終末期の高齢患者さん。痛みが強く、浮腫強度、尿はほぼ出ない。

今日や明日に命の灯が消えても不思議ではない状態。

我々看護師は、在宅で自然にまかせて看取りましょうという考えだけれどご家族は飲水できないから点滴してくれと医師に言う。

風船みたいに腫れ上がった腕に点滴をする。血管が細く、漏れてしまっても家族は他のところからいれてくれと言う。

酸素もしんどそうだからいれてくれと言う。


患者自身はこの痛みから逃れたい。早く逝かせてくれと訪問のたびに訴える。




点滴しても排出機能がなく、身体に輸液がたまり本人は苦しいだけなのに。

そのうち行き場を失った身体に入った輸液は、心臓や肺にいくだろう。そうなれば疼痛は増す。

医師がきちんと家族に説明すべきだ。

そして家族もきちんと理解すべきだ。


カンファレンスで先輩看護師らが憤慨する。

辛くて患者を見てられないと言う。

家族が望むなら。医師から指示がでるなら。それをするしかない看護師の憤り。


何が正義なのだろう。

医療者の倫理とは。