1. Tangled Up in Blue
(Bob Dylan)
2. Simple Twist of Fate
(Bob Dylan)
3. You're a Big Girl Now
(Bob Dylan)
4. Idiot Wind
(Bob Dylan)
5. You're Gonna Make Me Lonesome When You Go
(Bob Dylan)
6. Meet Me in the Morning
(Bob Dylan)
7. Lily, Rosemary and the Jack of Hearts
(Bob Dylan)
8. If You See Her, Say Hello
(Bob Dylan)
9. Shelter from the Storm
(Bob Dylan)
10. Buckets of Rain
(Bob Dylan)
Originally Released Jan. 20, 1975
Produced by Bob Dylan
Miles DavisやJohn Coltrane、それにBob Dylan‥
大量にレコードが出ていて、果してどこから
聴き始めればいいのか悩んでいる人もいるだろう。
CDショップへ行くと、無愛想に背表紙だけが
こちらを向いて、初心者を拒否している。
店にもよるが、レコード時代には、
アルバムであれシングルであれ、
ジャケットがこちらを向いていたから、
訳は分からなくても、とりあえずジャケ買いから入れた、
初心者にウェルカムだったのである。
更にロックのレコードを買いに来たつもりが、
ジャズやソウルにも興味深いジャケットが見えて、
思わず手に取ることだってある。
どこから聴き始めるか。
その答えは、どこからでも、である。
マイルスやディラン、ストーンズのような
キャリアの長いミュージシャンであれば、
とりあえず10年ひと区切りで捉えるというのも、
1つの手である。
そしてキャリアの長短に関わらず、
ベスト盤を買ってはならない。
アルバムが出ているなら、それをしっかり聴き、
時間と金に余裕があれば、ベスト盤なり
未発表曲集なりを買っていく。
マイルスにしろ、ディランにしろ、ベスト盤だけ聴いても、
彼らの全体像が全く掴めないし、どういうプロセスを経て、
或いはどの時点で、ディランは「ブルーにこんがらがって」に
たどり着いたのかということに、僕は重きを置く。
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Asylum Recordsでスタジオ盤とライヴ盤を
1枚ずつ作ったディランだが、僅か1年で
Columbia Recordsへ舞い戻ってきた。
ディランにすれば、アサイラムとの契約は、
The Bandとのコラボを図るためであったわけだ。
Clive Davisの後任として、コロムビアの社長に
返り咲いたGoddard Liebersonは、
モータウンからのJackson 5の引き抜きと、
ディランのコロムビア復帰を置き土産に、
この年、会社を去るのである。
アルバムの大半は、74年9月にニューヨークで
レコーディングされたが、年末になって急遽
ミネアポリスで地元のミュージシャンをかき集め、
再度録音し直したものもある。
冒頭の名曲Tangled Up in Blueもその1つだ。
軽快なアコースティック・ギターから始まる同曲。
どうもこの時期のディランは感傷的になっていたらしく、
軽快なアコースティック・サウンドの中から
立ち上るディランのしわがれ声も、どこか
無理やり絞り出している風。
次のSimple Twist of Fateになると、
そのおセンチぶりがいや増しになって、
やたら胸を掻き毟られる。
そんなディランの新境地が、You're A Big Girl Now。
Jimmy Pageがやりそうなギター・サウンドだが、
どこか日本の歌謡曲とか四畳半フォークを思わせる。
途中から始まったような、唐突なオープニングのIdiot Wind。
Al Kooperを思わせるオルガンが印象的だが、
ここで搾りだしているディランの声は凄い。
カントリー風なYou're Gonna Make Me Lonesome When You Goに
続いて、ディラン流スワンプMeet Me in the Morning。
ストーンズならMick Taylorのスライドを大々的に
フィーチャーするが、ディランはエンディングにほんのちょっと
ギター・ソロを入れ、しかもフェイドアウトさせてしまう。
かなりおどけたイントロのLily, Rosemary and the Jack of Hearts。
9分近くあるが、かなりテンポの速い曲で、
一気に聴かせてしまう。
歌いながら、思わず感極まってるIf You See Her, Say Hello。
アルバムを1つ1つ聴いていくと、こういうディランに出逢えるのだから、
ベスト盤だけで終らせるのは、人生損をしてるよ。
ラスト2曲はニューヨーク・セッションだが、
やたら感傷的である。その感傷を振り切るために
ミネアポリスへいったわけだが、ホームシックに罹ったように、
感極まるという次第。
おどけたり、時に演歌的なメロディになったりしつつも、
シンプルなアコースティック・サウンドの中から、
懐かしのLike a Rolling Stoneのディランが
立ち上ってくるところに、このアルバムの魅力があります。

