箱根の緑は陰まで蒼い。


鬱蒼とした木立ちの陰を縫って降り注ぐ陽光が、下草に反射して回りこむ、

ただそれだけのことだろうけれども。


初夏の頃にもよく似た明るい緑葉の、

その葉脈の中の水の巡りからさやかさがこぼれ溢れるように、

涼やかな風がゆっくりと抜けてゆく。


ほんの、くねくねと曲がりくねった道を一歩回りこんだだけなのに。


千の葉、万の緑、見忘れていた鮮やかさに目を見張って、そして過ぎる。


刈り込まれた庭の木々は、ただ陽光に乾いて見えるのに、

このホ立ちの不思議ななんだろう。