれた。

耳に柔らかく、吸い込まれるような音の響きに、

心地良い、あっという間の2時間だった。

 

娘がヴァイオリンで聴かせてくれたのは、

ドボルジャークの“ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ”だった。

ピアノとのヴァイオリンとの調和がこれほど綺麗に聞けたのは、感動だった。

演奏者の後ろの窓からは、木々の緑も共演していた。

 

コンサートと言えば街中のホールを想像する。

今回は自然の中での木造ホール、小さなホールでの、

プチコンサートだった。

格別な場所の小さなホールで、

感動の演奏に、楽し幸せな時間をもらった。