ドン・キホーテは流通小売業の中では革命的な店舗として成長を実現したのではないでしょうか。そしてその成長の裏側には全く新しい試みを数多くしてきたこと、そして古い業界の習慣に囚われずに、自分たちが正しいと思える道を突き進んできたという背景があると思います。そんなドン・キホーテの成功要因の一つに人材との向き合い方が挙げられるのではないでしょうか。そのようにいうのも、ドン・キホーテはこの人材育成にきちんとした理屈を持って臨んでいます。それが「権限委譲」なのではないでしょうか。人に何かを預けてしまうというのは怖いことです。例えば仕入れの権限を入社間もない新入社員に任せるのは、売上に大きな影響を及ぼす可能性があることから、通常の企業は仕入れ部門が確立しており、そこが対処するようになっています。しかしながら、ドン・キホーテはこのような点も任せてしまう体制をとっていました。そして、その人が成長することによって、売上を向上する仕組みを自分から発信できるようになって行ったのです。この連鎖こそが、ドン・キホーテの素晴らしい仕組みではないでしょうか。そして、その仕入れについてどのようなことをしているのか、今回のブログではそのような点について紹介をしたいと思います。

『スポット商品は生きものだ。パッケージは同じでも時期や取引条件、時流によって、その後は一変する。昨日までA問屋で500円だったものが、今日はB問屋から10円で出てきたりする。売れない死に筋商品、過剰在庫の処分品、資金繰りからの換金商品、パッケージの汚れ等のキズモノ商品・・・・・と価格ひとつでもさまざまな理由によって激変する。』

ドン・キホーテという企業はスポットの商品比率を40%としており、非常に高い商品変動を実現しています。このことによって、売り場は生きているかのように動き、前に陳列されていた商品が次に店舗に足を運んでみるともう変化しているといった面白い生きた売り場を実現できるのだと思います。

『仕入れは安けりゃ仕入れるというものではない。それは安けりゃ売れる、というものではないからだ。定価1000円の商品に100円の値札をつけても売れないこともあるし、800円で売れることもある。陳列方法、POP1枚でそれまで売れなかったものが売れたりする。
スポット商品の扱いにはこうすればこうなる・・・・・といった計数的な公式は存在しない。』

このように、マニュアルがないことへの対応ができるのも人が育ったからと言えるのではないでしょうか。つまり毎日のように変動する要因を考え、自分で最大限のパフォーマンスを実現するためには何をすれば良いのか考える力こそがドン・キホーテの社員には備わっていると言えます。

※下記著書より一部抜粋
著書:流通革命への破天荒な挑戦!―ビジネスの原点は「常識」を疑うことだ