ドン・キホーテの安田氏は現場からヒントを読み取り、それを一般消費者に提案する売り場を構築することで、今のドン・キホーテを作り上げてきました。実際にこのヒントを使って作り上げたのが、圧縮陳列であり、ナイトマーケットだったのだと私は思っています。それもふとしたきっかけでアンテナを高く張っていた安田氏だからこそ、組み上げることができ、今の手法につながっているのだと思います。ただ、実際にこの手法を多くの従業員と共有しようとした時に苦労があったようです。それはいったいどのようなことだったのでしょうか。その点について今回のブログでは説明をしたいと思います。

『私がつくろうとしている売り場は、とことん説明しなければわからない。見本は私の頭のなかにしか存在していないから、現物を見せることもできない。しかも、その手法は私が体験のなかでつかみ取ったものだ。しかし、生い立ちも体験も経てきた人生も価値観も違う人々に私の頭のなかにある、みんなの目には見えないものを伝えることは至難の技だ。』

知識を従業員に伝えたところで、同じ体験をしていないので、再現性を売り場に持たせることができないというのでしょうか。この点が本当に困ったのだと思います。では、それはいったいどのようなことだったのか。それは以下のようなやりとりだったようです。

『だから、どうしても理屈で理解させようとする。理屈でいえば価値観が違う人間にも理解できるだろうと思っていたのだ。
ところが、私の前では納得して聞いていたはずなのに現場を見るとみんなまったく違うことをしている。「違うじゃないか」「えっ、いわれたとおりにしたはずですが・・・」「そうじゃないよ、全然違う」「どこがですか」「よし、もう一度、説明しよう」・・・・・こんな会話を何度、社員としたことだろう。いって聞かせて、させてみて・・・・・を繰り返しているうちに私はすっかりネをあげてしまった。』

ここまで手取り足取り教えても実現できないというのであれば、これは教えてあげることができない。つまり自分でその感覚を掴み取ること意外に習得する方法論がないというのが一つの結論なのではないでしょうか。ドン・キホーテを創業した安田氏はキーワードを用いて、従業員にドン・キホーテらしさを伝えてきたのだと思います。

※下記著書より一部抜粋
著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ



クリックをお願いいたします。
https://blog.with2.net/in.php?1652798
https://business.blogmura.com/ryutugyou/