安田氏はドン・キホーテを創業する前に小さいながらも小売店舗を一つ経営していました。そこで実際にナイトマーケットの重要性、圧縮陳列の訴求力の高さなどを学んだと書物にも書いてあります。しかしながら、その手法の伝達においてはまだ誰も実践したことがないものであるから、どれほどの時間をかけても中々そのイメージが伝わらず安田氏は苦労をしたことについて前回のブログでは触れてきました。では、その後どのようにして解決に導いたのでしょうか。今回のブログではその点について触れていきたいと思います。

『私は結果からしか学べないタイプの人間だ。頭が悪いといわれればそのとおりなのだが、この体験で理論説明方式は効果がないと知った私は説明することをやめてしまった。効果のない方法は手法でもなんでもない。単なるはた迷惑な思い込みにすぎないからだ。』

説明をしても理解できないということは、その人が悪いのではなく、説明によっては習得できないスキルなのだと理解したのではないでしょうか。ではなぜそのような発想に至ったのか。当時の安田氏の考え方をご紹介いたします。

『考えてみれば、私の体験に根ざす手法を、私流の体験言葉でつづられた理論で理解させようと思っても無理なのだ。私の説明は天才・長嶋が打撃を教えるのに「ぐいっとボールをにらんで、スカッとバットを振りぬく。これがいわゆる一つのホームランスウィングですね。」といってるのと同じだったかもしれないし、名手・広岡が「ボールの正面に常に身体を向けて45度の角度でグラブを差し出し、捕球したら塁手に向かってコンパクトなスローイングで投げる。簡単なことなのになんでそんなことできないの。肉ばっかり食ってるから、身体のキレが悪いんだ。青汁飲め」といってるみたいなものだったかもしれない。」

説明はその知識を持っている人の土壌をベースにして語られるからこそ難しいのだと思います。従業員と経営者が同じ感覚を持っているわけがありませんし、若い人と熟練した人によってもその体験した経験値は大きく異なるのだと思います。それを一定にするためには、自分で一度経験するというフローを企業に落とし込んだのが権限委譲なのではないでしょうか。

※下記著書より一部抜粋
著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ



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